牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 05:44
職場恋愛してた数年前のこと。
臨時職員でA子という地元の大学出たての子が入ってきた。 私と、当時つきあっていた彼氏とは同じ部署だけど違う課にいた。 フロアは同じなんだけど仕事内容は違う、といった感じ。 A子は彼氏の課に入った。
仕事内容はまったく違うながら同じフロアで、給湯室やお昼を食べる休憩室は一緒なので、A子とはそれなりに話すようになった。
そのうち、A子がどうも変な子だということがわかってきた。 2chで言うメンヘラ?ってやつなんだろうか、とにかく虚言癖がすごい。
ミス日本に応募していいとこまでいったことがあるとか、 大富豪の家に生まれたんだけど駆け落ち?してしまったから勘当されて今は貧乏暮し、水道も止められたとか、 B’zのボーカルとつきあったことがあるとか、 子役やってたけど身長が伸びすぎてやめさせられただとか、 ジュディマリのYUKIと幼馴染で毎日パシらせてたとか、
そうかと思えば 親がアル中で毎日叩かれるから、こんな所(悪かったな)で働かなければならない、とか…
と、誰が聞いても「嘘!」ってわかるような嘘ばっかりつく。
でも「~というわけで困ってるからお金貸して」と言うわけでもないし、高価な鍋や洗剤売りつけようとするわけでもなく、 実害がないから、「おかしい」と思っても皆だんだんと距離を置いていくだけで、派遣だし任期が切れるまではそっとしておこう…という感じだった。
でも徐々にフロアの空気も変になっていった。 「メンヘラは伝染する」とか「取り込まれる」って表現をする人がいるけど、まさにあんな感じ。
A子の嘘に取り込まれていく人がぽつぽつ出始め、 A子を避ける人と、その人たちとでフロアが二分化されていった。
取り込まれていった人はたいてい面倒みが良くて親切で優秀な人。 A子に虚言癖があるのはわかってるんだけど…と 親切ゆえにA子を疎遠にすることができなくて、ちゃんと話を聞いてやり、A子に同情してるうちに
「こんなに真剣に言ってるんだからきっと本当に違いない」 と、揺れ動きながら心情が変わっていって、最終的にはA子を完全に信じてしまう。
心理学に詳しくないから、ぜんぜんおかしなこと書いてたらごめんなさい。 でもはたから見てると、皆だいたいはこういう経緯だったように思う。
フロア全体から見るとA子寄りになってしまった人は少数なんだけど、それぞれの課の中心メンバーが多く、発言権が強いのと、A子寄りになってから人が変わってしまった (宗教に入った人みたいな、声が大きくて自信たっぷりにガミガミ一方的に言う感じ) ので、多数派の方が居心地が悪くなってしまった。
そして、A子寄りになった派閥の中に私の当時の彼氏もいた。 彼氏はA子の直属上司だったからメールで人間関係の相談を受けているうちにA子の妄想に取り込まれてしまったらしい。
最初は私にも 「またA子からメールだよ。×大在学中に悩まされたストーカーに最近またつきまとわれてます、だって。 履歴書に書いてある大学とぜんぜん違うし…ほんと困った子だわ」 と笑いながら話したりしてたのが
いつしかA子のことはまったく話さなくなり、それはそれでいいかと思ってたら急にある日 「女子社員全員でA子にいやがらせしてるんだってな!」 と怒鳴ってきたのでほんとうにびっくりした。
いやがらせなんかしてないし、最近はむしろA子を怒らせるのが怖くて、みんなへりくだってるくらいだよ、と言ってもまったく信じない。
でも確かに遠巻きにしてあまりかかわらないようにしてたのはほんとうだから
「私たちもA子をもっと輪に入れてあげればよかったのかもしれないけど…」 と言ったら 「やっぱりいじめてたんじゃねえか!」 といきなりバキっと殴られた。
それまで父親か教師に、頭にゲンコくらいしか食らったことなかったから、男性に頬を拳で殴られて、文字どおり吹っ飛んだ。
びっくりしたのとショックで動けずにいたら、彼氏が近づいてきて耳の上のところを平手で二回バン、バンと叩いた。
「謝れ!」と言われたから 「ごめんなさい。すいません」 と言い、「電話でA子にも謝れ」と言われて彼氏の携帯からA子に 「ほんとうにすみませんでした。二度としません(何を?)」 と謝罪させられた。
そのあとすぐ彼氏の部屋を出て、自宅へ戻るのがなぜか怖くて電車で姉のアパートに向かった。 その日は姉の家に泊まり、そこから出勤。
私は彼氏に殴られたのを恥だと思っていて黙ってるつもりだったんだけど、出勤したらすでにフロア中に知れ渡っていた。 彼氏本人が朝一番で吹聴したらしかった。
昼休み、こっそり同じ課の先輩が病院へ連れてってくれた。そこで診断書ももらった。 先輩の妹さんがDV離婚していたそうで、診断書がこういうときは有効だからと教えてもらった。
私は診断書をとったことを彼氏に言い 「今後近づいたら訴える。別れましょう」と電話し、 彼氏に「ほえづらかくな!」と言われたけど、すぐ着信拒否してアパートも引っ越し、おおむね平和になった。
その後もしばらくA子派とそうでない派でしばらくゴタゴタしたけど、A子の契約期間が切れ、A子がいなくなってから徐々に終息していった。
その後彼氏同僚や上司から 「あいつも反省してるからよりを戻してやって」だの 「あのときはあいつもどうかしてたんだよ」 「結婚したら尻に敷ける材料ができてよかったじゃん」 「俺の顔に免じて」だのという様々なとりなしが立て続けに来ましたが、うちの課の女性社員が激怒してブロックしてくれ、うちの課長と向こうの課長とで話し合いがあったあとは静かになりました。
私はその後、友達の紹介で新彼氏ができて、元彼氏も彼女ができ(同じ課の新入社員)お互い幸福にやってたはずなのに、今年の仕事おさめの日に呼び止められ
「俺、今の彼女と結婚するつもりなんだよ。おまえがつまらない意地張ってるから悪いんだぞ。まあせいぜい一生後悔しろよな!」 と、笑顔で言われてデコピンされそうになりました。 避けたけど。
元彼にしてみたらもう冗談で済む話なのかもしれないけど、面と向かって腕を少し上げられただけで怖かった。
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