牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 12:16
中学に入った頃、女物の下着にやたら興味を持つようになった。
ちょうど射精の気持ち良さを覚え、猿みたいに1日何回もオナニーに耽った時期。なのに進学したのが私立男子校で、近所や親戚にも同年代の女の子がいない。 そんな環境のせいで、渦巻く性欲が方向性を誤った…のかどうかは知らない。
頭の中はエロが充満してるくせに、俺は家でも外でもマジメでおとなしい子。 下着泥とか大それた行為に走る度胸はない。一人っ子で女姉妹もいない。 結果、興味の対象は身近にいる唯一の女性…つまり母親の下着になった。
念のため言い訳しておくと、別に母親そのものにハァハァしてたわけじゃない。 母は当時35歳。理知的美人と言えなくもないし、年の割にスタイルは良い方だ。 ただやっぱり母親だし、基本マジメで堅いというか、ちょっと怖いキャラ。 「ギャップ萌え」という言葉も知らない中坊には、エロの対象になり得なかった。
堅い性格と関係あるのかないのか、母は下着の管理はしっかりしてた。 洗濯するときは几帳面にネットを使うし、外干しは決してしない。 仕舞うときは、寝室のウォークインクローゼット内にある衣装ケースを使う。
下着を物色するには母の寝室へ行く必要があるんだが、これが結構難題だった。 俺が家にいる時間帯は、専業主婦の母もたいてい家にいる。 父の不在時、母の家事中とかに忍び込もうにも、そうそうチャンスはない。
当時の俺は、反抗期なんて考えられないくらい従順な良い子だった。 母の性格からして、下着に悪戯してるとバレたらムチャクチャ怒りそうだ。 下手こいて現場を押さえられたら…と考えると、どうしても慎重になる。
数少ないチャンスが母の入浴中。母は長風呂で、入ると最低30分は出てこない。 その間に寝室へ入り、クローゼットから下着を持ち出したことは何度かあった。 オカズにした下着は、また母の目を盗んで忍び込み、元の場所に戻しておく。 もちろんちゃんと畳むし、ザーメンを付着させるなんてもってのほかだ。 今から思うと、どうしようもないくらいヘタレな変態野郎だった。
そんな中1の夏休み。その日は異常なほどオナニーしたくてたまらなかった。 部活の合宿とがあって、しばらくオナ禁が続いてたせいかもしれない。 食欲より睡眠欲より性欲優先。しかも、どうしても女物の下着が使いたかった。
うまい具合に父は出張で不在だ。ただ、想定外だったのは母が夕食後、リビングでビデオを観ながらワインを飲み始めたことだった。
母は滅多に飲まない人だが、たまに飲むと「怒り上戸(?)」になる。 怒鳴り散らしこそしないが、不機嫌になって怖いキャラに拍車が掛かるというか。 ただでさえ威圧されてる側の俺としては、こんな日にヘマするのは避けたい。 しかし、リスクを冒しても「オカズ付き」オナニーはしたい。どうしよう…
俺は先に風呂を済ませて子供部屋に引き揚げると、グラスを傾ける母にあまり近づかないよう注意しながら、寝室に忍び込むタイミングを待った。
ようやく母がリビングを離れたのは、もう真夜中前だったと思う。
かなり飲んだらしく、少しおぼつかない足取りで浴室へ向かう。 あんなに酔った姿を見たのは初めて。大丈夫かな、という気も少ししたが、 そんなことより俺には、自分のオナニーの方が大事だった。どうかしてるぜ。
母が浴室に入ったのを確認して寝室に忍び込み、そっとクローゼットを開ける。 衣装ケース内にある下着は白やベージュが中心。それほど過激なのはないが、脳細胞からエロ分泌液がバンバン溢れる中坊には、それでも十分興奮できる。
何枚かある黒いのや、横がヒモになってるパンティーを手に取ってみる。 硬くなったチンコを取り出して薄い布地に乗せると、ふわりと柔らかな感触。 そのままオナニーしたい衝動に駆られたが、さすがにここじゃマズい。
「戦利品」は部屋に持ち帰ってゆっくり楽しもう。今日は最低5発はできるぞ。 さてと、どれにするかな♪…と、持ち出す候補を何枚か手にした時だった。
ガチャッ!
えええっ!? 前触れもなくドアが開き、母が入って来た。
いや、廊下を歩く足音はしてたんだろうが、久々の下着あさりに熱中してた俺は、不覚にも全く気付かなかった。母が風呂に行って、まだ15分かそこら。 こんなに早く出るなんて想定外で、すっかり警戒を解いてた。
この時ほど自分の間抜けさを呪ったことはない。
俺はウォークインクローゼットの中。ドアを閉めようにも手遅れだ。 とっさに体を引き、掛けてある丈の長い衣装の間に身を隠した。
ここで母が下着を取りにクローゼットを覗き込んだらアウトだ。 いや、開いてるドアを閉めようと近づいただけでも、確実に見つかる。
『どうしよう。ヤバい、ヤバいよ…』
生きた心地がしなかったが、幸い母は鏡台の前で乳液か何か付けると、 クローゼットに視線を向けることなくベッドへ向かう。とりあえずホッとした。
とはいえ危険は全然去ってない。クローゼットの奥でガタガタ震えながら、 俺は必死で善後策を考えた。とりあえず今、動くわけにはいかない。 ただでさえ怖い母が、今日はかなり飲んでる。見つかったらタダじゃ済まない。
俺が選んだのは…というか他に選択肢はなかったが、じっと息を潜めることだった。
部屋全体の照明は消えてて、灯りはベッドサイドのスタンドだけだ。 クローゼットはベッドから見て右方向で、窓と反対側に備え付けてある。 いったん横になったら、敢えて横を向きでもしない限り視界に入らない…はず。 ということは、衣装の陰で動きさえしなければ、見つかることはない…はず。
それに母は飲んでるから、ベッドに入ったらすぐ眠りに就く…はず。 そしたらそっとクローゼットから出て、忍び足で子供部屋に戻ればいい。 何とも自分に都合の良い発想だが、その時は名案だと思った。
しかし、甘かった。なかなか寝てくれない。
母はリビングから持ってきたワイングラスをサイドボードに置くと、ベッドに仰向けに横たわり、枕を背もたれのようにして上体を少し起こす。 その姿勢で文庫本を読みながら、時折グラスに口を付ける。読書モードだ。
『早く寝てよ、お願いだから…』
クローゼットは1畳半くらい。風は通らないし、衣装に囲まれてかなり暑い。 額を流れ落ちる汗を拭うこともできず、祈るような思いでベッドを見つめる。 何分くらい経ったんだろう。視線の先で母が不思議な動きを始めた。
片手で文庫本を持ちながら、もう片手で胸のあたりをゆっくり撫でてる。 ん?と思って目をこらすと、胸の先端を指先でくすぐるように動かし始めた。
最初は胸がかゆいのかと思ったが、やがてオッパイ全体をゆっくりマッサージ。 白のネグリジェの薄い布越しに、乳首をつまんでるようにも見える。
『何? まさか…』
女性のオナニーを見たことはもちろんないが、何をしてるか察しくらいつく。 何せ俺自身、オナ禁前は普通に1日2~3回やってたわけだし。
息をのんで見守ってると、母はネグリジェの裾を引き上げ、 剥き出しになった白い太股をゆっくりと撫で始めた。俺から4~5メートル。 毛布も何もかけてないから、ベッドに横たわる全身が見える。
『うわあ…』
信じられない光景。いや、母も生身の人間だから性欲くらいあるんだろうが、日頃のお堅い姿に慣れてた俺には、母と性的な世界がどうしても結びつかない。 そのくせ下着を盗み出してて矛盾してるようだが、母本人と母の下着の間には明確な線が引かれてるというか。少なくとも自分ではそう思ってた。
しかし、そんな俺の戸惑いを無視し、ベッド上の母は片手でボタンを外し、 ネグリジェの前をはだける。よく見えないが、直にオッパイを揉んでるらしい。
『…すごい』
母が部屋に入って来た時、俺はチンコにパンティーを巻き付けてた。 慌てて短パンをズリ上げようとしたが、身を隠すのが優先で半ケツ状態だ。 ちょうど短パンのゴムの所にチンコ。片手にはパンティーを握り締めてる。 そんなかなり情けない格好のまま、俺は息を殺して見守るしかなかった。
「ああ…はぁ…」
母の口から、声とも息ともつかない音が漏れる。 ネグリジェの前ボタンは全部外れ、かなり大きめのオッパイがチラリと見えた。 そういえば、衣装ケースで見つけたブラジャーは「D」と「E」だったよな…
母は横になったまま腰を軽く浮かせると、パンティーをするりと脱いだ。 白くて柔らかそうな生地。就寝用かな?脚は白くてムッチリした肉付きだ。
両脚を開き気味にして、内股を手のひらで撫で回す母。 やがて指先が中心部にとたどり着いたらしい。上を向いて深く息を吐いた。
「うううぅ…ああ…ああぁ…」
必死で押し殺しているようだが、さっきより声が大きくなってる。 文庫本をサイドボードに置くと、片手でオッパイを揉みながら、もう片手は股間。 切なげな声の合間、ヌチャ…ヌチャという湿った音がかすかに聞こえた。
アゴをだらしなく突き出し上気した表情が、やたらとエロく見える。 ほんの数メートル先で繰り広げられる痴態に、俺の視線は釘付けだ。
半分ずれた短パンの前から手を突っ込み、ギンギンの勃起を握る。 早く部屋に戻ってオナニーしたい。でも、もっと見ていたい…。 矛盾する欲望が頭の中をぐるぐる駆け巡る。その瞬間、緊張が一瞬だけ緩んだ。
バサッ!
自分のチンコを握りながら、気持ち良くて無意識に背を反らしたんだろう。 体を隠してたコートか何かがフックから外れ、クローゼットの床に落ちた。
実際は小さな音だったと思う。でも俺の耳には、エコーで何倍もの大きさに響いた。 同時にベッドの上の母が体をビクッとさせ、ゆっくりとこっちを向く。
しまったああああああぁぁぁぁ~~~~~っっ!!!!
たとえでよく聞く「全身から血の気が引く」というのは、たぶんこんな状態だ。 ムッとする熱気の中、汗がすうっと引き、本当に全身がガタガタ震えだす。 時間よ止まってくれ、少しでいいから過去に戻ってくれ、と真剣に祈った。
しかし、覆水は盆に返ってくれない。
クローゼットの方を見る母の表情がみるみる険しくなったと思うと、 跳ね起きるようにベッドを降り、ズカズカとこちらへ歩いてきた。 この時ほどテレポーテーションが使えればと願ったことはない。だが手遅れだ。
母はクローゼットの前で仁王立ち。中で震える俺と目が合う。 鬼神のような顔になると、俺の腕をつかんで引きずり出した。
「何してんのっ!」
ドスの利いた声で怒鳴る母。何をしてるか質問しておきながら答えも聞かず、恐怖で顔を引きつらせる俺の頬に、もの凄い勢いで平手が飛んできた。
バチーーーーン!! 頬の痛みというより、頭全体に衝撃が走った。 一般人の平均値よりかなり美形の母だが、怒りに燃えた表情はほとんど般若。 いくら怖いキャラといっても、ここまで怖く感じたことはなかった。
そもそも普段の母は怒るとき、怒鳴りつけるより説教するタイプだ。 それに俺が幼い頃はともかく、有無を言わさず手を挙げるなんてあり得ない。 目つきも普段と違うし、まるで別人みたい。それだけ怒りが大きいのか…
「何してんのっ!」 「…ごめんなさい」
2度目の質問に、俺は蚊の鳴くような声で答えるのが精一杯だった。 謝罪の言葉が終わらないうち、2発目の平手が反対側の頬に飛んでくる。 バチーーーーーン!! 再び衝撃。言い訳も何も思いつかない。 恐ろしさと恥ずかしさで、このまま消えてしまいたいと真剣に思った。
「こんな所で覗いて、恥ずかしいと思わないの!?」 「ごめんなさい…」
よく考えたら、恥ずかしいのはむしろ母の方だが、勢いに押されたように、 頭の中で『俺って、なんて恥ずかしいことをしたんだ』という後悔が渦巻く。 もともと従順な俺は、ものすごい剣幕で怒る母を前に下を向くだけだった。
顔と一緒に視線を下げたのが運の尽き…だったのかどうかは知らない。
<続く>
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