狂女_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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狂女

15-06-14 11:48

「ラジオを消して!」声高に言われ、そうしてから又あぐらをかいた。「きちんと座りなさい!」僕が正座をすると母さんはその前に座り、「おまえ、加奈たちにとんでもない事をしたんだってな」と威圧的に言った。ばれた・・・と血の気が失せた。「おまえのした事は犯罪だぞ。どういうつもりだ?」「・・・」僕は一層深く俯いた。しばらく気まずい沈黙が続いた後、「これからどうやって償う気だ?」と迫られた。あまりの重圧で答えられない。「向こうの家庭までめちゃくちゃにして」「・・・」「何とか言ったらどうだい!」僕は少しだけ顔を上げ、「電話が掛かってきたの?」と上目づかいで尋ねた。「ああ、おばあさんからな」「・・・」「加奈が言ってた。車の中やホテルであの女たちを犯したり、昨日の夜は公!
でやりたい放題だったり」「・・・」「訴えられたらどうするんだ?」厳しく非難しながらも僕を多少でも心配している事が感じられ、程無く、「いつからそんなふうになっちまったんだい?」と嘆くような表情を見せた。「あの人たちがあんまり魅力的だったから・・・」「誘惑されたのかい?」「別に・・・。でも、大きな胸を見たりしていたら・・・」母さんは尚も険しい顔つきだったが、僕を射るような厳しい視線ではなかった。それから又沈黙が続いた。「とにかく、あの女たちとはもう付き合うんじゃない。加奈ともだ」そう言い残して部屋から出ていった。


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