牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
去年辞めた会社での話なんだけど、需要ある? 先にスペック 俺 34歳 175cm スポーツはそこそこ現役でちょっとアニオタ 同僚女 29歳 一応部下 155cm 細めでメガネ 綺麗系だけど腐 仕事 いくつか本を出している出版関係というとこまでで。 支援thx こういうの不慣れなので、どっから手を付ければいいかわからないんだけど、 前置きうざかったら言ってくれ。俺、ROMしている時は、背景が少し詳しい方が 萌えるので。基本、チームで本を作っているのだけど、俺のパートって特殊で、 他のメンバーが手を出せない。で、すごく多忙だったんだけど、 そんな俺を見かねた上司がアシスタントに付けてくれたのが同僚女。 ちょうど今から4年前かな。 彼女のスペックは書いたとおり。 細面でちょっとつり目なんだけど、くっきりした二重。 顔立ちは綺麗系。いかにも文系女子って感じで好感だった。 特に、肩より少し長い髪は、一度も染めたことがないとかで、 つやつや黒くて柔らかい。普段は縛っていたけど、 服装によってはほどいてくることもあって、そこが結構萌えどころだった。彼女は仮に松原さんとしておく。 昼休みとか、いつも文庫本を読んでいるか、ネットをして時間を潰していた。 同僚のスイーツ系とは波長が合わなかったみたい。 当時、俺、独り暮らしで彼女もいなかったし、本読みってのがいいなぁとおもって、 セクハラ、パワハラには気をつけながら、いろいろ様子をうかがいつつ、半年ほど様子を見ていた。で、仕事はどちらかのタイミングに合わせて終えることが多かったから、 一緒に夕飯とか食べるようになった。 酒を飲むことはほとんど無かったけど、会社の忘年会で彼女が珍しく ベロンベロンになっちゃって…… 俺は2次会がうざかったので、一次会で切り上げようとしたところ、 彼女がパタパタっと駆け寄ってきて、腕にしがみついて、 「○○主任、駅まで送って下さい!」 俺ポカーン 周囲はヤンヤヤンヤ!! 仕方がないので、 (内心チャンスと思いながら)「お持ち帰りで~すv」とちゃかして、 彼女の家の最寄り駅まで。電車はどうにか体が回せるくらいの混雑。 彼女は俺の路線の途中駅だったので、とりあえず駅までと思ったけど、 俺の左腕にしがみつきっぱなしで、立っているのがやっと。 薄い胸が肘にこすれるし、支える振りして、右手で彼女の腰に手を回しながら、 くびれのあたりを楽しんでいた。髪とか椿のシャンプーのいい匂いがするし、 もう、チンコはフル勃起。もう、頭の中は、これから彼女を突きまくることだけ。 すごく細かったんだけど、タイトスカートからの太もものラインとかは けっこうムッチリしていて、細身なりの尻のボリュームもあった子だったので、 四つんばいにして尻を抱え込むように舐めまくろうと、前屈みでしたよ。 上司の立場で部下を抱くっていうシチュエーションに興奮しまくっていた。彼女に道を確かめながらマンションまで。 けっこうあるな~と思っていたら、彼女の携帯にメールが。 ごそごそ鞄から取り出した携帯を見て、 彼女、急にえぐえぐ泣き出して、なんか、酔いと合わさって会話が成立しなくなり、 マンションの前まで来ると、急に腕をほどいて、 「……今日はありがとうございましたっ!!」 オートロックを外して、マンションに駆け込んでしまった。 俺、寒空の下でポカーン よく状況が飲み込めなくて、松原さんに「大丈夫か? 何かあったの?」と、 最後の望みを繋ぐメールを送ったんだけど、返事無し。 この夜はかなり荒んで、OLものエロビデオ見て抜きまくったよ。もうちっと頑張ります。 この時の理由は、最後の最後にわかったんだけど、とりあえずここまで来て 駄目なのにごねても仕方ないと思って、それから会社では上司と部下の 線引きで付き合っていました。 やがて、ひょんなことから彼女に彼氏がいることも解り(しかも俺より年上)、 さらに半年ほど経過。本当、この間は互いに仕事以外の会話は無かったと思います。なんで、俺、ですますで書いているんだろう。 この間、彼女に感心が無かったわけではないけど、付き合いが長くなるほど、 波長が合わなくて困ったんだ。理由は簡単で、俺は基本が萌えオタで、 彼女が腐、それも筋金入りの腐女子だったから。魂の根っこが一致していない。ところが、ある日、社内メールが彼女から(デスク斜め向かいなのに)。 「○○主任、ハルヒとか読んでいるんですか?」 iPodのプレイリストがつきっぱなしになっているのを見てしまったらしい。 それをきっかけに、まぁ、深夜アニメやらなにやらの話を、2人だけの時は するようになった。会社にはそういう趣味を話せる同僚がいなかったらしい。 俺はまったく理解不能だったカップリングのなんたるかを叩き込まれ、 松原さんは、俺から進められたKey系の泣きゲーをえぐえぐ言いながら プレイしていてみたいな。そんな関係が去年の夏まで続いた。 松原さんは彼氏と続いていたし、セクハラとか社内恋愛には うるさい会社だったので、関係は発展しなかった。そのままの方が、 居心地が良かったし、リスクもないから。ところが、転機が。 別の出版社(少し大手)に勤める友人から引き抜きの話が来た。 出版不況で、頑張りほどは本が売れてくれず、現状維持がやっと。 給料を上げたければ、器を変えるしかないので、俺はこの話に 乗ることにした。松原さんを放ってしまうことにはなるけど、 彼氏と結婚を考え始めていたらしいので、いいきっかけにはなるだろうと。今思えば、俺のテンションもかなり変な事になっていた。 転職を決意していたので、会社の空気みたいなものを気にしなくなっていたんだろう。 松原さんに対してやたらと攻撃的になったんだ。 今までは「お願い」だったのが「命令」に近い感じで。 すると、思いのほか従順で、残業とかにも何も言わず付き合うし、 遅くなったときの食事を渋ると言うことも減ってきた。 それで、たまたま2人とも定時で上がれた日に、「スカイ・クロラ」を 一緒に見て、あまりにアレな出来にやけ酒だっ! と盛り上がり、 2人では言ったことのない個室の少し高級な居酒屋に、俺のおごりで行ったわけ。これまでの俺の変化と、彼女の変化から、ひょっとすると松原ってM? と思い始めた俺は、この個室でかなり松原さんを責めた。 この辺の会話は迂遠なので、尋問形式で端折る。 「松原さん、〈忘年会〉の事だけど、あれ何だったの?」 「付き合い始めたばかりの彼氏が家に来ていたんです」 「彼氏いなければ家に入れてくれた?」 「わかりません。よく覚えていないけど、彼氏にばれたら大変としか考えていませんでした」 「俺、すごい期待しちゃったんだよ。松原さんとセックス(あえてセックスと言った)出来るんじゃないかと思って」 「……そんなこと、困ります」 「いいよ、もうあきらめたから……。彼とはどうなの。結婚近いんでしょ」 「……そうでもないです」 なんでも、彼の会社の業績が悪く、 事業部移転に伴う転勤の可能性があるとんことで、それに付いていくかどうか悩んでいるとのこと。なんか暗い話題になりかけたので、なんだかんだと話を変えて、下ネタに。 このときは、何が何でも、言葉で松原さんを丸裸にするつもりでいた。 「でも、2年も付き合っている彼氏なんだからセックス上手でしょ?」 「え~……よくわかりませんよ、そんなこと」 「なんで? だって体の相性良くなきゃ、2年も持つわけないじゃん」 「う~ん、私、彼が初めてだったから……」 「!!!」 マジで!? こんな綺麗な顔してて、理想の微乳で、そのくせ、 腰から尻のラインは思いのほかふくよかな女が、26歳まで処女!!!??? ってことは、29の今でも男を一人しか知らないとな。 しかも、掘り下げると、彼のセックスもずいぶん未熟らしい。 もともとセックスの回数が少ないのと、客観的にだいぶ早い。 もちろん、松原さんはイクっていうのがどんなことか想像も付かないようだ。 婦女子特有の、基本的な男性恐怖に加え、セックスでは受け身なので、 男を射精に導いてやることがセックスだと思っている。俺は超萌えた。松原さんの返事、実際はこんな明快じゃなくて、すげー解読に苦労したおとは察してくれ。 「松原さん、フェラチオで彼を喜ばせている?」 「えっ……時々」 してんのかよ!! 「どんな避妊しているの?」 「彼が抜いて出します」 「どこに?」 「お腹とか……背中とか」バックもやんのか、こんな華奢な身体で(ハァハァ) 「顔にかけたりする?」 「一度されたけど、髪の毛について大変だったので、それっきりです」 「でも、かけたがるでしょ? 男なんだから」(んなわけあるか) 「……口と手で受け止めます」おれがイキかけています。 「飲んであげるの?」 「そういうこともあります」 もうだめだ。俺の股間がネクストバッターズサークルに入りましたよ。俺、壊れた。 「松原さん、俺ならそんなコトしないな」 「どういう事ですか?」 「俺ならそんなユルい犯し方しないって」 ここから延々、俺が松原さんを抱くとしたら、 ああする、こうすると、ソフトSMの風情を講釈。 松原さんみたいな子は、手首を縛って自由を奪って、 後ろから激しく犯すと、感じるようになるんだよ、みたいな。 俺、かなり必死モード。 松原さんも、酔いなのか恥ずかしいのか、小さくすぼめた肩に 首を引っ込めるようにして硬直しながら、伏していた目を 時々上目遣いにして、潤んだ目で俺を見ては呼吸が小刻みになっている。 決めた。今夜、この子を犯す。「じゃあ、行こうか」 「えっ!? えっ!?」 腰を抱くようにして出口を促し、クレジットで支払いを済ませ、店を出る階段に 出ると、 「あ、あの、困ります、本当に……」 つべこべ言わせる前にキスで口を塞ぐ。 うわ、すげ~やわらかい…… 少しポテッとした唇が、細面の顔の中でチャームポイント(井上和香ほどじゃないけど、顔の大きさに対してボリュームがある) だったから、むさぼり付いたとはまさにこのこと。苦しくなって松原さんの漏らす酒臭い吐息に頭が痺れ、口の中に舌を突っ込んで、唾液を吸ったり流し込んだり、 2分くらい彼女の舌を追い回して口の中を舐めまくった。もう、顎までよだれが垂れるほど。 その間、左手は彼女の柳腰をがっちりと抱きしめ、右手は尻をわしづかみにしていたよ。 チノパンの上から尻を揉みに揉みまくって…… 「だめ、だめなんですっ!!」 そう。マジバナで生理中だった。俺の手がナプキンに掛かってしまって、 彼女が我に返ってしまった…… さすがに生理でセックスは強要できない。俺は涙を呑んで帰宅し、デリヘルを呼んだよ。 「黒髪で痩せ身の子!!!」さすがに翌日から、松原さんはおれを避けるようになった。 もちろん、仕事上はいままで通りだけど、薄い幕が掛かったみたいな 距離感が出来てしまった。俺も、やり過ぎだったとは思うし、ちょっとガツガツしすぎてみっともなかったし。半ば、成り行き任せでその週をやり過ごした。ただ、退職をそろそろ会社に打ち明けないとまずいと思い始めていたころ。 松原さんに話したら完全に終わるだろうな~というのが引っかかって、 かなりイライラしていたんだな。自分勝手な話だけど。 そして例の居酒屋から1週間くらい経った平日、松原さんが作製した印刷データの トラブルがあり、俺と彼女は遅くまで残業になった。残業は珍しいことではないし、 フロアに2人だけなんてこともしょっちゅうだったから、別に誰も気に留めない。 俺は何もすることがないんだけど、消灯と施錠はかならず役職者がしなければならないから、 東風麻雀をしながら松原さんが終わるのを待っていたわけ。21時を少し廻ったくらいのところで、 「終わりました。すいません、こんなに遅くなって」 「ん、ああ、いいよ、俺がミスった時は、松原さんが残ってくれるんだし」 「本当にすいません。お腹減りましたよね」 何かがキレる。 「……ん、ああ、そうだね。じゃあ、松原さんを食べて良いかな?」 「それってセクハラですよv(目は笑っていない)。さ、帰りましょう」 彼女はドアの方に行ってしまった。やれやれ。俺は消灯して、フロアの施錠チェックをしてから、 松原さんが待っているドアの施錠を…… 「あ、すいません、忘れ物です。ハンコ、ハンコ……」 会社の提出書類に押す実印らしい。 電気の落ちたフロアの奥の方に駆けてゆく松原さん。 ここから飯→セックスって、ないよなあ……。あの時が異常だったんだ。 酒の勢いもあったし。かなりションボリしながら松原さんを待っていると、 「○○主任、パソコンの電気が落ちていないですよ」 本当だ。モニターは落ちているけど、本体がフリーズしている。フロアはぶちぬきになっていて、各部署がデスクで島を作っているような感じ。 だだっ広くて無防備なのでだけど、この頃、ちょっとしたレイアウト変更があって、 俺のデスクの近くに、パーティーションで切った小部屋が出来たんだな。 簡単な応接を置いて、打ち合わせとかに使うような。L字型になっている突出部だったので、 すこしフロアから切り離された孤立感があった。俺は、パソコンのモニターを確認するため、彼女の後ろを通りかかったとき、 反射的に抱きしめ、強引にこちらを向かせていた。 計算とか、そういうのじゃない。もう、全脳がそう命じていた。 機械的な反応だったと思うしかない。 ただ、暗い部屋で、窓から指す外の灯りで照らされる、 松原さんのうなじとほほがすごく白かったのはくっきりと覚えている。「えっ!! ちょっと、ホントに、!? え、ちょっと、やだっ! やだって!!」 俺は片手で松原さんの腰をがっちりホールドし、右手を首に巻き付けて顎を掴み、 キスをして声を塞いだ。 誰も見ていない。 俺は松原さんを抱きすくめた姿勢のまま、仮応接に彼女を引きずり込んだ。 彼女は驚きのあまり声が出なくているみたいだ。ぶるぶる震えている。 だけど、不思議と拒絶する硬さみたいなのは無かった(と思いたい)。 すごく柔らかくて、しなやかだった。「こんな、ところで、だれか、来ちゃうっ!!」 呼吸が乱れて、一息でしゃべれないみたいだ。 「いや、誰も来ないよ。鍵かけたし、みんな帰ったと思っているよ」 俺はあらん限りの言い訳を考えた。施錠に関する時間のラグは 駅から忘れ物を取りに帰ったとでも報告すればいい。どうせ辞める会社だ。 「俺、ここで、お前を犯すから」 もおう、喉からから。かすれ声しか出ない。 なんか、赤ずきんを食べる狼って、こんな声だったのかなと、アホなことを考えていた。 「だめ、だめ! お願い、お布団で、ここ! は、いや……」この状況でお布団とかいっている松原さんに萌えた。 薄手のサマーカーディガンをはがし、インナーを強引に頭から 脱がせると、グレーのキャミソールが出てきた。その下は 肩紐なしのAカップブラだ。 俺はうーうーうなりながら、キャミを背中越しにまくり上げ、 ブラを外さずに上にずらすと、乳首に吸い付いた。本当に微乳だ。 貧乳じゃなく、微乳だ。手のひらが軽く被るくらい。 こういう微乳の場合、大抵、乳首が大きかったりしてがっかりというのが あるんだけど、松原さんは違った。微乳のトップに、iPodのイヤホン位の 面積の盛り上がりがあり、そこが乳首になっている。薄い乳首だ。 暗くて色はわからない。でも、コントラストがあまりない。後日知るけど、 すこし赤みがかったピンクだった。唇と同じ、綺麗な色の乳首だったl。俺は松原さんの唇と乳首に襲いかかった。 下唇を噛み、乳首を思いっきり吸い上げ、軽く甘噛みし、また唇をむさぼった。 俺はYシャツを脱ぎ、上半身裸になった。すこし伸びかけの髭がこすれて 痛そうだななんてことを考えていた。興奮していたけど、割と冷静だった。 彼女は、小さな声で、 「いや、はっ、こんなの、いや、はぁ、怖い、いや……」 みたいなことを繰り返しながら喘いでいた。感じているというより、 状況にパニックを起こしている感じだった。 俺は、人差し指を彼女の口に突っ込んで掻き回しながら、 唾液を流し込んだ。口の端からたれる混じり合った唾液が卑猥だった。さすがに会社だし、あまり楽しんでいる余裕はない。 俺は、彼女のベルトを外し、チノパンに手をかけて、 一気に脱がした。下にはストッキング。なかなか厳重だ。 でも、ここは愛撫を楽しまず、一気に事を決することにした。 松原さんの姿勢を一回ただして腰の正面に廻り、パンティごと ストッキングを一気に?いた。松原さんの姿勢を一回ただして腰の正面に廻り、パンティごと ストッキングを一気にむいた。 「ィッ! イヤーーーーーッ!!」 声というより、喉から絞り出すような乾いた悲鳴をあげる松原さん。 俺は脱がしたパンティのクロッチのところを鼻に押し当て、 思いっきり匂いをかいだ。女独特の匂いにまざり、 少し乾いたおしっこの匂いがした。 「松原さん、すこしおしっこの匂いがするね」 彼女は握りしめた拳で丸まるように顔を隠して、嗚咽している。 「すごく、綺麗だよ。ずっとこうしたかったんだ。乱暴だけど、もう止まらないよ。大好きだよ」 おれは、彼女の手を強引にはがして、ディープキスをした。今度は、 彼女も舌で反応を見せるようになっていた。応接に彼女を座らせ、M字開脚にして、アソコをいきなりなめ回した。 毛はやや薄め、土手にはほとんど生えていない。汗とおしっこの混ざった 匂いはあったけど、それ以外、愛液は無臭だった。土手はわずかに しめっていた程度だったけど、くぱぁっと開くと、中は潤々に濡れていた。 俺は音を立てて松原さんのアソコをなめ、徐々に体勢を変えて開脚まんぐり返しにした。 彼女は手で顔を覆っていたので、それをはがして、 「しっかり見て! おれが松原さんのマンコを舐めているんだから!」 と命令口調になり、クンニを強制的に見させた。俺は、彼女を仕留めたと確信した。 ここで一気に俺のモノにしてしまおうと決め、下半身を脱いだ。 俺は開脚まんぐりのまま、彼女の左手で彼女のクリを愛撫し、右手で指を出し入れしながら、 彼女の肛門に思いっきり舌をねじ込んだ。 「きゃぁあああっ! そんなところに変なコトしないでっ! きたない! きたないです、 ! いやっ! いやですっ!」 俺は無言で舌を突き立てまくり、一呼吸置いて、彼女の反応が収まったところで、 身体を長椅子に横たえ、口のところにペニスを持っていった。 彼女の顔を強制的に横を向かせ、ペニスの先でなぞると、観念したのか、 松原さんは亀頭のカリのところまで咥え、舌を動かしていた。松原さんの綺麗なが、俺の亀頭を加えてひしゃげていた。 綺麗な唇を、俺のペニスが蹂躙しているよ。俺は夢中になって 腰を振り、充分濡れたところで、彼女に突き立てた。入り口のところで、 すこし抵抗があったけど、力を入れると、めりっという感じで根本まで入った。 ちょうどそこで、亀頭が子宮口に当たっているようなコリっとした感触があった。すまん。アク禁喰らってた。 一気にイク。 俺は夢中で突きまくった。 2人とも全裸だ。部屋のエアコンは落ちていて、すこし蒸し暑かったが、 それが体臭と愛液の匂いで掻き回されて、仮応接に漂っていた。 まんぐりの上から突き立てているので、ズリュッ、ズリュッと出入りしている。 松原さんが苦しそうだったので、正常位にして、すこしペースを落とした。 彼女は俺の腰の動きに合わせて、 「うっ! くっ!」 と、小さく嗚咽している。すこし余裕が出てきて、薄明かりの中、彼女を見ていると、 なんというか、もう29歳のはずなんだけど、身体のラインがまだ少女っぽい。そう思った途端、 急速に射精感がこみ上げてきた。 ペニスを引き抜く度に、亀頭にコリコリ当たる部分があって、そこがすごく気持ちいい。限界だ。俺は、松原さんの身体を強引に半回転させて、バックにして、むちゃくちゃ 腰を振った。彼女は苦しいのか、呼吸を止めて耐えている。バックにしてから30秒くらいか、 もう時間なんてわからないけど、あんなに夢中になって腰を振ったのは、後にも先にも松原さんだけだ。 後頭部がじんじん痺れたような感じになって、訳がわからなくなったまま、 俺は最後のストロークを打ち込むと、子宮口に亀頭を押しつけて、思いっきり彼女に中出ししていた。「いや~~……」 松原さんの中で、俺のペニスがはね回るようにしてザーメンを放出していた。 一滴も残らず絞り出すって、こんな感じなのかと、気絶するほど気持ちよかった。 俺は、余韻を楽しみながら、彼女の胸と乳首を愛撫し、覆い被さるようにして、 顔の横から強引にキスをし、さらにペニスを奥まで押し込んだ。 彼女はもう身体を支える力がないのか、消え入るような声で悲鳴を上げながら、 うつぶせになって尻を高くあげた姿勢でいた。 俺と彼女はペニスだけで繋がっている。 おれは彼女の尻を掴んで、なで回すように開いたり閉じたりして、 ゆっくりと腰をグラインドさせながら余韻を楽しんだ。 彼女の過呼吸のようなリズムにあわせて肛門がひくひくしている。 右手の親指をねじ込んでみたら、松原さんは何か呻きながら、 身をよじろうとした。俺はぼーっとした頭の中でペニスを引き抜くと、応接の灯りを付け、 携帯で彼女を撮りまくった。赤く爛れたようになった松原さんの 半開きの膣口から、白濁したザーメンが内ももをつたって流れていた。 俺がしている殊に気づくと、彼女は身を丸めて抵抗したが、 強引に撮影しているうちに、あきらめたのか、 おとなしく要求するポーズをとるようになった。 最後はフェラで掃除をさせながら、動画を撮った。 以上です。 この後、彼女のマンションに行くんだけど、それはスレチだしね。 こんな時間まですませんでした。だらだらキレの悪い文章で。 さすがに眠い。仮眠します。質問あったら、適当に答えるけど、 需要あるかな? では。<<117 言葉にしたのは初めてなので、セックスが始まるとエロ小説みたいになってしまいましたが、 やったことは実話です。思い出しながら整理していたらこんな感じの文章になってました。 「お布団で」以外、ほとんどこのときの松原さんの言葉は覚えてないです。 123 124 ここでいいなら、ここで続けます。 125 「恭介」でお願いします。すんません。 写メはupできないです。マンションで松原さんに消されたので。 1200に出かけるので、それまではいます。俺も稲葉まちですが、こちらに誘導されたので続けます。 動画を撮りながら、だんだん賢者モードに……というか、後始末にものすごく焦った。 感情的な暖機運転は居酒屋で済んでいたと思うんだけど、今日だけのことだけ切り取れば、 ●姦……になっちゃうのか、これ……松原に訴えられたら、俺、オワリ?? そんな恐怖がリアルでぐるぐる。 ただ、もう、やっちゃった以上、強気で行くしかないので、ティッシュで彼女の後始末をし、 仕事上の命令口調みちゃいな感じで服を着させて、フロアを出た。ティッシュはコンビニ袋に入れて持ち帰った。 やってたのは20分くらいだったけど、後始末の10分がすごく長く感じた。 トイレでグチャグチャの顔を整えた松原と会社から出て(誰にも会わないよう祈りながら)、 タクシーに彼女を押し込んだ。今夜のこと、フォローしないとまずいってことばかり考えてた。チキン……タクシーでの会話は無し。ただ、松原の膝に手を置き、ずっと強く手を握りしめていた。 エントランスで、俺を入れるかどうか、ためらう様子があったけど(なにか口ごもっていた)、 俺はさも当然という顔をして、松原の側を離れなかった。 彼女、シャワーを浴びて着替えしたいと言って、ユニットバスに消えていった。 1Kで、キッチンには2人用の小さなテーブル。 独り暮らしの女の地味な部屋。3畳分のユニット畳があって「お布団」が畳んである。 ちっちゃな机の上にはボーナスで買ったと喜んでいたMacbookAir。書棚にはデザイン関係の本と、 小説がぎっしり(BL混ざり)。 「あ~、松原らしい部屋だなぁ~」と妙に納得した。家捜しは……変態過ぎて出来なかったけど、 シャワー音がしている間だけ、携帯は覗いちゃいました。ゴメンナサイ。喉がすごく渇いたので、コンビニで酒でも買って来たかったけど、その間に部屋から閉め出されたら…… テンパっていたのか、これからの未体験ゾーン@修羅場を前にビビっていたのか、 そんな枝葉ばかりグルグルまわってた。ユニットバスから聞こえる音で様子はだいたいわかるけど、 泣いたりはしていなかったみたいだ。 中出しした精子を掻き出したのかな……相変わらず、ズレたことばかり考える自分にちょっと嫌悪。 とりあえずキッチンに入って水を一杯飲みかけたところで、松原が出てきた。ざっくりと大きなプリントTシャツに、黒のスパッツ、 真っ黒な髪はほどいて濡れてほどいたまま。当然、メガネはしていい。 無防備になったのか、どうでも良くなったのか、あるいはもうそういう関係??? 目のやり場というか、目線の作り方に困った俺を無視するように部屋に入り、 クッションの上に座り込んで下を向いている松原。 スパッツが作る絶対領域に目覚める何かで、俺の中の賢者が死にかけた。 俺はコップの水を飲みきると、ローテーブルを挟んで、彼女の真正面から 少し左にずれたあたりにクッションを置き直して、腰を下ろした。 「エアコン付けますね」 と松原。 なんだかんだ、部屋の暑さに気づかないくらい、俺の方が緊張していたみたいだ。 会話はない。何を言えばいいかわからないけど、最初の一言が決定的な流れを作ることだけはわかっていた。 でも、俺は、この先、どうしたいのかわかっていなかった。嫌、何も考えていなかった。 フロアでのことが計算外だったし、同意の上での関係とはとても言えない。 どうやって、穏便に和姦で軟着陸するかを左脳で考えつつ、松原の女子高生みたいな 湯上がり姿に右脳はプラズマスパークを発し始めていた。「やりたい……」 「……どうして、あんなことをしたんですか……」 そう言って、松原はハラハラと泣き始めた。えづきながら、軽く握った両こぶしで目をこすりながら、 しゃくり上げるように泣きはじめてしまった。 俺、死ねばいいと思う。というか、誰か殺してくれ。●姦がどれだけ女性を傷つけるかって事は、もちろん知ってはいた。 さっきのことは、俺の中では居酒屋から連続していたつもりで、ずっと正当化の理由にしていたんだけど、 あの時は酒の勢いもあったし、それにホテルなら合意の元ではあったけど、今日のはしらふで力ずくだ。 だんだん怖くなってきた。 彼氏がいることを知っていながら、職場の力関係の中で無理矢理抱いて、3年も一緒に仕事してきた 部下を性欲処理に使った。最後は中出しだ。何一つ、言い訳できない。 自分でも青ざめてきているのがわかった。泣き出してしまった松原を見て、 始めて、自分がしでかしたことの恐ろしさを思い知った……(何をいまさら) 彼女はずっとうつむいたまま、泣きじゃくっている。 何か言わないと。ずっとそう考えていて出た言葉が、 「松原さん、俺、会社辞めるんだ」 空気が凍り付いた。 あまりに馬鹿野郎な事を言ったことに気づいて、自己嫌悪ではらわたが腐るような気分になった。書いてて辛くなってきた……自分で泣いてどうする!! 「俺、会社辞めるんだ」 松原は、顔を少し上げて俺を見返してきた。両手の握りこぶしで口元を塞ぐようにして、 真っ赤な目をまん丸にして、わなわな震えている。 完璧に、俺、地雷を踏んだ。 こういうの二度目だ。結婚の約束をして、結納まで一週間だったのに、 マリッジブルーから救い上げてやれなくて、一晩中泣かれて、別れを懇願された元カノの姿がよぎった。 駄目だ、俺、本当に。こうやって大切な人間関係をメチャメチャにしながら、 自分の尻尾を追い回す馬鹿な犬みたいに同じところをグルグル回ってるんだ…… 松原は、ギュッ 、ギュッと目をしばたくと、ローテーブルに突っ伏して泣いた。 「わーーーーーーーっ!! あぁーーーーーーーっ!! わーーーーーーーっ!!」 今までの抑えた泣き方じゃない。本当の悲鳴だった。こういう時の感覚ってわかるかな。 もう逃げ出したいくらい、今の自分の立場が悲惨なんだけど、 絶対に逃げられない。考えがまとまらなくて途方に暮れている自分を、 斜め上から見下ろすような、妙に客観的で後頭部がジンジン痺れるような感覚。 人を呼ばれてもおかしくないような声で泣き続ける松原を前に、 俺は、なんか、もうめちゃめちゃだった。 正直、マンションに通されたときは、なんだかんだで、 「あんなことしたんだから責任とってくださいねv」 っていうお気楽な展開もありかな。割と本気でそんなことも思ってたんだよ。 だって、そんな体験談、多いじゃん。 なのに、こんなの、俺の貧弱なマニュアルでは手に負えないつい1時間前は、俺、目の前の女を会社でマッパにして、 唾液飲ませて、まんぐりしたり、肛門に舌突っ込んだり、 フェラチオさせて、バックにして中出しまでしてたんだぜ。 完全に主導権握った。俺のモノにした。そんな馬鹿みたいな優越感に溺れていたんだ。 なのに、賢者になったら急にビビリが入って、主導権どころか、松原に首根っこ抑えられている。 惨めだ。一番傷ついたのは松原だよ。そんなことわかっている。 けれど、抱き方を間違えると、こんなことになっちまうのか? 1時間前に戻って、俺は俺をぶっ殺したい。俺、ネクタイを外して、松原に近づいたんだ。どうしても21日までに片付けなければならない仕事があるので、連投できない。 会社編はアク禁喰らって時間が掛かってしまったので、根を詰めずに行かせてくれ。 さすがに泣き疲れたみたいで、悲鳴みたいな声は上げなくなったけど、 間歇的に乱れるような感じで、突っ伏したままでいる。 一瞬、帰っちゃおうかなみないな逃げ腰になりかけたヘタレ。頭痛も酷くなってきた。 でも、自殺とかされたらと思うとこのままにもしておけず、ぐるぐる考えながら松原を見ていた。わなわな震えている黄色いTシャツ越しの肩とか、腕とか、 こいつ、こんなにか細かったんだ…… 会社じゃ無口キャラに近かった。同期はみんな辞めてしまっていて、 メインの女性陣よりちょっと年齢が上だったから、距離を置かれていたみたいだ。 それに、腐女子だったし。そりゃ、スイーツ系の本作っている連中とはあわないよなぁ。 かといって、俺みたいな泣きゲー好きとも、一致するわけではないんだけど、 最大公約数の会話はできたし、オススメの新刊なんて話も良くしていたから、 彼女なりに俺には馴染んでいたと思う。俺も、彼氏がいることがわかってからは、 結構、余裕を持って相手していたし。だけど、退職を決めてからは、俺、彼女には横柄になって、あまり気遣いしなくなったし、 それが行き着いて今日みたいなまねをして…… 松原からは、どういう男に見えているだろう。というより、どう見えていたんだろう。 退職することを知った後では、持っている感情が違っているはずだ。だって、泣き方まで変わるんだもの。 退を決めた途端、部下でも性欲処理に●姦まがいのことをする最低野郎…… それしかないよな。間違えたって、いい方向に向かうような空気じゃない。 それでも、今は他に方法が無くって、俺はネクタイを外して首を楽にすると、 松原の隣に行って、肩をそっと抱きしめたんだ。拒絶されることがわかっていても、 そうする他は考えられなかった。俺の気配で、彼女が身を固くしているのがわかった。そりゃそうだ…… 右手を右肩に廻し、左手を左肩に添えるようにして抱きしめた。 あんなことしておいて今更だけど、出来る限り優しく、だけど手のひらには力を込めて抱きしめた。 松原は、そのままの姿勢で、呼吸を整えようとしていたみたい。どれくらい時間がかかったか、 5分くらいかな。ゆっくり身体を起こすとTシャツの裾をぎゅっと握って腕を突っ張って、 肩の間に首をすくめるようにながら真下を向いていた。首が痛くならないか心配するくらい、真下を向いていた。 そのまま身じろぎしないので、そっと左肩越しに彼女をのぞき込むと、涙が鼻をつたってハタハタ落ちる涙で、 黄色いTシャツの裾が濡れていた。手のひらと腕も、涙でびっしょり濡れていた。 俺も泣きたかった。<なんの資格があってだよ!「……ゃです」 え? 「いやですっ」 はっきり言われた。 俺、手の力ゆるめて彼女を離した。 はぁ~、そりゃそうだよな。どうしよう。 つくづく最低なんだけど、明日の会社のことばかり心配していた。 俺はどうだって良いんだけど、彼女がこのままじゃ、絶対におかしいことになるし。 本当に途方に暮れていた。俺、どうすればいいんだろう。 いっそ彼氏呼ぶか? <お前、死ぬ前にぶたれた方がいい。うんと強くね。 突然、彼女が上半身だけすこし俺の方に向けて、俺のYシャツのヘソ上辺りをぎゅっと掴み、 「いやです……いやです……」って、かすれるような声でしゃくり上げながら…… 何? 何なの? 何なんだよ? この展開? 今度は俺がパニック。Yシャツを掴んだ手を何度も下に引っ張りながら、 「いやです……いやです……困ります……」と。 え? 困る? 松原の肩に手をかけて正面を向かせ、 「困るって、どういうこと?」 喉が粘液でへばりつく。背中は汗かいていて気持ち悪くて。 「いやです……あの、」 「置いていかないでくださいっ!!」 はっきりそう言って、Yシャツを握ったまま、俺の胸に額を押しつけて、松原はまた泣き始めた。 そこなのっ!!?? 俺、完全ノックアウト。っていうか、大丈夫か、俺、汗臭いんじゃないか? また外れたことを考えながら、 松原の頭を抱えるように抱きしめた。Tシャツ越しの身体が、すごく熱かった。ここから濃くなるので、会話はかなり急ぎ足になる。 居酒屋と同じパターンということで、御容赦を。 しばし背中をなでていたら落ち着いてきたみたい。椿シャンプーの匂いにくらくらするも、賢者を呼び覚まそうと必死な俺。 今のところ、ボッキングだけは避けたい。 「灯り、落として良いですか」 え、あぁ、うん(大胆だな、誘って来やがったぜ)<さっきまでのビビリが嘘みたいな馬鹿な俺 「明るいと話しにくいから……」 俺の期待は見事空振りに終わる。ぐちゃぐちゃな顔を見られるのもいやだったみたいだ。 疲れる姿勢だったので、畳のところに移動して、壁を背もたれに並んで座った。 なぜか松原から身体を密着させてきたんだけど、気にしていないみたい。 「主任が辞めたら、私も会社にいられません……」 ……ええと、俺はさっきの事がどうなっちゃうか心配、っていうか、●姦されたことなんじゃないの、今の問題は?でも、まぁ、聞くしかない。俺の話はそれからだ。ひたすら、聞き役と促し訳に徹した。俺の知らない話ばかりだった。 ☆~~ 松原は、俺の部下になる前、退職を促されていた(そうなんだ!?)。 同僚のスイーツとうまく意思疎通が出来なくて、クライアントからも「もっと明るい子にしてよ」とかクレームが来てたらしい。 ちょうどその頃に転職してきたのが俺(そんな事情知るはずない)。 実際、松原は本作りしかできないだろう。上司は、渉外がいらない俺の部下ならつなぎにはなると踏んだみたいだ。 「■■(上司)から、私を肩たたきするように言われませんでしたか?」 ……あ~、確か、ひとつきくらい経った頃、ミーティングで上司が俺に松原の使えないところをほのめかしていたな。 「オペレーターとして安定した仕事をしてくれるんで助かってますよ」<俺、上司の空気も読めていなかったのか。 俺が「使える」っていう評価をしたことで、彼女は会社に残れたらしい。想像の埒外だったけど、 初めて会社に居場所ができて、松原は本当にうれしかったと。忘年会の時は、俺が帰ったら二次会で嫌な目に遭うから逃げ出したかったんだと (確かに、営業部署の男社員は、やたら女性社員に二次会を強要していた。松原も前の部署ではずいぶん 口説かれたらしい。営業系のガハハが引っ張っている会社なので、そっちのセクハラには寛容な酷い会社) それに、スイーツ系からは「恭介に媚びうって会社に居残っている」みたいに陰口されていたとか。 だから、社内では俺と一緒にいるのが一番安心できた、と(俺、この辺から泣き始めてた)。 だけど、俺のことは好きではなかったそうな。(わかってても傷つくゼ) 最初にミスをしてものすごく叱られた時からすごく怖くて、打ち解けられなかったんだと。 (前部署では、ミスしてもシカトされていたらしい。誰も指摘してくれないまま最後になって押しつけられるみたいな) 「それって、いじめじゃん!!」俺は本当に頭に来た。いや、頭が最高に悪いのは俺なんだけど、 自分がやったことを棚に上げて、義憤に身を震わせる安っぽい俺に幸あれ。日々、仕事で俺から押しつけられる誌面作りの無理難題は、パズルを解くみたいで楽しかったそうな。 俺が担当していたコラムは、カップリング作りの切り口においしすぎて助かったとか(人気サイト管理者だったことを知る) ――ここまでずっと、身の上話。それは嬉しいんだけど、いいの、さっきの事は?? でも、まだ続く。 そうやって仕事では気持ちが安定してきた頃、知人の紹介で今の彼と付き合うことになったんだと。 というより、知人の彼が、移り気を起こして松原に走ったのが真相。その頃、強引に処女をわれたので、 もう、知人との縁が切れても彼と付き合う以外は考えられなかったそうな。(どこまで受け身なんだよ、お前……) 彼は典型的な、天下とったる俺ちゃんスゲェ系で(メーカー勤務で?)、松原の話はほとんど聞いてくれなかったみたい。 なんか違和感を持ち始めた頃、たまたまフリーズ起こしていた俺のiPodにアニメサントラ(ハルヒ……死にそう)が 表示されていて、ギャップに痺れたとか。オタだったことがわかってからは、 俺と帰りの時間を合わせることばかり考えていたとか。話がしたい一心で。俺、オチル。ありえねーだろ、そんな厨房設定。30近いOLが考えることか? SFだ、これはSFなんだ。 会社に友達がいなくて孤立すると、ここまで感受性の垣根って低くなるのか?? 俺、オタは入っているけど、これって元カノとの 失恋の反動だから、ほとんどニワカ。本田透を読まなかったら、こうはなっていなかった程度のノービスだぜ。 腐の当たる坂道を着実に登り続けている松原とは、業の深さがぜんぜん違う。 なのに、何でリアル恋愛の偏差値がそんなに低いんだ、お前!! と問い詰めたいのを必死で抑える。 今の俺は聞き役だ。続く話は、すでに書いたこととだいぶリンクする。時間は……27時をまわっている。ストパン見逃した(泣 彼女の話が終わったところで、俺、本題に切り出す。最悪の展開は避けられたみたいだけど、 思い出して、また乱れるかも知れないし。ちゃんと着陸はしないと。でも、寂しかったんだな、松原。 「今日の、その……会社でのことは、どう思ってるんだ?」 バシーンッ!!! 思い切り、右肩を叩かれる。その後も、何度も何度も、俺の頭とか胸とか肩とか叩く。 「バカッ、バカッ、バカバカバカッ!!」 またひくひく泣き出してしまった。ああ、やっぱり俺ってバカす…… 「なんで、中に出しちゃうのよ、バカ~~~~~ッ!!!!!!」 え……と……松原さん、そこなの? 「あかちゃんに責任がとれなくなっちゃうよぉ……」さめざめと泣き出す松原。 なにこれ。今の彼(天下男)は避妊をしてくれないらしい。(それは知ってる、外出し専科) ゴムを付けるといけないと言っていたし、外に出すようにはしてくれていたから、仕方ないと思ってたんだそうな(屑仲間発見伝) だけど、部署の業績が悪くなり始めると、やたらと愚痴っぽくなり、セックスも中出ししかしなくなって。 「妊娠したらどうするの?」って正すと、不機嫌になって「責任はとるよ」と、それっきり話をしなくなるとか。 おいおい、俺より屑がいたよ。蘇る金狼だ。俺は勝った!!セックスの内容も変わってきたらしい。野外とか、カーセックスとかそんなことが増えてきたり、 最近は3Pに興味があるとか言い出したり(不埒にも、腹を立てながら俺はモッキンキン) まあ、客観的には松原をストレス発散の道具に使っているだけだ。でも、松原は、 彼が精神的に苦しいときなんだから、自分がはけ口になるならいいか、と、受け入れていたらしい。 妊娠したら、この人も変わるかも知れない(変わるわけがない!!!!) だから、もし今、妊娠したら、赤ちゃんの父親がわからなくなっちゃう。そんなのかわいそう、と。 あ”ーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!! 俺、号泣したよ。声出さずに号泣ってわかる? 松原、心配そうに俺の背中さすっている。どんだけなんだよ、お前、 どんだけ我慢して、そんなふうに考えるようになっちまったんだ!!?? 思いっきり松原を抱きしめて、キスをした。2人とも涙と鼻水とでぐちゃぐちゃだ。 「もういいから、後は全部、俺がやるから」 松原の身体、力が抜けきっている。俺にはもう選択肢なんかなかったよ。始発が動きだす時間だった。 とりあえず、その日は松原には会社を休ませることにした。 そして仕事が引けたら、またここに来ると約束して、一旦帰宅した。 電車の中、俺、酷い有り様だったろうな。ネクタイ忘れているし、顔はグチャグチャだし。 よく考えたら、チンチンも洗ってないし。 会社に行って、上司に退職の話をした。慰留されたけど、それはそれ。 「松原さんはどうするの?」 会社的にそれは問題か? 「昨日、彼女には話しました。それで、ショックで今日は出てこられないのかも知れません」 退職の話はすぐに広がった。スイーツどもが探りに来た。 「松原さんはどうするんですか? もしかして結婚とか?」 死ね、雌豚。氏ねじゃなくて、死ね。 ああ、今更きづいたんだけど、本当に、俺と松原って、社内的に公式化されていたんだ。 俺も、会社に友達はいなかったからなぁ。草ソフトボールに明け暮れる中年の青春で。退社したあと、松原のマンションに走った。 彼女は一日中「お布団」にくるまっていたらしく、何も食べていなかった。 ご飯を炊く準備をして、スーパーに走り、食材を調達。 とりあえず簡単に作れるマグロの漬け丼と、水菜とジャコのサラダを作り、一緒に食べた。 手際の良さに、びっくりしていた。そりゃ、まぁ、こんなこと15年もやってますから。 シャワーを借りてさっぱりすると、何と言うこともなく、一緒に寝た。 松原さんの性器にキスをして、僕は射精した。いや、ちゃんとしましたよ。 今度はいたってノーマルな、愛情たっぷりのやつ。 足の指から耳の裏まで、体中、至る所にキスをした。 髪の毛がすごくしっとりしていて柔らかい。時々ペニスが太ももにこすれるのが、すごく気持ちよかったなぁ。 お互い口でして、ゴム付けて正常位で入れて、ゆっくり、ゆっくり、抱きましたよ。 その間、ずっとキス。変なことを考えず、正常位か対面座位でなるべく口を離さないように、 ずっとキスしながら繋がっていた。ストロークにあわせて、か細い声でよがる松原さん萌え。 俺、元カノのことをずっと引きずって、すごく荒んでいて、どうしようも無くなると風俗行って、 泣きゲーやって鬱が入って、ちょっと立ち直って、また荒んで、風俗いって。そんな生活を4年間。 松原をこうして抱いて果てる瞬間までの数十分、全部取り返したと思った。癒されていると思った。 抱きながら泣いていた。俺もいろいろ苦しかったんだ。それと向かい合おうとしなかっただけで。ピロートークで、松原は昨夜のことを許してくれた。 「私も○○さんにあやまらなきゃいけないことがあるし……」 なんだ? 今頃、●姦がいと引き合いになる隠し事って何だよ?俺、正直焦った。 「私も○○さん、犯しているんです」 役職名で呼ばれないのは嬉しい。しかし、話の内容は聞き捨てならん。 まぁ、ディティールは端折るけど、俺、彼女のBL同人活動で、ぼっこぼこに犯されていた。 チンコの根本、紐で縛られてギュウギュウいわされていたり、なにを読んでも「受け」担当だぜ。もてるな、おい。 「だから、昨日、お尻に変なことされたとき、ショックだったけど、自業自得かな……みたいな」 ずれてんなぁ……。 襲われたこと自体は、びっくりしたけど、傷にはなっていないって言ってくれた。それが嬉しかった。 距離が縮むのなら、ああいうのもありかも、居酒屋でフラグは立ってたし、私も準備は出来ていたと思いますよ。 女、こええ。 この頃になると、回復してきたので、もう一度抱いた。今度は、少し乱暴にした。上に載せたり、後ろにしたり。 でも、最後は正常位で、キスしながらいった。でも、現実的に解決しなきゃならない問題がある。 まず、天下男のこと。 「俺でいいよね。天下男と別れさせるよ。それでいいよね」 天下男は、松原の貯金に手を出し始めていた。松原の身の安全を確保しながら、別れさせないと。 それから、会社の事と、俺の転職のこと。 転職はする。どうせ社内結婚は成立しない職場だし。ただ、彼女の確保する実力は無い。 まだ、自分のことで精一杯だったので。だから、俺の方でも受け皿を捜して頑張るから、 会社ではそれまで頑張ってくれという他なかった。 「うん、頑張る。大丈夫だヨ。しゃーわせだなーぼかぁv」加山雄三か? すりすりしながらバカなことを言っている松原にあらためて萌え。もう、俺、騙されているのでもいいや。 三回戦突入。何年ぶりだ、こんなの。最後は、口に出させてくれた。 すまん。これからクライアントのところに出頭。トラブらなければ、今夜、天下男編を書く。 その間、支援と感想は欲しい。基本、バカで誉められたがりの俺にはすごく励みになるので。2回戦目の途中に天下男から電話が掛かってきてて、とりあえず出させた。 当たり障りのない話で、週末がどうのこうのといってたけど、松原は何事もないように切り上げてた。 なんだろう、このデジャヴ まあ、昨夜が貫徹で、この日は3回も頑張って、俺、泥のように寝た。 始発にあわせた携帯音で起きると、松原も目を覚ました。 俺の方を向いて、左肩に両手を添えて、「う~ん」とかいいながら鼻をこすりつけていた。幸せだった。 会社でのこと。俺は残務引き継ぎというあまり居心地の良くない仕事だったけど、 松原はいろいろ女性社員から突っつかれてたみたいだ。「恭介さんいなくなって、大変ですね~v」みたいな。 「そうですね。私もショックだったけど、頑張らなくっちゃv」 松原、全然動じてなかった。自分からスイーツの輪に入っていくこともしばしば。シンジラレナイ。 俺を心配させないようにしてくれているのか。 とりあえず、会社は大丈夫そうだ。あとは天下男の成敗を。別れ話に彼女を一人で行かせる訳にはいかないよね。かといって、寝取った男が同行したら殺しあいだ。 だから、俺が背負うことにした。とにかく穏便に。松原に穏便に。 週末デートの待ち合わせにした喫茶店。やってきたのは俺だ、ばかやろぉ~(みなみけ千秋風 先に待っているのはいやだったので、10分遅れで到着。俺のチキンハートははち切れそう。 ところが天下男のスペックに該当する野郎は、俺のスカウターに反応しない。待つこと15分、遅れて来たがった、この野郎。 ひとしきり店を見渡すと、不機嫌そうに席に座り、携帯をいじり始めた天下男。 俺より2ツ年上。メーカー勤務の技術者ということだけど、よくわからん(詳しく聞いたら営業技術職とか、そんなのあるの?) 俺のスペック、ベージュのチノに勝負の紺白ボーダーラガーシャツ。時計は自慢のブライトリング。 元カノにブライダルリングを買い損ねた金で買った記念の一品だ。死に装束にふさわしい。 「すいません、天下男さんでしょうか?」 戦闘開始!!「……あ、はい、そうですけど???」(よう、クズ) 「ちょっと失礼しますね」天下男の向かいに座る俺。もちつけ、もちつけ、松原のためだ、もちつけ~漏れっ! 天下男、キョトン。(そりゃそうだんべ。俺、お前じゃなくて良かったよ、天下男) 「あ~、初めまして。私、松原さんの会社の上司でして、今日は彼女に頼まれて、こちらに伺いました」(寝取りました、ゴメンナサイ) 俺よりやや背が低い。中肉中背というやつ。黒いウェストポーチと、携帯のネックストラップがチャーミング。 まぁ。基本的に話が弾むはずはない。おおざっぱにまとめると、 ――最近、彼女の仕事が不安定。個別に面談したところ、泣きはらして収拾が付かなくなった (会社のソファで押し倒した) ――後日、個別に事情説明が。その中で、失礼ではあるけど、天下男との話を聞くことになった (フォローに入った深夜のマンションで聞いた) ――もちろん、他人の色恋沙汰に首を突っ込む資格はないが、それでも天下男の彼女への所作は酷いと思う (避妊しろよ、バカ、あと女の薄給にぶらさがるな) 俺の名は、ミスター・ブーメラン――よって、松原は天下男との別れを希望しています。今後、もう2人で会わない。そういうメッセージをお伝えするために、恭介君がやって参りました。 はい、天下男のターン。 天下男、奇襲攻撃でメロメロ。それでも冷静さを取り戻すと、 「何で彼女がそれを言いに来ないんだ」(そりゃ、黒幕は漏れでんがな) 「一昨日の電話じゃそんな雰囲気はなかったぞ」(知ってるよ、俺、そこにいたもんね) 「あんたに干渉されるいわれはない。別れ話なら直接今から聞きに行く」(わりぃ、松原さん、今、俺のアパートで待機) 興奮して声を荒げ始めた天下男。そりゃそうだよな。こういう時の女って、残酷だ。恋愛の上書き保存とか、たまんねーよな。 でも、お前の遺伝子があいつの中にこれ以上、入ることは絶対に許さない。 ――私も彼女とは仕事で長いから、かなり彼女の性格は把握しています。天下男と二人きりで別れ話が言える子だと思いますか? 「そう思ってるなら、言えるだろう」(この、バカ) ――じゃあ、質問を変えます。別れ話を切り出した松原を、天下男ならどしますか?「…………」 天下男さぁ、もうお見通しなんだよ。積みなんだよ。王手なんだよ。何言ったって、お前勝てないんだよ、俺には。だってさ、 お前って、俺じゃん。 元カノの記憶がフラッシュバック。 めそめそ泣きながら別れの電話をかけてきて、何を聞いてもゴメンねしか言わず、 それっきりになった元婚約者。携帯もつながらなくなって、電話もとりついでもらえないで。 それで半年後に同僚と結婚した俺の元カノ。なんか、裏で起こっていたことが、今になってわかったよ。 因果だ。因果は廻るんだ。やられたことを、今俺はやっている。 「そんなことさぁ、あんたには関係ねーだろうがっ!!」 唇をふるわせながら、俺にくってかかる天下男。ちと、茶店の空気もまずいことに。 だけど、俺は平気だ。テーブルの上で手を組んだ。今、楽にしてやるヨ、昔の俺。 「いいですか、天下男さん」「彼女はあなたにとってどんな彼女でしたか? 一度でも、あなたに逆らったり、意見したりしたことは無かったでしょう。 どんな男性でもうらやむような、従順な彼女でしたよね。でも、彼女が心の底でしていた我慢に、あなたは気づいてましたか? 彼女を理解しようとしていましたか? 彼女を大切にしていましたか? 彼女にしてきたことを、他人に胸を張って言えますか? どうですか?」 「…………」天下男、顔真っ赤。 「多分、これが彼女の初めての反抗、天下男に対して見せた初めての意見なんじゃないですか? あれだけ我慢強い子が振り絞った気持ちなんです。受け入れてあげてください」 俺ももう限界。俺が発する一言、一言が、ブーメランになって俺を切り刻む。 天下男と2人になって、踊り続ける死のダンス。 俺、何えらそうな事言ってるんだ。きっかけのザマを思い出して、軽く吐きそうになる。 でもさ、天下男、俺もお前と同じクズだけど、俺は松原を幸せにするよ。 沈黙は続くよ、どこまでも。「わかったよ……」 わかってくれましたか。もう帰って良いですか? 「わかったよ、いいよ、もう、あんなつまんない女」 あ~、天下男、そうか、そう言っちゃうのか、人の前でそう言っちゃうのか、やせ我慢してくれないのか。 本気でぺしゃんこにしてやろうと思った。でも、俺のアドレナリンもエンドルフィンももうガス欠。きつい。 「……そうかもしれませんね。普通の女性よりいろいろ未熟なところがありますね。仰るとおりだと思います」 腕組みしたまま黙り込む天下男。 席を立つ俺。 「あと、これを最後に渡すように松原さんから頼まれました」 そういって、天下男に手紙を差し出す。天下男へのフォローのために、手紙を書いてもらっていたのだ。 やっぱり、それなりの肉声みたいなものがないままの別れは酷いと思うし、キチガイ化させるのが怖かったし。 今でも、あの手紙が正解だったかどうかわからない。俺は、文面を読んでいなかったから、もう知りようがない。 電車に乗った頃になって、一気に疲れが来た。背中に嫌な汗をべっとりかいていた。 「今帰る。心配ない」彼女の新携帯にメールして、少し寝た。その夜はセックス無し。なんか、やっぱり慣れないことをやって、ちょっと俺、軽い発熱。 松原と一緒に、家に山積みのアニメDVDを見ながらゴロゴロしていた。 それから、俺が退職するまでの間、彼女を一人にしないようにしていた。 平日は俺が彼女のマンションに泊まり、休日は迎えに行って、俺のアパートで過ごした。 最初は刺されるんじゃないかと思って、けっこう、本気モードでピリピリしていた。 でも、まぁ、姿を見かけることもなかったし、そろそろ大丈夫かなと思い始めた頃(3度目の週末)、 彼女のポストに天下男の手紙が切手無しで……。 こんな別れ方は酷い。話を聞いてやれなくて悪かった。一緒に解決方法を探そう。声が聞きたい。 俺、グンニョリ。つうか、怖い。松原はもっとこわいだろう。キチガイ化ってこんなに怖いんだ。 そうならずにやせ我慢した昔の俺、ちょっと見直した。 「かわいそうだと思うけど、でも、無理……」と、松原さん。そうだよな。 返事は出させず、その日は彼女の部屋に泊まって、俺は会社に遅刻していった。それから3週間後、俺、遂に退職。 新しい職場は引っ越ししなくても通えるけど、路線が違うので、松原とは遠くなってしまった。 すごく心配だったのだけど、新雑誌の立ち上げとか、慣れないルーティンとか、馴染まなければならないことが いっぱいあって、平日に会うのは難しくなっていた。 松原も、気をつけて帰るから大丈夫と、俺に負担をかけないように気遣ってくれていた。 会社でも、割と上手くやっているみたいだ。円満退社ではあったので、元上司とはやりとりとかしてて、 俺の仕事を引き継いだ担当を、上手くサポートしているそうだ。 仕事はどんどん忙しくなったけど、充実していた。週末は一緒に過ごせたし。 終電帰りや、泊まり込み作業も入り始めたけど、俺は充実していた。 だけど、2ヵ月ほど経った頃、1本の電話にすべてをぶち壊された。「すぐ来てっ!! お願いすぐ来てっ!! こわいよぅ、こわいよぅ」 23時を廻った頃、松原からの電話。 (畜生ーーーーーっ!! 天下男、てめぇ、なんでやせ我慢できないんだよ!!!) 会社を出て、タクシーに飛び乗った。その間、携帯は繋ぎっぱなしだ。 マンションの部屋で、松原はガタガタ震えていた。 会社から帰ってきて、部屋に入ろうとしたら、突然、非常階段の影から天下男が出てきて、 部屋に押し込まれそうになったらしい。別れさせた後、部屋の鍵は変えたから 安心していたんだけど、オートロックに滑り込んで待ち伏せしていたみたいだ。 本当にたまたま、同じ階の人が外廊下に出てきて、大声を出してくれたので、 天下男は逃げだしたんだけど、もし30秒でもタイミングがずれていたら……。 もう限界だ。最初は俺の部屋に匿うかと思ったんだけど、ここまで執着されると、 あんな安アパート、とても安全とは言えない。変な話だけど、こんな事があったせいか、この夜はむちゃくちゃ乱れた。 無事で良かったと思いながら、もし、信じられないような幸運がなかったら、 いまここで、松原を犯しているのは天下男だったのだ。俺の知らないところで、 どれほど酷いことをされるのか。そう考えると、かしな嫉妬で狂いそうだった。 初めて会社で犯したようなテンションで、俺は乱暴に松原を突きまくり、 彼女もそれにすべて応じた。互いに、無我夢中になってむさぼり合うような 乱暴なセックスに酔いしれていた。 「俺のものだ! 俺のものだ!!」 そうやって呻きながら、全部、中に出したし、彼女もそれを望んでいた。 翌日、俺は会社を休み、松原を彼女の実家に送っていった。 元の会社の上司に電話して、事情を説明し、身の危険があるので、ほとぼりが醒めるまで 休職にさせてやってほしいと頼んだ。まぁ、実質、退職と同じだけど、身の安全を守るには そうするしかなかった。 彼女から教えてもらった天下男の実家には、俺の名前で内容証明の郵便を送りつけた。 「今度、同様の事件を起こしたら、被害届を出す」マンションの引き払いには、親父さんが来た。事前に彼女からは、あまり親に見られたくないものは 段ボールに入れて預かって欲しいと頼まれていたので、部屋から困ったものは出てこなかった。 「今は落ち着いています。たまに会いに来てやって下さい」 親父さんにはそういってもらえた。 2週間後、結局、松原は7年勤めた会社を辞めることになった。送別会もない寂しい退職だった。 でも、元上司の計らいで、SOHO環境で出来そうな仕事が、彼女に外注されることになった。 機材は揃ってないから仕事は限られるけど、何もしないよりはましなので。本当に感謝だった。 俺は、すぐに職場に復帰して、がむしゃらに働いた。早く実績を作って安定させて、 松原を呼び戻したかった。週末を使って会いに行ける距離じゃない。だから、すごく会いたかった。 4年間も一人で平気だったはずなのに、たった1週間が本当に寂しかった。 そうやって、一日千秋の思いで、年末に向けて頑張っていたとき、会社の部署が消えた。リーマンショックのあおりで、広告収入の激減が見込まれ、拡大路線から一転して事業引き締めになったというのだ。 オイオイ、オイオイオイ~(ブラクラのエッダ姐さん) 心の第一声だよ。 なんだそりゃ。これまで準備してきた新刊計画も見送り。 半年後に景況を見定めてもう一度検討するから頑張って欲しいという一方で、 もし今辞めてもらえるなら、今月分とは別に、三ヶ月分、追加で出すとのことで。まぁ、ヤメロと言っているのと一緒。 俺、株やFXなんかやったこと無いぞ。他人がやった金遊びで、何で俺がこんな目に。 そりゃ、ハイテク資本主義の構造喰らういわかってるけどさぁ…… 俺もかわいそうだが、俺を引き抜いた友人のつらさもわかる。そうとう食ってかかってくれていたのは知っているので。 まぁ、居座ったところで、仕事はないし、針のむしろだ。俺は腹をくくったけど、とりあえず一晩考えさせてくれと告げて退社した。 明日からプーの恭介さんだ。松原の影がどんどん遠くなる……。 やけ酒を飲もうとかいう気分にもなれない。 ふらふら帰宅して思考停止しニコ動に没入していると、スカイプ経由で松原から電話が来た。「俺クン、どうした? なにかあったの?」 俺の様子がおかしいことに、すぐに気づいた松原。 もうこらえきれなかった。心の糸が切れてしまった。 今日あったことを、そしてこれからが見えなくなってしまったことを、松原に打ち明けた。 恥ずかしいくらい、ぽろぽろ泣きながら話していた。 松原だって、こんなの聞いていてつらいだろうに、俺は止められなかった。 俺がひとしきり話し終え、泣きやむまで聞いていた松原は、 「ねぇ、俺クン、良く聞いてね。私は大丈夫だよ」 「俺クンはさぁ、俺クンが大変なのに、私のことを心配しちゃうよね」 「私の事を好きにならなければ、私も俺クンも、前の会社に残れたのに」 「あの夜に、あんなことをしなければ、私が実家に帰ったりしないで済んだのに」 「俺クンは、自分の事が大変なのに、私に責任感じちゃう人だよね」 「俺クン、大丈夫。私は大丈夫だよ。だから、俺クンは自分だけのことを考えて良いんだよ」 木曜日の夜だった。俺はCLANNAD After Storyの視聴だけを楽しみに生きている鍵っ子中年だ。 朋也が渚の家を出て働き始める話。明け方になった。寒い朝だ。俺は決めた。出社して、上司に退職を告げた。 「フリーとして頑張ります。またチャンスがあったら、必ず最初に声をかけて下さい。 もし仕事があるなら、今からでも請け負います。よろしくお願いします」 関わりのあったすべての部署に回り、同じように退職の挨拶をした。もちろん、友人にも。 その足で、昔の会社にも行って、同じようにお願いをした。どの面下げて、という空気もあった。 だけど、構わなかった。どの人にも頭を下げた。 近所のスピード名刺に走り、名刺を刷った。会社は起こす時間はないけど、屋号は決めなければ。 松原と大盛り上がりで見たアニメをモチーフにした屋号を決めていた。 その名刺を持って、付き合いのあった会社を廻り、同じようなお願いをして歩いた。 そして、仕事で必要な機材を一式調達した。貯金が半分になったけど、まだ戦える。 翌日、さっそく元の会社から仕事がもらえた。小さいけど、継続はしていけそうだ。 俺は、更新が迫った安アパートを引き払い、仕事に有利な場所に借り直した。 安くはない。でも、不退転だ。二色刷からカラー名刺に変えて、また走り回った。1ヵ月、脇目もふらず、俺は仕事を拾い、拾った仕事をこなし、また仕事を拾いながら、引っ越しを済ませた。 疲労困憊だった。電話もしんどかった。松原が恋しかったけど、それより今は仕事が欲しかった。 ぽつぽつ、まとまった仕事も入り始めた。仕事を捜す時間よりも、仕事をこなす時間が多くなり始めた。 3ヵ月目が終わる頃には、減る一方だった貯金が、上向き始めた。嬉しいことに、仕事の依頼が、まったく新規の クライアントから来るようになった。 今年の冬は寒くて。でも、暖房費が惜しくて、それを節約して。毛布を被って仕事をして。 松原に会いたかった。寒い夜だからなおさら、同じ布団で裸になって抱き合っていたかった。 でも、なにより仕事がしたかった。 「“俺クン、奔る”だね」 大好きな歴史小説の事だった。電話の向こうの松原は、いつも変わらなかった。 そしてがむしゃらに頑張って、桜が咲く頃に、大きなクライアントの仕事があって、 3日ほど出張になった。おいし仕事だった。これが終わればスタートに戻せる。仕事は上々だった。想定外のトラブルはあったけど、なんとか切り抜けて満足の帰宅。 手にはスーパーで買った酒とつまみ。今は、一仕事終わった後の一杯が許されるくらいにはなった。 「ただいま~」鍵を開けて部屋に入る。誰もいなくても、戦友である機材たちが待っている家だ。 「俺クン、お帰りなさいっ!!」 部屋の奥から駆けてきたのは……そか、お守りだって言って合い鍵を欲しがったのは。 「俺クン、私、前に言ったよね。私と俺クンは、ずっと……」 「お布団は一つだけ、なんだヨ」天下男編、終わりです。 明日、終章と言うことで、支援サンクスでした。 こんな時間まで、キモイなぁ。俺。ほぼ半年ぶりの松原さん。少し髪が伸びたのと、メガネが細フレームに変わった。 タータンチェックのロングスカートに、すっきりしたピンクのニットがすごく似合っている。 俺から荷物を受け取ると、真正面に密着するように立って、額を俺の胸にコツンて押しつけながら、 「会いたかったヨ……」 俺もだよ、松原。肩の上から腕を回して抱きしめる。柑橘系の香水の匂いがする。 ・・・ 「ふふふっ。正直者だなぁ、俺クンは」 松原はスーツの上から俺のペニスを探り当てると、そのまま包み込むように握って上下にこすりだした。 俺、驚きと嬉しさで、膝がガクガクしちゃうよ。 「……いいよ、我慢しなくて。私もしたいから……」 俺、超速攻でシャワー!!! 特にチンコを丹念に洗い、シャンプーしながら歯を磨き、 髪を乾かすのももどかしくバスルームから飛びだすと、 黄色のTシャツに黒いスパッツの松原が、ベッドの上で女の子座り。 先鋒戦に続き、次鋒戦も俺の一本負け。松原の身体、すごく熱かった。Tシャツの下にはAカップブラ。見たことない、新品だ。 俺、それをそっとずらして、触れるか触れないかするように指先で愛撫した。薄い乳房に唇を這わせ、 乳首に触れそうになると、別の乳房で同じ事をするみたいに、すごく時間をかけて愛撫した。 松原を実家に帰してから、次に会ったらずっとこうしてあげようと思っていたからだ。 彼女の反応は最高だった。身体だけでなく、魂まで俺の愛撫に応えてくれるような。 松原は俺の好きにさせてくれた。そして期待どおりの動きをしてくれた。 彼女のスパッツを脱がすと、ブラとおそろいの新しいパンティの上から割れ目をなぞる。 「ハァ…ハァ…お願い、キスして……」 いいよ。 俺はパンティを横にずらして、控え目なクリトリスにキスをする。 「あーっ、ちょっと、あーっ、俺クン、俺クーン……」 どうやら中堅戦は俺優勢に試合運びできてる。この夜のために、何回抜いたと思ってるんだ!? パンティを脱がせると、開脚まんぐりにして、両手で土手を開き、 松原の顔を見ながら、かぶりつくようにしてマンコを舐めた。あえぎ声と荒い呼吸がごちゃごちゃになった反応を見せる松原。真っ赤に上気した顔とメガネが萌える。 そろそろフォールカウントだな、1、2、 突然、トランクスの裾から、手を突っ込む松原。チンコをこすりだした。これは初めてだ。思わず攻撃の手が緩む。 「私だって、ずっと考えてたんだからね……」 中堅戦、引き分け。ゴム無しのまま正常位で入れた。時間をかけてゆっくりと大きなストロークで、松原を楽しんだ。 カリをこりこり刺激する入り口のあたりが、相変わらず気持ちいい。 自分の顔を彼女の顔の横に入れ、枕に押しつけた額で上体の体重を支えるようにして、両手を彼女の尻に回してがっちり掴み、 叩きつけるように、腰を打ち付けた。 俺の背中に巻き付けられた松原の手が、俺の腰を押さえつけて、動きをやめさせる。 「ハァ…ハァ…俺クン、いいんだよ、我慢せず、好きにしていいんだよ」 見透かされていた。とてもかなわない。 俺は繋がったまま乱暴に松原を後ろ向きにすると、両手で尻の肉を鷲掴みにして突きまくった。 彼女は上半身をうつぶせにして、枕を抱いて、俺の圧力に耐えている。 松原の肛門を開き、右手の親指でこねくり回す。それを拒むように、松原が指とペニスを締め付ける。 もうだめだ、限界だ…… 目の奥で黄色い光がバチバチ爆ぜるような感覚とともに、俺は彼女の一番深いところに精液を送り込んだ。 副将戦も俺の負けだ。松原、お前、どんだけ俺のことを…… 余韻が消えるまで抱き合いながらキスをした。ピロートーク ☆~~ 「俺クンてさぁ、カワイイよね。子供みたいで」(34のオッサン捕まえてなんじゃそりゃ) 「どこから切ってもヘタレなんだけど、私を後ろ向きにしているときだけ〈俺様〉に変身するから、超カワイイv」恥ずかしいからやめて。 いろいろな話をした。会えない間、お互いがどんなだったか、何をしていたか。 松原は、親にはもう帰らないつもりと言って実家を出てきたらしい。俺の側で仕事を探すと。 「居候してもイイよね? 炊事洗濯は全部するから」 居候してくれなきゃ、俺が泣いちゃうゼ。 今期のアニメは「けいおん!」がイイ線行きそうだなんて話もした。 「私、ピアノ習ってたから、キーボードならできるかも」 確かに、いい音で鳴く。 俺の話は仕事ばかりだから、あまりないけど、「すごいねーっ」って、必ず言ってくれた。 すごくなんかない。当たり前のことなんだけど、言葉で認めてくれるのは嬉しかった。 「よし、じゃあ、頑張った俺クンに、私からご褒美をあげよう」 松原は少し位置を変えると、右手でチンコを扱き始めた。 「ほら、甘えん棒があっという間に怒りん棒に。えっへんv」こ、これは気持ちいい……ええと、これはおねだりなのかな、カワイイやつめ。 「あ、俺クンは動いちゃだめ」 松原は身体を起こして、俺の両足の間に入り、正座するみたいな格好で両手を使ってチンコを扱いていた。 風俗嬢、フェラ移行直前のあの格好だ。 「俺クンが入ってくると、私、何もできなくなっちゃうから、動かないでね。実はね、すごく良いものを見つけたんだ」 じゃーん、と言いながら、ベッドサイドに隠していたとおぼしきブツを取り出す。 「これは、良いものだぁ~~っ!!」 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! やめて~~~っっっ!! 松原が握っていたその物体は、俺が自分で慰めるために買った「東京名器物語」じゃないかっ!!!!「おりゃ~~~~~っ!! 松原はチンコにローションをまぶし、オナホをあてがうと、両手で握りしめて、すごいスピードで擦り始めた。 「ぎゃぁあああああっ!!!」 ツるっ!! 足がツるっ!! 信じられないほど気持ちイイ。 「この浮気ものめ~。私という彼女がありながら、こんな女に入れ込んでいたなんて、こうしてやる! えいっ、えいっ!!」 会社じゃあんなに無口キャラだったのに、すまし顔で仕事していただけの不感症キャラだと思っていたのに、 堀江由衣の声まねをしながら、とらドラ!の、みのりんキャラになって、俺にだけ素顔を見せてくれて…… ドッピ、ドドッピ。 俺、2分も持たずに昇天、うめき声上げながら、腰が引きつったようにびくびくしちゃったよ。 ところが、 「一万回耐えてみろ~っ! 左手は添えるだけ~っ!!」 さらに速度を上げて擦り続ける松原。それは、無理っ! やばい、本当に駄目! やばいんだって!!! 「このビッチと私、どっちを愛しているか言ってみろ!」 そういうプレイかよっ!! 松原だよ、松原を愛してるよっ!! お願いやめて~……「初めて〈愛してる〉って、言ってくれたv」 手を止めると、松原は俺に優しくキスして、ゆっくりオナホを外し(引き抜く瞬間がまたやばくてアヘ声がでちまった)、 袋に放り込んでから、ティッシュで後始末をすると、俺の横にどさっと倒れ込んだ。 「もう、あんなのいらないよね。私がいるからいいよね」 大将戦も俺の一本負け。決まり技はオナホ固め。 2人でシャワーを浴びて、べとべとになったシーツと布団カバーを取り替えると、 俺は松原と裸のままで眠った。寝付くまで、松原が俺の前髪をなでていたのは覚えている。 ~~★ 翌日から、松原は仕事探しを始めた。俺は納期が近い仕事があったので、自宅で作業を急いだ。 求人はあるし、あてもある。オペレーターとしては優秀だったから、まぁ、待遇とかに面倒くさいことを言わなければ、 どうにかなるんだけど、どうしても営業がついて回ったり、クライアントとの対応があったりして、 また、昔の会社みたいなことになりそうだった。ブラックとは言わないけど、グレーの幅がでかい業界だし。「なぁ、俺のところに就職しろよ」 2週間捜してみて、俺から切り出した。 今のところ、2人でガツガツ回せるほどの仕事はない。 だけど、ディレクションさえしっかりしておけば、俺が不在中でも、松原は仕事を進めておいてくれる。 その間に、俺はクライアントをまわったり、企画を作ることができる。 フリーになって半年。そこまで見据えて動くには、正直、早いという思いもあった。 けど、こいつを外に出したくない。側に置いておきたい。 「俺クン……私、頑張るから、昔みたいにコキ使ってね……」 そう踏ん切った俺の不安を、松原が一番よくわかっているのだ。 ぽろぽろ泣き出した松原を前に、俺はどっかとイスに腰を下ろし、 「じゃ、さっそく仕事v」 「はいっ!! わかりました。俺クン社長」 逆転大勝利。なんか、人間の考え方って、いろいろだ。 前の会社で松原の上司だった3年間。俺、セクハラとかパワハラとか、そういうのばっかり気にして 彼女に対応していた。無口で反応もいまいちだったし、腫れ物をさわるような気持ちもあった。 だけど、退職を決意してから、ある意味、遠慮無しに態度が横柄になると、松原との仕事が円滑に回り出す。 「最後の頃の俺クンの下は、命令口調ではっきり言ってくれるから、すごく働きやすかった」 ちょっと強い口調で指示を出されたりすると、「ヘタレが頑張ってる~v」と、キュンキュンしていたそうな。ハァ、そうなんですか。 最初の頃の怖い印象は、アニオタ発覚で消えていたから、俺の変貌は距離が縮まったみたいで嬉しかったんだと。 居酒屋で言葉責めされたときと、ホテルに促されたとき。流され始めた自分に、 彼がいるのにって自己嫌悪にはなったけど、興奮している自分が不思議だったって。 でも、どうしていいかわからないうちに、ジェットコースターみたいにいろいろなことが起こって……「後は全部、俺がやるから」 そう言ってくれるなら、その言葉を道しるべに、 「私も、貴方を全部信じます」 そう決めたんだって。 あわただしかった。 とりあえず、この部屋で2人で暮らすのは厳しいので、ここを完全に仕事場にして、 近所に2人で暮らすマンションを探し、引っ越しをした。家具はなるべく買わないようにしたけど、 料理道具と食器は一式、揃えた。松原は、ユニット畳と布団にやたらとこだわった。 「俺クンと私は、お布団で完成するんだから」 理由は説明してくれない。そう決めたとだけしか。俺の実家にも連れて行った。 両親に紹介して、しばしの歓談後、俺を別室に呼んだ親父が、札の入った封筒を握らせてきた。 「××温泉でも行ってこい。宿はとってある。言っちゃなんだが、イイ女だな、この野郎」 親父は俺の背中を一発強く叩いた。ニッコニコだった。 親父のマジェスタ(!!)を借りて、交通の不便な有名温泉に。初めて見る湯畑に感動する松原。 紹介された宿は……どう考えても、金持ち不倫カップルがお忍びで来るような、間違っても 家族連れが来ない隠し湯みたいな高級旅館。やたらと孤立感漂う部屋と廊下の配置の妙に、 淫靡なかけ流しの内湯まで備えて、これいかに……親父、あんたここを何に使っているんだ? 旅行番組でしか見ないような山海の美食尽くし。米の無駄遣いとしか思えない、すげぇ高い酒。 「……なんか、すごいね」口を半開きにして見入る松原。 その夜は、おかしな雰囲気に結構とまどった。こんな場に合わせる振る舞いを良く知らない。 温泉街を散歩して、一緒に温泉に入って、そして親父様の手のひらの上で燃えるしかなった。 封筒には50万入っていた。友達にも紹介したよ。あの夜から、そんな機会もないままだったことに改めて驚いた。 地元では、俺、男子校だったので、そんなやつらばかり。 馴れ初めのことを突っ込まれた松原は、肩を落としてうつむきながら、 「上司と部下の立場で私に関係を強要して……それで仕方なく」 野郎ども、バカ受け。 あの~、実はシャレになっていないんですけど (^_^;) こういう器用なところもあるんだな。うんうん。 彼女の腐仲間にも会わされた。 さんざん、テキストで嬲られている地域限定有名ヘタレキャラ登場かで、もうヒドい騒ぎ。 彼女のテキスト原作で同人漫画出していいかとか、ユルシテクダサイ。 「もう描いてきたんです。v」 ・・・・・・ 表紙は俺とは似ても似つかぬイケメン小僧。 これはヒドい。俺の人権はどこに!? チョ、そんな太いのがお口いっぱいに (;TOT)-yω なにこの緊縛した俺をオナホで嬲って泣かしている黒髪のメガネスーツ男。 「ああ、それは松原ですv」【ブレイク】 つ、疲れた…… えと、パイズリとか無理です(汗 親父は地元企業の社長です。なぜ継がないかっていうのは、特定が怖いので内緒です。 もうちょっとで終わります。 【終了】ご祝儀もあるのかも知れないけど、仕事は順調だとおもう。 体勢が整ったことで、昔の職場が太いクライアントに変わった。 それで、彼女用にパソコンを増強した(買ってやったぜMacPro、グレア液晶のiMacなんかゴミだ、ゴミ) とりあえず、安心して仕事が拾えるようになった。彼女が外貨を稼ぐよりはよほど効率がいい。 引っ越しやらで出費はあったけど、先々に確定しているスケジュールで、秋にはまた元に戻る。 天下男に多少使われていても、松原もしっかりと貯金を持っていた。 でも、これはいざというときまで手を付けないでおこうと。 俺の手持ち資金をまわして、頑張っていこうと。 心配していた俺不在時のクライアント応対も、むしろ先方の受けが良くて驚いた。 「だって、電話の向こうの人は、俺クンにとって大切な人でしょ。そう思うだけで、相手のこと好きになれるもの」 は……は…… 恥ずかしいせりふ、禁止~~っ!!!松原はずっと、実家に帰っています。だから、今、俺は家に一人です。 でも、いつまでも2chに張り付いてはいられません。そんな時間、もう、俺には許されないのです。 明日、成田で出会う松原は、もう俺の嫁だからです。 新婚旅行に、行ってきます。 支援してくれたみんな、本当にありがとう!! 彼女が実家に帰って、一人になって、今回のことまとめたくて始めた投下だった。 こういう作業は本職ではないので、見苦しいところもあったとは思うけど。 今のところハッピー進行、だよね? だけど松原との始まりが俺@鬼畜だったことは、生涯背負う十字架です。真逆に転んで、最悪の結果になってたっておかしくないと思うし。 結婚指輪を見る度に、幸せな気持ちの裏側にある、自分の過ちも絶対に忘れないようにしようと。 これで最後です。今は、あいつに逢いたくて仕方ありません。 ←クリックでランダムの記事が表示されます
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