牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 05:41
その翌日、昼飯前にまた売店でうろついてたら、**さんが現れた。 「やっぱり、ここだと思った、いっしょにお茶しない?」 「えっ、病院内で患者と一緒に看護師さんがお茶してヤバクない?」
「いーのいーの、これだけ大きな病院だし、売店には看護師さん はほとんどこないから解らないでしょw」
っと半ば強引に茶店に連れ込まれたww
神戸中○市民病院に行ったことある人は解ると思うが、この病院の地下には、散髪屋、美容院、花屋、喫茶店が2店、売店が3店?だったかな、外に買いに行かなくてもほとんどのものが揃ってしまう。 2軒あるうちの小さなほうの喫茶店の奥に2人で行く。 流石病院の喫茶店だけあって、店員が案内すると同時に、テーブルから椅子をさっと引き抜き店の奥に持っていく。 俺はアイスコーヒーを頼んだ、**さんはアイスティー 俺的には何も喋る話題が見つからないし、上に書いたように 「絶対俺は勘違いなんかしない、この**さんは親切?で リハビリの為に喫茶店に誘ったんだ」 っと頭の中で呪文のように唱えてた。
「**くんってさぁ、**大学だよね?」 「えっ、なんで知ってんの??」
「だって、カルテに書いてあったしww」 「**大学ってさぁ、私行ったことあるよ」
「マジ?学生?んなわけないか、どうして?あっ彼氏がうちの大学なんだ!」
俺は話題で食いつくとこはココしかない!っとばかりに必死で話してたみたいだ。 **さんはちょっと笑って
「違う、ハズレ、私の妹が**くんと同じ大学に通ってるのよ 何回も遅刻しそうな時に車で送っていったの」 「妹は**学部なんだけど、知らない?」
「いや、学部違うとほとんど交流ないし、こっちは文型、妹さん は理系でしょ、講義もほとんど同じヤツないしなぁ」
「そっか、まぁけど今度大学戻ったら探してみてねw」 「それと、コレ」
コースターの裏に電話番号を書いていた。
========================= コレは15年ほど前の話なんで携帯電話なんか普の人はもってません =========================
「えっ」 と言ったまま固まってる俺を見て、 「この番号は、私専用の電話だから、安心してね」
おいおい、ちょっと待てよ、なんでこんな事になってんの? これは多分、何かの医療行為のひとつだ、きっとそうに違いない。 必死でそう思ってた。
「ふぁ~、ゴメン、ちょっと眠くなってきちゃった」 「あのさぁ、昨日夜中から仕事だって言ってたでしょ、もしかして 夜中からずっと起きてるの」
「そうだよ、深夜勤って言って夜中から朝までなんだけど、 私みたいな新米だと仕事が終わらなくって、昼ぐらいまでかかっちゃう」
この時、ほんとに看護師さんの仕事って大変なんだなっと思った。 以前に友人の彼女だった看護師達から受けたイメージとちょっと違うなっと思い始めていた。
「じゃ、そろそろ病棟に戻る時間だね、私も帰るから」 と言って彼女は車椅子なので機敏に動けない俺を差し置いて、 レシートを持ってさっさと精算をすました。
「せめて俺の分だけでも払うよ」 「まだ、学生のくせに、生意気言うな、私が誘ったんだから 私のおごり、こんど誘ってくれたらご馳走になります」 っと言って帰って言った。
その日の夜、とても悩んでいた。 もちろん、この番号に電話をかけるべきか、かけないべきか・・・ 昼過ぎに帰ったんだから、夜8時、一回寝て起きてる時間かな・・・ まて、勝手な妄想だ、この時間に寝てたらどうする、厳しい勤務なんだから寝てるのに起こしちゃマズイよな・・・
延々1時間ほど悩んだが、遂に電話をかけた。 あっけなく彼女が電話に出た。
「あっ、**くん、かけてきてくれたんだ、嬉しい」
「嬉しい」んですか・・・・「嬉しい」 これって俺に惚れてるんだろうか・・・
いや、ありえん、だってこの間まで俺は顔が歪んでて、いろんな看護師にチンコの管消毒されてたような男だろ。 通常惚れるはずが無い、おちつけ、多分これは彼女の口癖なんだろ、そうだそうに決まってる。 などと俺が思ってる事を全く無視して彼女はいろんな事を喋る。 婦長の事、同期の看護師の事、他の患者のこと、今まで受け持った患者さんのこと。 これまで、大した病気や怪我をしたことのない俺には、どれも新鮮な話で、必死で聞いてた。
日勤の時は毎晩のように電話をし、夜勤明けは1Fで待ち合わせて、地下での喫茶店でおしゃべりするのが日課となりつつあった。
俺は車椅子から松葉杖で歩く為のリハビリを始めた。 足の感覚は戻らない。 だけど、車椅子では見られない風景、立つってことがこんなに素晴らしいものなのか!っていう驚きと、どんどん事故で傷めた部分が回復していくのが自分でもわかって、足の感覚もそのうち戻るだろうと楽天的に考えていた。
ただ、この頃から原因不明の痛みに襲われるようになった。 ひどい時は全身が硬直してしまい身動きが出来ない。 呼吸するのも苦しくて、脂汗がだらだらと流れてくる。 痛みは感覚のないはずの、右足からくる。 どういう痛みか説明するのは難しいが、何時間も正座して、しびれたところを鋭利な刃物で刺すような感じである。 当初は経口の薬を使っていたが、全く効かず、痛み止めの注射してやっと痛みが治まった。 治まるというか、意識が遠くなって痛みを感じなくなる。 後で聞いたのだが、この注射は末期の癌患者に使用するものと同じものだった。
ある日、電話をすると彼女は少し元気がなかった。 失敗をしてしまい、ひどく怒られてしまったようだ。 「まぁ、そんな事もあるよ、気にしにないようにね」
俺は元気付ける為に言ったのだが、彼女は
「失敗したら、次がないこともあるのよ、私たちの仕事は 命がかかってるの」
まずい事を言ってしまった・・・という思いと、彼女達の責任の重大さ、もし俺が同じ仕事についたら、こんなプレッシャーに耐えられるだろうか・・・ そんな事を思ってた。 しかし、友人の看護師をしてる彼女達と比べて、この違いはなんだ。 逆にまじめすぎてこの子は看護師に向いてないのかもしれない。 とぼんやり思ってた。
入院して6週間が過ぎた頃、大学の悪友達が毎日のように見舞いに来てくれてた。 俺が事故を起こしたのは4月の始め、もう5月も半ばになろうとしてる。 事故ったその日に、誰から聞いたのか、友人の一人が救急病棟に来てくれていた。 当然、その時の様子でしばらく学校なんかいけたもんじゃない状態は解ったようで、大学での手続きを俺の親に代わっていろいろやってくれた。 そいつが他の仲間に、「今は行っても**の負担になるだけだからしばらく見舞いにいくのはよそう」 と言っために他の友人は見舞いにいくのを我慢してたの事だった。 俺としても、顔が歪んで、パイプだらけの状態を見てもらいたくもなかったし、やっぱこいつらイイ奴らだなぁなんて思ってた。
事故をする前・・・っいっても更に半年ぐらい前だから大学1年の秋ごろ、大学入学して直ぐにコンパして付き合った彼女と別れた。 理由はなんとなくだ、お互いになんとなく合わなくなってしまった。 しかし、この時の彼女の友人(女性)が、俺のアパートの直ぐ近くに住んでて、彼女と別れたあともばったり会って話したり、一緒に茶飲んだりすることもあった。 俺的には好みではなく、ただほんとに彼女の友人って存在だった。 なんの意識もしてなかったが、ちょくちょく電話がかかってきたりして、映画に付き合ったりする程度。 この友人の女の子はA子としておく。
高校1年の終わりから高校2年の終わりまで付き合った彼女がいた。 この子には俺の妹もよくなついていて、俺の母親にも評判がよかったが、おれの勝手で別れた。 有名進学高校に通っていて、確か東京の大学にいったと聞いた。 B子としておく。
その後高校3年の中頃から、「先輩、先輩」と言っていっつもくっつき回ってた高1の女の子と付き合い出した。 俺好みの細い子で、まだちょっと幼さがあったが、女の部分もちらっとみせる・・この年頃特有の微妙な雰囲気にやられてしまったw この子とは、おれの受験もあって段々会わなくなり、自然に消滅してしまった。 この子はC子としておく。
5月の3週目の日曜日、俺は看護師の彼女に車椅子に乗せられ、車椅子ごと入れるシャワー室に行き、中で介添えのおばゃん看護師にゴシゴシ洗われて出てきた。 また看護師の彼女に車椅子を押されて、部屋に戻る最中に、他の看護師から
「**さん、面会の方が来られてますよ」と言ってた
はっと、見るとA子が立ってる?? 誰に聞いたの??って言うと実家に電話したと・・・・
まぁ、俺としては知り合い程度の女の感覚だったので、「ちょっと事故っちゃって」などと軽口を叩いていたが、妙に看護師の彼女の機嫌が悪いように思えた。 待合室でA子と喋ってたら、看護師の彼女が「**さん、またお客さんですよ」 っと事務的な口調で言ってB子を連れてきた......orz
B子は、ほんとに会いたくなかった、別れ方が自分でもひどいと思う別れ方だったし、それでも別れたくないと言って収集がつかず、結局俺が行方を暗ますという荒業で無理やり別れたという状態だった。 そのB子が目の前にいる。 「お前、東京にいるんじゃなかったのか?」 「心配で・・・」
健気に涙ぐんでいるが、俺はまた邪険に 「俺は大丈夫だ、死んでないし、今後お前に心配をかけることない、だから帰ってくれ」 言ってしまった。
あとで俺の母親に長いこと説教されてしまったが、ほんとに会いたくなかったんだ、俺は。 横でA子は居場所がないと察知したのか、目線を泳がせてた。 そこへまた「**さん、今日はモテモテですね」明らかに嫌味な口調でC子と看護師の彼女が立ってる・・・・・orz
もう、俺は笑うしかなかった、きっとドラマとかで彼女と愛人が鉢合わせたりする時の心境ってのは、こういう感じなのかなーなんて考える余裕もなく、 ただただ気不味い空気だけが流れ、俺は手術の時の話とかを大げさに話すのが精一杯だった・・・orz
その晩、彼女に電話したら、あきらかに機嫌が悪い・・・ しかしだ、俺は看護師の彼女とは付き合っていない。 勝手に機嫌が悪くなられても困るってもんだ。 とりあえず、聞かれてもないが、今日来た3人の女の子と俺との関係をざっと説明した。 「っつか、おかしくね?俺と**さん、付き合ってもないよね?」
ちょっと俺もイライラしていたんだと思う。 長い沈黙があってから、彼女が話し出した。 「私ね、初めてあなたを見たとき、絶対どこかで会ったことがある って思ったの。 だからカルテを見て住所が隣の市だったし、大学 が妹と同じだったし、そうか大学であってたんだと思ったの」
「でも**くんと話してみて、あなたが隣の市の出身じゃないこと、 妹と同じ大学でも学部が違うから接触してないことがわかった」
「でも、どうしてもあなたと話してると懐かしいような変な感じ 悪い意味じゃなくて・・とにかくね・・・・・・私の事好き?」
突然そんな事言われても・・・とにかく俺には「看護師には惚れるな」 という信念があった。 確かに好きになりそうだったが、あと一歩の部分は信念によってガードされていて素直に好きというところには行かなかったのだが、 この一言に見事にガードは壊された・・・
「俺も好きだよ・・・・」
怪我の功名ってのはまさにこの事だ。 俺の為にあるような言葉だなっと思った。
<続く>
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