牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 05:10
いとこのたっくん(そんなような感じの名)とのこと。 私より年下の男子。
たっくんというと小さい子供みたいだけど、 ただの昔からの愛称みたいなもの。 お互い、もう28、22歳。
オトコとして意識するようになったのは、手相の話題になったとき。 たっくんが、専門学校に通い始めて1年経つあたり。 昔、繋いだことがある小さかったたっくんの手が、私の手を余裕で越えてた。 私の手より、大きくてごつごつしてて。 ドキッとしてしまったのは、手の熱さも感じたから? 彼氏もいなかったせいかな。 意識してしまうようになってから、好きになってしまうまで時間は掛からなかった。
いとこだからかもしれないけど、 いつもさりげなくそばにいてくれてた感じ。 そして、優しい。
弟みたいに思っていたたっくんに、 周りのたっくん同年には感じられない余裕も感じていた。 たっくんの性格なのかな。
ある日、たっくんがつぶやくように言った。
「はー、そろそろ彼女欲しいな、姉ちゃん(たっくんは昔から、私を姉ちゃんと呼ぶ)みたいな…。」
聞き間違えてないよね、私みたいな…?ってドキーッとしたけど、態度に出さず、
「へえー、たっくん、年上好きなんだね?」 「年上?まあね。…つうか、好きなのは…」
「なによ~、私の知ってる子~?」 「よく知ってると思うよ。…本人だから。」
時が止まった気がした。
その日から、お姉ちゃんとたっくんは、ただのいとこじゃなくった。 恋人として、二人の時が動き出したのだ(笑?)。
「気のせいならごめん。姉ちゃんも俺と、…同じ気持ちな気がするんだ。」
どうして…。 たっくんのお姉ちゃん、してたつもりなのに…。
いろんなことを考えた。 私は、本当は、自分に自信がないこと。 たっくんの思うようなお姉ちゃんじゃない私と付き合っていくうちに、すぐにがっかりされてしまうかもしれない。
お互いの家族のことも考えた。 頭の固い家族同士。 テレビでの、性同一性の人々や、同性婚の人々、不倫してる人々、を、死ねばいいというような、 人の道を…など、言うような人達だ。 いとこ同士なんて、分かってくれる…?
「…」 たっくんが、好き…。 なのに、いろいろ考えると、私と付き合ったたっんが、幸せでいるような未来が私には見えなくて、答えにつまった。 つらい思いをして、悲しい顔をしてるようなたっくんが脳裏に浮かぶ…。
「…」 でも、たっくんが好きで…、好きで…。
…お姉ちゃんの私より、女の私が勝ってしまった…。
「…そうだよ。私も…たっくんと…ずっと同じ気持ちだったよ…。 付き合ってみようか…。家族に、内緒で…。」
相談出来たり、優しくしてくれる、オトコになったたくんを、どうしても手離せなくて、認めてしまった、受け入れてしまった。 たっくんがいなくなるのは、嫌だった。 たっくんが、誰かのものになるのも…。
「おう!固い家族どもだからな!気をつけような。」
たっくんは、ほんわかなようで、気が利く。 わざと明るく言ってくれたようだ。
こうして、私とたっくんは恋人同士になった。
「…姉ちゃんじゃ、なくなったんだよな。 俺、彼女と、…キスしてみたい(笑)」
「なによ~、たった今、関係が変わったばかりだし、…キスって…。」 ドキドキして顔が熱くなってきてた。
ソファーに座ってた私の隣にたっくんが座ってたきた。
「な…なに…」 「二人だけのとき、まみ(私)って呼んでいい…?」
「…」 「まみ…」
ぐっと引き寄せられて、 「…」 キスされてた。
唇がぷにゅってあたってた。 舌もぬるるって、入ってきて…。 舐めあうように、重ねた柔らかい唇の中で、優しく、れろれろ…しあった…。 キモチイイ…って、ぼうっと、たっくんの舌を舐めてた…。 たっくんの舌、大きい気がしてた…。
やっと唇が離れたとき見えた、糸みたいな唾液が、恥ずかしかった…。 「はあ…、はあ…、」 って、お互いなってたのも恥ずかしかった…。 「まみとのキス、やばいくらいキモチイイ…。」 「うん…。私も…。」 こんなこと言いあったのも恥ずかしかった…。
キスしたら、もっとたっくんが好きになった…。
たっくんに抱き締められてるとき、痩せてる…とは言えない、ぽちゃな私の体は、すっぽりとたっくんの体に覆われてて、厚みのある大きい体に、たっくんにまた、オトコを感じた…。 自分は女で、たっくんが男だって感じさせられるたび、たっくんを、オトコとして好きなんだと痛感した…。
それからたくさんの月日が過ぎた。 月日は過ぎても、やっぱり今も、たっくんが大好きだ。 たっくんは、彼氏でいてくれて、相変わらずソバにいてくれて、笑ってる。
今は、二人だけの時は、私が年上なのに、彼氏のたっくんに甘えてしまう、普通の恋人同士みたいになってる(恥ずかしい)。
普通の結婚は望めないかもしれない…。 それでも、たっくんと、ずっと一緒にいたいと願ってしまうんだ。
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