牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 07:12
会社の忘年会兼慰安旅行から帰り、しばらくは年末の仕事の忙しさに追われていました。 仕事中はそうでもないのですが、休憩時間や自宅に戻って妻の帰りを待つ時など、叔父と妻の痴態を覗き見たあの夜の光景が頭を過ぎります。 私が一人で夕食を食べている今も、妻は叔父に抱かれているのでは・・・そんなことを考えると、自暴自棄になったりもしました。 そして、夜、妻と隣同士ベッドで寝ていても、なんだか自分の妻という存在ではなくなっているような…遠い距離を感じるのです。
気がつくと、夫婦の営みにも変化がありました。 もともと性には淡泊な妻ですが、週に一回のペースで行っていた営みが、 「疲れたから・・・」とか、「ごめんね。お口でいい?」と行為自体を拒まれ、最近妻の体に触れたのが何時だったのかさえ思い出せないほどまで激減していたのです。
妻にしてみたら、叔父との行為で精一杯なのか、それとも、叔父との関係で汚れてしまった自分を、夫に抱かせたくないのか。 妄想だけが益々膨らみ、叔父に怒りをおぼえつつも、何も出来ない情けない私でした。
年の瀬が押し迫った、ある夜でした。 その日は、私より早く帰宅した妻の手料理を久しぶりに食べ、二人で床につきました。 私は「久しぶりに、どう?」との問いかけに、「ごめん。疲れてるの」といつもの返事。 それでも、私が少し強く求めると妻は応じてくれました。 私は妻のベッドに入ると、久しぶりに妻の温もりと甘い香りを堪能し、唇を重ねました。 小ぶりな乳房に手を沿えやさしく揉みしだく・・・。 すると、妻から積極的に舌を絡ませ、濃厚なキスが始まり、互いの唾液を絡めとります。
私は、乳房を弄びながら、その先端にある乳首を軽く捻ると、「うぅ・・・」と、こもった声を漏らす妻。 妻の唇は私の唇で塞がれている上、もともと、乳首が弱い妻は、指の腹や舌で転がして刺激してやると、体が反応するようです。 唇を開放してやると、微かな吐息が漏れ、妻は私と目があうとニッコリと微笑んでくれました。 薄暗い灯りの寝室で、聞こえてくる妻の息づかい。 そして、微かに漏らす喘ぎ声。
恥ずかしいのか、私の前でも淫らな声は滅多にあげることはありません。 3年間の交際の後、7年連れ添った妻の身体は、子供を授かっていないのもありますが全く崩れることはなく、華奢な身体をよじるように震え悶える姿を見て、いっそう妻への愛おしさが増しました。
しし、その思いを打ち消すかのように、あの慰安旅行での光景が脳裏にやきついているのです。 「叔父は、澄江のこんな姿まで見ているのか。くそっ・・・」
私は吐き捨てるように呟きました。 妻を愛人のように扱う叔父。そして、ここにあんな汚い物を・・・。 中指を淫裂の奥へと差し込むと、クチュ、クチュ、と卑猥な音が漏れ、ぬるぬるとした感触が指にまとわりついてきます。 襞の内側を指の先でくすぐるように刺激すると、妻の腰が自然にせり上がり、太腿がブルブル震えるのがわかります。 顔はのけぞり、息苦しそうに「んっ・・・あっ・・」 と声が漏れます。
私は妻の両脚の間に割って入り、そしていよいよ挿入しようとした時に、妻から思わぬ言葉をかけられました。
「ねぇ、ゴム付けて・・・」
子宝に恵まれない私達は、いつでも受精できるようにと考えて、セックスは必ず生でしていました。 結婚してから、妻の膣内以外に射精した事が無い程です。 その妻が、ゴムを付けてと、ベッドの引き出しからコンドームを取り出して言うのでした。
「子作りは計画的にしていかないとね」 取ってつけたような理由を並べて、妻は私にゴムを付けさせました。 叔父とは生で入れていたはず・・・。 妻の行動にどんな意味があるのか、考えずにはいられませんでした。 妻に初めてコンドームを付けてと言われた夜、それでも私は妻を抱きたくて、コンドームごしのセックスをしました。 それまで感じていた妻との距離感が、爆発的に広がっていくのを感じた時でもありました。
私は完全勃起の状態を保てず、かろうじて挿入しているような状態でした。 そんな状態ですからなかなか果てることもなく、妻には、 「すごい、今日はずいぶん長持ちね・・・」などと見え透いたお世辞まで言われる始末でした。
その夜から、私は妻を抱く気にもなれなくなり、夫婦の営みが途絶えてから、約1ヶ月程過ぎた平成16年の1月下旬の事です。 叔父が新年会を開催するという事で、叔父の屋敷に会社の主だった社員が集まり、酒宴が開かれました。
その日妻は、新年会の準備を任せられているからと、朝早くから叔父の家に出かけました。 私も叔父から参加するように言われており、夕方になって叔父の家に向かいました。
叔父の家に着くと、ガレージには叔父の高級外車と妻の軽自動車が、並んでいます。 敷地内には、他にも2台の車が止まっていて、社員がすでに来ているようでした。 インターホンを鳴らすと、叔父がすでに酒の入った様子で陽気に出迎え、私はリビングに通されました。 先に来ていた社員と挨拶をかわしソファーに腰掛けると、妻がキッチンの方からやって来ました。
妻は少し露出度が高いかな・・・と感じるような、体の線がはっきりわかるワンピースを着ていました。 朝家を出る時はごく普段着の格好をしていたはず。 なぜ着替えたのか・・・いつどこで着替えたのか・・・そんな事が頭に浮かんで離れませんでした。
妻は忙しく働いて、酒を用意したり、つまみを作ったりと、私に軽く声をかけた以外は、私のそばに来る事さえ無い状態です。 その後、ぞくぞくと社員が集まり全員で15人位いたように記憶しています。
酒宴が始まり女一人の妻はホステスのように、社員達の間を酒を作ってまわり、卑猥なジョークを言われては顔を赤らめるという、以前接待の時に見た姿を思い出すような、哀れな状態でした。 私は少し気の合う社員が隣に座った事もあり、勧められるまま酒を飲み、宴半ばには結構酔っ払っていました。 叔父をはじめ他の参加者達もだいぶ酔っ払ってきました。
妻への卑猥なジョークは、止まるどころかエスカレートする一方で、ついには体に触れる者まで出る状態でした。 男二人に挟まれて座っていた妻に、 「澄江さんはなんだかいい匂いがするなぁ…」と、一方の男が髪を手に取り顔を埋めたのです。
すると片方の男も妻の内股に手を滑らせて、 「いや、匂いもいいけどこの感触が、またたまらないでしょ…」と、手を放すどころかしつこく撫で回し始めました。
妻は体をよじり愛想笑いはしているものの、かなり嫌がっている様子でその視線は、私にではなく叔父に注がれているようでした。 妻の体に触れている二人に対して、そして何故かそんな状態で、夫である私ではなく叔父に救いを求めるような妻の態度に、怒りが込み上げて来て怒鳴り付けようと立ち上がったのですが、それより先に叔父の太い声が飛び、 「おまえら、澄江ちゃんに気安く触るな。ハメをはずすにはまだ早いだろ?」 と、先制されてしまいました。
私は自分自身が非常に情けなくなり、ソファーに座りこみました。 妻は、捲られかけたワンピースの裾を直しながら立ち上がり、そそくさとキッチンの方へ姿を消します。 叔父はニヤニヤしながら、妻の体に触れていた二人に、罰ゲームと称してイッキ飲みをさせて、また酒宴を再開しました。
私は自分が何をしているのか…どこにいるのか…それすらがわからなくなっていました。
酒のせいもあったのでしょうが、自分が見ている状況が、あまりにも非日常的で、それでいて現実的で…混乱していました。 私の隣に座っている社員は、水割りグラスを渡してくれながら、 「たしかに妾さん、男をそそる魅力がありますよね…私もやりたいなぁ…」 と、私の妻とは知らず、叔父の愛人だと思い込んでいる様子で呟きました。 私は不発した怒りと、混乱した気持ちを掻き消したくて、濃いめに作られた水割りを飲み干し、さらに何杯空けたか記憶に残らない程酒をあおりました。 どれくらい時間が経ったのか、私は寝込んでいたようです。 グラスや食器の触れ合う音で、目が覚めました。 朦朧とする意識の中でかすかに目を開けると、何人かの社員が私と同じように横たわって鼾をかいています。 壁掛時計に目をやると、午前2時をまわったところでした。 妻が後片付けでグラスや食器を手にしている姿が目に入りました。 動いているのは妻だけで、叔父の姿はありませんでした。
混濁した意識と眠気で私は目を開けている事ができず、再び目を閉じました。 叔父の声が聞こえてきます。 「澄江、ごくろうさん。おまえもシャワーを浴びたらどうだ?」 妻は 「私はいいです。片付けが終わったら、カズくん(私の事)を連れて帰りますから。 今夜は・・・」と言い掛けて、言葉がとまりました。
私はまぶたを無理矢理開けるようにし、目を開きました。 私の目に映った妻は叔父に抱きすくめられ、口唇と口唇は重なり、暴力的といえる勢いで舌をねじ込まれていました。
私はソファーに突っ伏した状態で寝ていたので、少しだけ顔を横に向け叔父と妻の様子を伺う事にしました。 大柄な叔父に抱きすくめられ、身動きのできない妻は強引にキスをされ、口が完全に塞がれたような状態です。 叔父が妻の口内を舐め回し唾液を絡ませる音と、妻の息苦しそうな嗚咽の音だけが聞こえていました。
しばらくネチャネチャと厭らしい音が響き、妻はやっとの思いで叔父の口唇を離す事に成功したようで、声を震わせながら 「お願い、カズくん(私の事)も他の人も、いつ起きるかわからないんだから、今日は許してください」 と、そんなような事を哀願していたように記憶しています。 私は酔いと、日常からかけ離れ過ぎた状況の中で、意識も朦朧としてしまい、身動きさえできず二人のやり取りを聞いているしかありませんでした。
<続く>
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