牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 10:20
次に美雪の家を訪問した時、美雪はいつも通りだった。
母親の前では品行方正な態度とは言えなかったが、二人きりになるとデートをしたときの美雪がそこにいた。
部屋に入ると美雪は自習を始めた。
ボクもいつもの通りにマンガを読み始めたのだけど、美雪のことが気になってチラチラ見ていたら、美雪が背中を向けたままボクに言った。
「センセ、そんなに見つめられたら、私、穴が開いちゃうよ」 「えっ?どうしてわかるの?」
「私、後ろにも目がついているもん」
どう考えても不思議だった。
美雪は決してボクの方を振り返っていなかったので、見ていたことを照れくさく思うより、驚きの方が勝ってしまった。
思わず立ち上がって美雪の肩越しに机の上を覗いてみたら、小さな手鏡が置いてあって、美雪はそれを隠そうともしなかった。
「センセ、マジで驚いていたでしょ?」
悪戯っぽく笑った美雪が振り返って言った。 何だか極まりが悪くて、苦笑いをしていると再び美雪が口を開いた。
「私のこと、見てくれていて嬉しいよ」
この子はどうしてこんなに自分の感情をストレートに口にできるのだろう。
後ろが見える謎が解けた今、今度はそのことの方が不思議に思えた。
「センセ」
いつもの通り、美雪に呼ばれて隣に座るとノックの音がして母親がケーキとお紅茶を持って入ってきた。
ボクはコーヒーが苦手なのだけど、この家では最初から紅茶だった。
コーヒーか紅茶かも聞かれなかった。
母親が部屋から出て行くと、美雪はケーキをフォークで口に運びながら、ようやくこの間のことを話題に出した。
「プラネタリウム、もったいなかったなぁ」
「前の晩、遅かったの?」 「うん、っていうか、明日先生と会おうと決めてから全然眠れなかったの」
「でも、約束していたわけじゃないから、会えるかどうかも判らなかっただろう?」 「うん、でも会えるって信じてた」
「それで会ったら、眠っちゃったんだ」 「うん、先生の顔を見てね、安心しちゃったんだと思う」
美雪は唇に付いたクリームを舌でペロッと舐めながら言ったが、二人の秘密を持ってしまった所為か、それが何だか妙にエロい感じがした。
美雪とそういう関係になったからといって、会うたびにセックスをしていたわけではなかった。
なんと言っても美雪は受験生だったし、ボクは美雪の受験の妨げになるようなことはしたくなかった。
だから、美雪と二人きりになっても美雪は自習を続け、ボクはマンガや雑誌を読ませてもらって、お茶を飲みながら雑談をしては帰っていった。
けども、そんな雑談の中で美雪は少しずつ自分のことを話してくれるようになった。
「美雪ちゃん、ホントは勉強できるんだよね?」
美雪は謙遜もせずに、はっきりと頷いて見せた。
「どうして、出来ないふりをしているの?」 「だって、親に変に期待をさせない方がいいでしょう?」
「どういうこと?」 「だって、勉強したいって思ったことないし、いつまでもできるも思っていないから」
おかしな理屈だと思ったが、もっと聞きたいことがあった。
「最初に会った時、美雪ちゃん、すごい不良少女をしてたよね」
美雪はこれにも頷いた。
「どっちが普通の美雪ちゃんなの?」 「どっちって?」
「あの時の美雪ちゃんと今の美雪ちゃん」 「ああ、それはどっちもだよ」
「どういうこと?」 「センセ、問題解いていないのに、質問多いよ」
美雪はそう言って、悪戯っぽく笑うと話をはぐらかした。
ボクが困った顔をすると、美雪は"いいけどね"と呟いて言葉を継いだ。
「どっちかというと今の私だけど、センセの反応を見たかったんだ」
「ボクを試したってこと?」 「試したわけじゃないけど、センセのリアクションが見たかったの」
「どうして?」 「どうしてって・・・」
美雪は更に何かを言いかけたが、思い直したように言った。
「ナイショ」
しばらく沈黙が流れて、美雪は自習を続けていた。
「ほんとはね」
美雪の声で読んでいた雑誌から目を上げると、美雪はボクに背中を向けたまま続けた。
「最初は悪い印象で、だんだん印象が良くなって行ったら、少しはセンセが私に興味を持ってくれるかなって」
変わった娘であることはわかっていたが、かなり屈折しているように思えた。
でも、美雪の思惑通りに、ボクの美雪に対する気持ちは加速度的に高まっていっていた。
「でも、人は第一印象が大事だって言うよ」
「うん、でも普通にしてたらセンセが振り向いてくれるわけないモン」
ボクは嬉しくて、美雪の背後に立つと両手を美雪の頭にやって旋毛の所に軽くキスをした。
シャンプーのいい香りがボクの鼻腔をくすぐった。
・・・あれ?でも、あの時初めて会ったのに、何でそんな対策してたんだ?家庭教師なら誰でも良かったのか?
そう疑問が湧いたけど、しばらくしたら忘れてしまった。
それからのボクたちはストイックなほどにプラトニックだった。
それでも、たまに帰り際に美雪が抱きついてくることがあって、そのときは熱いキスを交わしたりしたけど、それだけだった。
週に一回、同じ空間で時間を過ごしているというだけで美雪の学力が向上しているとは思えなくて、訊いてみたことがある。
「ねぇ、ボクって本当に美雪の勉強の役に立ってるのかな」 「立ってる立ってる」
「ほんとかよぉ」 「ほんとほんと」
そう言って美雪は唇を突き出すと、キスをするようボクに促した。 美雪がキスをせがんで来るのは決まって模試の前だった。
「センセとキスするとね、俄然やる気が出てくるの」
本当なのか、ボクをからかっているだけなのか判らなかったけど、美雪はそんな風に言っていた。
年は明け、美雪はボクが受験の頃に落ちた結構偏差値の高い大学を受験した。
試験の前日にボクは美雪に呼び出されて、学業の神さまを祀る神社にお参りをした。
お賽銭をちょっとだけ奮発して、流れ星の時とは違って美雪の合格だけを心から祈った。
二人でおみくじを引くと、美雪は大吉でボクは凶だった。
美雪が大吉でホッとしていると、ボクのおみくじを見た美雪が言った。
「交換してあげる」
美雪はボクから凶のおみくじを奪い取ると、大吉のおみくじをボクに押し付けた。
「私、凶でも合格する自信あるから」
駅で別れるとき、美雪は少し上目遣いになってボクに言った。
「センセ、明日試験が終わる頃、迎えに来て」
"自信があると強がっては見せたもののやっぱり不安なのかな" そう思ったボクはわざと軽いノリで返事をした。
「はいはい」 「『はい』は一度でよろしい」
「はいはい」 「ほら、またぁw」
美雪は笑顔を見せて、ボクにはそんな掛け合いが楽しかった。
試験が終わる1時間くらい前にボクは試験会場に着いていた。
美雪の合格しか願っていなくて、柄にもなくもう一度神社にお参りに行ってからの到着だった。
合格を諦めた者なのか回答が早く終わった者なのか分からなかったが、終了時刻よりも早く何人かの受験生っぽい生徒が出て来始めると、その中に混じって美雪の姿があった。
美雪は目ざとくボクの姿を見つけると、校舎を出たところから人目を憚ることなくボクに手を振った。
「センセ、来てくれてありがと」
「時間より大分早いんじゃないの?」 「うん、でもセンセに早く会いたくて出てきちゃった」
「えーっ、それで大丈夫なの?」 「うん、楽勝楽勝」
「ほんとかよ」 「ほんとほんと。それよりセンセ、早く行こ」
「どこへ?」 「もう、分かってるくせにぃ・・・セックスしよ」
"うわっ、期待していなかったといえば嘘になるけど、ストレートだなぁ" そう思いながらボクたちは、繁華街へ出ると一番綺麗そうなホテルを見つけると入っていった。
「わぁ、ここ高いんじゃないの?」 「美雪の合格の前祝い」
「ほんと?センセ、ありがとう。期待してもらって大丈夫だからね」
ボクが受験した時は、合格発表まで気が気じゃなかった。 それなのに美雪のこの自信はどこから来るのか、ちょっと羨ましかった。
受付で鍵を受け取って部屋に入ると、美雪は直ぐにボクに抱きついてきた。 大きくはない胸だけど、胸を押し付けられるとボクはやはり興奮した。
抱きしめると女の子の匂いがして、ボクは股間を膨らませてしまった。 目ざとくそれを見つけた美雪はボクをからかうように言った。
「あ、センセ、おっきくなってるぅw」
ボクは恥ずかしくなって押し倒すように美雪をベッドに寝かせると美雪はボクの動きを制した。
「センセ、シャワー浴びて来ていい?」
ボクは逸る気持ちを抑えて美雪から一旦離れると、美雪はバスルームに消えていった。
シャワーの音が止んで、美雪が戻ってくるとボクも入れ替わりでシャワーを浴びた。
出てくると美雪はもうベッドの中に潜り込んでいた。
見るとバスタオルがベッドの脇に畳んであったので、シーツの下の美雪が生まれたままの姿だと思うとボクのモノは痛いほどに屹立した。
そっとシーツを捲ってベッドに潜り込むと美雪は直ぐにボクに抱きついてきた。
「ずっと、我慢してたんだよ」
美雪の囁く息がボクの耳をくすぐった。
美雪の身体を横抱きにするようにして抱きしめ、唇を重ねると美雪の唇から熱い吐息が漏れた。
小ぶりのおっぱいを手のひらで包んで、既に硬くなりかけているポッチを口に含むと舌先ではっきりと硬くなるのを感じた。
「センセ、いい・・・」
美雪の声を聞いて、手を草むらのほうに伸ばしていって、亀裂をそっと撫でてみると、そこは驚くほど濡れていた。
思わず手の動きを止めて美雪の顔を覗き込むと、美雪は恥ずかしそうに目を逸らせて言った。
「シャワーを浴びたから・・・」
でも蜜壺に溢れる液は、シャワーのサラッとした液体ではなくて、ちょっとヌルヌルとした感じがする気がした。
試しにそれを指で救って、敏感な蕾をこすってみると凄く滑らかに指が動いた。
「あん、もっと優しくして」
高校生とは思えない艶かしい声を聞いて、ボクはますます興奮してしまった。
<続く>
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