この話はつづきです。はじめから読まれる方は「居残り調教」へ
「少し遅いですね」
保健室に入ると、文菜先生のほかに、保健の舞夜先生が丸椅子に腰掛けて待っていた。
いつも丁寧な言葉遣いで話すことから、どこかの令嬢がそのまま大人になったようだと保護者の間でもよく知られているようだ。
あまり校外の人物と接する機会のない保健の先生としては、珍しいかもしれない。
「1人のために時間を遅らせるなんて…、あまりないですよ?」
いつも僕達、子供の前では淑やかで温厚な舞夜先生だが、今日は違った。
誰でも腹の立つことくらいはある。
順調に進んでいれば、僕はおろか女子の身体測定もある程度まで済んでいなければおかしい時間帯なのだ。
「ごめん舞夜先生、ちょっと事情があって…」
「文菜先生…、遅れる子は居てもいいですけど、せめて事前に……」
「面目ない」
文菜先生は舞夜先生に頭が上がらないようにも見えるが、じつはそれほどでもない。
名字でなく、下の名前で呼び合っている先生は校内でも珍しいからだ。
単純に仲がよいのだろう。
さすがに朝礼など公の場では控えているようだが、文菜先生の方は何度か名前で呼んでしまって、今回のように怒られてしまったという話を聞いたことがある。
「事情の原因が、この子?」
「…えっと、あはは…」
「…まぁ、いいです」
文菜先生は、遅れた経緯を話したがらなかった。
僕を気遣ってくれているのだろうか?
たとえ違ったとしても、ここで僕のせいだと言い切らないところはやはり文菜先生である。
「そこ、いつまでも立っていないで、脱いでくださいね」
「えっ?」
「え、じゃなくて……脱がないと正しく量れないでしょう、体重よ」
「え…あっ…、そっか」
舞夜先生に言われて、慌てて襟首に手をかける。
「脱いで」という言い回しに敏感になっているのは、ごく最近まで文菜先生とやってきたことが原因だろう。
服を着たままでもいいなら、そもそも男女を別にして測定する必要さえなくなってしまう。
それにしても。
上着の時は気にならなかったが、下を脱ぐのはやや勇気がいる。
文菜先生のおかげで勃起はおさまっているのだが、今この保健室にいるのは3人だけである。
文菜先生と舞夜先生、そして僕…。
どちらも先生であるとはいえ、大人の女性2人に見つめられながら下着姿になるというのは…。
「いいから早くしなさい」
僕の心情を察した文菜先生に叱られてしまった。
「まぁ、1人だとやっぱり…恥ずかしいね、普段はみんな居るもの」
とっさにフォローしてくれたのは舞夜先生。
どっちも美人なんだよなぁ。
誰の目にも豊満ボディに映る文菜先生に対して、舞夜先生はどちらかと言えばスレンダーな女性だった。
しかし胸のサイズだけは文菜先生に勝るとも劣らない。
いつも見かける時は下着で無理やり締めつけているのか、今着ている白系のシャツは中にボールでも入っているかのように大きく前に膨らんでいる。
(見ちゃ駄目だ、見ちゃ…)
2人の先生が、下着姿の僕を観察している。
こんな状況で勃起なんてしたら、後で何を言われるかわからない。
文菜先生だけならともかく舞夜先生なんて、僕の秘密を何も知らないのだから。
「はい、OK」
舞夜先生はすらすらと数値を書き記してくれた。
測定にかけた時間はわずか1分。
1人だけなら早くて当たり前だが、実際のところ、測定にかかる何倍もの時間を無駄にさせてしまったのだ。
そう考えれば、舞夜先生がやや不機嫌だったのも無理はないのかもしれない。
「先生、遅れてごめんなさい」
「…うん、きちんと謝れただけ偉いです」
褒められた、と思った。
やっぱり舞夜先生は優しい…と安心しかけた僕に、
「…でも、しばらく反省してもらいましょうか」
と言ったのだった。
「反省」という単語に、おさまっていた僕の性器がぴくりと疼く。
まずい、まずい、まずい。
そんな言葉を聞いたら、嫌でも文菜先生にお尻をぶたれた瞬間のことを思い描いてしまうじゃないか。
一方の文菜先生も「そうだね」と応じた。
「じつはこの子、最近言うこと聞けなくって…今日も、この後でお尻をぶってあげる約束だったのよ」
(え…?)
そんな話は聞かされていない。
文菜先生が急にそんなことを言いだすので、僕は軽く混乱していた。
そもそも、なぜ今言う必要が…?
僕ははっとした。
同じだ…、さっきの教室の時と。
文菜先生は、わざと僕を勃起させて言い訳のできない状況を作ろうとしているに違いない。
「なーんだ…、やっぱりそういう事情?」
「あは…、言ってばらすのもかわいそうじゃない?」
結局ばらしてるじゃない、舞夜先生が呆れて言う。
前にも、こんなことがあったのだろうか?
話はとんとん拍子に進んでいって、数分後、僕の処遇は全て舞夜先生に委ねるという結論になった。
「それじゃ…、そこのベッドに横になって」
何をされるのだろう。
文菜先生みたいにお尻をぶつんだろうか、…いやいや、想像しては駄目だ。
ベッドに上がると、「顔はこっち」と保健室の入り口に向かって寝るよう指示があった。
腹ばいに伏せた状態である。
いよいよ何をされるかと思ったが、舞夜先生からは、
「…しばらくそこで反省しましょうね」
と言われただけだった。
(何コレ、これで罰…?)
拍子抜けというか、正直…がっかりした感じもする。
文菜先生みたく過激な、性器をいじったりする罰ではもちろんないにしても、お尻をぶたれたりするくらいは覚悟していた。
覚悟でなく期待になるのか、こういう場合は。
まだ服に着替える前なので下着姿というのが罰といえば罰だが、今さらである。
文菜先生は先に教室へ戻ってしまったし、心配なモノが体に隠れた体勢で寝転んでいるため、今なら勃起しても舞夜先生に発見されることはない。
(まぁ、これくらいの罰なら…)
その時だった。
保健室の外から、何やら喋り声が聞こえてくる。
「うわ、寒っむー…」
「けどさ、授業中に測定あるのってイイよね」
「思う思う」
女子だ、それもかなりの大人数。
あれ…でもこの声って、まさか……?
「こらっ!私語は禁止、教室でも注意したでしょう?」
今の怒声は…間違えるはずのない、文菜先生のものだった。
ということは……?
(クラスの女子だ…!!)
僕は慌てて、ベッドの真っ白い掛け布団を頭からかぶった。
布団といっても数ミリほどの、少し厚いシーツのようなものである。
太陽にかざせば向こう側が透けて見えかねない。
現にかぶってもシルエットははっきり見えてしまうのだが、かと言って2つ折りにすれば、体のどこかがはみでてしまう可能性が高い。
悠長に試しているような時間もなかった。
(な、な、何で、女子が…?)
理由などわかりきっている、身体測定のためである。
ではなくて僕がまだ保健室に残っている状態でなぜ、という意味なのだが…それも考えればすぐにわかった。
これこそが罰なのだろう。
「入ったらすぐ脱いで、出席番号順に並んでね」
ガラッ、保健室の扉が開く音。
次いでぱたぱたと足音が聞こえる。
ためらいなく服を脱ぎだす衣の擦れる音。
僕がここにいることには気づいてないらしい。
とりあえずはひと安心と思ったのもつかの間、
「先生、女だけだし全部脱いでもいいですかー?」
クラス1、活発な女子の声だ。
裸族、露出魔などと囃し立てる声が飛ぶ中、「いいわよ」舞夜先生の返事が聞こえる。
「ありがとうございますっ!」
言うなり…、穿いていた下着をするりと脱いだようだった。
シルエット越しだが、全裸である。
普段の明るい彼女を知っているだけに、その姿を想像するのはた易い。
「何やってんだか…」
「1グラムでも軽くしたいんだってさ」
しかし…起こったことがこれだけなら僕は我慢できた。
問題は、このやり取りで生じた周囲のざわつきの方だった。
「そこの3人!」
脱いだ女子への反応を私語としたのか、運悪く文菜先生に指摘されてしまった女子3名。
出席順に並んだ列から脇にでてくるよう言われ、3人ともが文菜先生の前に並んだ。
シルエットでしか確認はできないが、まだ全員下着姿のはずである。
「3度目よ」
先生の声は明らかに怒っていた。
たしか廊下にいる時、「教室でも注意した」と言っていたはずである。
「先生、見逃してー…」
「駄目です、…3人とも、お尻をだしなさい」
そう、3回目の注意には文菜先生の罰が待っている。
必ずといっていいほど、これでお尻をぶたれるパターンは多かった。
それだけに、僕の股間が今どうなっているかは想像がつくだろう。
(だ、駄目だ、こんなところで……)
シルエットとはいえ、数メートルもない距離のところでクラスの女子が3人、罰を受けようとしている。
お尻はこちらの方角に向かってつきだしているらしい。
はっきりとはわからないが、小ぶりで形のいいお尻らしき丸いものが3つ、並んでいる。
隣に立っているのが文菜先生だろう。
「1発ずつだけど、痛くするわよ…反省しなさい、3人とも!」
……ビチン!……ビチッ!……バチン!
3者3様の平手打ちの音と、うめき声が聞こえた。
「痛ったぁーい…!」
お尻をさする姿も、シルエットとしてくっきり映っている。
ここまで我慢していたが、さすがに僕はもう限界だった。
(駄目だ、でちゃう……!!)
人が文菜先生にお尻をぶたれるという話を聞くだけでも勃起してしまう僕である。
布団1枚挟んだシルエットとはいえ、直接それを見てしまっては我慢などできるはずもない。
ドピュ、ジワァ…、と股間に温かいものが広がってゆく。
下着を穿いている以外は裸で、股間はほぼ真っ白い布団に触れていた。
ベッドには染みが広がってしまったことだろう。
もう僕には、どうすることもできない。
「はい、列に戻っていいわよ」
文菜先生はいつもの口調で、他の女子にも注意を促す。
「他のみんなも、もう私語はしないようにね」
目の前でこんなことがあっては、さすがに女子達も静かにするしかないようだった。
次は自分かもしれない。
そんなぴりぴりとした空気が、布団の中にいる僕にまで伝わってくる。
(…もう何でもいいから、早く出て行って……)
長引けば、布団に染みた精液の臭いに誰が気づくかわからない。
射精してしまった後の後悔もあり、僕は見つかってしまう恐怖に怯えていた。
「…これで最後?」
舞夜先生の声だ。
危機は去ったのか…?
いや、まだ油断はできない。
完全に声がしなくなるまで、このまま…。
「いつまで寝てるのかな?」
舞夜先生に布団をひっぺがされる。
女子が残っているタイミング…ではなかったようで、僕はようやく胸を撫でおろすことができた。
「あら…お漏らししちゃった?」
はっと我に返る僕。
そういえばベッドの染みは、どう言い逃れようとも避けては通れない。
辺りに漂う精液の臭いとともに、僕がこれからどうなるのかは全くわからない状態だった。
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