鬼獣 _ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

ホームページ 戻る 

鬼獣 

15-06-14 11:48

薄暗い路地裏に若い男達の声が響き渡っていた

「ほらオッサンよ~、早く金出しな!」

1人の男はリーゼント頭で安物の下品なサングラスを掛けヘラヘラ笑いながら中年のサラリーマン風の男に言った、そしてその男に続くように後ろに居るスキンヘッドの男が言った

「その通りだぜ、早く金出さなきゃこの綺麗なスケが可哀想な目に遭うぜ~」

スキンヘッドの男がスケベ面した顔でモデル風の女の首を腕に巻き付け喉元にナイフを突き付けヘラヘラ笑った

「あの、本当に僕、お金持ってないんですよ」

困り顔で言うサラリーマン風の男が頭を掻いた

「はぁ~金無いなら作って来いよ~、その辺の街金で借りられるだけ借りて来いよ~、さもなきゃこの綺麗な女、俺達が喰っちまうぜ~」

そう言うと男達は大笑いした

「そうだぜ、何なら俺が連れて行ってやろうか、良いところ知ってるぜ~」

三人目の男がヘラヘラ笑いながら言った、三人目の男の顔には蛇の刺青がされていた

「ほらオッサンよ~サッサと金作って来いよ~」

リーゼント頭の男が言った時、下品な男達に捕らわれたモデル風の女が言った

「忠良さん、駄目よ、こんな男達を相手にしては絶対に駄目!、ねぇあなた方、早く私を解放しなさい!」

モデル風の女の声に3人の男達が笑った

「おい!随分じゃねぇ~かぁ~お姉さんよ~」

リーゼント頭の男がそう言うとスキンヘッドの男に合図すると、スキンヘッドの男が喉元に突き付けたナイフを胸元まで移動させナイフの先を乳房をなぞるように円を描き始めた

「よおオッサン!これからこのスケのヌードショーでも見せてやるぜ~」

そう言うとスキンヘッドの男が持つナイフをブラウスの併せ目に刃を向けた時、モデル風の女が叫んだ

「忠良さん駄目よ絶対に駄目!、あなた達、悪い事言わないわ、早くこの場から逃げなさい!」

モデル風の女の言葉に3人の男達が笑った

「はぁ~お姉さんよ~いい加減に立場判ったらどうだい」

リーゼント頭の男が言った時、モデル風の女が冷たく諦めた様に言った

「あなた達、もう終わりよ」

そう言った瞬間、リーゼント頭の男が後方に吹っ飛び地面に倒れ込んだ、顔面は血塗れに成り呼吸をする度に血が浮き沈みしていた、スキンヘッドの男と顔に蛇の刺青を入れた男達が唖然と倒れた仲間を見てそして視線を上げた、その視線の先にはサラリーマン風の男が恐ろしいまでの殺気を漂わせながら2人の男達に歩み寄って来た

「麻由美さん、今、助けますから」

そう言う忠良に麻由美は言った

「殺しちゃ駄目よ、絶対に!」

そう麻由美が言った瞬間、スキンヘッドの男が宙に舞、地面にドサッと落ちた、スキンヘッドの男の顎が砕けているのが判った、それを見た蛇の刺青を入れた男が逃げ出したが直ぐに前に回り込まれた

「悪かった!悪かったよ~、俺達が悪かったよ~、お願いだよ、殺さないで繰れ、頼むよ~」

忠良の前で手を合わせ拝むよう怯える男に麻由美が言った

「だから言ったでしょ~、もう終わりよ、忠良さんは頭に血が昇っちゃうと止めれないの、残念ねぇ~」

麻由美の言葉に蛇の刺青を入れた男が忠良の前に跪き

「お願いだ~助けて繰れ~」

そう言った瞬間、男の身体が放物線を描きながら宙を飛びスキンヘッドの男の上に重ね落ちた、男の顎が明らかに前に飛び出し白眼を剥き失神していた

「忠良さん、駄目って言ったのに~」

麻由美は笑顔で忠良の腕に絡付き甘えた

「だって、麻由美さんが危ないと思ったから」

殺気を帯びていた忠良の顔は気弱そうな顔に戻っていた、そして2人は倒れ込んだ男達を措いてその場を離れ様とした時、リーゼント頭の男の呻き声がした、麻由美は振り返り

「あんた達、気弱そうな人が一番凶暴なのよ、彼の事知らなかったの、羊の皮を被った鬼、裏社会じゃ、鬼獣と呼ばれてるのよ」

その言葉にリーゼント頭の男が何かを言った、しかし顔面を拳で潰された為に何を言っているか判らなかった、麻由美は微笑み

「命助かっただけ良かったけど、これから少し不自由な生活をしなきゃならないわね」

そう言うと麻由美と忠良は華やかな繁華街へと消えて行った

新倉忠良、堅気では有るが、過去に日本一のヤクザ組織を丸腰で崩壊させた男であった、闇社会では鬼獣と恐れられていた

麻由美、新倉忠良の恋女房、過去に悪い男に騙され風俗に沈められ薬物中毒にされたところを忠良に救われ今では献身的に忠良に尽くす女房


コメント
お名前:
気持ち:

コード:

お知らせ

なし

小説を検索