牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 10:15
保険の外交をしていた彼女は四十八歳。 十年前に離婚し、女の子を引き取って育てていた。 小柄なタイプで贅肉もなく笑顔の可愛い女性だった。
その彼女とは十年前に彼女が勧めてくれた養老保険に加入してから、時々ホテルのレストランで昼食をしたり、ある時は会社に「胡蝶蘭」を持ってきて飾ってくれたりもした。
保険外交で出入りする彼女に心を惹かれて既に十年 密かに慕いもしたが不思議に彼女を独占してたにしようと云う気は起こらなかった。 が、「下心がなかった」といえば嘘になる。 自分の方に気を向かせようと思った事は事実だ。
そんな時、彼女の生命保険会社が倒産するという噂が拡がった。 その噂に惑わされ、預けた養老保険を解約することにし、師走の日曜日に彼女を呼び出し、彼女の家の近くのスーパー駐車場で待ち合わせをした。
車の中で彼女が来るのを見つめていると、彼女は約束の十一時に姿を見せた。 彼女を車に乗せ、レストラン「かだん」に車を走らせる レストランに入ると入り口に近い席に案内され、一時間半、たわいもない話題の内にデザートが出されて食事が終わった。
一階の駐車場に降りるとそこは薄暗かった。 助手席に座わった彼女の横顔は可愛いかったが、男の欲情はそれほど萌えてはいなかった。
しかし保険を解約することで彼女との関係も失われていく 今日が彼女と会う最後の機会だ…と心に閃いたその瞬間から、彼女をものにしたいと急に男の欲情が走った。
さりげなく助手席の彼女の太腿にそっと手を載せる。 彼女はジットして素知らぬ振りをしていた。互いに沈黙が続く。 彼女も、日曜日なのに呼び出されて食事に誘われたことは、それなりに男の下心があってのことだと思っていたことだろうし、それを心密かに期待していたのかも知れない。
そっと肩を抱き寄せると、彼女は素直にもたれてきて身を預けてくれた。 軽い口づけをしようとすると、小さな声で「ダメッ…」と遠慮がちに拒否の反応を示した。 その一言で、強引なキスを避け、寄りかかったからだを元に戻した。
ブラウスの上からそっと胸に触れる。 触れられたその手には拒否はしなかった。 余り大きな乳房ではなかった。 高鳴る動悸を押さえて「…欲しい…」と、その一言を漸くにして口にする。 彼女は黙って上目遣いで見つめた。 それは暗黙の了解なのか… …無言… 沈黙が続く…
車は動き出す。 発進した車は市街地を一路南に向かって走り続けて、ホテルトマトの駐車場の暖簾をくぐって停車した。 指定された四階の部屋にはいると無言で軽く抱きしめた。 ほっそりとした小柄な身体だったが柔らかい女の膨らみを感じた。 彼女は素直に寄りかかってくれた。可愛かった。 並んでソファに座ってビールで喉を潤す。
シャワー浴びようか… 彼女は黙っていたが、瞳は了解を訴えている眼差しと受け止めた。 シャワーに入る準備の取りかかると 彼女も、そっとブラウスのボタンを外し、スカートのチャックをずり下げていく。恥ずかしそうに、かららだを隠すようにしていた。 裸身にバスタオルを巻き付けた彼女の背を支えて浴室に入る。 恥ずかしそうな仕草のうちにバスタオルが取り除かれると、そこには155センチ、贅肉のない細身の全裸があらわれ、とても四十八歳とは思えない弾んだ滑らかな肌に包まれた女体があった。 女の膨らみにこんもりと黒い茂みに包まれた丘がちらりと見える。
シャワーで彼女の背中を流し、濡れた体を拭いてやり、浴室から出てバスタオルを巻いたままの彼女をベットに腰を掛けさせ、からだを後ろに寝かせると彼女は静かにからだを倒した。 仰向けになった彼女にそっと触れていく。 恥ずかしいのか、初心な処女のような仕草だった。 恥ずかしそうに人形のようにからだを投げ出したままだ。 知った間柄とはいえ、初めての男性にからだを曝すのが恥ずかしいのだろう。
バスタオルを横にずらすと余り大きくない乳房が現れ、目を下にずらすと下半身は結構豊かに盛り上がった肉体だった。 そこに黒い陰毛がなびく女の膨らみが男を待っているようだった。 無言で愛撫を続けていく。 昂ぶらないのか…、恥ずかしいのか…、そこはあまり潤んでいない。 時間をかけて優しく愛撫していると漸くにして潤みも増してきた。 しかしながら両脚を固く閉じていて、からだは開いてくれない。 男に遠のいているのと、彼女の羞恥心がそうさせていると思った。 漸く太腿の間に挿し込んだ五本の指が彼女の急所を攻めていく。 次第に静かな反応を示すが、女の乱れを見せるのは恥ずかしいのだろう。 そのまま続けて愛撫すると微かに腰を捩ってくる。 次第に昂ぶってきたと思った。 さらに女の急所を攻めると彼女は太腿を絞って指の侵入を防ぎ、男の手を除けて逃げだそうとするが、それは男の力で逃がさない。 これでもかと愛撫を続ける。 アナルと潤んだ肉襞、クリストの三点を同時に攻め続けると、彼女はついにからだを突っ張り硬直して逝った。
からだが何度か微妙に痙攣していたが、そのうち硬直していたからだは緩んでいった。 力なくからだを投げ出していた。 恥じらいもなく宙を彷徨っている彼女の姿態が愛おしい。
力なく投げ出してい両脚をそっと拡げる。 女の大切な部分があからさまに現れ、それをくまなく眺める。 潤んで光沢があった。 無意識に妻のアソコと比較していた。
アワビのように開いたそこに硬くなった男の先端を充てる。 肉壺の入り口は閉まっていてなかなか入らない。 しかし少し力を入れて挿し込むと、濡れた彼女のアソコは無抵抗で進入を許した。 彼女の柔らかな肉襞に包まれた。 強弱深浅に突きながら揺さぶっていく。
再び萌え上がった彼女は声を出す事もなく、次第に首を左右に振りイヤイヤしながら悶えた。 再び頂点に近づいたのか、最後は自分から激しく腰を使うようにまでなっていた。 強く柔らかく強弱付けて突いていく。 苦しいのか、快感に喘ぐのか、その表情が顔に滲み出ていた。 女が快感に歪む顔の表情が何とも云えない。 それが男の興奮をさらに深みに誘い込んでいく。 結構強い肉襞の圧力で男の固まりを締め付けてくる。 慎ましく淑やかであった彼女の口から、初めて「あぁっ…」という声が漏れた。 その一声を発してそれっきり動かなくなった。 再び彷徨っているようだ。 吐息する顔の表情が愛しい。 その快感に歪む顔の表情を眺めてついに男も果てていく。
彼女は離婚して既に十年、男を味わったのは何年ぶりだったろうか… 余り淫乱な女性に思われないので、その回数は少ないのだろう。 瞼を閉じて唇を微かに開いて彷徨い続けていた。 これでこの彼女ともお別れだと思うと胸がつまる。 愛しい顔をいつまでも見つめていた。
それが彼女との別れとなった。 彼女と繋いだその時が、初めての最後となってしまった。 あれから何年か過ぎた。 今はどうしているのやら…
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