牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 02:44
部活で人気を得るためには上手くなければいけない。 僕は必死に練習してコンクールのメンバーに選出された。 メンバーは音楽室で合奏練習の参加が許され、先輩たちにも認知される。
数日で合奏にもなれて、きょろきょろと先輩たちの観察を始めた。 いつもぼんやりと運動場をみつめるパーカッションの先輩が目に止まった。 西日が先輩を照らし、少し脱色した髪の毛をオレンジに染め、 ほおの産毛がベールのように光を反射した。 きれいだな…僕はぼんやりとみとれてしまった。
「大沢さんまた外見てる」 となりで吹いている先輩が僕の視線に気づいた。
「あの子はかわってるから、ケン君かかわっちゃだめだよ」 「僕は…別に…」 しどろもどろになりながら、合奏に集中した。
楽器を片付ける時、さりげなく大沢先輩とタイミングをあわせた。 先輩は制服のリボンも名札もはずし、スカート丈を伸ばし、 少し不良な格好をしていた。
「ケン君だっけ、よろしくね」 突然の会話に僕は舞い上がった。
「あの、その、おつかれさまです」 チャンスを逃したくないので、一緒に帰ることに決めた。
帰り道はたった15分だ。先輩と僕は小学校が違うため、途中から方向が違うのだ。 僕は勇気を出して、いつもどこを見ているのかたずねてみた。
「少しむこうに給水塔があるでしょ?」
運動場から見えるキノコ雲を思わせるタワーだ。周囲が公園になっている。
「昔、あの公園で家族で花火したんだ~。昔ね…」 「花火、好きなんですか?」 「お父さんが火をつけて、大きいのをドンドンって」
先輩はうっすらとほおにえくぼを作った。 また笑顔にみとれて沈黙が続いた。
「こら!」
先輩の声で我に返る。
「会話が止まると嫌われちゃうよ。まあいいけどね」
いつの間にか別れ道で、くすっと笑って先輩は信号を一人で走って渡っていってしまった。
僕は寝ても覚めても先輩のことを考えた。 先輩をネタにはできなかった。何故か罪悪感が膨らむからだ。 必死に一緒に帰る努力をした。
好みのタイプは国広富之、中ランが好き、お昼はパン、マミーが好き…という他愛のない話から、僕のオナニー回数、他の先輩のHな噂といった下ネタも話した。
「家帰るの嫌になっちゃうんだよね」
先輩はさみしそうにつぶやいた。
「それって…」 「違うよ、家が嫌なの。純粋に」 僕の淡い期待を先輩は笑顔で打ち消した。
「家が嫌いなんすか?」 「子供にはわからないよ」
先輩はうつむいて信号を渡っていった。いつも不思議な影を背負う後ろ姿だった。
夏休みに入って、部活の練習はますます厳しくなった。 そして恒例の合宿が始まった。 男子は教室、女子は柔道場で寝泊まりする。 厳しい禁オナニー合宿でもある。夢精が恐怖だった。
夜になり一息ついた時、部長が男子部屋に飛び込んできた。 「大沢さん知らない?」 夕食から行方不明なのだ。深夜徘徊で補導…部員はそれを恐れていた。
「みつけないと。先生にも言おう」 先輩達は、ヤンキーだから、変わり者だから、と大沢先輩の陰口をはじめた。
「僕、外見てきます」 僕は先輩がどこにいるかわかっていた。給水塔だ。 僕は走った。なんだか嬉しかった。
公園のベンチにジャージ姿の大沢先輩が座っていた。
「あは、ばれたね」 屈託のない笑顔だった。足元に線香花火が落ちていた。
「すぐわかりました」 「だよね~、ケンがわかるだろうって出てきたし」 「花火、したかったんですか?それならみんなで…」 「特別なんだよ。ここはお父さんがかっこよかった場所」 僕の言葉をふさぐように先輩は話し出した。
「お父さん、死んじゃってね…うちに新しいのが来てるの」
突然のシリアスな話に僕は狼狽した。 どんな顔で聞けばいいのか、聞いたらなんてコメントするのか、 僕は子供過ぎて、まだうまくやれる自信がなかった。
「お母さん、勝手なんだよね。舞い上がっちゃって」
先輩は頭を僕の肩に預けてきた。Vネックの体操服の胸元に視線がいく。 ブラの透き間に褐色の乳輪がのぞく。 もそもそと音を立てて僕は勃起してしまった。
「もう!」
先輩はそれを見て笑った。怒られずにすんでほっとした。
「新型もさあ、わたし見て勃ってんだよ」
先輩は新しい父親をZガンダムのように呼んだ。
「お風呂のぞいたり、引き出し漁られたり…」
僕は憤った。チンコも憤っている。先輩は深くため息をついた。
「ケンも新型も一緒か…」
意地悪く先輩は笑う。 僕は真っ赤な顔で勃起したままプレゼンテーションを始めた。
「わかった、わかった」
先輩は機関銃のように自己弁護する僕の口を手でふさいだ。 そしてほおにキスしてくれた。
「先週、新型のを握らされたんだ…」 そういって先輩は僕のチンコをなでた。
「ケンもさわって欲しい?」 素直にうなずいた。先輩は僕のジャージを脱がしてくれた。
「色がちがうね…」 じっくりと先輩に観察された。雑なさわり方が少し痛かった。
「精子みせてよ」 そう言うと先輩は乱暴にしごきだした。秒殺で僕は射精した。 先輩は手についた精子を振り払っていた。
「へんな匂いするね、イカとは違うけどな」
足で地面に飛び散った精子に砂をかけた。 「ケン、わたしとセックスしたい?」 「したい…です」 「わたしだからしたい?わたしだけ?」 「僕、大沢先輩が好きです」 「一生、わたしだけ好きでいられる?」
僕はうなずいて嘘をついた。クラスにも好きな子がいる。
「コンクール終わったら…しよ?」
僕は先輩を抱き締めてキスをした。 学校への帰り道、先輩はおニャン子クラブの歌を歌った。
「セーラー服で処女を捨てるんだ~。脱がしていいよ」 もう一度キスをした。
学校で大目玉を食らい、僕達は合宿生活に戻った。 コンクールは惜しくも代表に選ばれず、 地区大会で夏は終わった。 先輩と僕は約束を果たせなかった。
新しい父親のイタズラはエスカレートして、 先輩の素行はますます悪くなっていった。 受験という理由で二人の関係はフェードアウトした。 受験という詭弁でクラスの女の子に僕は夢中になった。 お別れも言えないまま先輩は卒業した。
中三になった時、先輩の訃報が部に届いた。 お別れも言えないまま…
エロくないです(⊃д`) 文中に出てくるクラスの子がエロいんです。 リクあらば・・・です。
悲しい思い出なので書きたかったんです。 萎えでスマソ
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