牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
親の再婚→幼少よりの友達である連子在り→年齢があっちが上だから姉になる。 漏れは厨房姉は工房。興味るのでやっぱりしますた。 これはスレ違い? 父の勤める会社主催、海の家への家族旅行。姉と初めて会ったのはそんな時。 まだ姉ではなくてただの父の会社の人の子(ややこしいw)だった。 丁度性に対して興味を覚えて間もない小学生だった俺にとって、旅行先でのその女の子はとても魅力的だった。 始終一緒にいて、興味を引いてくれそうなことばかりしてたのを覚えてる。 胸が少し膨らみかけて全くの子供から少女に変ろうとしてたその子は成長に伴わず、 2つ年下の俺から見ても精神的には純粋な子供だった。 幾日目かの夜俺にとっては願っても無いチャンスが来た。一緒にお風呂に入ることになったんだな。 でもイザとなったら勇気が出ない、脱衣所でアイスクリームなんぞを舐めつつ、どうして良いのか考えてた。 (今思えば凝固した息子を諌めてただけかも知れないケドw)風呂場の中から俺を呼ぶ声がしてた。 「何で入って来ないの?」と…。 3度目を数えた時、意を決して風呂場のドアを開けた。 湯煙の向こうに見える彼女は・・・・・綺麗だった。 水着姿を見ていたので想像は出来てたんだけど、膨らみかけていた胸は意外と尖った感じがして、 幼稚な想像では御椀形だったのに対してその方が「その子らしい」なんて思ってた。 後はもう、下半身を抑えるのに大変なのと、元々長風呂なのを良い事に湯船に浸かって局部を盗み見るのに必至だった。 知ってか知らずか、こっちを向いて足も少し開き、釘付けになってる僕にその日の出来事を話していた。 「こんな厭らしい目で見てるとは思わないだろうなぁ」なんて思いながら今でも当時の彼女を思い出せる程に鮮烈な思い出となってる。 旅行も終わり、家族ぐるみの付き合いが始まった。子供同士の年齢が近かった所為も在るんだろう。勿論、二人の仲は良かった。 家に遊びに行っても泊まる事が多かった。 俺には女の子の遊びが珍しくて、リングで作ったお手玉や、始めは無理やりだった飯事も結構楽しんで遊んでた。 大人の世界とは別に、俺達はその子のベットに潜り込み、なんとなく抱き合って寝てた。 そんなときは異性への興味より、”なにかの安心感”に囚われて抱き合って眠ってた。 そうこうしてたある日、俺の両親が離婚した。子供ながらに、そうなる事もなんとなく判ってた。 そしてその子の家族とも付き合いが無くなり、少し寂しい日常へと移っていく事となる。 それから数年。掃除、洗濯、炊事と家事全般を何気にこなせるようになった頃、俺は6年生になっていた。 田舎に住んでいた俺の家にしても珍しく、クリスマスに雪がふった。 その夜、プレゼントを持ったその子の母が家にやってきた。次の週から「その子の母」は「俺の母」になっていた。 その子は我が家には来なかったのだが… 母と父と二人は以前から出来ていたようだ。離婚の原因もそれらしい。 母は家庭を放り出して父の所に来てしまったようだ、我が親ながらなかなか大した手練手管だ…。 両親への理解はしていた。「親と言えども所詮は男女、好いた張ったは仕方ない」と。 「冷たい」と、自分でも思っては居たが、結局の所、俺を手放してしまった元母を恨みはしないが、母とは思わなくなっていた。 その為、父の再婚と新しい母が我が家に来た事に祝福していた。 この時はまだ、これから起こる事を想像も出来ずに居たからなのだろう… 新しい生活は楽しかった、家庭を壊してまでもぎ取った両親の愛は深く、母もやさしかった。 見よう見真似で覚えた俺の料理も母が来てから本格的になっていった。母は調理師の免許も持つ程の腕前だったのである。 博学でも在り、色々な事を教えてくれた。又、大らかで自由な人だった。 父も然りで、大らかで自由では在ったが、どちらかと言えば子供が大人になったような父だった。 本当に、もう家庭が壊れる事など絶対に在り得ない、穏やかな家庭になっていた。 そんな生活が続き、俺が中学2年の時、完全に俺の中でも「両親」となった父と母は自分たちで事業を起こす事となった。 商才にも長けた両親ならば間違いないと、微力でありながら俺も応援していた。 そんな時だった、体育会系のクラブに所属していた為、くたくたになりながら家路に就くと、 出来るだけ考えまいとしていた「その子」が我が家の玄関前にぼろぼろと泣きながら立っていた。 何時から立っていたのか判らないけど、明らかに泣き腫らした目は今泣き始めたものではなかったのだろう。 俺は咄嗟に垣根に隠れてしまった。どう声をかけて良いのやら判らずに、おろおろしてし碌な思考も出来ないでいた。 意を決したと言うよりは諦めたのだ、隣のおばちゃんが「おや、こんばんは」と出てきてしまったからだ。 その子に気付かなかったフリをして、おばちゃんに「こんばんは」と挨拶しつつ玄関に回ると… 泣いていたその子が「お母さんをかえして」と涙声ながら細々と、聞き逃してしまいそうな声で訴えた… やりきれない気分だった。 10分もそうしていたのだろうか。 隣のおばちゃん等も気になって「とりあえず家に入らないか?」と招き入れようと玄関の鍵を開けた。 中に入るなり抱きつかれた。微妙な距離を残しつつ離れ。 その子は俺を叩いた。泣きながら何度も、何度も胸を叩いた。 全く痛くなかったその衝撃は、だけど俺の胸をえぐる様に貫いた。 俺の身長は180、その子は小さく、150位だろうか、力も無く、くしゃくしゃになった顔を俯かせて、華奢な腕を一生懸命動かしている。 俺は何も出来なかった。ただじっと、その子の揺れる髪を見ていた。抱きしめる事も、声をかけることも、止める事も無く。 昔のままに、良く櫛の通った黒い髪が揺れるのを見ていた。 しだいに打ち付ける速度が遅くなり、泣き声の方が高くなってきた。 「いたたまれない」と表現するのだろうか?俺はどうしようもなくなって、その子を抱きしめた。 「ごめんなさい」と自分で思ったより大きな声で謝りながら強く抱きしめた。 その子はまるで子供のように泣きながら俺に抱きついた。 未だ鍵も閉めて居ない狭い玄関で、気が付ば、俺も泣いていた。 ひとしきり泣いた後、「こんなになって変だけど…トイレ貸して欲しい」と、 なんだか場違いな気がして俺もちょっと可笑しくなりつつ、トイレの場所を教えて、新しいタオルを洗面所に掛けて置いた。 リビングに行って今の内に熱い紅茶でも入れておこうと思い、母の好きなアップルティーに手をかけて…やはり緑茶を取った。 頭の中は相変わらず纏まりが無く、何を話して良いのか判らなかったので、お茶を入れる事に専念した。 その子が顔を洗ってリビングまで来る時間がやけに長く感じた。 「イサヤくん大きくなったんだね」 さっきまで幼稚園児のように泣いていたその子はまるで親戚のお姉さんの様に話しながらリビングに顔をだした。 「うん、鴨居に頭打ってしかたないんだよ」 良くぞ普通のトーンで声が出たと我ながら感心しつつ、お茶を勧めた。 すんなりと席に座り、お茶を飲んでくれたことに安堵した。 落ち着いて見るその子は地元の有名高校の制服を着ていた。そろそろ進学の声の聞こえてき出した俺にも頭が良いのだと判った。 幼少の面影を残しつつも、スレンダーでは在るがスタイルも良くなり、今は真っ赤に泣き腫らした愛らしいパッチリとした目元、 薄くて綺麗な桜色した唇。透き通った肌。黒く艶やかな髪から覗くかわいらしい耳。 とテレビから抜け出てきたっておかしくない程に綺麗になっていた。 現在の状況も忘れて、俺はその可愛さにドキドキしていた。 「お母さんは何時戻ってくるのかな?」 落ち着きを取り戻したその子は、まるで留守番している子供に尋ねる口調で俺に聞く、そして鞄を漁り、飴の缶を取り出した。 「いま、おやじと二人で店をしてるから、帰りは遅くなると思うよ」 生返事をしながら、飴の缶を開けると、出てきたのはたばこだった… 当時中学生だった俺は高校生でありとてつもなく可愛くなったその子の行動にぎょっとした。 火をつけながら「吸う?」と差し出された煙草を手にとり、生まれて初めて煙草を吸った。 意外と吸えるもんだと思ったのもつかの間。椅子に座っているにも拘らず、いきなり近郊感覚を無くして倒れてしまった。 慌てて抱き起こそうとしてくれたその子だけど、やっぱり非力で起こせるはずも無く…フロアになだれ込んでしまった。 間直に見るその子の顔と支えようとしたまま抱きついた胸の感触に、ふらつく頭が一層クラクラしてしまう。 思わず背中に回した腕も、クラクラとする頭とは裏腹に力が入る。 思考の中身が欲望に席巻される様が自分でも判った。 熱いその子の息が顔に掛かり、赤くなった目よりも、落ち着いたとはいえピンクに染まる頬と、食べてくれ!と言わんがばかりの唇が… 欲望が先行しすぎたか、初めての煙草が効き過ぎたのか…鼻血がでてた… <<俺ってマジで情けねぇぇ>> 「ちょっと…痛い」 小声で恥ずかしそうにその子に言われて、腕を解いた。 その子は静かにおき上がり、少し探してティッシュを持ってきてくれた。 膝枕をしてもらい、間抜けにも鼻にティッシュを詰めてすこし落ち着くのを待った。 張りのある太ももは思ったほど気持ちよくはなかったんだけど、そうしてくれるだけで嬉しくて、不覚にも眠ってしまった。 父に蹴り起こされて目が醒めた。(元々眠りが深く、どこででも寝てしまうので結構日常だったりするのだが…) 慌ててテーブルを見ると、その子が笑ってこっちを見てた。 俺が寝ている間に両親とその子は話し合っていたようだ。 その子の家庭に新しく母が来た事。その間に子供ができて、裏切って出て行った女の娘として蔑まれた生活をしていた事。 高校になって俺を見かけて住所を知り。思い余った今日、家まで来てしまった事。(再婚の際に我が家は越していた) そして、一緒に暮らしたいと言う望み。 約一月後、「その子」は俺の「姉」になった。 俺達は仲の良い姉弟となった。やはり頭の良かった姉は良く勉強も教えてくれた。 口実で俺の部屋に来る姉を見れるので俺も積極的に勉強するようになった。 「実は弟が欲しかったんだ」 と姉も良く面倒を見てくれるのだが、共稼ぎの家庭である為、家事は俺の独壇場だった。 立場が違う方が良かったと姉はよく膨れていたが、そんな姿が又愛らしかった。 学校の帰りに夕食の買い物を一緒にしたり、映画に行ったり、俺はまるで新婚気分だった。 どんどん好きになっていく気持ちをどこに向けて良いのか困り果ててきたある日。 職場で父親が倒れた。救急車で運ばれ、そのまま入院との事だった。 学校に姉が迎えに来た。慌てタクシーに飛び乗り二人で病院に着くと親父は母と暢気に笑っていた。 あ然としたが、医者の説明で親父の脳は既に蝕まれ、まともな判断はもう出来ないと教えられた。 余命も1年は無いと言われた。母も姉も泣いていた。 唯一であるはずの俺は泣けなかった。未だ現実と受け止められずにいたのだろうか。 姉が来るに当たって、我が家は大掛かりな模様替えを余儀なくさせる。 とは言うものの、実際は俺の部屋を明渡し、俺は父の書斎として使っていた部屋に移る事になっただけなのだけど。 父の書斎片付け終え。(Hなビデオがごっそり出てきたので、こっそり頂いた。自分で片付けない親父が悪い) 俺の荷物を大半移し終えた頃、姉が荷物と共にやってきた。 思ったより少ない荷物だったけど、その中に二人で眠った事のあるベットがあったので嬉しかった。 姉は執拗に「姉又はお姉ちゃんと呼んで欲しい」と言っていた。 後で判った事だが、二人の関係を危惧したのか、部屋をきっちり別つ事と、そう呼ぶ事が母からの条件だったようだ。 因みに俺にもきっちり釘を刺していた。 それでもテレビドラマのような展開で姉が出来る事と、何よりその姉が素晴らしく可愛かったのでどんな条件でも飲んだだろう。 一週間はどぎまぎしただろう、夜もろくに眠れなかった。 (でもそれは親父のビデオのおかげでもある。それなりに計算されて置かれたビデオだったのかも…) その後、親父の病状は目に見えて悪化した。 歩けなくなり、自分の名前すら判らなくなり、ついには無言無動、ありていに言えば植物人間状態になってしまった。 父の在籍しない会社は立ち行くはずも無く、早々に倒産せざるを得なくなる。 我が家を支える財源は母が新しく勤め始めた会社と、姉が始めたばかりのアルバイトに頼る事となるのだが。 幸い、会社を倒産させる時期が早かった為、借金も少なくて済んでいた。 ただ、母が「奇跡が起きた時にあの人の帰る場所が無いのはだめ」と家だけは断固として手放さなかった。 普通の家賃以上掛かってしまう返済を抱える羽目にはなるが、俺達の意見も母の言葉と同じだった。 俺は姉の紹介で、姉のバイト先で何とか使って貰えるようになった。 友達やご近所さん、はたまた良く行く八百屋のおっちゃんまで「苦労して大変だねぇ」と言ってくれたが… 俺は姉と一緒にバイトが出来て結構幸せだったりする親不孝者だった… この時点で俺は完全に姉を異性として好きになっていた事に開き直っていた。 <<マジで親不孝だな、ごめんな親父!>> バイト先は喫茶店だった、俺は厨房に入り、姉はウエイトレスとして店に出てた。「中学生だとばれたらまずいからなぁ」とマスターは言っていたが、その配置は正解だった。母に仕込まれた料理の腕は結構な物になっていたのでオーダーは難なくこなせ、評判も良かった。姉目当てで訪れる客も増え、その事だけが気がかりではあったが、「大丈夫だ、変な奴は追っ払ってやる」と強面のマスターがついていたので心強かった。ウエイトレス姿の姉はめちゃくちゃ可愛かった。 この頃になると自分の「可愛さ」を使い、なにかと猫を被って難を逃れるという、人が知ったら間違いなく嫌われそうな特技を身に付けていたが… 俺にはそれさえも可愛らしく思えた。勉強以外は意外とドジな姉は持って行ったコーヒーを見事に客にぶちまけ、 「きゃぁごめんなさぁいぃ」 と上目遣いに大きな目を潤ませて可愛らしく謝るのだから…全く末恐ろしい… 素では「きゃぁ」等という言葉を聞いたことがない。「どわぁぁ」とか「ぬぉ」 とか言ってるくせに。 そんな姉も可愛いのだが、煙草を忘れる若い男性客は増える一方だった。 その日はバレンタインデーだった。 常連のお客さんには「店から」サービスでチョコが渡されたが、やっぱり姉から 手渡される男性客の姿を見てて俺は不機嫌だった。 俺自身、自分で言うのもなんだけど、学校では「モテルから」と絡まれる程だったり、姉の友達にも俺のファン(マジ?)ってのも居た位だったからそれなり以上にチョコは貰っていた。挙句、姉の高校からチョコを狙って店にまで来る客も居る始末。 姉は姉で、猫かぶり全開!バイト帰りの道々、普段、「不機嫌」なんて起こした 事の無い俺が、そうとう不機嫌だった。 「ね、そんなに怒らないでよ。ずんずん独りで歩いてって… 待ってよぅ」 身長差は歴然と在り。俺は182、姉は俺の肩までも無かった。俺が普通に歩けば姉は走るしかない。 夜の闇は濃く、住宅街の人通りは少ない。おまけに姉は怖がりだ。判っていたが無性に腹が立っていた。そしてそんな俺を「猫かぶり」で何とかしようとしている。 俺はさらに腹立たしかった… 「待ってって頼んでるでしょっ!!!」 俺の腕を乱暴につかんだ姉の手を思わず振り払ってしまった… 全体重をかけてつかんだのだろう、姉は転んでしまった。そしてその場で泣き出してしまった…「いや…あの…ごめん…」 さすがに罪悪感がでて、腹立たしさが消えてしまうと残るのはやりきれない気持ちだけだった。 泣いている姉を抱き起こし、近くにあった公園の花壇に座らせた。泣き顔を母に見せると余計な心配まで掛けてしまうのではないかと危惧した。泣いている姉は「母を返せ」と俺を叩いた頃を思い出させた。とても切なく、泣き止んで欲しかった。幼稚だった俺は他に思いつくことも無く、テレビや漫画で見るように、姉を抱きしめた。すすり泣きに変っていたのに、姉は本格的に泣き出してしまった…だが、抱き止めた腕を解けず、本当に、もう、どうしていいのか判らなかった。頭のどこかで、他の俺が「今日は特に寒いなぁ」なんて考えている事に苛立ちも感じていた。暫くそうして抱いていたら、途切れるように姉が話し出した… 「判ってるよ。でもね、そうなったらお母さんも辛いんじゃないかと思って。イサヤの想いに応えられない。他の誰よりもイサヤが好き。それは本当だよ。イサヤ優しいし、かっこ良いし。弟って言うよりどこかお兄さんみたいで、何時も私の事考えてくれてるのも知ってるよ。でも、もう姉弟なんだよ。一緒に住むにはそうなっちゃダメなんだよ。」長い時間を掛けてそう話した。俺はずっと黙って聞いていた、抱きしめて動けないままかじかんだ両手がやけに痛かったが、そのまま凍り付いてしまえばいいと、姉を、寒さから、守れもしないはずの寒さから、守れるのではないかと。「離して」 「嫌だ」 突いて出た言葉だった。困らせるつもりも、悲しませるつもりも無かった。子供の頃には判っていたつもりの親の理不尽さが今頃になってくやしかった。両親を始めて恨めしく思った。俺は姉が言う程かっこいいと思っているわけでもない。男と喧嘩をした事が無いのも臆病だからだ。図体ばかりでかくて。無駄に大食いで。頭も悪い。得意は家事一般と凡そ男らしくも無い。とてもじゃないが姉に釣り合う男だとは俺自身も思っていなかった。それでも、どうしても、姉が好きだった。最悪だった。引っ込みもつかず。姉は既に俺を弟としてしか見ない事を宣言しているのだし。かと言って口で姉に勝る事はまず在りえない。抱きしめていると言うより、まるで檻で囲っているかに思えた。姉は俺に抱きとめられたままごそごそと手探りで鞄を漁り出した。 取り出した物にリボンが見えたのでチョコレートだと思い、抱き止めた手を離した 。包みは2つ在った。なぜに2つなのかと訝しんでいたら。 「幸と恵美にね、頼まれたの」 両方とも、姉からではなかった。姉と仲の良い友達からだった。 「義理チョコなんて腐るほど貰った。そんなの要らない」 正直言うと欲しかったのだが、俺もなんだか意地になってた。 「じゃぁ仕方ないね」 姉は2つのチョコを持って、近くにあったくず篭に捨ててしまった… そこまでするとは思いもよらず、かなり動揺してしまった俺は… 固まったまま動けなかった。 戻ってきては鞄の中をさらにごそごそとして、○永のミルクココアを差し出した。 飾りも無く、挙句、所のお店の値札までついていた。 「私からは、これ。…どうせ手作りのチョコなんか出来ないし、出来てもイサヤには敵わないし。本当は家で暖かいココアを飲ませてあげよっかなぁ、って思ってたんだけどね。拗ねちゃったから仕方なくだよ」「ありがと」 大人しく森○のミルクココアを受け取って、なんと話せばよいものか戸惑った。姉は泣き止み、又しても鞄を漁る。次に出てきたのは今では何代目かになる飴玉の缶に入った煙草だった。父が入院してから家では吸わなくなっていた。母は煙草を吸わなかったし、匂いが部屋に籠るのでばれてしまうからだろう。時々、二人で散歩と称して煙草を吸いに出てた。「あぁ、残り1本だったよぉ。吸っていい?」 俺の返事も待たず、さっさと火をつけて吸っていた、一服吸った所で横から取り上げ、俺も吸った。今まで意識して間接キスなんてしないようにしていた。湯気が立っているのではないかと心配するほど、顔が赤くなっているのが自分でも判った。芯まで冷えた体に、煙草の煙は暖かく感じられた。「顔がサルだよ」 判っている事をいちいちと…デリカシーの無い姉だと思いつつ。それでも笑える程に姉が落ち着いてくれていたので、腹立たしい気持ちも、重苦しい空気も、何処かに消えていた。差し出した煙草を受け取り、赤くもならずに吸う姉は、やっぱり弟として俺を好きなのだろうとしか思えなかった。「帰ろっか」 「嫌だ」 情けない、これではただの駄々子である。自分でも何を意地になっているのか判らなくなっている。このまま家に帰ってしまえば、姉は一生「姉」のままだと思ったのだろうか。「家に帰れば、暖かいココアを淹れてあげるよ?」 「俺が淹れた方が美味しい」 「もぅ。どうしてそんな事言うかなぁ?どうすれば帰ってくれるのよぉ?」 「キスしてくれたら帰ってもいい」 「そんなの私から出来ないよ」 ??そんなの出来ないよ。じゃなくて、私から出来ないよ?? 言い間違いだと、直ぐに訂正するのだろうと、次の言葉を待ったが、それ以上姉は何も言わず、だまって俺を見上げていた。肩を抱き、ゆっくりと顔を近づけると、姉は大きな目を閉じた。 リップで光る唇は薄く引き締まり、息を潜めていた。 そして静かにキスをした。 一瞬だった。寒さで感覚もろくにないキスは、味も無く、ただ重ねただけのキスだった。幻のように過ぎ去る時間の中、確かにキスをしたんだと。姉の髪を撫で、引き寄せて、もう一度抱きしめた。 「息継ぎって、何時するんだろう?」 抱きしめた姉の、場違いと思える質問に笑ってしまった。 程無く、いいかげん遅くなってもいた事と、そろそろ母が家に戻る時間に近づいている為もあり、家路を急ぐのだが。姉が屑篭の中にあるチョコを拾ってきた。「私が捨てたらやっぱりまずいからねぇ 一応貰ってあげてよ」 チョコを鞄に直し、今度こそ家に向かって歩いた。右手と右足が同時に出そうで困った。姉は普通に歩いている。「我侭な弟のお願い」を聞いただけなのだろうか?ココアは結局俺が淹れて母と3人で飲んだ。 余りにも何事も無かった顔をされて、幻覚でも見たような気分だった。 学校のクラブ活動も止め、喫茶店の定休日である火曜日以外はバイトに明け暮れた 。ずっと姉と一緒にバイトしているのが嬉しかった。 中学も卒業間直になると試験休みが姉と重なり、一日中バイトに入る日も増えた。 俺の進路は既に決っていた。親戚で料理長をしている叔父が居たので、そこで修行させてもらう予定だった。母も姉も進学を勧めたが、自分で稼げないのが悔しかった事と、勉強は性に合わないようだと思えたからだ。叔父の店は他府県にあり、姉と遠く離れて暮らす事は嫌だったが、その頃には姉離れしなくてはいけないのだろうとも思っていたので、せめて、残された時間は姉と一緒に居たかった。バイトの無い日は母と姉と3人で病院に行き、父を見舞った。 父はずっと個室の集中治療室に居た。特定難病らしく、入院費も要らなかった。 病状は相変わらず無言無動だった。全身やせ細り、床ずれが痛々しかった。 消毒液の匂いの中、母は父に話し掛けていた。応えが無くとも嬉しそうに話した。 そんな姿でも母は父を愛しているのだと、そして、父に奇跡は無いと、誰から見ても明らかであるのだが。母は「幸せ」と言う。父も、母も、かわいそうだった。中学の授業も殆ど無くなり、後は卒業を待つばかりとなった頃、俺は風邪をひいていた。母は抜けれない仕事で出張しなければならず、俺が抜けた分、姉はバイトを休む訳にはいかなかった。俺は病院が嫌いだった。母も姉も父の病状から病院を信用しない俺を攻める事は無かった。高熱で魘されれる夜、姉が額に凍ったタオルを乗せ変えてくれていた。朦朧とした意識の中で姉の手を握ったように思う。帰り道は恐かっただろうに。後から聞けば走って帰ってきたそうだ。翌朝。カーテン越しの日の光に目が醒めた。あちらこちら痛かった節々も痛くなくなり、どうやら熱も下がったようだった。軽くなった体を起こすと机の上に置かれた物に目が行った。「最悪だ…」 ベットの下に置いてあったH本が全て机の上に置かれてた。家事一般は俺の仕事であった為、俺の部屋に母も姉も入る事は無かった。もし入ってもベットの下までは誰も見なかったはずだ。油断大敵と言う奴である。見て欲しくない物を一番見て欲しくない人に見られてしまった。 体調は良くなっているのに、起き上がる気がしなかった。もう一度布団に入ると、たちまち深く眠っていた。次に目が覚めた時、姉がベットの脇から心配した顔で覗いていた。「大丈夫?」 「大丈夫じゃないから寝てる」 「その調子なら大丈夫そうね、おかゆさん作ってみたの、たべない?」 以前姉が熱を出した時に俺が作ってあげたら、いたく感動して、作り方は教えた物のどう言うものが出てくるのか心配だったが、「料理は気持だ」と教えてたので食べない訳にはいかなかった。出てきたのはおかゆと言うより糊だった…「ふーふーしてあげよっか?」 にこやかにそう言って「ふーふー」してくれる姿は間違いなく「猫かぶりモード」の姉だった、自分でも不味いと自覚しているのだろう。案の定、食えた代物でなかったが、罵倒される事を承知で作ってくれた事と、そばに居てくれるうれしさでなんだか美味くかんじた。「美味しい」 「本当?お代わりもあるよ!」 結局、手鍋一杯完食したが、余計な事は言う物ではないと教訓になった。 思えば姉が作った料理を褒めて完食した事など無かった。勉強をする必要がないと最近では姉の家庭教師も断っていたので、姉が「姉らしく」出来る機会が少なかった事もあるのだろう。姉は上機嫌だった。「なにかして欲しい事、ある?」 「添い寝」 「よし!着替えてくる!」 ほんの冗談で、笑って一蹴されると思われた発言は意外な方向へと向かった。 ぱたぱたと姉が去った部屋で、H本を片付けようか迷ったが、どうせばれてしまった事だから、とそのままにしておいた。と言うより…事の次第に慌てていた。制服から部屋着に着替えた姉はそそくさと布団に潜り込んだ。足が出てしまうほど小さなシングルベットは軋みを上げ、行き場に困った俺の体も出来うる限り小さくなっていた。「子供の時みたいだね」 後ろ髪を二つに括った姉の顔が目の前にあり、抱きしめたい衝動に駆られた。 枕の分だけ一段下がって話しにくかったのか、小さな枕に頭を乗せてきた。姉の額が俺の額に当たった。姉の気持ちが判らなかった。微熱が残っていたのだろう、俺の体は震えていた。姉の体温が伝わってきた。布団が擦れる音と、耳元で流れる枕の音、姉の息遣い、体が揺れているのではないかと思える鼓動、腕をほんの少し動かすだけで姉を抱きしめる事ができるのに、躊躇してしまう思い。やっと少し腕が動いた。姉を抱きしめた。俺は泣いていた。自分でも何故泣くのか判らなかった。小学校の頃に泣いたのが最後だと思う。あれから、テレビも映画も小説も。何を見ても泣いた事など無かった筈だ。やはり熱の所為なのか。姉と離れて暮らす事。父の事、母の事、本当はバイトなどせずに遊んでいたかったり。クラスでは浮いた存在になっていたり。そんな些細な日常の不満や疑念。そして姉への報われない想い。色々と思い出されたのだろうか。姉も抱きしめてくれた。初めて頼った気がする。誰にも頼れないと思っていた。自分が確りしなくてはいけないと張り詰めていた。涙は止めようと思えば思うほど流れた。情けないと思えば思うほどくやしくて、又、泣いた。「ごめんね」 何も姉は悪くない。謝る事などない。寧ろ謝って欲しくない。泣き止むのに必至で言葉が出てこない。一瞬だったのか、長い時間だったのか、次第に落ち着き、泣き止んだ。「ありがとう」 そう言うのが精一杯だった。姉の髪も枕も涙で濡れていた。喉の奥がイガイガとして、言葉は明瞭に出なかった。泣いた所為で頭も痛かった。「イサヤも泣くんだね。ちょっとびっくりしたな」 まぁそりゃそうだろう。図体のでかい、普段泣く事など無縁と思われる男が、子供のように泣いたのだから。自分でも意外だ。他人が見たら滑稽だろう。落ち着きを取り戻すと、状況に体がついてきたのか…勃起してた。 抱きしめていた腕を解き放ち。惜しい気持ちを諦めて。 「ありがとう。落ち着いた。風邪がうつるといけないし。もう大丈夫だから」 「風邪なんてひかないよ。今日はイサヤが眠るまでここに居てあげるから」 <<だから…そこに居たんじゃ寝れねぇってのに…>> 姉が抱きついてきた。避けようとした俺の股間に丁度太ももが当たった。 「あ…そう言う事…」 流石に判ったようである。 「Hな事…したい?」 言わずもがなである。しかし、頑なに姉弟の関係を望んでいたはずの姉の心変わりに驚く暇もなかった。 「ああ…したいよ」 開き直ったつもりだけど、かなりぶっきらぼうな言い方になった。 「そうだよねぇやらしい本とか一杯あったもんねぇ」 <<今それを言うか?泣きたくなるぞちくしょう…>> 「あれは友達から借りたんだ。皆見てる。普通だ」 「うん。クラスの男子もそんな話をしてるなぁって知ってる。なんかやらしい目で 見られてるみたいで嫌なんだけど…イサヤの話も出てくるし」 「はぁ?なんだよそれ?そこになんで俺が出てくんの?」 「幸と恵美にね…キスした事話したの」 「言うかぁ?」 「ごめんって」 「恵美はそうでもなかったんだけど、幸は本気でイサヤが好きだったみたい。今はまた仲良しなんだけどね。ちょっと変な感じの時に、他の子に話しちゃった…かなぁって…」「なんだよそれ」 「だから、ごめんって」 「いいけどさ、いじめとかにあってんじゃないのか?」 「うぅうん、それは無いんだけど…」 「なんか在るのか?」 その当時、俺はいじめとまでは行かないが、クラスからかなり浮いた存在になっていたので、同じような境遇に合っているのではないかと気がかりになった。「いつもイサヤと一緒でしょ?その上、キスした事がばれてるし。絶対出来てるって思われてるみたいで」「俺と噂されるのは嫌か?」 「そうじゃないよ、そういうんじゃなくて…」 「昨日は何回した?とか聞かれちゃうんだ」 「はぁ?誰だよそれ?」 「もぅ、言うと怒るの判ってるから言わなかったんだから。最近はそんなに言われ てないし…」 「誰だって聞いてんだよ!!」 ついカッとなって怒鳴ってしまった。だけどそいつらが許せなかった。 「私に怒鳴んないでよ!!」 ごもっともである… 「悪かったよ。でも…」 「でも、もへったくれもない!」 腕力勝負で無い限り、姉には敵わない事を知っているのでくやしいが黙った。気が強いのか弱いのか。時に姉は判らない。(後々にも思うのだが、判らないのは実は女心というや奴で。姉に限った事では無いようだ)「イサヤに喧嘩とかして欲しくないの。モテない男子が悔しがって言ってるだけよ 。腹が立つからその子から貰った手紙を皆に回してやったもん。女子に相手もされないよ。ざまぁみろだわ。けけっ」それなりに仕返しはしているようなのでホッとした。元々黙っている方ではないのだから。考えてみれば当然と言えば当然だ。しかし…表裏の激しい女だ。皆知らないのだろうな。と、ちょっと可笑しくなった。けけっって笑うか?「なに笑ってるのよぉ」 「いいや、別に」 ニコニコしながらそういう姉は「猫モード」だった。なにか良からぬ事を考えているに違いない。ただ単に優しさだけではこうはならない。「さっき怒鳴ったのちゃんと謝ってないよ?笑ってごまかすの?」 釈然としないものを感じながらも、後でネタにされてなにやら言われるのも判っているので、抱いた腕を解き、ベットに正座してキチンと謝った。「怒鳴ってすみませんでした。許してください」 「うん。許さない」 「はぁぁ??」 「お母さんが帰ってきたら、ベットの中でイサヤが怒鳴ったって言ってあげる。おかゆさんまで作って、ずっと看病してあげたのに。治ったとたん、お母さんが居ないからって、ベットに引きずり込んで怒鳴ったって言ってあげる」「おいおい!訳のわからん事いってんじゃねぇよ!」 「あら?なによその態度は?許して欲しいんじゃないの?」 「なんだよもう!どうすりゃいいんだよ!」 判ればいいのよ、と、日常に近いやり取りの後、とんでもない事を言い出した。 「ちょっとね。イサヤのおちん○ん見せて欲しいなぁって」 「はぁぁぁぁぁぁぁ???」 「何度も言わせないでよ。恥ずかしいんだから。イサヤだって私の見たでしょ?お風呂に入っている時に、知ってるんだから。不公平よ」「おいおい…何時の話だよ…んな子供の時とは違うだろぉ」 「だったらいいよ。すけべな本の事もお母さんに言ってあげる」 「言ってあげるって…判ったよ、ちょっとだぞ?って風呂入ってきていい?」 「だめ。未だお風呂なんて入ったらだめだよ」 「電気明るくない?」 「暗かったら見えないよ」 「明日にしない?」 「嫌だったらいいよ」 「うん。嫌」 「だったらお母さんに…」 「判った、判ったよ、判りました」 何故にこれ程強気なのか…なにが在ったのか、本当に訳がわからなかったが、ひとまず落ち着いてきた下半身が元気になる前に事を済ましてしまおうと諦めた。姉は布団をはだけ、両足の上に陣取り待っている。 まだ躊躇っていたが、パジャマのズボンとパンツをもぞもぞと下ろした。 「わぁ しわしわだね。なにか濡れてるよ?もしかしておしっこ漏らした?」 「おしっこじゃないよぉ。男だって濡れるんだよ」 「えぇ?これって精液?」 「違うって。うーん…そんな事も知らねーのかよ…今度誰かに聞けよぉ」 「そんな恥ずかしい事聞けないよ。でもさっきみたいに硬くないよね?ふにゃふにゃだよ?ちょっと硬くしてよ」「無茶苦茶言うなよ。自分でどうにかなったりしないんだよ。勝手に大きくなるんだよ。もういいだろ?」「えぇぇ!これってまだ大きくなるの?どうやって大きくなるの?」 「あのなぁ知らねーよ。もういいだろ?」 「ちょっと待って。触っていい?」 「見たいって言っただろ?触るのは入ってないだろうが」 「じゃぁお姉ちゃんの胸を触らせてあげるから。だめ?」 下半身を自分でコントロールするのは限界だった。次第にどうでも良くなった。 「もう良いよ、好きにしてくれ」 さっそく手に取り、あれやこれやと触りだした。 「わぁぁ。ぷにぷにしてるねぇ。きん○ってこんな感じなんだ。ねぇねぇほくろが有るよ?濡れてるのってぬるぬるしてるね?これって触られたら気持ち良いの?」「あのな…いちいち聞くな。それとあんまり強くきん○持つな。痛い」 「あっごめん。痛いんだ。あぁぁ!今なんかピクッってした」 「ねぇ気持ち良いの?どうすれば気持ち良いの?」 「だからぁいちいち聞くなよぉ」 「彼の居る子がフェラチオして欲しいって彼が言うって言ってたけどあれって何? あ!又ピクッてした!」 「うわぁぁ段々大きくなってきたよ?痛くないの?」 「フェラチオって口でしてくれる事だよ。立ったくらいで痛いわけないだろ」 「へぇ口でって舐めたりする事?」 「ねぇねぇまだ大きくなってるよ!ピクピクしてるよ!うっそぉ!こんなに大きくなるの?うっわっぁぁこんなの絶対入らないよ」「なに言ってんだよぉ普通だよ、それにさっきから煩いよ。いちいち聞くなって言ってるだろぉ」 「ごめんね…あぁ!又ピクンってしてる可愛いね!」 <<言っても無駄だな…しかし…可愛いって…なんか違う意味に聞こえる…>> 「こうやると気持ち良いの?」 手に握り少し上下させている。ぎこちない動きは余り気持ちよくも無かったが、姉がそうやっている事に興奮して、がまんも限界に来ていた。姉の服の袖を引っ張り俺の横に転がした。勢いがついてしまい、袖が肩口で破れたが、気にしなかった。「あぁぁ!破れちゃったじゃ…」 頭を抱え、腰を抱き、姉にキスした。キスは前にした時と違い、姉の唇に舌を割って入れた。暫くは閉じていた唇を少しづつ開け、舌を中に入れたが空洞のようにぽかりと唇を開けているだけで舌を絡ませる事も無かった。括ってある髪の毛が邪魔に思い、ゴムを滑らせて両方取った。ジッパー式のパンツを履いていたのでジッパー上のボタンを外そうとしたら抵抗され、初めて手を止めた。「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待って」 「今更何言ってんだよ。待てないよ!」 「そうじゃないの!ちょっとだけ待って!」 「こんな”流れ”みたいで嫌なの。それにやっぱり姉弟だし、だめだよ」 「ほんとに何言ってんだよ!流れって何だよ!俺は姉貴が死ぬほど好きだよ!判ってんだろそんな事!抱きたくって仕方ないのも今に始まった事じゃない!ずーーと我慢してただけだ!自分から始めといてなんだよ!悪かったな弟で!好きなもんしかたねーだろ!!可愛いからってふざけんな!!」「判ったから怒鳴らないでよ、近所に聞こえちゃうよ」 「ふざけ…ん…」 素早く手で口を塞がれた、泣いたり怒ったり、我慢したり、恥ずかしかったり、頭の中は本当にぐちゃぐちゃだった。 「ずっとね。イサヤはずっと私の傍に居ると思ってた。姉弟でも良いって思ってた。まさかイサヤが遠くに行くなんて思ってなかったし、もしイサヤに彼女ができても喜んであげようと思ってた。いいお姉さんで居ようって。ドジだけどね。本当はご飯も洗濯も甘えて居ないでしてあげようと思ってたんだよ。おかゆさん美味しいって食べてくれて嬉しかった。美味しくないのにね。美味しいって全部食べてくれて、本当にイサヤは好きで居てくれるんだなぁって思った。姉としてしてあげれる事をしてあげようと思ってた。今日の帰りもサヤが居ないと恐かった。このままイサヤが居なくなってしまうような気がしてた。死ぬほど好きだって言ってくれて嬉しかった。私、もうだめだよぉ。お姉ちゃんになんかなれないよぉ」話半ばから、少しづつ泣き出して、最後には大泣きに泣いていた。二人とも言ってる事はおかしかったが、言いたい事は判った。姉が可愛そうだった。狭間で揺れていたのは俺だけでは無かったのだ。普段ころころと良く笑う姉がいつかの泣きじゃくる少女に戻っていた。タイミングが良いのか悪いのか…リビングから電話の音がする。母からだろう。 姉をそっとそのままにして、リビングに向かい、受話器を取るとやはり母からだっ た。俺の容態を聞き、安心して。夕食はどうしたのかとか、仕事は順調に進み、明 後日には戻れる事。姉はどうしたと問われたので寝ていると応えた。 電話の途中、姉が風呂場に入ったのが判った。すこし気を取り直したのだろう。 何事も無かった事にしようと、部屋に戻り、机の上のH本をクローゼットに放り込 み、ストーブを止め、灯りを消し、布団に潜り込んだ。 眠れるはずは無かった。泣いた姉の顔が邪魔をした。 姉の階段を登る足音が聞こえる。もう泣いては居ないだろう。明日からは、何時ものようにバイトをしよう。そして何時ものように姉と母と病床とはいえ父の見舞いを含めて楽しく過ごそう。もうすぐ、俺はこの家を出る。又帰ってくるのだろうが、叔父によると暫くは戻れないだろう。今日の事はなにも無かった。それで良い…部屋の戸が開いた。姉は自分の部屋を素通りしたようだ。俺は寝たフリを決め込んだ。何も話せない。話せば今までが壊れてしまいそうで恐かった。姉が近づいてくる。寝たふりなのは判っている筈だ、「何事も無かった」そう意思は伝わるだろうと目を閉じ、息を潜め、動かなかった。姉が布団に入って来た。石鹸とシャンプーの香が俺を包み込んだ。目を開くと濡れた髪が光る姉と目が合った。綺麗だった。 「いいのか?」 俺の上ずった声に、姉は目を細め、ゆっくりと頷いた。 首元に手を回し、腰にも手を回して引き寄せた。湿った髪をそっと撫で、額と額を合わせた。姉は目を閉じ、じっとしていた。この手の中に居るんだと感じ嬉しかった。キスをした。下唇からそっと上唇に、ゆっくりと唇を開き、舌を割りいれた。抵抗無く受け入れられた。ぎこちなく姉は舌を絡ませた。ペパーミントの味がした。腰に回した手を背中に当て、強く抱きしめた。「イサヤ…苦しい…」 手加減が判らず強く抱きしめすぎたようだ。二人でちょっと笑った。 「息継ぎできないから…どうすれば良いの?」 息を潜めた声で聞いてきた。お風呂の所為ばかりでも無さそうで、上気した頬はピンク色に染まっていた。とても愛らしく見えた。 「鼻とか、口とかで息すりゃいいんじゃないか?」 「うーん…」 「バスタオル、取るよ」 触れてわかった事だが、姉はバスタオルを巻いただけの姿だった。ゆっくりと取るつもりだったのに、バスタオルに体重が乗り、乱暴に剥ぎ取るようになった。柔らかな肌はしっとりと濡れていた。「イサヤも脱いで欲しい…」 小声で消え入りそうにそういわれたので、慌ててパジャマを脱ぎ捨てた。やはりズボンを降ろすのに恥ずかしさと躊躇いがあったが。が、ともかく裸になり、もう一度姉を抱きしめた。姉は腕を胸の前で重ね、自分を守っているように思えた。「やめようか?」 姉は首を横に振る。話さないのは恐いのだろうか?後悔を押しつぶしているのではないだろうか?どうにも判断がつかず、俺自身、いざとなったら恐かった。抱きしめたまま暫くの時間が経った。俺は結局臆病者なのだろう。だが、裸で抱き合っているだけでもすごく嬉しかった。姉の腕が胸の前から、俺の体へと移り二人で抱き合った。大きくは無い姉の胸が押し当てられた。小さな体を、今度は緩やかに、だけど力強く抱きしめた。そして又、キスをした。ゆっくりとキスをしてそのまま耳元へとキスをして行った。「ん・・」 耳元にキスをすると、反応があった。耳たぶを軽く噛み、耳全体にキスをする。 「う・・ん・・・ん・・・」 「気持ちいい?」 耳元で囁いた。声に反応するように鳥肌が立つのが俺にも判った。 「恥ずか・・し・・・い・・」 無性に可愛かった。「猫モード」でも無い姉がこんな反応をするとは思っても無かった。急な動きは躊躇われた。背中に回した指をゆっくりと背筋に這わせるが、湿った素肌は滑らず、手を返し、爪でゆっくりとなぞった。お尻の割れ間の所まで来ると、姉の体が跳ねた。耳にキスをしながら、姉の跳ねる所を探して、ゆっくりと爪を這わした。姉の息遣いもしだに荒くなり、押し殺したように時折、 「ん・・んっんっっ・・・」 と声をもらした。 「もしかして、くすぐったい?」 耳元で囁くとまたも鳥肌が立つのが判った。 「ちが・・う・・・きも・・ち・・い・い・・」 押し当てるように抱きつく姉の体が汗ばみ、勃起したものに太ももが時折触れて、 俺がどんどんいやらしくなって行く。 「ちょっと触って」 姉の手を導いた。軽く握り、ぎこちなく動かしている。 「熱くなってる。熱が在るの?」 「大丈夫。これが普通だよ」 不思議と恥ずかしくなかった。開き直ったのかも知れない。優しく問い掛ける姉は、やはり、たまらなく愛らしい。ぎこちない刺激は緩やかで、しかし電撃が走ったように感じてしまう。普通とは言ってみたが、その実、痛いほど勃起していた。「濡れてるね・・・気持ち良いの?」 「うん・・気持ちいいよ」 今度は胸の周りに爪を這わした。予想に反し、胸の突起に触れても姉は跳ねなかった。胸全体をなぞり、脇に移ると跳ねた。横向きに寝そべった体の頂点を脇から腰へ、お尻から太ももへとゆっくりとなぞる。指を追いかけるように鳥肌が立っていくのが判った。キスをして、唇をまた耳元に這わせた。どうやら耳が気持ち良いみたいだ。「ん・・・んっ・あっ・・・」 「耳が気持ち良い?」 「やら・・し・・・ぃ・・・こえ・・が・でちゃう・・んっ」 執拗に耳を攻めた。ぺちゃぺちゃと舐める音がやらしさを増すのか、わざと音を立てて舐めた。爪はゆっくりと這わせて、跳ねる所をじらすようになぞった。姉の手は跳ねるたびに俺を強く握った。始めの頃はそろそろと動かしていたが、今や完全に握っているだけだ。姉の反応にあわせ、握り方が強弱してる。手を胸に持っていき、やさしく揉んだ。やわらかく包み込める胸だった。指の間に突起を挟み、ゆっくりと揉んだ。姉は跳ねるのではなく、くねるように反応していた。耳は俺の唾液でべとべとになっていた。左手を耳たぶに添え、ゆっくりと動かしながら、唇を首筋に這わせていった。ドラキュラが血を吸うように軽く噛むと、又跳ねた。完全に息が荒くなっていた。「はぁ・・・はぁ・・んっっ・・んんっっ・・・」 唇は舌を這わし、鎖骨を越えて胸の突起に差し掛かる。子供の頃に見た尖った胸ではなかった。小さいながらふっくらと持ち上がった胸だった。突起を舐め上げるようにして、軽く口に含み、唇で挟んで突起の先端を舐めた。もぞもぞと姉が唇を避けるように動いた。「ん~~・・・」 右手をすこしづつ下げて行く。爪でおなかを一周させ、おへそから今度は下になった太ももの内ももに這わせて膝近くまでなぞる。くねるように体を動かし、内ももに爪がとどくとビクビクと跳ねた。「あっ・・・んぅ・・うぅっ・・・んくぅっ・・・」 声にならない声を漏らして、あえぐ姉はより一層素敵に思えた。姉の手はすでに俺の物から離れている。強く抱きつき、必至に耐えているようですらある。左手を耳から離し、唇を耳元へ、左手を胸へ、そして、這わしていた手を、徐々に、徐々に下腹部へと伸ばした。太ももを割るように手を差し伸べるとそこはかなり濡れていた。ゆっくりとなぞり上げると今まで無いほど姉が跳ねた。「あぁぁっ!・・・」「静かにしないと回りに聞こえちゃうよ」 まるでビデオのように声を上げる姉に驚いた。しかし手を休めずにゆっくりと、お尻の方から前の丘にめがけてなぞった。指に合わせ小刻みにビクビク震え、丘の下の突起に当たると姉は大きく声を上げた。「んぅあぁぁ・・んっっくっ・・・あぁぁんっ・・」 気が付くとあえぎつつも姉が泣いていた。かなり焦った。調子に乗りすぎたのか? 「どうした?大丈夫か?」 「恐いのぉ変になってく。自分が自分でなくなってくのが恐いの」 「自分で・・・その・・・したりはしてないのか?」 「教えてもらってした事在るけど、気持ちよくなんかなかったよぉ」 「そうか、大丈夫だ。変にしてるんだから当たり前だよ。ってか、すっげぇ嬉しいし。めちゃくちゃ可愛いぞ」根拠は皆無だがそう言ったら安心するのではないかと思った。後は気持ちを正直に言った。普段言えない事も素直に、自然と言えた。「がんばる」 「そうか」 どっちが姉だか判ったもんじゃなかったが。どうやら続けても大丈夫そうだった。 姉がそっと勃起した物を包んだ。 「私ばっかりでイサヤにも気持ちよくなって欲しい」 「どうすれば気持ちいいか教えて?フェラチオしたらいいの?」 潤んだ瞳でそんな事を言われると死んでしまうかと思うほど可愛かった。 「う・・・うん・・・」 今度は姉が俺に覆い被さるようにしてキスしてきた。手をゆっくりと上下させ、唇は次第に耳元へと移る。どうやら俺の真似をするようだ。なるほど、これはとてつもなく恥ずかしい。「ちょっと待ってくれ」 「だめだよ、私も我慢したんだから、イサヤも我慢してよ」 形勢が逆転したようだ。姉はニヤニヤしている。 ペチャペチャと耳元で舐められて、緩やかに手を上下させる。気持ちよすぎてこのままではやばかった。直ぐにでもイッてしまいそうだった。俺の足を姉がまたいだ所で反撃に出た。手を伸ばし、今ではすっかり濡れそぼった所に指を這わせた。「ん~~~・・・ずるい・・いぃ・・・んぅぅ・・・」 姉は俺の手の届かない所まで引き下がり、両手で掴んで上下させた。刺激が強くなり腰が浮いてしまいそうになる。見ると顔を近づけて咥えそうになっている。目線が会ってしまった。「恥ずかしいから、目、瞑っててよ」ドキドキした。言われるがままに目を閉じた。と、言うより見てたら心臓が止まるのではないかと思った。熱い息が掛かり、そっと唇が触れた。軽く咥えられると暖かな口内につつまれ、少し歯に当たり、先端を舌が刺激した。ゆっくりと、規則的に上下へと動き出した。「・・・んっっ・・・」 あっと言う間だった。全身の意識が集中して、腰が浮き、脈打つように射精した。 暫く動けずに居た姉が、ゆっくりと離れ、 「ん~~~ん~~~」 と唸っている… 「飲み込めよ」 「ん~~~ん~~~~ん~~~~」 虚脱感につつまれつつも、そんな姉の姿が可笑しかった。 ティッシュを取って、箱ごと手渡すのと、丁度飲み込んだ時と同じだったようだ。 「おいしい?」 「しょっぱくてにがくて…喉がイガイガする」 なんとなく聞いてみたのだが。聞くんじゃ無かったと思った。 「気持ちよかったんだよね?」 「そんな事聞くなよぉ…気持ち良過ぎた位だよ」 実際、情けなくて、泣けてきそうだ。姉は上機嫌でニコニコしながら抱きついた。 今の今で複雑な思いもしたが、キスをした。 「味する??」 「だから聞くなよ…」 わざとやってる様であ。ニコニコしていたのはこれを企んでいたのだと知った。 「ちょっとお茶飲んできて良い?」 「うん、俺も行こうかな?」 「じゃぁ、持ってきてあげる」 「おぉ…ありがとう」 普段、絶対にそんな事はしてくれない姉である。なにやら企んでいるのではないかと思ったが、疑ってばかりいるのも馬鹿馬鹿しくなり、素直に受けた。姉は俺のパジャマの上だけを着てリビングに下りた。余りにも大きさが違い、子供が大人の服を着てるみたいだった。後姿を見ていたら、なぜか姉が本当に子供になってしまったような錯覚を覚えた。たなびく髪を残すように、ドアを引き、光る廊下の中へと消えていった。トイレのドアの音がした。俺もトイレに行くなった。残されたバスタオルを巻いて廊下に出たら、電灯が眩しくてクラクラした。よろめき 、うずくまると姉がトイレから出てきた。「イサヤ?大丈夫?」 慌てて駆け寄り、俺を支えようとするが…俺に圧し掛かっている。 「大丈夫。ちょっと立ちくらみだよ」 風呂好きで、「茹で上がってる」と言れるほどに長風呂な俺はにとって、立ちくらみは良くある事だった。心配させまいとして、無理やり立ち上がり、ひとまずトイレに逃げ込んだ。心配する姉に、「一緒にトイレに入るのか?」と笑って言うと 、安心したようでリビングに下りていった。便座に座って用を足し、暫く落ち着くのを待った。今日は色々在りすぎるな、と考えていたらどれくらい時間が経っているのか判らず、慌てて部屋に戻った。お盆を置いて、俺の使い古したスプリングベットにちょこんと座る姉は、大きなパジャマの袖をたくし、光る黒髪の中から心配そうに俺を見ていた。「本当に大丈夫?」 「あぁ、もうダメかも知れない。この間貸した千円が気になって倒れそうだ」 「心配してるのにそんな事言わなくても良いでしょ ちゃんと返しますぅ」 「それを聞いて安心した。すっかり治った」 くだらない事を言いながら、俺が笑ったら姉も笑った。 机の上にある、姉から誕生日に貰った目覚まし時計は4時を指していた。 ベットに座って熱いお茶をすすると、妙に現実感が沸いて、恥ずかしくなった。 ←クリックでランダムの記事が表示されます
なし
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