裏・アイドル事情 16_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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裏・アイドル事情 16

15-06-14 11:47

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「裏・アイドル事情 1」へ

「ララララ~♪♪」
「ヘイ!ヘイ!ヘイっ!」
研修生のライブの舞台。
躍動感溢れる10名もの若い子達が
激しく踊るステージは、見る者を
熱気の渦に巻き込んでいた。

「早紀ちゃーん!」
「優香あああー」
中でも特に目立って会場を盛り上げていたのは
間違いなくWセンターの
蒼井優香と白戸早紀だった。
(先生ったら、本当根性なしなんだから。
センターはセンターでも優香さんとの
Wセンターじゃん。
センターって1人だけと思ってたのに・・・
まっ、優香さんとならいっか)
早紀はそんなことを考えながら、満面の笑みで
隣の優香と見つめ合い振りを合わせる。
早紀は焦っていた。
現状の自分と憧れの向井涼子までの距離。
あまりにもかけ離れた二人が近付くには、
早紀が上へ上り詰めるしかなかった。
その為にはどんなことでもする覚悟だった。
まずは今回の新しい研修生ライブで、
何が何でもセンターとなり注目を得、
上位への足掛かりにしたかったのだ。
まあ結果は、優等生で現在の恋人?の
蒼井優香とのWセンターとなり、
一応は麻美との約束は守られた形となった。
事務所の方もこれ以上は麻美と言えど、
譲歩出来なかったのだろう。
麻美の強いプッシュがあったとはいえ、
まだまだ実力的には早紀は優香に
及ばないのだから。
だがWセンターという形は、早紀とっては
逆によかったかもしれない。
すぐ隣で見本のような動きを感じれたし、
華やかな優香に引っ張られるように
早紀も輝くことが出来た。
何より注目の二人として話題性を呼んだのだ。
ステージ袖では彼女達を見守る溝口館長と
橘麻美がライブの評価を話し合っていた。
「いいんじゃない、白戸と蒼井のWセンター。
蒼井は兎も角、白戸が実力以上の輝きを
増している感じがするのは私だけかしら。
まだまだこれからでしょうけど、
ちょっと意外だったわ。
あの子がこんな風になるなんて。
流石は橘先生。彼女の魅力を見抜いて
センターに強く推されたんですね」
「・・・い、いえ、白戸の頑張りが
良かったからだと・・・」
ばつが悪いのか、小声で答える麻美は
顔を赤くした。
(正直、私も驚いているわ。
あの子がこんな風に変わるなんて。
実力的にまだまだの早紀をどう上に
推そうか迷ったけど、結果正解だったわ。
あの子もしかしたら私達が思っていた以上に
化けるかも)
「~♪~♪~~♪~~♪」
(こんなところで満足してられない・・・
道はまだまだ遠い)
早紀は全身に熱いスポットライトと声援を
浴びながら、向井涼子のあの暗く深い瞳を
思い起こしていた。


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