同じ道場の門下生アイちゃん 1_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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同じ道場の門下生アイちゃん 1

15-06-14 04:00

俺は小学生の頃から剣道の道場に通ってたんだけど、同じ道場の門下生に1歳年上のアイちゃんっていう女の子がいた。

小学生からの知り合いじゃ幼なじみというには微妙かな?

門下生の中でアイちゃんが1番仲が良くて稽古が始まる前は、いつも追いかけっこして遊んでた。
でも、住んでる所がちょっと離れていたし、学校も別々だったから道場以外の場所では交流がなかったんだよね。
 
 
そしてアイちゃんが高校生になると部活(剣道部)が忙しくて道場に来れなくなり疎遠になってしまった。
アイちゃんと疎遠になってみて初めて気づいたんだけど、アイちゃんがいたから剣道が楽しかったし、アイちゃんがいたから辛い稽古が待ってる道場に通えたんだよね。

もちろん剣道自体も大好きで、今更辞める気はなかったけど、アイちゃんがいない道場はすごく違和感があって寂しい感じがした。

俺はアイちゃんが好きだったらしい。


そんな状況が動いたのが疎遠になって2、3ヶ月後、当時中学3年生だった俺はとうとう携帯電話を手に入れたんだ。
数日後、見慣れない番号から着信があった。番号を教えた人は全員アドレス帳に登録しているはずなのに、誰からだろう?と訝しんで電話に出てみると、なんとアイちゃんだった!
道場の仲間から俺の携帯番号を聞いたらしい。




「アイです。忘れてない?元気にしてた?」


アイちゃんの声を聞いた瞬間、目茶苦茶嬉しくて、つい40分近く話し込んでしまった。
なんでも俺が今度出場する大会にアイちゃんが来てくれるらしい。
もちろん俺に会うためではなくOGとして元中の応援のためだったが、そんなことは関係ない。
アイちゃんに会える!それだけで胸が張り裂けそうなくらい嬉しかった。


それから大会までの間、毎日アイちゃんとメールや電話をするようになった。今まで何してた?とか、高校生活は上手く行ってる?とか話す話題は尽きなくて凄く楽しかった。

そんなある日、電話で話している時、話の流れが高校での恋愛話になった。
高校の〇〇先輩とアイちゃんの友達が付き合いはじめたとか、そんな話だ。
アイちゃんが言うにはその友達はつい最近初体験済ませちゃったらしい。
もちろん相手は付き合い始めた先輩だ。

それを聞いて何故か俺はアイちゃんの友達じゃなく、イちゃんと見たこともないその先輩がセックスしている所を想像してしまった。
ショックだった。
もしアイちゃんに高校で彼氏が出来ていたら、もう経験済みかもしれない。
他の男にアイちゃんが抱かれるのは嫌だった。
だから俺はアイちゃんに聞かずにはいられなかった。

「アイちゃんは高校で彼氏出来た?」
「いないよ!!」

即答だった。
あまりに早い回答だったから驚いたけど胸がすっとして安心した。
そしたらアイちゃんは少し間をおいて俺に聞き返した。

「……何で私に彼氏がいるか気になるの?」


ここは「アイちゃんのことが好きだから。」と、かっこよく決めるべきだっただろうか。
でも当時の俺に、いや今の俺にもそんな度胸はなく

「…いや、アイちゃん可愛いから…モテるのかなって思っただけ……」
と、しどろもどろに答えるのが精一杯だった。

その日からアイちゃんの態度が少し変わった。
「会えるの凄く楽しみ(ハート)」
とか(ハートが重要w)
「どんな服着ていこうかな?〇〇君は(俺の名前)どんな服を着て欲しい?(笑)」
なんてメールを送ってくるようになったのだ。
まるでアイちゃんが俺の彼女みたいじゃないか!


「もし〇〇君(俺の名前)が優勝したらなんでもお願い聞いてあげる。」
こんな約束までしてしまった。

そして待ちに待った大会の日。
試合前にアイちゃんに一目でも会いたいと思って会場を探したのが間違いだった。
アイちゃんは確かにいたけど隣には知らない男がくっついていた。
体育館の2階の人気のない場所でアイちゃんは今まさにその男に抱きしめられる瞬間だった。

まずい!
その男の肩越しにアイちゃんと目が合いそうになって、とっさに壁の裏に隠れた。
袴がバサッと大きな音をたてたので、ばれたかもしれない。
自分で聞こえるぐらい心臓がバクバクして何も出来なかった。
とにかく逃げなきゃ、それしか頭の中になくて逃げ道を探す。

アイちゃんとその男が何か話しているけど何を言っているか全く頭に入ってこない。
右手の階段から下に降りればアイちゃん達の視界に入らず逃げられる。
そう判断するといくぶん落ちついてきたので、歩いて階段まで移動しアイちゃん達から逃れた。


最低な気分だった。

幸い試合の方は決勝戦まで2本勝ち。
決勝戦は延長戦までもつれこんだもののなんとか1本勝ちした。

一人になりたかった。
試合が終わった後、体育館の端っこで一人ちょこんと体育座りしていると、勝って嬉しいのか、ショックな現場を目撃して悲しいのか、良くわからない涙がこぼれてきそうになる。
泣きそうになるのをぐっと堪えて顔を上げると、そこにアイちゃんが立っていた。
ナイフで胸をえぐられるような痛みが心を刺す。
アイちゃんはそんな気持ちなんて知るよしもなく俺の隣に座った。


肩と肩が軽く触れ合うぐらいのいつもの距離感。

「〇〇君(俺の名前)優勝おめでとう。」
「……ありがとう。」

なんとかお礼だけは言えたけど、頭を過ぎるのは抱きしめられたアイちゃんだった。
アイちゃんは何か言いたそうな雰囲気だったけど、俺は早くこの場から逃げ出したかった。
アイちゃんの側にいるのが辛かった。

でも例の男がかなり離れた所からこちらの様子を見ていたので、意地でもその場に留まった。
逃げ出したら、その男に嘲笑われるような気がしたから。

その後少しだけその男が話題になった。
なんでもアイちゃんの部活の先輩らしく、来年、新入生の良い選手を獲得するために偵察に来たのだった。
3年生で俺なんかよりずっと大人で垢抜けてる雰囲気。絶対勝てねぇ!


その大会を境に俺はアイちゃんからのメールにあまり返信しなくなった。
返信しても素っ気ない内容。
アイちゃんは「〇〇君怒ってる?私何をしちゃったのかわからないの。ごめんなさい。もし良かったら理由を教えてくれないかな?謝りたい。」
なんて言ってくれるけど、理由なんて絶対に言えなかった。

ある日アイちゃんから航空自衛隊の航空祭を見に行こうと誘われた。
関係修復のために頑張ってくれていて、飛行機マニアの俺に合わせてくれたんだと思う。

でもアイちゃんが優しくしてくれればくれるほど俺は惨めになった。
いっそのこと無視してくれた方が楽だった。
そして腹いせにアイちゃんを困らせたかったのもあったと思う。
この時俺が言った言葉は最低だった。

「えぇ~、嫌だ。それよりもやらせて。優勝したら何でもお願い聞くって言ったでしょ?」
アイちゃんが電話の向こうで絶句するのが分かった。


これでアイちゃんには軽蔑されてこれまで通り仲良くすることは出来なくなる。でも俺にはそっちの方がよかった。
優しくされてそのたびに少し期待してしまうより徹底的に嫌われて接点がなくなった方が楽だ。そうしないと諦められない。

「私とエッチしたいってこと?」

アイちゃんはだいぶ間をあけてから聞き返した。

「そうだよ。」

どんな罵倒を浴びせられるだろう。怒ったアイちゃんは見たことがなかったから想像できなかった。
俺はショックに耐えられるように心をからっぽにした。そうすれば何も感じない。心が傷ついても他人事のように感じることが出来る。
アイちゃんは淡々とした口調で確認した。

「したいの?」
「うん。」
「わかった……」
そのまま電話は切れた。


電話が切れた後、アイちゃんからメールが届いた。

「生理中だから日曜日まで待って。部活は午前中に終わるから午後なら大丈夫。」

……罵倒の言葉じゃなかった。予想外のメールの内容に面食らってしまう。
電話だったら怖じけづいてしまったかもしれないけど、メールだったのが良かったのか悪かったのか……

「△駅の北口に14時」

返信してしまった。優勝したらなんでもお願いを聞くという約束を盾に、なんて最低な事をしているのだろうと嫌悪感はあった。
でも、あれだけ好きだった女の子が身体を許してくれると言ってくれているだ。正直嬉しかった。

嫉妬に狂っていた俺は、あの男からほんの少しでもアイちゃんを奪えるのなら自分の卑怯な行いなど気にならなくなっていた。すぐに返事が返ってくる。

「はじめてだから迷惑かけるかもしない。ごめん。」

俺は彼氏より先にはじめてをくれることに驚いて思わず確認のメールを送ってしまう。

「いいの?」
「うん。痛がるかもしれないけど気にしないで。好きにしていいよ。」

……決まってしまった。

<続く>

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