牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
-
ホームページ
戻る
15-06-14 08:37
1学期が終わり、香織は高校を退学した。 陸上を辞めた為に特待生ではなくなり、学費も高く距離も離れた学校ではなく、近くて安い高校に通いなおす為だ。 始業式の日、俺の高校に転校生が入った。 勿論香織だ。 結構可愛い香織はたちまち、数名の男にアタックされたらしい。 でも香織は「彼氏います」と、全て断った。 その彼氏が俺だなんて。 この事実は程なく、我が校の「7不思議」に数えられる事になった。
キスしたり、(服の上から)胸を触ったりは、何度かあった俺達だが、なかなかその先には進まなかった。 既に双方の親公認の仲になり、双方の家には行っていたが、「節度は守れ」と父親から言われたせいか、先に進めないでいた。 勿論俺、したくない訳じゃない。 でもした事なかったし、そう言った雰囲気に持ち込む事も出来なかったし、そうする場所もなかったし。 2年生になり、付き合いだして1年が経過しても、俺は童貞だったし、香織もバージンのままだった。 だからと言って、慌てるような事もなかったし、その必要もなかった。 香織と付き合ってるだけで、俺は良かった。
1年生の女の子(陽子)から、俺は告白された。 俺、生徒会の役員だったし、成績も良かったから、見た目は良くなくても、ある程度は目立った存在ではあった。 だからだろうと思うが、でも俺は、それを断った。 勿論香織がいるから。 でもその子、断ったにも関わらず、かなり積極的だった。 「じゃ、ファンならいいですか?」 そう聞かれ、「いいよ」と答えたのが悪かったか・・・ 校内で俺に話しかけて来たり、遠くから大声で声をかけてきたり。 通学時にも同じ電車に乗っては、俺と香織の間に割って入り、俺と香織を苦笑いさせた。 香織は香織で、「可愛い子だね?」と意に介す様子もなく。 「浮気しちゃダメだよ~」とは言うが、きっとその言葉は、本気ではなかったと思う。
ある日、生徒会の会合で遅くなった俺。 ただでさえ遅くなったのに、定期を学校に忘れてる事に気付き、慌てて教室まで戻った。 そうしてやっと学校を出た所で、陽子に会った。 香織は遅くなるのが分かってるので、とっくに家に帰ってる。 だけど陽子はファンだからか?こうして時々いるんだよね・・・ ま、いつもの事と俺は諦め、駅に向って歩き出す。 その少し後ろを陽子が歩いてい。 その時だった。
「おう、高校生カップルか?」 「だめだね~学生は勉強しないと!」 ガラの悪そうな4人組が、俺達を見てそう言ってた。 「こんな可愛い彼女を従わせて、キミ、亭主関白?」 そう言いながら近付いて来た。 そして次の瞬間、そのウチの一人が陽子のスカートをめくった。 「キャーッ」しゃがみ込む陽子。 しかし、しゃがみ込んだ陽子を囲み、尚も4人がスカートを持ち上げようとしている。 「やめて下さい」 気が弱い俺も流石に、4人に向って大声を上げた。 「なにぃ?」 数秒後にはボコられて、俺は地面に蹲っていた。
「あんたの出方次第で、こいつ許してやってもいいよ」 4人がそう、陽子に言ってる声を聞いた。 程なく俺は抱え上げられ、どこかに連れて行かれる。 通りからまるで見えない、資材置き場の裏に連れて行かれた。 地面に叩き付けられ、悶絶する俺。 「やめて下さい」 泣き叫ぶような陽子の声がした。 「分かった、分かった・・・お前の出方次第だったよね・・・」 その声の後に、腹部を蹴り上げられた俺。 「大人しくしないと・・・またやっちゃうよ」
我に返った時、辺りは既に暗かった。 しかしすぐ側で、下卑た男たちの声と、くぐもった声。 スカートを捲し上げられ、胸を露出した陽子がいた。 一人のモノを咥え、一人のモノを握らされてる。 一人に胸を弄られ、もう一人にはスカートの中を。 「何やってんだ!」 俺は叫んだが、散々やられた体が言う事を聞かず。 例え言う事を聞いたとしても、俺が勝てる相手ではなかったが・・・
「おっ!彼氏が気付いたようだね・・・」 「もう少し待ってろ!すぐ済むから。」 一人に腹を蹴り上げられ、再度悶絶する俺。 だが、意識ははっきりしていた。 悲しい目をした陽子が時々、俺に目をやってるのが分かった。 そして男の腰の動きが早くなり・・・ 「1滴残らず飲むんだぞ」 陽子はコクンと喉を鳴らした。
「俺達だけ楽しんでも悪いからね~」 一人が俺に近付き、また腹を蹴った。 そして俺のズボンに手をかけ。 「パンツは彼女に脱がさせてやろうぜ」 陽子が連れて来られ、俺の側に座らされる。 そして一人がまた、俺の腹を蹴る。 「脱がせ!」 力なく、俺のパンツを脱がす陽子。 「咥えろ」 逃れようとしたが、胸を踏まれて動けない俺。 「大きくなったか?」 陽子は一端口を離し、「はい」と答える。 「じゃ、跨がれ」 陽子の血の気が引くのが分かった。 「跨がれって言ってんだろ!」 4人は陽子の足を無理矢理開き、俺の上に乗せた。 そして・・・ ずぶずぶと言った挿入感と、陽子の悲鳴。 しかし陽子の悲鳴はすぐに、男たちの手でかき消された。 二人掛かりで陽子の体を上下させ、そして程なく・・・ 俺は陽子の膣内に、精液を吐き出してしまっていた。
男たちに開放された後、自分の服の乱れも直さぬまま、陽子は俺を気遣ってきた。 「俺がもっと強かったら・・・」 陽子に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 俺の顔の血をハンカチで拭う陽子。 「ごめん・・・」 俺はそう言うのが精一杯で。 でも陽子は、「いいんですよ」と、涙を流しながら笑った。
この事を俺は、香織に告げた。 話しを聞いた香織は、「陽子ちゃん・・・可哀想・・・」と絶句した。 程なく俺は、香織と別れた。 陽子と付き合う為に。 一番好きな女は、紛れもなく香織だった。 でも自分のせいで、俺は陽子を傷付けてしまった。 その事に対し、俺は責任を感じていた。 別れを告げると香織は、笑って「うんっ」と言った。 涙を流しながら。
「君を俺に守らせてほしい」 陽子にそう告げた時、陽子は涙を流して抱きついてきた。 俺の胸で泣きじゃくる陽子に、俺は「強くなるから」と誓った。 陽子は「うんうん」と頷いた。
毎朝、5kmのランニング。 そして夕方は、空手の道場に通う日々。 入門当初は、小学生にすら勝てなかった俺。 でも3ヶ月後には、中学生に勝てるようになっていた。 しかも半年後には、大人の有段者相手でも負けなかった。 毎日毎日、ひたむきに稽古をした俺。 そんな俺に師範が、「よく頑張るね」と言った。 俺は俺の稽古に、毎日ついて来る陽子を見て、「彼女の為ですから」と師範に言った。 「そっか」 師範はそう言うと、優しい顔をした。
久しぶりに、香織に会った。 学校で時々、顔を合わす事はあったが、お互いに目を背けていた。 朝のランニングが済み、家に戻ろうとすると香織がいた。 「頑張ってるみたいね」 香織の笑顔を見たのは、別れた日以来だった。 「あぁ」 「顔つきが最近、たくましくなってきたよ」 「ありがと」 「陽子ちゃんと仲良くやってんの?」 「あぁ」 「そっか・・・じゃ、頑張ってね」 たったそれだけの会話だった。 たったそれだけの会話だったけど、俺はやっぱ、香織が好きだと気が付いた。
陽子とは時々、キスならばした。 でも胸を触ったりとか、それからやりたいとは思わなかった。 きっかけがきっかけだけに、傷つけたくないと思ってた。 ちゃんと責任を取れるようになって、それからだとも思ってた。
それから・・・ あの4人組の身元が分かった。 学校周辺では有名らしく、リーダー格は「梅田」と言うらしい。 仕事もせず、パチンコ店なんかに毎日出入りしてるらしい。 腕に自信がついた俺は、復讐しようと思った事がある。 でも陽子に止められ、思い直した。 「復讐なんか、絶対に考えないで」 そう懇願されると、何も出来なかった。
空手に熱中しすぎて勉強が疎かになり、2年時にT大確実と言われてた俺だが、3年時は特進からも外れてしまった。 それでも3年の2学期以降、なんとか持ち直し、同じ六大学のR大に合格した。 陽子も特進で、T大も固いと思われるが、来年はあえてT大を避け、R大を受験すると言う。 ま、1年の差はあるが、俺の後を追うって感じかな。 香織は・・・ 噂で聞いた程度だが、私立はR大に合格したらしいが、地元国立にも受かっており、そっちに行くと思う。 それから、梅田の事を新聞で見た。 梅田は喧嘩して刺されて、あっけなく。 他の3人については知る由もないが、ま、どうでもいい。
卒業式の日、「お祝いしたい」と言う陽子に呼ばれ、俺陽子の家に向った。 テーブルには、陽子お手製のオムライスとサラダが。 陽子以外には、家族は誰もおらず・・・ 「もしかしたら?」 そう言う思いも、あるにはあった。
食事が済み、陽子の部屋でしばし雑談。 雰囲気が良くなって、キスするまではいつも通り。 でも相変わらず、それより先には進もうと思わない俺。 「抱いてほしいよ」 煮え切らない俺に陽子が、いよいよ業を煮やしたか・・・ 「ちゃんと責任取れるようになってから・・・ねっ?」 そんな言葉すら、陽子を傷付けていた。 「好きだから・・・抱いてほしいんです!」 俺に覆い被さり、唇に吸い付く陽子。 やがて俺のベルトに手を伸ばし・・・ 「陽子ちゃん、そんな事しないで・・・」 思わず俺は、そう言ってしまった。
「どうしてですか?」 目に涙をいっぱい溜め、陽子は俺に尋ねた。 「だから・・・ちゃんと責任取れるようにな」 「ウソっ!」 「俊也さん、あの事・・・あの日の事を気にしてます!」 「えっ?」 「あたしの事、不潔だとか・・・汚いとか思ってるでしょ?」 「あの日の事、絶対に引きずってます!」 「そんな事ないよ」 「じゃ、どうして・・・」 陽子は声を上げて泣き出した。 「あの日、あの男達は・・・あたしの体に触る前から・・・」 「でも俊也さん、全然反応しない」 「キスしてもそう。さっきあたしが上に乗ったのに・・・」 「男の人って、『したいもんだ』って聞きました。」 「でも俊也さん、あたしを全然求めない。」 「『責任取れるまで』って言うなら、避妊してもいいじゃないですか?」 「なのに俊也さん・・・触れようとしない・・・」
「帰って!」 そう言われ、家から追い出された俺。 暫く玄関先に留まったが、中に入れてくれる様子もない。 俺は仕方なく、重い足取りで家路についた。 陽子の言葉は遠からず、的を得ていた。 「不潔」とか「汚い」とかは思ってない。 思ってはいないが、「あの日」の事を意識しない訳じゃない。 今付き合ってる事も、俺なりの「あの日」の償いだったから。 でももしかしたら俺・・・ 陽子に言われて気付いた事があって、「陽子にかなり失礼な事をしたんじゃないか?」って事。 好きでもないのに、ただ償いの為に付き合いだした事は、優しさではなく、また償いでもなく・・・
一人の家には帰る気がしなかった。 俺は家の側の公園に行き、ベンチに腰掛け俯いていた。 陽子に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 また、自分が歯痒くて仕方がなかった。 と、その時、コーラの赤い缶が、目の前に差し出された。 見上げた俺に、「どうした?彼女と喧嘩でもした?」 香織だった。 俺は立ち上がり、香織を抱きしめた。 「ちょっと、ちょっとー」 香織はそう言ったが、俺は尚もきつく抱きしめた。 そして声を上げ、大声で泣いた。 そう・・・あの日の香織のように・・・
「落ち着いた?」 香織の声に、自分を取り戻した。 「ごめん・・・」 俺は香織に謝った。 「謝るより・・・感謝されたいな、あたしとしてはね」 「あぁ・・・ごめん・・・」 「座ろっか?」 クスリと笑った後、香織はベンチを指してそう言った。 俺は黙って頷き、腰を下ろした。 「喧嘩した?」 「いや・・・そうじゃなくて・・・」 「自分自身が情けなくて・・・そしたらなんだか泣けてきて・・・」 「そしたら香織が目の前にいて、なんだか甘えたくなった。」 「ごめん・・・」 「そっか・・・」 香織はそう言うと、コーラの蓋を取って俺に差し出した。 俺は受け取るには受け取ったが、飲む事が出来なかった。
「3年も前だね?あたしがここで泣いたの。誰かさんに抱きついてさ。」 「先輩にいじめられた位で、好きな陸上を辞めた自分が、なんだか情けなくてね?」 「そしたら目の前に、突然コーラが出て来たじゃない?」 「『今、この人に甘えたい』って思った訳よ」 「そしたらさ~その相手が、幼馴染の俊ちゃんでしょ!もうびっくりでさ。」 「気付いたら、抱きついて泣いてた訳よ」 そう言うと香織は、俺の手からコーラを取り、一口飲んで返した。 「あの日のコーラ、美味しかったよ。缶に砂ついて、ぬるくなってたけどね。」 「あのコーラのお陰で、あたし元気になれたんだ。」 「だから俊ちゃんもコーラ飲んで、元気出しなって!」 そう言って香織は、俺の肩を思いっきり叩いた。
「俊ちゃん・・・」 暫く黙ってた香織だが、口を開いた。 「キス・・・しよっか?」 俺は驚いて、香織の顔を見た。 その途端香織は顔を近づけ、唇を重ねてきた。 「あーっ!ちゅーしてるぞ?!」 遠くで子供の声が聞こえるまで、香織は唇を離そうとはしなかった。 「じゃ、あたし行くね」 唇を離すと、立ち上がった香織。 「オマタ、興奮してるみたいだから、彼女に頼んで沈めてもらいなさい!」 そう言うと香織は、ゆっくりと公園の出口へと歩く。 その背中に俺は、「香織、好きだよ」と叫んだ。 「人をふっといて、今更だぞ?」 香織は俺の方を見ずに、手だけを振った。
3日後、陽子から手紙が届いた。 俊也さん、あなたがあの日の事の償いの為に、私と付き合い出したって事は知ってました。 あんな事があって辛かったけど、でも結果として、俊也さんと付き合えて良かったと、私は思ってました。 でも俊也さんは、ずっとあの日の償いのままで。 責任とか償いとか、それだけなら愛じゃないです。 愛されてないのに、ずっと一緒にいるのは辛いです。 出来る事なら俊也さんの愛で、あの日の事を忘れさせてほしかった。 でも、もう・・・ 俊也さんは十分、償いを果たしてくれました。 これからは自分の為に、俊也さんが愛せる人をみつけて下さい。 ありがとう。楽しかった。これからもっともっと、楽しみたかったけど・・・ さようなら。 陽子
大学に入学した俺。 入学して1ヶ月が経つが、引っ込み思案な性格が災いし、友達はまだいなかった。 一人で登校し、一人で授業を受け、一人で昼食を摂り、一人で帰る生活。 慣れない一人暮らしで、正直寂しかった。 でも、自分からなかなか解けこめない俺。 情けない・・・
「隣り、空いてますか?」 学食で昼食を摂る俺に、声をかけて来た女。 見上げると・・・ 「彼女、出来た?」 「いや・・・」 「優しいから、もてるでしょ?」 「いや・・・」 「うそ~っ!絶対もてるって!」 「そんな事ねぇよ!」 「ごめん・・・怒った?」 「いや・・・」 「怒ってるでしょ?」 「いや・・・」 「あたし・・・迷惑かな?」 「いや・・・」 「静かにしてた方がいいなら・・・黙ってようか?」 「うるさくてもいいから・・・俺の彼女になってほしい。好きだよ。ずっと好きだった。香織・・・」 「あたしだって・・・ずっと俊ちゃんの事・・・好きだったんだよ」 「そうなの?」 「そうだよ。子供の時から好きだったんだからね。」 「えっ?」 「あたしのアルバムね?・・・俊ちゃんがいっぱい写ってんの!」 「それはそれは・・・奇特な方で・・・」 「『蓼喰う虫も好き好き』って事!」
ヴァージンロードをゆっくりと進む香織。 そしてそれを待つ俺。 「大学だけは、きちんと卒業します。」 香織の家に挨拶に行った19歳の正月に、香織の父親とした約束。 俺たちはきちんと4年で卒業し、香織はOLになり、俺は都内の商社に勤め、2年後にこの日を迎えた。 香織を待つ間、俺は昔の事を思い出してた。
[体験告白][幼馴染][処女][童貞][フェラチオ][口内射精][ゴックン][強制生挿入][膣内射精][結婚]
|
Copyright © ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)All rights reserved.
コメント