牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 10:12
幼馴染というのが正しいのか、腐れ縁というのが正しいのかで悩むけど、対外的に紹介するときは腐れ縁だけど、一般的には幼馴染の部類だと思う。
私とそいつ(以下、どーもくん)の出会いは小学4年生の秋頃。 親の仕事の都合で引っ越した隣の家にどーも君は住んでたんだ。
どーも君はどこにでも居る普通の男の子だったよ。 イケメンでもないし、背が高いわけでも低いわけでも、痩せているわけでも太っているわけでもない。 取り留めて特徴というのがない男の子で、その頃は活発というよりは大人しくて引っ込み思案な性格で 「男の癖にうじうじすんな」 とか私に言われて竦んでたよーな気がする。 私は別に苛めっ子気質ってわけじゃない。
どっちかといえば他人を苛めて喜ぶ性格じゃないと思う。 ただどーも君の「でもでも、だって」とはっきりしない性格には結構いらいらしてましたねー
取り立てて仲が良かったのかと聞かれると 「普通」「良くも悪くもない」 そういう感じの付き合いしかなかったかな。 実際のところは記憶してないだけかもしれないけど。
気の弱い彼に対して若干でも子分的な扱いがなかったかと言われれば、その辺りはないとは言えない。 だってあいつが断らないんだし、いいのかなーって思ってたって発想は苛めっ子のそれだよなーって反省はしてる。
どーも君に対してロリコン疑惑を抱いたのは中学の頃。 家に遊びに行った際に彼の部屋で見つけた 『魔法少女』と書かれたミニスカの女の子のイラストがきっかけ。
見つけたといっても別に隠してあったわけじゃない。 普通に置いてあったのを手に取っただけ。 魔法少女が好き=ロリコンって決め付けには賛否両論あるとは思うけど、とにかく当時の私はどーも君がロリコンだと思ったんですよねー
別にそれで生理的な嫌悪感を特別に抱いたわけじゃなく 「あー、はいはい、ロリコンなのね」 それくらいの感想でした。
胸が大きいのが好きなのか、小さいのが好きなのか そういう嗜好の違い程度にしかその頃は感じていなかったし、 「大人しい言うことを聞きそうな年下の女の子が好き=ロリコン」 そういう理解をしていました。
どーも君の性格から考えればそういうのも理解できるかな? 本当にそんな程度の感でした。 別にそのイラストがエッチだったとかでなく、そういうのをいっぱい集めている=そういうのが好きって理解でした。
ところが本人に 「あんたってロリコンなの?」 位にソフトに尋ねると必死に否定。 なので物証を提示。
「じゃぁあれって何?」 「あれは……」
詳しくは知らないのですが小さな女の子が戦うアニメだそうです。 どーも君はそれが好きで見ているだけで、別にロリコンじゃないと必死に否定してましたね。
「いーよ、別に。そんなにムキにならなくっても」 「ムキになってない!」 「ムキになってるでしょ。誰にも別に言わないから」 「勝手に人の部屋漁んなよ」 「ふーん、見られて困るものなの?それエッチな奴?」 「ち、違うよ」」 「じゃぁ見られても別に良いんじゃないの?」
私は彼がなんでそんなにムキになって否定したり隠したがるのか、その当時はさっぱり理解してませんでした。 私はわりとアニメとかを見るのは否定しない派で、アニメはゲームみたいなもので別に好きで見てるなら堂々と見れば? そーゆー考えだったので、なんでどーも君が隠すのかわかんなくって 隠す=なんか疚しいとこある=やっぱロリコン? とかそー思ってました。
そのことでからかったりするのは二人の時だけで学校でそういう話題を話したりする事はありませんでした。 なんで私が中学時代どーも君の家に頻繁に出入りしてたかといえば、どーも君には歳の離れた妹が居て、私がその面倒見という名目のアルバイト (お小遣い稼ぎ)のためにどーも君の家に赴き、ご飯を作って一緒に食べて妹さんの世話をするという日課があったから。
このことで冷やかされたりすることもあったから学校では結構冷たい関係ではあったのは事実です。
アルバイトの内容として詳細に書くと ・月額4万円程食費を預かります。 ・余った分は私の報酬 シンプルに言えばこういう感じです。
実際はきちんとレシート貼り付けて収支報告、メニュー報告もしてました。 でも最初の頃は見事に手抜き料理しか用意できず、あの頃のおかげでそういうスキルは結構上達したんじゃないかなと思います。
私の家族も共働きで仕事が忙しく、私の中学進学を期に母が夜勤(看護師なので)を増やしたことで、両家の利害が一致した結果そうなったというわけです。
何が奇妙なんだって、そろそろ言われそうなのですね。 私としては学校帰りに買い物のためスーパーに行くわけです。 面倒だからって外食なんかもっての他です。 お金がいくらあっても足りません。
理想としては毎日少量、必要な分だけ買い物をして帰ればいいのですが、そうすると節約にならないわけです。 ある程度まとめて買って余剰分は冷凍庫にINする。 それが勝利への方程式だと気がつくと特売日をチェックして、その日にそれなりのまとめ買いをするようになります。 そうすると荷物持ちが必要なわけですよ。
「ちょっと、買い物のに付き合いなさい」 「え…あ、うん」 どーも君は荷物もちとして必要。ただそれだけ。
「あんたも食べるんだから文句言わずに手伝いなさい」 「文句言ってないだろ」
……やっぱりお米や牛乳とかをまとめて買うのに男手は頼もしいんですよね。 買い物も重量を気にせずに値段や物で選べるようになると精神的には余裕が出てくるわけですよ。
「何か食べたいものある?」 「何でもいいよ」 「犬の餌でもいいの?」 「人間の食べれるものにしてくれ」 「ネコの餌?」 「食べれるの?」 「らしいけど?」
こういう会話も普通にしてました。 そういうことを続けてると見られちゃうわけですよ。 同級生やクラスの知り合いに。
逆の立場なら理解できるしそういう邪推をしちゃうのも無理はないと思うのですが、私とどーも君が付き合ってるって噂が流れてたんですよね その噂が伝播してきて
「ねぇ、どーも君と付き合ってるって本当?」 そういう友達近辺にまで噂が流れてくると、もうクラス中で知らない人は居ないって状態でした。 噂と言うのは周囲の希望も含まれているのでしょうね。
中学時代と言えば思春期真っただ中で恋愛話と言えば、みんなが喰い付いた話題でした。 惚れただの腫れただので盛り上がれる時期だったので、直接聞いてきた子に淡々とそれが誤解である事。 確かに買い物に一緒に行った事。家で食事を作ったりしていること。 付き合ったりしている事実はない事をそれとなく話すと、結果的にはその話に尾ひれ羽ひれが付いて広まっていたように思います。
その被害は私だけでなく当然どーも君にも及んでいました。 そんなのは見ればわかるのですが、私たちが事実無根と否定しても 「はい、そうですか」と収まらないのが学校という小規模な社会でした。
やってる当人からすれば、それはやっかみや妬みの類ではなく、単なるからかいや遊び半分のつもりだったとは思います。 最初の内は黒板に相合傘を書かれる程度の小学生の悪戯レベルのからかいや、直接的な冷やかしが多少あった程度でした。
付き合っている=性行為をしているという噂が流れるようになったのは、そんなに遅い時期ではなかったと思います。
「していないことを証明する」 のは悪魔の証明と同じでできるわけがありません。
ですが、周囲は私たちがそういう事をしている前提で話しかけてくるのです。 私がどーも君をロリコンと決めつけたのも、それと同じと言えばそうでした。 本人が否定しても私が一方的に決めつければ、私の中ではどーも君はロリコンだという認識になっていました。
それを集団でされる事は実際問題イジメのそれとなんら変わりがありませんでした。 そう噂されるのが嫌なら一緒に買い物に行かなければいい 家に行かなければいい、という事くらい当時の私でも理解していましたが、 行こうが行くまいが噂や冷やかしはなくならないのが現実でした。
臨機応変に立ち回ってそういう噂や冷やかしをかわす器用さがなかったからか、頑なに「自分は何も間違っていない」「勝手に噂させておけばいい」 そう思って特に何もしなかったからなのかはわかりませんが、 程なくして私がヤリマンであるとか円光してるという噂が流れました。
どーも君に対する中傷や冷やかしがどういったものかはあまり知りません。 ただ自分に対する中傷はそういう性交経験がある事に留まらず 「お金を貰って性処理をしている」 そういう噂が主なものでした。
確かに、付き合っていないことやアルバイトみたいな感覚で家事手伝いをしているという話をしたのは事実です。 ですがそういう話がいつの間にか円光しているという噂にまでなっていました。
実際、同級生の男子に本気なのか冗談かわかりませんが頼まれた事があります。 くしゃくしゃの2千円を突き付けられて 「なぁこれで舐めてくれよ」 そういう類の事を言われました。
「はぁ?」 そう無視した私に怒ったのか同級生は 「どーも君にはできて俺にはできないのかよ」 そんな風に絡んできました。
あの時の気分は狂人相手をしているような気分でした。 言葉が通じないという事がこんなに怖いと思ったこともありませんでした。
「そもそもそういう事してない」 「嘘つけ」
そう決め付けられるともう話が通じません。 同級生は私が同級生だから拒絶した。 どーも君にはしているにも関わらず。 私が同級生をどーも君以下として見ている。 そういう先入観念や結論ありきで話しかけてきていたように思います。
その時は見回りの教師が来た事で難を逃れる事が出来ました。 ですが、その頃を境に全体的にそういう風潮。 「私は円光をしている」 という共通認識が広まっていたように思います。
実際に学内にそういうことをしていた人も居たという噂は耳にしました。 ただ自分がその噂の渦中に巻き込まれると否定しても信用されず、結果的に無視するしかありませんでした。 でも無視してもそういう噂は一向に消えず またそういう陰湿ないじめや、からかいは減る様子を見せませんでした。
直接的にお金を突き出されることこそ減りましたが、男子の陰口や一部の女子から陰でビッチ扱いをされているのは知っていました。 それでも学校に通い続けたのは、それでも親しくしてくれる親友がいたからでした。
「変な噂なんか気にしないの」 そう言ってくれる彼女の存在は私にとって救いでした。
教師に訴える事も考えましたが「変な噂が流されて困っている」 そんなことを教師に訴え出ても何の効果ないと思っていました。
私は気にしないことしか対処法はない 変な噂は時間がたてば消える みんな飽きる そう思うしかありませんでした。
学校に行く事が憂鬱になりながらも毎日通っていました。 「男漁りに来てる」だとか「真面目な顔をしてるやつ程」 そういう陰口も気にしないようにしていました。
事態が少し変化を見せたのはどーも君と、とある男子の喧嘩がきっかけだったと私は思っています。
休み時間終了間際に教室に戻ると人だかりができていました。 男子の囃したてる声、どなり声、 喧嘩しているらしい事はわかるのですが何も見えません。
「ざっけんな」とどーも君の声が聞こえました。 「俺はあんなブスに興味ねーよ」 「第一俺はロリコンなんだよ!あんなババァじゃ立たねーんだよ!」 「はぁ?」
高らかなどーも君の声の後、ようやく教師が怒鳴りながら入ってきて どーも君とその男子は職員室に連れて行かれました。 私はその時はまだ何が起きてたのかわからずに 「ねぇ、何があったの?」 そうみんなに聞きましたが誰も教えてはくれませんでした。
仲の良い友達に聞くと、 どーも君がちょっかいかけていた男子に切れて手を出したっぽいというのはわかりました。 その時点で一瞬私の事かとも思いましたが自分がババァという認識がなく、てっきり女教師の誰かとの噂なのかと思っていました。
仕方なく本人に聞いたのですが 「うっせー」 と詳細を教えてくれません。
「ババァって誰の事? Y先生のこと?」 「おまえに関係ないだろ」 「本当に関係ない?」 「関係ねーよ」 「あ、っそ」
それ以上聞けませんでした。 私がどーも君にババぁ呼ばわりされた事を知ったのは別の男子からで 「よっ、ババァwwww」 そう言われてああやっぱり自分の事だったんだと認識しました。
中学生が中学生をババァというなら、その言った本人もジジィなんじゃないの? そんな風に思ったものの、からかいのレベルが小学生並みに、なんとなく減退していたような気がしました。
その頃のどーも君のあだ名は「ロリコン」で私は「ババァ」でした。 良い事か悪いことかはわかりませんが少なくとも私に対する直接的な男子からのちょっかいは確実に減っていたように思います。
だからと言って当時私がどーも君に感謝した事はありませんでした。 どーも君はどういう方法かはわかりませんが、エッチな漫画や雑誌とかを入手して学校に持っていき、男の子同士で回すことで男子の中で上手に立ち回っていたように思います。
少なくとも私からはよくわからないけど、仲良くやってるなーって、そういう印象でした。 私の方は円光の噂とかもなくなり、普通に中学生活を送れるようになっていました。
ただ「どーも君に振られた女」という奇妙な同情もあったように思います。 私も何度かどーも君が学校に持っていってる漫画や雑誌を目にした事がありますが
「どうやってこんなの買ってるの?」 「妹ちゃんの目に届くようなところに置いておかないでよね」 「別にみるなとは言わないけど、せめて隠しなさいよ」 「学校に持っていくとか信じらんない」
割とそういうどーも君に批判的でした。 男子がそういうのを読んで自慰に耽ってることは理解していましたし、そういうのに興味があるのも否定はしませんでした。
ただ雑誌の内容に目を通すとあまり良い内容のものでなく、どちらかと言えば犯罪寄りな内容が多い事や、そういうのを妹さんの目の届きそうな場所に安易に置いておくことが理解できませんでした。
あまりガミガミ言ったつもりもないのですが、 ただその度に「うっさいわ」と言っては話を聞いてくれませんでした。
私も「好きにすれば?」と妹ちゃんの目の届く場所に置いておく以外は、そこまで注意をしなくなっていました。
内容が犯罪系だと思ったのはランドセルが書かれている=対象は小学生。 容姿がどう見ても幼い=幼児であり、 その内容もガムテープで口を塞いだりと、そういう犯罪色の強いものだったから。 それを見て、やっぱりロリコンなんだなと思った程度の感想でた。
「妹ちゃんに手を出したら通報するからね」 そういって釘は刺したりしましたが、 でも漫画は漫画で現実は現実とちゃんと区別はしてるって信用は一応していました。
ツンデレって言葉が現実にあるのなら、どーも君がそれかなと思ったのは、何かを頼むと必ず文句は言うのですが、ちゃんとやってくれるのを見てそう思いました。
文句を言わずにやってくれるといいのになと、その当時は思っていました。 というのは、「買い物に付き合いなさいよ」と言うと 「めんどくせー」と余計なひと言を言うわけです。
最初の内はそれでも男手は必要なので、割とこちらも説得する体裁をとっていたのですが、次第にそれが面倒になり「あ、そ」と誘っても来ないなら自分だけで行けばいいやと割り切るようになりました。
そうするようになってから、すっと付いてくるようにはなりました。 ただこの段階で私の方にどーも君に対して恋愛感情というのは正直ありませんでした。
私はどうもその辺りの情緒の育ちが遅かったのか、その当時は男女の付き合いに対して興味を持っていませんでした。 どーも君にはなんとなくだけど好かれているのかな? まぁどーでもいいかな。 その程度の認識でした。
確かに一緒にいる時間が長いのでお互いにお互いの事をそれなりには理解してはいるのですが、どーも君を男として見るという認識がどうにもできませんでした。
私よりも力は強いし背も高い。それは事実として認識していましたが 中学時代、どーも君を男という目線で見た事はありませんでした。 接している時間が長くなると家族や兄弟のように思えてくるのでしょうね。 多分、その頃はどーも君に対する感情はそういう感じでした。
どーも君の裸を見たところで、 「何を今更恥ずかしがってるの?」 としか思いませんでしたし、 逆にパンツを見られて窘められても 「何を今更」 そういう恥じらう感覚というのがあまりありませんでした。
そういう部分ではどーも君の方が口うるさく 「パンツが見えてるぞ」 「はしたない」 そう言われても
「ロリコンが何言っての?」 その程度の返し方しかしていませんでした。
自分に色気があるとか思っていなかったし、どーも君はロリコンだし、そういうのに興味がない人だし、家族みたいなものだし、とそういう配慮には欠けていました。
<続く>
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