牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
妻が他の男に迫られたらどうするだろう?断固拒否するのだろうか。それとも、組み敷かれて身を委ねるのだろうか。おぞましき想像だが、それが気になって仕方がない。妻と性交渉を持ったのは結婚後だが、彼女は処女だった。断言できるが、妻は浮気など一切していない。つまり彼女にとって、最初で最後の男がボクなのだ。――今のところは。今日、ボクは以前から練っていた計画を実行しようと思う。妻が拒否するのならばそれでよし。もし、男を受け入れるのならば……今回に限り、最後まで見届けようと決心している。自分で仕組んでおいてなんだが、妻が他の男と交わるだなんて身を切られる思いだ。そう、最初に断っておくが、天地天命に誓ってボクは妻を愛している。妻は美しい女だ。彼女とは見合い結婚だが、この縁談を持ってきた叔母には今でも感謝している。大きな瞳に整った鼻梁。気品のある雰囲気。ほっそりした身体に似合わず、バストは大きい。最近、さすがに腰まわりがふっくらとしてきたが、逆にそれが、成熟した女の色気を漂わせていた。 目の前に浴衣姿の妻がいる。そのヒップラインを眺めながら、妄想が頭を横切った。ああ、今夜もしかしたら……。妻の胸元がはだけ、露出する乳房。ゆっくりと開かれる両足。その中心部にあてがわれる、男の肉棒――。「どうかしました?真さん」不意に声をかけられて、真は我に返った。「あ、いや、なんでもないよ。ちょっと、優良さんに見惚れてただけ」「まあ……そんな事言って。知りません」優良は頬を染めながら、浴衣の襟元を正した。その仕草がたまらない。結婚して数年経つが、未だに優良は初々しさを失っていなかった。「……でも、たまにはこうやって、二人で温泉旅行もいいですね」「うん、そうだね。予約が取れてよかったよ」二人は今、とある温泉地の旅館の一室にいた。食事も終わった浴衣姿の二人は、テーブルを挟み、のんびりとビールを傾けている。新品と思われる畳の匂いが心地いい。風呂上りの優良は、ほろ酔い加減も相まって、浴衣から覗く肌を火照らせている。同僚や知人も羨む優良の美しさに、真は心底満足していた。「ねえ真さん。そろそろいらっしゃるんじゃないですか?」浴衣の裾を寄せ上げながら優良がつぶやく。「あ、本当だ。そろそろ支度しようか」真は壁にかかった時計に目をやりながら、敷布団を部屋の中央に敷いた。もうすぐ優良のために呼んだマッサージ師が来るのだ。この話を持ちかけた時、優良は恥ずかしがって拒んだ。しかし、『コリや疲れがとれるよ』『目の不自由な人だから恥ずかしくないよ』という真の言葉にようやく頷いたのだ。だが、これこそが仕組んだ計画だった。地元のマッサージ師と偽っていたが、実は、東京からわざわざ呼び寄せた男なのだ。出張性感マッサージ。ネットで検索すれば、いくつものサイトがヒットする。その中で、一番まともそうな所を真は選んだ。まかり間違っても他人に知られるわけにはいかないのである。雇ったマッサージ師とは、打ち合わせをかねて一度会っていた。男の名は沢木と言った。歳は35才。細面の割に身体は引き締まっていて、なかなかの男前であった。「ええ、承知しました。では、そのように致します」真が用件を伝えると、沢木は事も無げに承諾した。聞けば、真のような要望を持った客は多いのだという。不安を感じていた真は、その言葉を聞いて少なからず安心した。――こうして、計画の準備は整ったのである。「わたくし、沢木と申します。この度はご利用いただきありがとうございます」沢木は部屋に入ると深々と頭を下げた。その顔には丸型のサングラスがかけられている。目が不自由と言う真の方便に話をあわせたのだ。「こちらこそお世話になります」優良は膝をつきながら深々と頭を下げた。浴衣の胸元が左右に肌蹴け、谷間の影が濃くなる。「それでは施術をはじめましょう。うつ伏せなられてください」優良は緊張した面持ちで小さく頷いた。敷布団にはパリッとした真新しい白いシーツがかけられている。その上に優良はうつ伏せになると、腕を枕代わりにして目を閉じた。浴衣が優良の肢体に張り付き、ボディラインを浮かび上がらせている。セミロングの髪は綺麗に束ねられ、細いうなじが襟から覗いていた。(止めるなら今だぞ……)真は優良の背中を凝視した。「失礼します」体重をかけないように気を使いながら、沢木は優良の背中に跨った。「それでは始めます。痛かったら遠慮なくおっしゃってください」沢木がマッサージを開始する。「んっ!……」親指が肢体に食い込むと、優良は驚いて声を漏らした。だがそれも最初だけであって、心地よい痺れが身体に浸透してくる。「どうですか?痛いですか?」「……いえ、大丈夫です」優良は気持ち良さそうに目を閉じた。それからしばらくの間、部屋は無言だった。時折漏れる優良の声と、浴衣の衣擦れの音だけが響く。真は優良と沢木を交互に見やった。優良は真がいるのを忘れたかのように、自分の世界に浸っていた。沢木は額に汗を浮かべながら、指圧作業に没頭している。二の腕の筋肉が力を込める毎に隆起した。思いのほか、沢木は筋肉質の身体を有している。指圧マッサージも得意と言っていたが、なるほど、なかなか様になっている。親指が優良の背骨にそって、徐々に下がっていった。(い、いよいよお尻にいくのか?)真は固唾を呑んで見守っていたが、沢木はウエストの辺りをやり終えると、すぐさま優良の足首を持った。「くすぐったいかもしれませんよ」最初にそう断ると、沢木は優良の足の裏を指圧し始めた。「うんっ、んっ、んっ、くぅ……」優良は歯を食いしばりながら眉をしかめる。だがそれは、苦痛から来るものではない。「旦那さま、お暇ですか?」不意に沢木が口を開いた。真は一瞬驚いたものの、すぐに計画を思い出した。「えー、そ、そうですね。うん、暇です」「それでしたら、この旅館は垢すりマッサージがありますよ。この時間ならやっています」「へ、へえ、垢すりかあ……行ってみようかな」その言葉を聞いて、優良は驚きの眼差しを真に向けた。「ま、真さん、行っちゃうんですか?」「え?あ、どうしようかな……」真はしどろもどろになってしまった。考えてみれば、マッサージ師とはいえ、自分の妻を男と二人きりにする事自体が不自然なのだ。その時、沢木が毅然と言い放った。「奥さま、心外でございます」真と優良はキョトンと沢木に視線を向けた。「わたしは仮にもプロです。やましい事など決してございません」「す、すみません!お気を悪くされないでください」「いえ、差し出がましい事を申し上げてすみません」沢木は正座をして頭を畳に擦り付けた。「お疑いなのはごもっともですが、ご安心ください。わたしは盲いでございます。 何事もできません」「まあそんな!疑うだなんて」優良は布団から跳ね起きると、沢木の手を取った。「本当にごめんなさい。そんなつもりではなかったんです。マッサージ、続けていただけますか?」「――もちろんでございます」沢木は表情を変える事無く頷いた。 数分後、真は部屋を後にしていた。垢すりなど当然ウソである。真は廊下に出ると隣の部屋に入り込んだ。この部屋こそ、真が沢木の為に用意したモノだった。真は部屋を素通りすると、そのままベランダに出た。そして間仕切りを乗り越え、自分の部屋のベランダに移る。この一連の動きに迷いはみられない。そう、真はここから部屋の中を覗こうというのだ。息を殺して窓に近づく。その窓は5センチほど開けられており、カーテンを押しのけると部屋の内部が丸見えになった。(……計画通りだ)真は食い入るように中の様子を伺った。「――やはり、この辺りのコリがひどいですね」沢木は先ほどのように優良に跨り、腰の辺りを重点的に指圧していた。「んっ、台所での立ち作業が多いので、どうしても、んんっ、腰が……」優良は息を荒くしながら答えていた。「それはお可哀そうに……。コリの主な原因は無理な姿勢から来る血行不良によるものなんですよ。 それではこちらを使いましょう」沢木はバッグから一本のボトルを取り出した。その際も、目が見えないふりは忘れない。「……それは?」「欧州で広く使われている香油です。日本では真正ラベンダーと呼ばれています。効用は様々です。 新しい細胞の成長を促し、肌の状態を改善。筋肉痛や頭痛を和らげて、冷え性すら治します」「まあ、すごいんですね」「他にも色々と効き目があるんですが……それは奥さま自身でお確かめになられればよろしいでしょう。 それでは、浴衣を脱いでいただけますか?」「え?ぬ、脱ぐんですか?」戸惑いを隠せない優良であったが、沢木は笑みを浮かべた。「浴衣ごしには塗れませんよ。それにわたしはコレです」沢木は丸サングラスをコンコンと指で叩いた。優良はハッとした表情を浮かべる。「いえいえ、気にはしておりません。それよりお早めに。お時間がもったいないですよ」その言葉に促された優良は、立ち上がると帯をシュルシュルと解き始めた。浴衣の構造は非常にシンプルだ。極端な話、帯を取ってしまえば一枚の布キレに過ぎない。「あ、あの、脱ぎました……」優良は部屋の中央で下着姿になっていた。(うっ!よりによってあの下着を!!)真は思わず身を乗り出した。豊満な乳房を覆うのは、薄手のレースで彩られたハーフカップブラだった。胸元がザックリとえぐれ、油断すればトップが弾け出るほど布面積が少ない。そして下半身を覆うショーツが更に過激であった。タンガと呼ばれるそれは、布地と言うよりも”紐”で構成されており、デルタ部分は辛うじて隠されているものの、尻は丸出しの状態だった。これは以前、真がネットで購入したモノだったが、優良は恥ずかしがって身に着けてくれなかった。それがなぜ今になって――。疑問はすぐに氷解した。考えてみれば、風呂上り直後からやたら浴衣の裾を気にしていた。思うに、恥ずかしさ半分、バレない為半分だったのだろう。そう、この下着姿は、優良が真の為に仕組んだサプライズ演出だったのだ。(それを……ボクはここで何をやってるんだ……)真はギリギリと歯を食いしばった。「それでは、先ほどのようにうつ伏せになってください」半裸状態の優良は、恥ずかしそうにうつ伏せになった。豊満なバストが押しつぶされて横にはみ出る。Tバック状のヒモは股間に食い込み、美しく隆起する双臀がフルフルと揺れた。もちろん、相手の目が不自由だからこそ出来たことだ。そうでなければ絶対にこんな真似はできない。だが、沢木の目は――。その表情はサングラスの下に隠されてうかがい知れない。「それではいきますよ」沢木がボトルを傾けると、香油が優良の腰に垂らされた。「ん……」その感触に優良はピクンと身を弾ませる。「驚かれましたか?すみません」沢木はゆっくりと香油を広げていった。途端にラベンダーの淡い香りがあたりに漂う。「いい香りですね……」「気に入っていただけたようでうれしいです」微妙な力加減で、沢木は香油を優良の肌に擦り込んでいった。「はっ、ふぅ……ううん……」優良は反応せずにはいられない。その証拠に、漏らす声には甘いものが含まれていた。(優良さん……感じてる……)真は胸をざわつかせながら、その光景を凝視していた。目の前で自分の妻が、オイルまみれになりながら声を漏らしている。背中で指が踊るたびに、優良はピクピクと小刻みに身を震わせていた。「なるほど、バランスが少々崩れていますね」沢木がそうつぶやくと、優良が不安げな表情を浮かべた。「バランス?」「はい。奥さまは素晴らしい骨格をお持ちなのですが、日頃のお疲れからでしょうか、 少しずれているようなのです」「そ、それは何とかなるものなんですか?」「ご安心ください。わたくし、整体術も取得しております。ただ……」「なんでしょう?お金なら……」「いえ、料金は正規のモノで結構です。問題は、中途半端に行うとかえってよろしくないのです。 最後までたくしの指示に従っていただけますか?」「なんだそんな事ですか。ええ、もちろん言われる通りにしますよ」優良は安心して笑みを浮かべた。「承知しました。わたしも本腰を入れる事に致しましょう」沢木はおもむろにTシャツを脱いだ。(うわ、すごい体つきだな……)真は感嘆の声を心で漏らした。沢木の上半身は見事にビルドアップされ、無駄な脂肪など一つも見当たらない。浮かび上がる胸筋と割れた腹筋は、まるでブルース・リーの様だった。「重労働ですから、服を脱ぐ事をお許しください」沢木がペコリと頭を下げる。「……あ、いえ、大丈夫です」優良は慌てて返事をすると、再びうつ伏せになった。真は見逃さない。間違いなく、優良は沢木の精悍な肉体に目を奪われていた。黒い嫉妬の炎が胸中で揺らめく。しかし一方で、真の肉棒は硬度を増していくのだった。「では、いきます」先程までのマッサージとは違い、沢木は力を込めて優良に挑んだ。「んっ、んっ」グイグイと腰を揉まれる度に、優良は息を漏らす。沢木の両手が徐々に左右に開いていき、わき腹の肉を絞り上げた。白い柔肌が指の力加減でうごめく。「ん、くぅっ」優良はプルプルと身を震わせながら、両目をきつく閉じた。「ふう……」沢木は一息つくと、優良のわき腹を開放した。優良も緊張が解けたのか、ぐったりと敷布団に身を預ける。「これは邪魔になるからはずしますね」言うや否や、沢木はブラジャーのバックフックをはずした。「あっ!ちょ、ちょっと……」優良の戸惑いを余所に、パラリとブラジャーが垂れ下がる。「先程申し上げましたよ。中途半端はいけないと」そう言われれば是非もなく、優良は不安を余所に口を閉じた。沢木が再び体重をかけてマッサージを始めると、グイッグイッと沢木の親指が的確にツボに食い込む。それが数分も続くと、あまりの心地よさに、優良の四肢は次第に正体をなくしていった。「ちょっとだけ、上半身をあげていただけますか?」「……は、はい」不意の指示に、考える間もなく従う優良。次の瞬間、するりと沢木の両手が優良の体の下に差し込まれた。それはつまり、優良の生乳が沢木の手中に納まった事を示す。「ひうっ!だ、だめ、くっ!」優良はその手から逃れようと身をよじったが、沢木は一向に動じない。「さあ、力を抜いて……」母乳を搾り取るように乳房が揉まれた。沢木の指が乳首を探り当てる。「ひっ」桜色の蕾がコリコリとつままれて、優良が小さく悲鳴を上げた。にゅるり。にゅるり。乳房の柔肌が揉みほぐされ、乳首がムクムクと尖りはじめる。やがて、優良の抵抗が弱くなりはじめた。沢木の汗が額からアゴへと伝い、ポタリと優良の背中に垂れる。「はあ、ふっ、はぁはぁはぁ……」傍目から見てもそれは、沢木の愛撫にしか見えない。「……仰向けになってください」優良の耳元で囁く沢木の声。返事をする間もなく、仰向けにされる優良。ぶるん。剥きだしにされた優良の乳房が大きく跳ねた。ピンク色の乳首が天井を向いて尖がっている。優良は咄嗟に胸を隠したが、「奥さま」という沢木の一言で、おずおずと腕をどけた。「さあ、次のステップです」沢木は優良に跨ると、乳房めがけて香油をダラダラと垂らした。そして両手で揉み始めながら乳房全体に広げる。にゅっぷ、にゅっぷ、にゅっぷ……。乳房が程よく蕩け始め、油特有のテラテラとした光沢に包まれた。「ん、んんっ、ひう、あん……」内股を擦り合わせ、弱々しく首を振る優良。沢木の手の動きは繊細さと大胆さを兼ね合わせていた。次第に優良の意識が遠のいていく。そして沢木は執拗だった。何度も何度も優良の美乳をこねくり回す。その際にバストトップへの配慮も忘れない。強弱をつけた乳首のつまみ方に、優良は身を震わせた。「さて……」沢木が優良の乳房を不意に開放した。激しい息づかいのため、優良の乳房が大きく波打つ。沢木の指が優良のヘソの周囲に移動し、指圧が再開された。「うむ……これは……」しばらくして沢木が首を傾げた。「いま、気海(きかい)、関元(かんげん)、大巨(たいこ)というツボを指圧しているのですが、 少々張りがあるようです」「なにか、いけないのですか?」「……生理不順でお困りではないですか?」そう言われれば、思い当たらなくもない。優良は恥ずかしそうに「そうかもしれません……」と答えた。「やはりそうですか」沢木は難しそうな表情を浮かべた。「排卵のタイミングは下垂体前葉から分泌されるホルモンで決まりますが、 これがうまく機能していないようなのです。このままだと……」「……このままだと?」「申し上げにくいのですが、お子様が出来づらい体になられます」 優良ははっとした表情を浮かべた。「な、なんとかなりませんか!?」その伏しはある。なにせ数年間も真の精を受けながら、未だ身篭らないのだ。これは優良にとって深刻な悩みであった。不妊治療を受けようかと真剣に悩んでいたくらいだ。「有効な手段はあります。プライベートパーツ・マッサージ法です。しかしこれは……」「ぜ、ぜひお願いします!わたし、何でも耐えれます!」半裸状態でほぼ全身をまさぐられたのだ。何もためらう事はない。「プライベートパーツ……つまり、奥様の性器を直にマッサージするのですが、 それでもよろしいのですか?」「え?」優良は一瞬固まった。自分の一番恥ずかしい部分をマッサージされるのだ。抵抗を感じるのも無理はない。「……無理は申し上げません。今日はこの辺で終わりにいたしましょう」沢木は身支度を整え始めた。「ま、待ってください!」優良が沢木の背中に声をかける。その目には確固とした決意が伺えた。「お、お願い致します」目を堅くつぶり、優良は身を横たえた。「……承知しました。では、続行いたしましょう」沢木は振り返ると優良の下着に手をかけた。優良はピクリと身を震わすも、抵抗はしない。するり。ほぼ紐で構成されたセクシーな下着が剥ぎ取られると、優良はついに全裸姿になった。両股はきつく閉じられているものの、薄めのヘアーが艶かしく股間に茂っている。(ああ、優良さん!)来るべき時が来て、真は腰を浮かした。だがここで止める訳にも行かない。真にできることは、自分の妻が他の男に弄ばれるのをただ傍観するのみだ。「楽にしてください」沢木はそう言いながら、優良の足全体に香油を滴らせた。「んっ、んん……」沢木の指が優良の美脚を巧みに這う。そして数分後、優良の両足は指先まで油の光沢で覆い尽くされていた。部屋の照明でヌラヌラと輝かる美脚は、あまりに淫靡だった。「それでは膝を立ててください」沢木の手に誘導されて、優良は膝をくの字に立てた。だが、優良の両股はいまだぴったりと閉じられている。これが開かれれば性器が露出してしまうのだ。無意識に抵抗してしまうのは無理もなかった。「少し力を抜いてください」優良は反射的に足を少し開いた。瞬間、つるりと沢木の両手が滑り込み、ググッと力が込められた。「ん、くう……」徐々に優良の膝が割られていく。「さあ、もう少し開いてください……そう、そうです」途中で抗う事を諦めた優良は、ついに両足をMの字に開脚した。敏感な部位が外気に触れる。やはり、その部分は湿っていた。「リラックスしてください」沢木の右手が優良の恥丘に乗せられた。そのままゆっくり前後すると、手のひらの中で陰毛がざりざりと音を立てる。「ん、んん……」優良は鼻を鳴らしながら堅く目をつぶった。程よく充血した淫唇がキレイなピンク色に染まっている。沢木の指がその部分に這わされた。「うっ、んっ!」指がクリトリスを捕らえると、コリコリとこね始める。「小陰唇と陰核に肥大化傾向が見られます。バルトリン腺液の分泌も良好です」沢木が事務的につぶやく。「んっんっ、そ、それは、具体的にどのような事なんですか?んんっ」「クリトリスが勃起して、アソコがびちょびちょに濡れていると言う事です。 つまり、奥様は性的な興奮状態にあります」「そ、そんな!……は、恥ずかしい」両手で顔を覆う優良。「恥ずかしがる事はございません。自然な事です」 沢木は指を動かしながら続けた。「やあ、これは素晴らしい弾力と蕩け具合だ。 10代の女の子の性器と比べてもなんの遜色もございません」指の腹でクリトリスを押しつぶし、素早く上下する。ちゅくちゅくと湿った音が部屋に響き、優良は腰を浮かせた。「あうんっ!うっ、んんぅ、こんな、こんな事……」「これでよろしいのです。性的な快楽を得る事によって下垂体が刺激され、 ホルモン分泌が正常化されます。さあ、ご自分を解放されてください」二本の指が優良の陰唇を左右に押し開いた。くぱぁと膣口が開き、ピンク色の内部が露わになる。「ああっ!そんなっ!」優良が恥ずかしさに身悶えた。「お覚悟を」じゅぶうぅぅぅ。沢木の指が根元まで挿し込まれた。「はあっっっ!」目を見開き仰け反る優良。じゅぶり!更にもう一本挿入されると、優良はピクピクと痙攣した。「一度、絶頂されるのがよろしいでしょう」悶絶する優良の肢体を眼下に、沢木が冷静に言い放つ。「そ、そんな……あううっっっんん!!」指がズップズップと前後し始めた。その動きは優良の快楽部位を刺激する。「うんっ!あっあっあっ、はあんっっ!」優良は髪を振り乱して声を上げた。一方沢木は、陶芸家のように淡々と作業に取り組んでいた。「ひぐぅっ!」沢木の指がカギ状に曲げられ、Gスポットを探り当てた。「だ、だめっ、そこはダメっ!死んじゃう、死んじゃいますぅっ」ふるふると首を振り、優良は懇願の表情を浮かべた。「はい、一度死にましょう。そして生まれ変わるのです。わたしの手で」「あぐっっ!ううううんっっ!」指がぐりぐりとスポットに食い込むと、優良は自分の声を遠くで聞いた。沢木の責めは苛烈を極めた。高速で出し入れされる二本の指に、愛液がダラダラとまとわりつく。右手が乳房に這い、乳首をギュウギュウと搾る。沢木が優良の股間に顔を埋め、クリトリスを口に含んだ。コリッ。もっとも敏感な蕾を甘噛みされたとき、優良の脳髄に電流が駆け巡った。「うんっっっ!」優良の目の奥に一点の光が生まれた。それが瞬く間に広がり、全身を押し包む。「あっっ――――っっっっ!!!!」絶頂による絶叫。ビクン!ビクン!と体がわななく。この瞬間、優良は生まれて初めて深いオーガズムを迎えていた。(あ……あ……優良さん……)真の手が前方に伸びた。しかしむなしく空を切る。虚無。優良とは正反対に、真は深い絶望感に包まれていた。「うっ、うっ、うっ……」布団の上で、優良がぐったりと絶頂の余韻に浸っていた。しばらくその姿を観察していた沢木だったが、おもむろに立ち上がると衣服をすべて脱ぎ去った。露わになる沢木の裸体。盛り上がる胸筋。引き締まった腹筋。その肉体に無駄な贅肉など一切ない。そして股間のペニスは隆々と天を衝いていた。ギリシャ彫刻を思わせる沢木の肉体は、男の目から見ても美しく感じられる。「さあ、最後の仕上げです」沢木は身をかがめると、優良の膝に手を乗せて左右に押し開いた。改めて露わになる、優良の秘部。口を開けた淫唇がヒクヒクと収縮し、淫らなヨダレを垂らしている。「……」沢木は無言で優良に覆いかぶさった。怒張が優良の中心部にあてがわれる。「……え、な、なに?」優良が虚ろにつぶやいた。「わたしのペニスで直接、奥様の性器内部をマッサージいたします」つぷり。沢木が腰を進めると、膣内に亀頭が潜り込んだ。夫以外の男性器の挿入。禁忌中の禁忌であるその行為に、優良は一気に覚醒した。「あっ!ダメッ!そ、それなら真さんに、主人にしてもらいますから!」「いや、それでは効果が薄いのです」ずぶり。肉茎が中途までめり込む。「ご主人だけでなく、不特定多数の男と性交渉を持てばホルモンの分泌は正常になり、 子供を宿しやすくなるのです。それではいきますよ」沢木は優良の両肩を掴むと、一気に腰を突き出した。ずっぶうぅぅぅ!肉棒が膣肉をかきわけ、互いの陰毛が合わさると同時にペニスの先端が子宮口をノックした。「ううう――――っっっんんんん!」正常位で貫かれた優良は、歯を食いしばりながら叫んだ。真のそれとは比べ物にならない、圧倒的なまでの異物感。犯された!と思う一方で、次の行動を待ち望む自分。優良は、倒錯した淫らな感情に翻弄されていた。「奥様。わたしの大きさに慣れるまでの辛抱です」沢木は優良の乳房に顔を埋めながら言った。その腰はぴったりと優良の股間に密着し、動きを見せない。「こ、こんな所、しゅ、主人に見られたら……」「まだ時間はあります。それよりも奥様に収まっているわたしのペニスに意識を集中してください」沢木はそっと優良を抱きしめた。まだ腰は動かさない。「……微かに脈動しているでしょう?私の鼓動です。いま、奥様とわたしは一つになっているのです」「ああ、こんな……ええ、確かに、沢木さんが入っています……」沢木は静かに顔を上げた。「奥様は素晴らしい女性です。肌を合わせなければ分からなかった……それがうれしい」髪を撫で付けながら沢木がつぶやく。真以外の男に組み敷かれているのに、優良は奇妙な感覚に包まれていた。つまり、不快ではないのである。「そ、そうですか……。喜んでいただければわたしも……」優良は頬を赤らめながら俯いた。それは、禁忌を犯しているとは思えない乙女の仕草だった。不意に沢木の唇が優良の唇に重ねられた。一瞬驚くも、優良はそれを受け入れた。二人の舌が絡みう。最初は遠慮がちに、次第に濃密に。互いの唾液が混ざり合い、優良の口元から一筋の線が伸びた。(ゆ、優良さんが、ボクの優良さんが……)真の額に嫌な汗が道を作っていた。この計画を実行した以上、想像はしていた。覚悟もしていた。だが違う。これは断じて違う。二人は単にセックスをしているのではなく……その……愛し合って……いるようだ……。「奥様。そろそろ……」沢木がようやく優良の唇を開放した。二人の間に唾液の線が伸びる。「は、はい……」優良がコクリと頷く。それを合図に、沢木がゆっくりと腰を動かし始めた。「んあっ!」途端に甘い痺れが優良を襲う。初めての経験だった。肉棒を挿入したら、果てるまで腰を動かし続ける真のセックス。それが当たり前だと思っていただけに、優良は戸惑いを隠せない。「こっ、こんなっ!、うんんっ、はじめてっ!ああんんん」次第に激しさを増す沢木の動きに、優良は喘いだ。「わたしも、とても気持ちがいいです」優良の乳房を揉みあげながら沢木がつぶやく。汗が滴り、優良の肢体で弾けた。緩急を付けた肉棒の動きが、容赦なく優良を責め立てる。時には浅く、時には深く。膣口辺りまで引き抜き、浅く何度か突いた後、ズドンと奥底まで突き入れる。まったく予想できない沢木のピストン運動に、優良は酔いしれていた。「あうんっ!だめえっ!あっ!あっ!いっちゃう、優良、いっちゃうっ!」優良の腰がせりあがり、両足が沢木の腰に巻きつく。「どうぞ、ご自由に」沢木の腰の動きに激しさが増す。ぱんぱんぱんぱんぱん!!子宮口がゴツン!ゴツン!とノックされ、優良は我を忘れた。「あっっ――――いいっ!すごくいいっっっ――っっ!!きて、優良にきてぇぇぇ!!」優良が沢木にしがみつく。「んっっっっ!!!あぐっっ!!!い、いっくぅぅぅうぅうううぅう!!」目を見開いて背中を仰け反らす優良。その指が沢木の背中に食い込む。「くっ……わ、わたしも……」優良に密着すると、沢木はぶるりと腰を震わせた。ペニスが激しく脈動し、白濁したエキスが優良の子宮を満たしていく。「出てる……、沢木さんの出てる……」うわ言のようにつぶやく優良。時折からだがビクビクと震える。「ええ、出してます。奥様の中に、たっぷりと……」沢木は精を放ち終わると、再び優良に唇を重ねた。優良うっとりとした表情を浮かべ、両手を沢木の首に巻きつける。沢木の肉棒は未だ収められたままだ。二人はお互いの舌をむさぼりあった。唾液の交換が行われ、周囲にチュパチュパと音が響く。「ん……」優良が声を漏らすと、沢木が唇を離した。「……これ、本当はマッサージじゃありませんよね?」「あ、いや……まいったな。でも、まったく出鱈目ってわけじゃないんですよ」慌てる沢木を見て、優良は微笑した。「いくらわたしでもそれくらい分かります。……あっ、また大きくなってきた」「……ええ、奥様。一回では収まりそうもありません。こんな事はじめてです」「沢木さんはお若いから……」「それは違います。奥様があまりに魅力的だからですよ。世の男なら誰でもこうなるでしょう」優良は沢木の首を引き寄せて耳元で囁いた。「お上手なんですね。よろしかったらもう一度お相手しましょうか?」妖艶な笑みを浮かべる優良。その表情を、真は知らない。「おお、それは願ってもないことです。ぜひ」沢木が再び腰を動かし始める。「あ、ちょ、ちょっと、……んっ、冗談、冗談ですよ、ああん」「奥様。言っていい冗談と悪い冗談があるんですよ」沢木は優良の乳房を口に含んだ。「そ、そんな、あんっ、だって……すぐに出来るだなんて、ううんっ、思わなかったから……」「ふふ、奥様がお相手なら何度でも。さて、懲らしめて差し上げましょう」沢木はペニスを一旦引き抜くと、優良を四つん這いにさせた。「では二回戦の始まりですよ、奥様」優良の双臀を鷲づかみにして左右に押し開く。その股間からドロリと精液が零れ落ちた。「あっ、いやっ!許して!こ、こんな格好、恥ずかしい……」顔を赤らめる優良。「いいえ、許しません。約束どおり、きちんとお相手願いますよ」沢木は後背位で優良を一気に貫いた。「ああ――――んんっ!んっ――!!」獣の姿勢で犯される優良。浅黒い沢木のペニスが機械的に抽送を繰り返す。部屋中にパーン!パーン!と乾いた音が鳴り響いた。「あんっ!あんっ!あんっ!ああんっっ!」尻を差し出しながら優良は歓喜の声を上げ続け。その手は敷布団を握り締め、乳房はユサユサと揺れ動く。「いいっ!すごく、いいっっ!もっと、もっと――――!!」――二人の夜が、また始まった。 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