牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
-
ホームページ
戻る
15-06-14 02:12
僕には、小学2年の頃からの幼馴染みがいる。僕は今でも、涼子が引っしてきた日のことを鮮明に覚えている。
昼にトラックが僕の家の前に止まり、沢山の人が荷物を持って行き交う中、自分の体くらいある大きなぬいぐるみを抱きかかえた涼子が、ニコニコした顔で立っていた。 2年生の時のことなので、細かいことは記憶も薄らいでしまっているが、一目で心を奪われたことだけは一生忘れないと思う。
その日から、僕の楽しい時間が始まった。 母親同士も、たまたまテニスという共通の趣味があり、歳も同じだったことも相まって、家族ぐるみの付き合いが始まった。
夏は一緒にキャンプにいき、バーベキューをしたりした。とにかくいつも一緒にいた。 夏祭り、花火、プール、縁日、動物園、遊園地、書き上げたらキリがない。
少し引っ込み思案で、いつもママの影に隠れているような涼子だったけど、僕には遠慮がなく、たまにはケンカもした。でも、そんな二人を母親達は、夫婦げんかしているとか言ってからかったりした。
自転車に2人乗りで、どこまでも続く坂道を必死で漕いでいたのが、つい昨日のことのように思える。 僕は、出会ったその日から涼子のことが好きだった。涼子も、僕のことを好きでいてくれているはずだと思っている。 でも、僕は好きと言う気持ちを伝えることが出来ずに、気がつくともう高校2年だった。
|
Copyright © ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)All rights reserved.
コメント