狂女_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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狂女

15-06-14 11:38

「ねえねえ、きれいきれい」「うん、きれいだね」ふと芳美さんの方をみると、彼女は智子さんと共に変な顔をしてこちらを見ている。『まあいいや』僕は開き直って加奈さんと一緒にバラを見ていった。               一通り見終わり、まだ園の中程にいた智子さんと芳美さんの傍へ行って、「ごめんなさい」と二人に謝った。芳美さんが僕と加奈さんを交互に見、「あなたたち・・・」と言ったきり黙った。智子さんもいぶかしい表情でいる。その元旧友たちに見せ付けるように加奈さんが両腕を僕の体に回し、「ふふふ」と笑った。「実は僕たち、もう・・・」芳美さんと智子さんの顔が同時に引きつった。「好きなんです。この人が」ついにわかってしまったという開き直りから僕は妙な強気になって二人!
見据えた。彼女たちは驚いたまま、やがてお互いに顔を見合わせ、それから共にあらぬ方へ目をやった。尚も顔が強張っている。「今まで黙っていたけど・・・」他の人の視線が気になった僕は「あそこで話しませんか?」と、ベンチの方を指し、やがて加奈さんを連れてベンチに向かった。智子さんと芳美さんも少し遅れて歩き出した。                        加奈さんをベンチの左端に座らせ、その隣に僕、すぐ右隣に芳美さん、そして智子さんというふうに腰を下ろした。しかし、いざ改まってみると何を話していいかわからない。


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