童貞狩り8_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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童貞狩り8

15-06-14 11:10

この話は続きです。はじめから読まれる方は「童貞狩り」へ

少年の家は,母子家庭と言うので鄙びたアパートとかを想像していたが,反して真新しく建てられた綺麗なマンションの中にあった。

駅から歩いているうちに少年は叱られるのではないかと寡黙になり,私もどうやって話しを持っていくかと考えていた。

「ママ‥ただいま‥」
少年に続いて玄関を入ると,奥から小柄な女が出てきたのだった。
「何やってたの?こんな時間まで!何時だと‥あら‥」
私の姿に気付き言葉が止まった。
「失礼します。」
無遠慮に靴を脱ぎ上がると
「何ですか?あなたは。こんな時間に勝手に失礼じゃ‥」
女の言葉も無視して上がり込むとリビングへと進んだ。
「喉が渇いたので麦茶かウーロン茶をください。」
「何ですか!図々しい‥」
ソファーに座り脚を組んだ。
「用意してもらったら座ってください。」
少年はハラハラと母親と私を見比べていた。
少年が言っていた様に酒臭い息をしていた。
年に似合わないローライズのパンツを履き細い身体を誇示する様に小さめのカットソーを着ている。
若作りした化粧が女の老化を拒む醜さを物語って見えた。
週2でパートに来る会社の主婦にどこか似ていた。

「何ですか?」
言われた様にウーロン茶をグラスに入れて差し出し,女が向かいに座った。

「良いんですか?そんや風に‥私は被害者なんですから。」
「被害者‥?」
「そう。被害者‥奥さんが男と遊び歩いてる間‥息子さんに電車の中で痴漢されました。」
「痴漢!うちの息子が?本当なの?」
少年は顔を逸らし母親の顔を見ようとしなかった。
「本当なの!なんで‥?」
「本当です。彼も認めました。これから警察へ行こうと思います。」
「警察‥ちょっと待ってください。警察なんてそんな‥」
「私もそんな事はしたくないんです。聴けば高校にやっと入ったばかりだって言うし‥初めてだったみたいだし‥」
「お願いします。警察なんて‥お金ですか?少しなら‥」
「誤解されてる様ですね。別に脅迫しに来た訳ではありません。ただまた同じ事を繰り返さない様にどうすれば良いかと話しに来たんです。」
「そうですか。すみません。失礼な事を‥」
「先ほど彼とはなぜあんな事をしてしまったのか正直に聴かせてもらいました。」
「はい‥」
「年頃ですから異性に興味を持つのは当然だと思うんです。でも痴漢の被害者の気持ちがお母さんにはわかりますか?」
「すみません‥」
「痴漢に逢われた事はありますか?」

つづく「童貞狩り9」へ


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