狂女_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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狂女

15-06-14 11:49

こうなるのはわかっていたのに、いざばれてしまうと不安でたまらない。母さんの、男みたいな威圧的言い様もあって胸が重く、ベッドに掛けてじっとした。まだ向こうの夫からは何も言ってこないが、そのうち、激怒して慰謝料でも要求してくるかもしれない・・・。静けさが嫌なので又ラジオのスイッチを入れ、ベッドに寝転んだ。『俺もとんでもない事をしたな・・・』四人の女たちに対して性的興奮が暴走してしまい、最低の男になってしまった・・・。ただ、せめてもの安心は四人が皆僕を嫌っていない事だ。それどころか芳美と智子は僕と結婚さえしたがるようになった。加奈叔母さんと友里恵も僕に従順だ。たとえ家族の者が警察に届けるように言っても本人たちは主人の僕を裏切らないだろう。犯罪者として少年院!
りだけは避けたいのだ。それに、母さんは智子と芳美を憎んでさえいるから、彼女たちの家庭が壊れるのを本当はあまり気にしていないと思う。勿論それらが所詮気休めに過ぎない事は自分でもわかっているが・・・。                       自分が女たちを凌辱したのに捕まらずにいるのは、かつて加奈さんを強姦しても逃げおおせている男と同じで、その犯人を今でも憎んでいる勝叔父さんが知ったらどう思うだろうか?絶対に許せないと僕を非難するのかな?しかし、叔父さんだって実の妹を調教して性人形にした色摩だから僕を責める資格なんかないはずだ。妹の強姦犯人を憎んだのは道徳的にというより嫉妬からだろうから、別に叔父さんがまともな人間だったわけではない。それに、母さんだ!
って妹をレズという理由で憎むのはおかしい!
『結局、皆自分の考えや欲望で生きているんだ。俺にもその血が流れているわけだ・・・』               不安にさいなまれたり自己弁護をしたりと繰り返していると、携帯電話が鳴ったので起き上がり、携帯を手にして椅子に掛けた。智子からで、やや緊張して出た。「もしもし」<もう私駄目です〉「どうした?」〈主人にばれてしまって・・・〉僕は黙っていた。<あなたの事は言ってないんですけど、浮気したって殴られたんです〉「そうか、やっぱり・・・」<あの人とは早く別れたいです〉「あまり急ぐのは良くないから慎重にして」<でも、このままじゃつらくて・・・〉旦那が怒りで興奮している時に事を強引に進めるのは危険なので智子に理性を持ってほしい。そして<会いたいです>と予想し!
ていた事を言われ、「しばらく会わない方がいい」とこちらに火の粉が降りかかるのを恐れて突き放した。<あなた、冷たいのね>智子は恨みっぽく言った。「・・・」<やっぱり自分勝手な人>「ごめん。実は僕も親にばれてしまって・・・」<・・・>どう纏めれば良いかわからず、「今度こっちから電話するよ。だから・・・」とはっきりしない内に電話が切れた。軽く溜め息を漏らして僕も切り、携帯を机の上に置いた。『頼りない男と思っとるんだろうな・・・。高校生だからしょうがないじゃねえか』智子の家庭の内情が少しわかった。他はどうなんだろう?と芳美や友里恵の事を思った。                 
             


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