牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 02:07
【俺は負け犬??】
30分ぐらい沈黙の時間が流れる。勇二郎さんの奥さんは台所と客間を行ったり来たりして落ち着かない。 俺は色々なことを考えていた。真帆が渡会に貫かれている姿や、一緒に旅行に行ったことなど。 結局、気がついた。勇二郎さんの車に乗り込んだこと、いや、会社に出社した時点で俺の負けだったのだ。 会社など行かず、商談をすっぽかして、ひっそりとこの町を出るべきだったのだ。 俺は負け犬なのだ・・・それしか選択肢はなかった。
「わかりました。勇二郎さん。真帆のことは今回は許します」 「ありがとう、ケン君、今なら君の望むことが何でもかなうぞ。重役の座でも高級車でも豪邸でも。そうそう、前に俺と飲んだとき ツーリングに行くときに使えるような ベンツのミニバン欲しいって言ってたな。兄貴に言って用意させようか??」 「そんなもの要りません。」 「???」 「幸せな私たちのことをぶちこわした奴が許せない。真帆が二度とこのような気を起こさぬよう、それ相応の後始末をしたいのです。」
負け犬の遠吠えだった。
「後始末??」
「自分は家庭持ちのくせに、婚約していることを知っていて真帆を誘った奴にきっちりと落とし前を付けたいのです。軽はずみに男の誘いに乗ると、相手がこうなるということを真帆に知らしめてやりたい。あなた方の対応が手ぬるければ、寝取られた男として私が刺しに行きます」と、カバンから軍隊用のナイフを取り出して見せた。
もともとは、話の進み具合で、真帆の目の前で振り回す覚悟で朝、衝動的にカバンに入れたものだ。
「ケン君、君がそんなことをしてはいけない。それ仕舞って。俺たちが何とかするから」 勇二郎さん夫妻は、真帆親子の待つ客間へ行き、俺はリビングで待たされた。 真帆と、真帆の母が号泣する声が聞こえる。 真一郎氏がリビングに入ってきた。
「ケン、ありがとう。ふしだらな娘だが、君への思いは一途だ。よろしく頼む」 「はい、社長」 「お義父さんと呼んでくれ」 「それは、式が終わるまでお預けですよ」 「わはははははは」
と、真帆が入ってきた。フローリングの上でまた土下座する。
「本当にめんなさい、、ううっ」 「真帆??」 「こめんなさい、気持ち悪い。苦しい。助けて……ケン」 「ケンちゃん、行ってあげて。」
何で俺なんだ??。ふうっ。 俺は真帆を抱えるとトイレへ。真帆は便器を抱え込み、もはや胃液と呼べるような水のような内容物を吐いている。 真帆の母が用意してくれた濡れタオルで真帆の口を拭くと、そのまま真帆の部屋へ連れて行く。ベッドに寝かせ、部屋を去ろうとすると
「ケン………本当にごめんなさい」 「真帆、もう休みなよ。俺、帰るから。今度ゆっくり話そうよ」 「ケン待って、帰らないで!!そばにいて!!……お詫びに、私、一つ約束する」 「ん??」 「あなたが浮気しても、私、怒らないから(※)」 「真帆!!!」 「私のこと、許してくれる??」 「ああ、もういいよ。真帆の気持ちはよく分かった。でも、奴は絶対に許さない」 「渡会・・・くんのこと??」 「『くん』なんて付けるな!!。そうだ。奴がどんな目に遭うかをお前の目で見届けること。それが君へのペナルティだ」 「はい」
(※)後日、素面の時に再び同じ事は言われたが、「家庭や会社を壊さない、相手の嫌がることは絶対にしない」という条件がついていた。
しばらくすると、真帆は安心したように寝入ってしまった。 部屋を出ると、真一郎さんと勇二郎さんは客間で酒盛りを始めていたが、それに加わる気にはならず、勇二郎さんの奥さんに会社の駐車場まで送っていってもらう。
「あんた、えらいわ」車中で言われた。 「何がですか??」 「あれだけひどい目に遭っているのに、真帆ちゃんのこと気遣ってタクシーで送り届けたり、部下のこと気遣って会社に出ていくんだもの。娘が悪い事した、と裸足のまま床屋に飛んでいった義兄さんとは大違いね」
………「違う、俺はヘタレの負け犬なんだ。」 そうつぶやいたが、機嫌良く喋っている奥さんの耳には入らなかったようだ。
【課長昇格】
翌日、社長室に呼ばれた俺は、課長昇格を告げられた。 もう逃げられないこと改めて思い知らされた。 今までの製品部製造課を、製造課と技術課に分割し、初代の技術課長になるという寝耳に水の話。 入社以来指導を賜り、お世話になった製造課長に報告に行くと、わがことのように喜んでくれた。(製造課長は課の分割話は知っていたらしい。新課長の名前までは分からなかったそうだが)
醒めた俺とは違い、部下たちは大騒ぎしていた。殊に技術係の部下たちは、独立した課になると言うので大喜び。それを見てちょっとだけ和む。
女子社員たちの見る目も変わった。もともと、福利厚生がしっかりしている我が社。シングルマザーやバツイチの女性スタッフも多いのだが、中には明らかに誘惑してくる者も出てきた。
あるシングルマザーと資料室で一緒になったとき、「私のおっぱい、形が変じゃないですか」と制服をまくられて胸を見せられたときは仰天した。 でも、結婚式までは身を慎まないと・・・ (ちなみに、真帆は1週間欠勤するそうだ。吐き気が続いていることもあるが、自宅謹慎の意味もあるらしく、外出禁止にしたとのこと。まあ、俺もそんなに真帆とベタベタする気にはならないから丁度良かった)
【奴への制裁】
一方、渡会の勤務先A社は、我が社の取引先で、A社社長は社長の後輩。 事情を話すと、腰をぬかさんばかりに驚いたという。 仕事はそこそこ出来るが、女癖が悪いと評判の渡会は東京支社に転勤となった。 さらに、静岡支社を立ち上げ、軌道に乗せるまでは10年近く帰って来られないという内容。 一見すると栄転だが、奴の所は赤ちゃんが生まれ、マイホームも建てたばかり。そこにポイントを合わせた制裁であった。 さらに、真帆は(真一郎氏の命令で)渡会を強姦と強制猥褻で告訴した。 社長と同級生である刑事の差し金で、警察官の制服を着た刑事が乗ったパトカーが白昼の住宅街、渡会の自宅に横付けされた。奴は重要参考人として連行、取り調べを受けたのだ。
「同意だ」という渡会に対し、真帆が事件の翌日に産婦人科で局部洗浄等をした領収書と明細書を提出して黙らせる。(和姦なら産婦人科で局部洗浄するはずがない)
証拠不十分で起訴されることはなかったが、奴が警察に連行されたという事実だけで充分。 A社を辞めて地元企業に転職しようしても、まともな所はどこも採用してくれないだろう。 結局、渡会は東京に行くハメになった。しばらくは単身赴任という形を取ったが、生まれたばかりの乳飲み子を抱えた奥さん、近所の冷たい視線に晒されての母子生活なんて続くはずはない。
家を売って慣れない東京の狭い賃貸住宅で暮らすか、離婚するか、いずれは決断することは間違いない。 慰謝料だが、弁護士立ち会いの元、念書を書かせた上で、俺から申し出てかなり減額した。奴のためではない。奥さんと乳飲み子のためだ。 <続く>
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