牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
初めに言っておくと実姉じゃない。更に、そもそも俺って兄とか居ないしとても打たれ弱いんだけど。小さい頃に親父とおふくろがいなくなって年の離れた兄貴は実質、俺の親代わりだった。一方、俺は物心つくのも遅くて兄貴に養ってもらうことが当たり前って感覚の甘えん坊でアレ欲しいコレ欲しいってのを、普通にねだってた。 中学になってねだる物も高価になっていったけど兄貴は嫌な顔せずに「うんうん、そうか、これが欲しいんか」って言って残業増やして買ってくれたりした。まぁ、流石にこの頃からは遠慮もし始めたけど。でも、まぁそんな兄貴にもねだれないものがあった。年頃の男子なら興味を持つエロ本とかエロ漫画類。兄貴とは全然そんな話もしなかったから、兄貴は聖人君子みたいな人なんじゃないかって思ってた。だから高校に受かったって報告した俺に兄貴が「実は……」って言って義姉さんを紹介してきたときは何が起こったかわかんなかった。あ、その時はまだ義姉さんじゃなくて彼女だったけどね。その彼女さんがそれがすっごく綺麗で可愛くて、正直見た目じゃ兄貴と全然釣り合いとれてない。そんとき「マジでっ」て何回言ったか覚えてないくらい言った。彼女さんって見た目だけじゃなくて中身も凄く良い人で俺の合格祝いにってPARKERのボールペンを贈ってくれた。自分が欲しいって言ったものじゃないのを贈られるのって初めてだったから、凄く変な感じがした。でも、嫌じゃない。そのボールペンは今でも使ってる。その日に、兄貴から「俺はこの人と所帯を持ちたいと思う。 だからといって、お前を放っては置けない。 一緒に住むことになるけどいいか? 彼女のほうはお前と住むことに賛成してくれてる。」って告げられた。美人で可愛いお姉ちゃんが出来るのに反対する訳ないから即答でいいよって答えた。その時はエロいことなんて何にも思いつかなかった。兄貴が綺麗なお嫁さん貰うってことでちょっと誇らしくもなったね。俺って子供だからそれからすぐに結婚するのかなって思ってたけど、二人はお金を溜めてからって話をしてていわゆる彼氏彼女の関係で暫くがんばろうってコトになってた。だから、週末ごとに彼女さんが俺たちの家に泊まりに来て一緒に御飯食べて、次の日兄貴達がデートに出かけてって生活が新しい高校生活の定番になってた。婚約する前にも、週末にデートとかしてたみたいだけど外食だったから家で御飯食べるようになってお金がたまるようになったって彼女さんが嬉しそうにしてた。彼女さんが入って話をすることでどうも俺は今まで兄貴に頼りすぎてたことに気がついてきた。その頃、何となくだけどボールペンのプレゼントが嬉しかった俺は二人に結婚のお祝いが贈りたくなってきてた。でも、何を贈れば喜んで貰えるかさっぱりわからなかった。何せ兄貴にはねだってばっかりで兄貴が何かを欲しがってる姿なんてみたことなかったからな。悩んでるうちに気がついたら、2年になろうとしてた。何はなくとも金がなきゃってことで、兄貴に内緒でバイトを始めててバイト先の店長に怒られながらもちょっとずつお金を溜めていた。ちなみに店はレストラン。食い物食えそうでお金もたまるのってすげえいいなって思って面接受けに行った。その頃は、まだガキだったから面接で志望動機って言われて正直に「食い物食えてお金貰えるのがよさそう」って答えちゃって落ちそうになったんだけど、兄貴達にプレゼント贈りたいって話をしたら採用してもらえた。礼儀から常識から何から何まで仕込んで貰ってあの店長には今でも頭が上がらない。兄貴が敬語とか使えるようになった俺のことを不思議がってたけど部活の先輩にしつけられたことにした。実際はゆるゆるの文化部だからそんなわけないんだが。金はぼちぼち溜まってきてた。でも相変わらずプレゼントが思いつかない。もうひとりじゃダメだろってことで彼女さんに相談することに決めた。こっそり相談したいことがあるって言ったら、私も相談したいことがあるからって言われて学校終わった後ファミレスで会うことになった。この頃には、相談って言われてドキドキするくらい仲が良くなってたから少々期待してたところはあった。兄貴が会ってなかったら、俺が告白してたと思うくらい彼女さんのことは気に入ってし。年齢差?しらねえよ、愛にそんなの関係あるかって。でも、まぁ彼女さんの俺に対する態度って年の離れた弟に対する態度そのものだったんだよね。可愛い子だねって感じで接されてた。待ち合わせのファミレスに入ったら彼女さんはもう席についてて入ってきた俺を見つけて嬉しそうに手をふるんだよ。俺って、いつもと違う場所で、しかも兄貴抜きで会うってことでちょっといけないことをしている気分になって興奮してた。席についてドリンクバーを頼んだら、普段飲まないくせにコーヒーを入れて帰ってきたりしてね。「お、そんなの飲んだら寝れなくなるぞー」って俺は小学生かっつーの。初めはとりとめない話をしてたんだけど「ねぇ、相談ってなに?お兄ちゃんには相談できないこと?」ってスッと本題に入ってきた。俺は「あ、いや、兄貴っていうか、姉ちゃんにも相談するのへんなんだけど……」って怪訝な顔する彼女さんに徐々に話し始めた。あ、その頃には彼女さんのことは「姉ちゃん」って呼び始めてた。で、姉ちゃんに、去年入学祝いが嬉しかったこと、二人の結婚祝いを何か贈りたいなって思うようになったこと、今バイトをしてることってのを話していった。バイトは姉ちゃんも気づいてなかったらしくてビックリした顔した後にやーって笑って「そういや大人っぽくなったもんねー」って言いながら頭をグリグリ撫でてくれた。話してるからあんまし気づかなかったけどこの時、頭をなでられてるとき凄く気持ちよくて何かぽわーっとした気分になった。ちょっと勃ってたかもしれない。こんな気持ちいい姉ちゃんと結できる兄貴がちょっと妬ましくなった。ひと通り俺が語り終わったら、姉ちゃんは笑いながら「贈り物なんてね、何でもいいんだよ」って、一言答えてくれた。でも、それでも納得出来ない俺に「欲しいものは、君がお兄ちゃんに何かを贈りたいと思ったその気持ちだよ」だから兄貴は何を贈られても凄く嬉しいんだ、って。姉ちゃんに手を掴まれてそう言われたときそこまで考えを姉ちゃんに理解して貰えてる兄貴が羨ましくなってそんな理解の出来る姉ちゃんを抱きしめたくなった。と、同時に掴まれてる手が凄く恥ずかしくなってどう答えていいかよくわからなくなって「う、うん」みたいな唸り声みたいな答えをしたと思う。正直良く覚えてない。「判った?まぁ、どんなのがいいかは どこか一緒に見に行ってあげてもいいけどね」って、つなげてフォローしてくれたからその話はとりあえずそれで決着がついた。「じゃ次は、私の相談」相談って言うけど、俺みたいな子供が相談に乗れるもんだろうかって思ってたけど、姉ちゃんから頼られるってのは何か嬉しくてさあこい、くらいの軽い構えをしてた……「ねえ、今、彼女いる?」はぁ?身構えてた顔が一瞬傾いた。何いってんの姉ちゃん?……いや、まぁ、いませんけど。昔も今も。答えに詰まってる俺を見て照れてるとでも勘違いしたのか姉ちゃんが続けて「こういうのって若い子がどうしてるのかなぁって気になって聞くんだけど……」完全に彼女居るって誤解をしたままで「キスとかセックスとか……どこまでしてるものなの……?」頭完全に真っ白。姉ちゃんからキスとかセックス生々しい単語が出てくるんだもん。「彼女いません」って一言だけ絞り出したら「いた時とかどうだった?」って過大評価な追加質問。姉ちゃん、俺、彼女できそうに見える?「見える……え?もしかしてずっと居ないの?」意外とザクザク切り込まれる俺。そこで力が抜けて、彼女なんてできたことがないこと姉ちゃんみたいな可愛くて綺麗な人が居ればいいのになぁってボヤキをしゃべる。私だって、お兄ちゃんが居なかったら君に目をつけてたかもヨって悪戯っぽい目で姉ちゃんも返してくる。まぁ、俺からは姉ちゃんの期待するような若者の意見だせなさそうだけどとりあえず話始めちゃったからってことで悩みを話してくれたんだ。姉ちゃんの悩みって、兄貴とセックスしてないってことだったんだよね。姉ちゃんの友達に言わせれば、いくらなんでも1年以上付きあってセックスしないとか無いそうな。しかも二人は婚約してるわけで。彼女も居ない俺がセックスとか雲の上の行為だったわけだけど姉ちゃんがそんなコトで悩んでいるって知って激しく興奮した。姉ちゃんは、実は兄貴とセックスしてみたいと思ってるらしい。くそー、兄貴め、くそ羨ましいっでも、兄貴にそれとなーく誘いをかけてもある一線以上は越えてこない。単に潔癖なのか、肉体的に魅力がないのか悩んでた、と。魅力がないなんてとんでもない。泊りに来てお風呂に入っているとき、気づかず洗面所に入って曇りガラスの向こうの肢体を見ちゃったから知ってるんだけど、そこに映ってるシルエットを信じれば、スタイルについても抜群でおっぱいも大きいしで悩む必要なんかない。言えないけども。風呂のドアを見た話はともかく、男から見て凄く魅力的でそんな悩みは気のせいだって力説した。勢いに乗って「俺だったら今すぐ抱いてます」くらいのことを言っちゃったりしたと思う。気がついたら、顔を真赤にして姉ちゃんが俯いてた。「あ、兄貴は照れてるだけだって」って話を締めたけど、どうも変な褒め方をしちゃったらしい。姉ちゃんは、小さく「あ、ありがと」って言って顔をあげてくれない。そこに来てどうも自分が「あなたは魅力的です。顔は可愛くて唇はプルプルしててキスしたいしおっぱいが大きくて俺好みだし、とてもセックスしたいです」ということを必死に伝えてたことに気がついた。そこからは俺も顔を赤くして「兄貴って、真面目過ぎますよね、あはは」みたいに流したみたいにして話を終わらせた。まぁ、兄貴のことだからほんとにいつ手を出していいかなんて分かってないかもしれないとは思ってた。だって、弟もそのタイミングがわかってないわけで。ファミレスを出たら日が暮れて暗くなってて気持ち姉ちゃんが俺寄りで歩いて帰ってた。手を触れるか触れないかくらいの距離。俺は手を触れないようにビクビクしてた。その日は平日だったから、姉ちゃんがうちにくる日じゃなくて駅に向かう交差点で分かれることになった。姉ちゃんは、ちょっと顔を赤くして相談できてよかったって言ってくれた。そこからまたしばらく幸せな日常が続いてた。たまに、姉ちゃんとファミレスでお茶することが増えたけどね。話題はほんと他愛もない話。兄貴の惚気話も沢山聞かされたかな。で、2年の秋、秋休みのちょっと前ぐらいだったと思う。ファミレスで秋休みの予定を聞かれた。何でって聞いたら「贈り物選ぶの手伝ってあげる」とのこと。そこで秋休みの一日、一緒に街を回って買い物する助けを出してくれるって約束をした。家に帰ってこれってデートじゃね?ってちょっとドキドキしてみた。相変わらず兄貴は姉ちゃんとはキスどまりらしい。約束の日。兄貴は仕事に行って俺は待ち合わせの場所に向かった。待ち合わせの場所には俺よりも先にむっちゃ可愛い人が立ってた。「あ、遅ーい、待ってたぞ」姉ちゃん何でそんな可愛い格好してんの?その瞬間から、心臓バクバクいいはじめた。いつもよりちょっと赤みの強い口紅、後ろで束ねられたストレートの髪。「今日はデートだからおめかししてきたからね」っとサラッと発言する姉ちゃんに俺はどぎまぎしてあ、とか、うん、とかしか言えてない。「今日はお兄ちゃんのプレゼント選ぶでしょ? だから今日の出来事は全部秘密ね?言っちゃダメだよ。 私もプレゼント渡す日まで忘れたことにして知らん顔してるから、ね?」サプライズでプレゼントしたいって話はずっとしてたから秘密なのは分かるんだけど、ちょっといい方が気になり始めて。頭でデートって言われてから、俺ってば意識しちゃって姉ちゃんの歩き方とか振り返る姿とか見てドキドキしはじめてた。俺は全然店とかしらないから、姉ちゃんに連れられるままに回っていったけど途中から店の商品を見て姉ちゃんと話ながら、自分が凄く愉しんでた。昼も姉ちゃんのおごりでコース料理が食べれる店に入ってカチコチになりながら食べたりした。「こういう店は昼はそんなに高くないんだよ、君のお金はプレゼントに回さなきゃ」って言われて割り勘を拒否されたり。後から考えればほんとにデートっぽかったけどちゃんと時計屋でプレゼントも買えて目的も果たせた。兄貴ともこんな風にデートしてたのかなぁって考えたら胸がちょっと苦しくなった。真面目一辺倒の兄貴には、こういうのって甘酸っぱすぎるからね。プレゼントは腕時計。兄貴は、親父が昔使ってたのをずーっと使ってたんだけど流石に最近は電池替えてもたまに調子が悪くて止まってたりする。形見だから気軽に替えたらって言い出しにくかったけど姉ちゃんが、俺からのプレゼントなら喜んで替えると思うよって言ってくれたからそれに決断した。別に腕にはめてなくても時計とその時計への思いはなくならないよって。買った時、姉ちゃんは自分がもらったかのようの嬉しそうな顔してた。その顔を見ながら俺は……確実にその日の姉ちゃんに恋してた。自分の気持ちに気がついたとき、自分が信じられないという思いと爆発しそうな胸の高鳴りでわけがわからなくなった。何で、兄貴の彼女が好きになるんだよって。何ていうか、すっげー嬉しそうな笑顔で……理屈じゃなくて抱きしめたいって思いが湧いて止まらない感じ。だから「ね、もうちょっと遊んでいこ」って言われたときどうしていいか分からない変な顔になってたと思う。この人と、一緒にいたい、でも、ダメじゃんそんな気持ちって葛藤。でも、何となく海の近くの遊歩道を歩いて公園について疲れたからってベンチに座って……気がついたらこれ、どうしたらいいんだよって状態。まずは一日付きあわせてしまってありがとうございますってお礼。「どういたしまして、私も楽しかったよ」俺もすっごく楽しかったです。本気で。ほんとデートみたいだったっす。ははは。「彼女がいないって……聞いたけど……今でも彼女いないの?」居るわけない……って「こんなに面白くて、素敵なのにね」そう言ってくれる人なんて学校には居ませんし。姉ちゃんくらいだよ、俺のことそんな風に褒めてくれるの。「いやぁ、別に褒めてるわけじゃなくてほんとに思ってることだよ」姉ちゃんみたいな恋人欲しいっす。「ほんと?……年齢差が結構あるよ」好きになっちゃったら関係ないじゃないですか。「そうだよね……関係ないよね……」「好きな子は居ないの?」……「あー……居るんだ、お姉ちゃんに教えて?」……「応援できるかもよ……?」……「どんな人?」……その時の心境を振り返ってみたけど、頭がおかしくなってたとしか思えないんだ。「姉ちゃん」「え?」「姉ちゃんが好きになっちゃった」言っちゃったんだよな。しかも真顔で。「うそ……」今日、いつもと違うお洒落で朝あった時からドキドキしてた。デートって言われて嬉しくなった。店を回って話をしててとても楽しかった。兄貴のことは忘れてしまうほどに。歩く姿、後ろ姿、振り返る姿、笑顔、悩んでる顔、凄く素敵で気になって好きという感情に気がついた。息継ぎしないで真剣に話をした。姉ちゃんはまじめに聞いてくれて、悪戯っぽくにっこり笑って「ありがとう、私も好きになってもらえて嬉しい。 私もね……君が好きになりはじめてるよ。 でも、今日のことは秘密だからね……明日になったら」ちゅ「しーっ」って、気がついたら姉ちゃんが近づいてきて唇に何かふんわりしたものがあたった。キスだって気がついたのは、姉ちゃんが紅い顔を離したあと。「またね」って、言って一人でさっと立ち上がって姉ちゃんは帰っていった。俺はっていうと、5分くらいそのベンチでボーっとしてたと思う。もちろんファーストキス。好きになった人からしてもらう最高のキスだったのに胸が締め付けられる苦しさが残った。でも嬉しかった。その週末。姉ちゃんは、いつもと変わらない感じでうちを訪ねてきて、過ごしていた。秘密だっていうけど、あんなことがあったのに平然としてる姉ちゃんは凄いと思った。兄貴がいるからか、俺もその時は普通の感情でいたと思う。一時の盛り上がりなのかなって考えたりもした。でも、帰り際に兄貴が居ない間にコソッと「また、遊びに行きたいって言ったらいく?」って聞かれたとき、秋休みの1日を思い出して体中にゾクゾクって震えがきた。コクコクと頷く俺に「じゃ、次の祝日、また前と同じとこに」ってそっと告げて、姉ちゃんは帰っていった。もう、その時の頭の中はまたパニック。姉ちゃんの真意は?兄貴との関係は?兄貴はどう思ってんの?罪悪感はありながらも、祝日になると兄貴を仕事に送り出して俺は姉ちゃんに会いに行く。祝日は、兄貴が仕事だから俺だけ休みになってる。姉ちゃんも祝日は休みらしい。祝日のたびに姉ちゃんとデートを重ねる生活が続いた。デートをしてる時は、姉ちゃんは俺だけを見てくれて俺は姉ちゃんを独占している。でも、何回デートしても俺の心の隅に兄貴のことが残ってる。でも、でも、姉ちゃんの前にはそれが出せない……秋が終わって冬が来てクリスマスは流石に兄貴も休みを取って三人で祝った。三人でいる時の姉ちゃんは兄貴のことをすっごく優しそうな目で見ていてぞっこん惚れていることが分かる。そこで二人から宣言された。「来年の春に結婚しようと思う」と。式場の予約とかはもうしているということだ。婚約してから2年と結構長かった気もするけどようやく名実ともに夫婦になるらしい。俺は、凄くいい顔でお祝いを言えたと思う。だって兄貴と姉ちゃんが幸せになるんだから。と、そこで姉ちゃんがウィンクをしているのに気がついた。あ、ああ、プレゼントか。忘れてた。って、姉ちゃんその合図はあまりにベタ過ぎないか……俺が結婚祝いのプレゼントって包を兄貴に渡したらなんか不思議そうな顔をして、そのあとくしゃっと顔を崩していきなり泣き始めてやんの。おいおい、プレゼント開ける前にかよ。そうそう、開けてくれよ。……時計……ボロボロになってたろ?兄貴ってば、そういやボロボロになってたなぁ、ちょうど良いわ、ありがとな、ありがとな、って言いながら俺に抱きついて来やがった。兄貴の肩越しに姉ちゃんを見たら、右手でグッと親指を立ててきた。姉ちゃんのおかげでもあるよ、ありがとう。って、兄貴胸が冷たいって泣きすぎだろ。え?兄貴の肩も冷たいって?しるかよ……何でかその後、三人ワンワン泣きまくった。俺も兄貴も声にならないから、姉ちゃんがこのプレゼントは俺がバイトした金を溜めて買ったとか説明してくれたら兄貴もっと大きく泣き始めちゃって、どうしようもなくなった。ひとしきり泣いた後、兄貴はしみじみと俺も大きくなったんだなぁって納得?してた。そりゃ大きくなるわ、もうすぐで大学生だからな。落ち着いた後、三人でお茶を飲みながら「嬉しい時は泣かないで笑おうや」って話をした。泣くと何か話ができなくなっちゃうもんね。これで春からは、三人で暮らしていくんだなぁって実感が俺に湧いてきたんだけど……帰り際に、姉ちゃんがまた言ってきた。「初詣に誘ったら行く?」三人で?ううん二人で……断れなかった。年が明け、もちを食べ、年始番組を見て元旦を過ごし……年明けの3日、俺はいつもの待ち合わせ場所に向かった。……まだ来ていない。まぁ、待ち合わせは初回以外は俺が先にくるように気をつけてるんだけど。結婚決めた後に、姉ちゃんが自分を呼び出す意図がいまいち理解できないものの誘われたら必ず遊びに行ってしまう俺は弱い人間だろうな…………ああ、でも。今日もとことん可愛い。向こうから歩いてくる振袖姿は、洋服とは違った可愛さがある。年上に可愛いって、何か変な気分だけど可愛いんだから仕方がない。姿を見るだけで胸が締め付けられてしまう。神社にお参りをして、お賽銭。ぱんぱん……何て……願いをかけよう…………姉ちゃんと兄貴の結婚が上手く行きますように…………と俺の恋を何とかしてください……いい加減な悩みを神様に押し付けてしまった。「どんな願い事したの?」ベタに聞かれたので願い事のはじめ半分を答えた。「あらら、優等生だね」って、当たり前じゃないか。神社の人ごみは結構多くて、気がついたら俺は姉ちゃんの手を引いていた。流れにそって歩いてたら神社の裏側に出てて、表通りに戻らなきゃってことになった。正月の裏通りって、店がしまってるからちょっとさびしいんだよね。姉ちゃんは、引いてた手をほどいて腕を絡ませてきた。「何かちょっと寂しいとこだから……ちょっと、ね?」裏通りって、色んな店があるけど……たまにあるんだよね。ラブホみたいなとこ……そういうとこに限って正月からバッチリ営業してて顔を逸らしながら……歩いていく「あっ」石畳に足を取られて姉ちゃんが急に転んでしまった。俺が手を差し出す暇もなく「いててて……あ……」まさかベタに鼻緒が切れたりしたとか……って思ったけど「やばい……中の……ずれちゃったかも……」腰の所に手を当てている何がずれたんですか?「中の腰巻っていうか……そういう布が……」まずいですか?「ずれて落ちちゃいそうになってるかも……」不安そうに周りをキョロキョロする姉ちゃんにつられて俺もキョロキョロ……やばい、やばいよな、絶対やばい……あそこだけは「ごめん、ちょっと巻き直したいからあそこに……」ラブホだった。あんなとこ入ったら俺何するかわかりませんよ。でも、このままじゃ帰れない……一人で……そんなの無理だよ……たまにポツリポツリ通る人も怪訝な目で見てきてる。これは、これだけはダメだって。「ごめん、お願いっ」ギュっと手を掴むとぐいぐいとホテルの入り口に向かって歩き出す姉ちゃん。逆の手では腰を押さえてる。「ごめんね」部屋について、姉ちゃんは謝った。別に謝られるほどの事はされてないし謝らなくても……俺は人生初のラブホで別の意味でウキウキしてた。キョロキョロしてると姉ちゃんに言われた。「初めて?」もちろん「だよね……私も実は初めてなんだ、ちょっと興味があったんだよね」と舌を口の端から出して笑った。それを見て俺の気もふっと緩んで、「案外普通の設備なんだなぁって」「え、普通ってなに、どんなの想像してたの?」えーっと、ベッドはまずヌルヌルでお風呂はガラス張りボタンを押したらベッドが回転し始めて……笑ってます?「だって、あんまりにもエロ小説みたいな設定なんだもん」ふふふふふ笑われてしまった。あ。笑った拍子に姉ちゃんの着物の裾から布が落ちてきた。「あ、とうとう落ちちゃった」帰る途中で無くてほんとよかったですね。確か着物って下着つけない出来るんだよね。じゃ、もしかして今この着物の下って布が落ちたから……そんなことをチラッと考えたら……ああ、何やってんだ俺。いや、俺の息子は……ズボンを突き破りそうな勢いで勃起を始めてしまってた。ごまかすようにベッドに腰をかけたけどその動きで逆に気づかせちゃったみたい。「わ……ちょっと、何……それ……」言い訳できないからじっと俯いてたらふっと目の前が暗くなって、顔をあげたら目の間に姉ちゃんの顔が。ちゅ……ぅ初めてした時よりもゆっくりと潤んだ目の姉ちゃんが唇を重ねてきた。頭の中で広がるのはハテナばかり……驚いた顔の俺を姉ちゃんはベッドにゆっくり押し倒してきた。「着物……崩れちゃった」確かに着崩れてしまってて……これじゃ表を歩けない。「着せ直して欲しいな……」ね、姉……さん?絶対、着せ直して欲しいって目じゃないけど……そもそも俺の下半身がうしていいかわからないくらい勢いづいてる。「凄く好きになっちゃったんだよ……君が……」もう言い逃れできない事を言っちゃってる気がする。ああ、俺だって好きだよ。でも今この場でこれがただの性欲じゃないって断言できる自信はまだない。何より童貞にこの場面の切り抜け方なんて分かるはずもなく。ぐいっと体を更に俺に乗せてきた姉ちゃんはその勢いでまたキスをしてきた。今度は舌を絡ませて。その瞬間頭の中の何かがはじけ飛んで、自分の舌を積極的に姉ちゃんに絡ませ始めた。姉ちゃんはそんな動きに一瞬ビックリした目をしたけどその後は気持ちよさそうに目を閉じて舌を猛烈な動きで絡ませてきた。もう止まらない。俺だって17歳。性欲は人並みにある。いや、人並以上かも……着物の帯に手をかけた。チラッと目をやると裾はもう、太ももがチラチラ見えている。帯に手を掛けるとクイッと力を入れてみた。緩んでいたからだと思うけど、シュルシュルっと帯は緩んで着物のあわせの所が開いて下が見えるようになった。そこで一旦姉ちゃんは唇を離して顔を見たけど何も言葉は話さず、っていうか何もしゃべることなんてない。顔を見たら俺だけじゃなく姉ちゃんも止める気がないことが判っちゃったから……無言で着物の内側に手を入れて肌をまさぐる。着物の内側は裸じゃなくて、もう一枚肌着のようなものを着ているようだ。でも、背中を撫でる度にくぐもった声で、きゅん?みたいに姉ちゃんがピクッと反応する。くねくねと反応しながら姉ちゃんは俺の服に手をかけた。プルプル震える指先でボタンを外していく……それが途方もなく愛おしくて、顔を捕まえて激しくキスをしたりした。キスに対しても嫌がるわけじゃなくただ激しく求め返してきてくれる。もう遠慮なんてなくなってた。ずっと近くに感じられた。姉ちゃんが俺の上半身を脱がしている間に俺は着物を肩から後ろに落とし中の肌着の結びを解こうとしている。手が震えるのは肌着の繊維の隙間を通してその先にあるものが目に入っているからだ。おっぱい。おっぱい……だな。下を向いているから若干下がってきているそれが見える。触ってみたいという思いを殺して、今は結びを解いている。ふさ……外れた。肌着の前合わせが解けると……姉ちゃんの胸が俺の上に落ちてきた。「あ」とその時だけは姉ちゃんも声を上げて目の端に恥ずかしさを出したみたい。でも、俺は出てきたおっぱいに対して躊躇なく手を伸ばした。「ぁ……」さっきまでよりもっと艶やかな声が姉ちゃんの口から漏れてきた。手で感触を確かめていると、声を殺して姉ちゃんが反応している。「ん……ん……」それが更に俺の興奮度を高めて……こんどは背中をぐっと抱いておっぱいを口に近づけた。ちゅぷ「ひぅっ」声を殺していた姉ちゃんの喉から声が出てきた。その声を聞いて更に興奮した俺はめちゃめちゃにおっぱいを乳首を舐め回した。今度はもう声を殺さないで姉ちゃんが、気持ちよさそうな声をだす。「はぅん、はうんっ、あ、あ、あぅ……ん……う……ふぁっ」着物を腰のあたりに回しているだけの姉ちゃんが壁に向かい、天井に向かって、俺に向かって喘いでた。こっそり手を股間に持って行くと薄っすらとした毛の奥からちょっとベトっとした液が滴り落ちてきている。「だ、だめ……あ、あ……」首を振りながら、唇は俺の口、鼻、額を求めてベロベロに舐めてくる。頭をがっしり掴まれて、大きなおっぱいの谷間、乳首、乳房に押し当てられる。全然ダメじゃないじゃん……余すこと無く俺は舌で舐め続けて、姉ちゃんの喘ぎ声を途切れさせない。腹にまたがった姉ちゃんのせいで俺の腹は熱いネバネバした液がべっとり。俺はたまらず自分のズボンに手をかけ一気に下ろした。ぐにゅっとした感触で、押し込められてた形が天井に向かって伸びる。そこで姉ちゃんは、俺があとトランクス一枚と気づいたみたい。体を足の方にずらして、俺のトランクスに手をかけた。ちょっと躊躇った後に、期待するようにゆっくりずらして…………見ちゃった。ポロンと言う感じで、姉ちゃんの目の前に俺のちんこが飛び出した。その事実に興奮し更に固くなるのが分かる。「少し震えてる」そうだ。ちんこに力が入りすぎてピクピクしちゃってる。トランクスが脱げた。でも、どうしていいかわからない。姉ちゃんに任せようと思って姉ちゃんを見ると。舌をペロリと出しながら「ごめんね、私……したことないからどうすればいいかわかんないの」どうしようって、やめようかって動揺を顔に出した俺を見て。「たぶん、大丈夫……ゆっくりやれば」ってお姉さん的なゆとりを出そうとしたっぽい姉ちゃんが右手で俺のちんこを掴み、ゆっくりと自分の股間に導いて腰を下ろしていった。「んぐっ……」ぬるっとした後、入り口付近でちんこをぐっと押し返す感触がある。姉ちゃんは痛いんだろうか……え、初めて?って俺でいいの?とか考えているうちに、ぐっと姉ちゃんが押しこむようにしてえ、っと思った時は、にゅるりって、包み込まれたと思った。入ったんだった。俺、その瞬間童貞じゃなくなった。というか、避妊してない。「えへへ……これで処女卒業しちゃった……」ビックリした俺の顔を勘違いしたのか「……変かな……この年まで処女って……」いや……そういうコトじゃなくて……この瞬間兄貴の顔が一瞬よぎった。萎える周期に入りそうな時、姉ちゃんはこんな風に重ねてきた。「……君にあげれて……ほんとうに良かった……」後悔してないのって聞いたら「するわけないじゃん……だって、君が大好きになっちゃったんだから」ほんのり照れが混じった笑顔でそう言われたら覚悟決めるしか無いかと思っちゃった。この人を一生守ろうって。その後、実はよく覚えてない。夢中で腰を振ったら気がついたら射精してて、でも全然萎えてなくて姉ちゃんは姉ちゃんで俺の背中に回した手でおっぱいを押し当てて潰しながら多分なんどかイッたみたい。も、挿れたまま射精を3回した。3回目は一緒にイケた雰囲気があったからそこで腰の動きを止めた。姉ちゃんも限界だったみたいで俺の上に倒れてきた。「やだ、もう恥ずかしすぎる……」って、荒い息をしながら姉ちゃんが耳元でぼそぼそしゃべってきた。俺と結婚してくれ。って、耳元で返した。少し黙ってたけど。姉ちゃんは何か考えたあとに「おばちゃんだよ……」ってそれだけ答えた。拒否はされてないんだなって思った俺は。幸せなおばちゃんにするからって言ってみた。姉ちゃんは「あほぅ……」って、言ったと思うと体を持ち上げてゆっくり唇をあわせてきた。「よろしくお願いします」って。その後は、ちょっと休んだ後二人でお風呂に入って体中綺麗に洗いっこして湯船でゆっくりあったまった。1回セックスしただけで結婚申し込んだり受けたり変な関係だと思ったけどこの人しか居ないって気持ちがどんどん強くなっていった。駅で別れたあと、家に帰るときずっと気になってたことを兄貴に確認して、報告しないとって覚悟決めた。家に帰ったら、兄貴は仕事から帰って居間でくつろいでた。色々引き伸ばしても仕方がないから、帰って居間に入った瞬間に確認してみた。思った通りだった。そして、彼女と結婚したいという気持ちを伝えた。「そっか、お前も結婚考える歳になってたか……」「年上になるけど大丈夫か……ってそれくらいのことはしっかり考えた上だよな」「お前は俺の自慢の弟だ……幸せにしてやれよ」兄貴の答えは凄くシンプルに俺を祝福してくれるものだった。俺は泣いた。いつまで経っても俺の幸せは兄貴のお陰で手に入ってるって気づいた。そんな訳で、俺と嫁の結婚式が先月末に終わったんだ。結婚式は、俺の結婚式と兄貴の結婚式を合同であげた。挨拶も変則的な順番で、義姉さんには俺が「兄貴をよろしく」って言うと義姉さんが俺に「妹をよろしく」って返してくる。そしたら嫁は兄貴に「ふつつかな姉をよろしく」なんて言いやがって兄貴は兄貴で「自慢の弟を支えてやってください」なんてこっ恥ずかしい返しをした。新居についてはしばらく4人2世帯で暮らそうってことで4人で1戸建てを借りた。引越しが片付いたあと新婚旅行に出かけて2組とも新婚旅行から帰ってきたばかり。結婚式前に聞いた話じゃ、兄貴は、はじめから義姉さんとすりかわって義姉さんの妹が俺と出かけてるってことを聞かされてたらしい。二人共、俺達がくっついたらいいなぁって思ってたんだと。全く、何から何まで兄貴のお陰、一生頭上がらない。まぁ、家で4人で居るとき兄貴より先に童貞卒業しやがってって責められるくらいは仕方ないかな。嫁も義姉さんに同じように処女卒業を責められてた。定番ネタになるかもしれない。まぁ兄貴と義姉さんも新婚旅行でとうとうヤッちゃったらしくアレは凄い、と兄貴らしくない感動を詳しく語りはじめちゃったりして義姉さんがその横で真っ赤になってるのはいいみものだった。 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