ブライダル(5)
1つ小さく溜め息を吐き来家が軽く笑い 「まぁしょうがない」 そう一言言うと立ち上がり植嶋一恵の背後に立ち、両肩に手を乗せまるで肩をマッサージする様に掌で揉みほぐし始めた 「日頃のストレスだな肩がカチカチだぜ」 来家のマッサージに植嶋一恵は眉1つ動かす事なく只一点を見ていた、そして来家が素早く植嶋一恵のジャケットを捲り後ろの腰に備えていたホルスターからオートマチック拳銃を抜き取り植嶋一恵の下顎に突き付けた、その行動に新垣敬三は驚いた 「来家何をするんだ!」 新垣敬三の言葉を無視する様に来家は植嶋一恵を羽交い締めに自ら喫茶店の壁に背中を付け植嶋一恵を盾にする形を取った 「仲間が来てるだろ!とっとと中に入れたらどうだ!」 来家の言葉に植嶋一恵は息を呑んだ 「馬鹿な事言わないで!何故そんな事が判るの」 来家に羽交い締めされ息を粗くさせながら言った 「ようオッサン悪いけどよ、玄関の扉開けてくれないか」 来家の言葉に新垣敬三は半信半疑のまま玄関の扉を開けると3人の背広姿の男達が雪崩込んできた、そして全ての者達が拳銃を構えていた 「おまえ等の遣りそうや事だな」 来家は軽く笑った 「撃つな!おまえ達!銃を下ろせ!」 植嶋一恵の命令に3人の男達が躊躇った 「心配するな、この男は私を撃つ事は無い!だから早く下げなさい!」 植嶋一恵の再度の命令に3人の男達が銃を下ろした 「あんた随分と偉いんだな」 来家の言葉に植嶋一恵は表情を変えず 「ねえ大丈夫よ、私を解放する気は無いかしら?」 「悪いな俺は用心深い性格でな、おまえ等カートリッジを抜いて拳銃を後ろに捨てろ!カートリッジは床を滑らせろ!」 来家の言葉に男達は戸惑っていた 「この男の言う事を聞いて」 植嶋一恵の言葉に男達は躊躇いながら来家忠信の言う通りにし拳銃からカートリッジを抜き拳銃を後ろに投げカートリッジを来家忠信の方に滑らせた 「良い教育をしているな」 そう呟くと来家忠信は羽交い締めにしていた植嶋一恵を解放した 「流石ね、何故私の部下達が来てるっね判ったの?」 「そんな事より、俺達をどっかに連れてくんだろ?」 「お察しの通りよ」 植嶋一恵が玄関へと向かった 「付いて来て」 来家忠信と新垣敬三に言った、2人は植嶋一恵の後に続き喫茶店を出ると路上に高級国産車が止まっていた、植嶋一恵は後部座席の扉を開け2人に乗る様に手招きし2人は後部座席に身体を沈め植嶋一恵が後に続き乗り込みドアを締めると高級国産車は静かに発進した |
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