牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-06-14 10:20
美雪が指定してきたのは、人混みでごった返す待ち合わせ場所の代名詞みたいな場所だった。
"こんな人混みの中、どうやって・・・" ボクは時計と睨めっこをしながら時間を気にして美雪の姿を探した。
間もなく待ち合わせ時刻というところまで迫ったところで、ボクの視線を遮るように目の前にすっと立ちはだかった女性がいた。
「センセ、お待たせ」
その声は間違いなく聞き覚えのある美雪だったが、風貌は一変していた。
初秋らしいフレアスカートに真っ白なブラウスを身に纏い、どこから見ても清楚で真面目な女子高校生だった。
爪は透明のマニキュアだけで顔も薄化粧のナチュラルメイクだった。
「美雪・・・ちゃん?」
「どう?見違えた?」
「・・・うん、馬子にも衣装?」
「ひっどーい!」
そう言いながらも美雪はニッコリ笑ってボクに腕組みをしてきた。
"おい、おい、ボクの腕におっぱい、当たってるんじゃないの?" そんな心配をよそに、ボクは美雪に促されて一緒に歩き出した。
「どこへ行くの?」
「いいから、いいから」
美雪はボクの腕にしっかり掴まりながら、身体を押し付けたり引っ張ったりしながらボクを目地へと誘導していった。
高いビルの高層階に達し、ボクたちが到着したのはプラネタリウムだった。
二人分の入場料を払わされて中に入ると、すぐに係の人が扉を閉めて、上映が始まった。
もう都会では見られない満天の星空だった。
久々に見る星空に何だか感激して、最後には流れ星まで流れていたので反射的に願い事をしてしまった。
"美雪ちゃんが大学に受かりますように" そう心の中で唱えた自分に驚いた。
"宝くじが当たりますようにとか、美人の彼女ができますようとか、いくらでもあるだろうにどうして美雪ちゃんの・・・"
ちょっと後悔して願い事をし直そうと人口の空を見上げ続けたが、その後はどんなに目を凝らしていても、プラネタリウムの天井に流れ星は流れなかった。
ゆっくりと夜明けを迎えて場内が明るくなった時、美雪ちゃんはボクの隣の席で音も立てずに眠っていた。
"疲れているのかな?" そう思ってもう少し眠らせてあげたかったけど、係員のお姉さんの目が"終わりましたよ"と言っていたので、美雪の肩を軽く揺すって起こした。
「あっ、寝ちゃってた?もったいなーい!」
美雪は両手を頭上に突き上げて伸びをすると、ボクの顔を見ながら目を瞬いてみせた。
「退屈だった?ボクは結構楽しんじゃったけど」
「センセ、ごめん。私、昨日寝てなかったから眠くなっちゃった」
ボクに質問を許す間を与えず、美雪はボクの腕を取って、
「センセ、パスタ食べたーい」
と言って歩き出した。
"買い物に付き合うんじゃなかったんだっけ?" そう思いながらも、髪を染め直した美雪の誠意に免じてボクは何も言わずに美雪に従った。
「細い身体でよくそんなに食べられるね」
「うん。私、大食いコンテストの予選に出たことあるよ」
「・・・」
「ねぇ、センセ、もうひとつ注文していい?」
先週の家庭教師代が消えるな・・・と思ったが、構わなかった。 元々マンガを読んでるだけのバイトだったので文句も言えない。
"それにしても、すごく美味しそうに食うなぁ" そう思って見ていると、何だか美雪がとても可愛らしく見えてきた。
「ごちそうさまでした!」
ボクの前で手を合わせる美雪を見ながらボクは財布の中身が少し気になったが、美雪はちっとも気にしている様子はなかった。
"金持ちの娘は、お金の心配なんかしたことないんだろうなぁ" そう思うと、ちょっと羨ましい気もした。
「次はどうするの?」
ボクの問いに返事はなかったが、美雪に手を引かれて次に向かったのはマンガ喫茶だった。
美雪はここでもボクにお金を払わせて、二人用のボックス席を選んで入ることになった。
しばらく二人で寝そべってマンガを読んでいたが、美雪はボクの耳元に唇を寄せると小声で
「センセ、キスしよっか?」
と言ってきた。
「子供に興味はないよ」
本当は股間の膨らみがMaxに到達しようとしていたけど、軽い男に見られたくなくて、そんな返事をしてしまった。
「ふぅん、そうなんだ」
美雪はつまらなそうに再びマンガに目を戻して読み始めた。
気が付くと、美雪は身体を横にしたままボクの隣で再び眠り込んでいた。 健康でピチピチの女子高生がボクの隣で眠りこけている。
ボクはとうとう我慢できなくて、美雪の背中の方に身体を密着させると後ろから抱きしめるようにした。
クスッと笑う声がして美雪は身体を反転させると、ボクの目の前に美雪の顔が来た。
「・・・これは・・・」
言い訳をしようとしたボクの口に人差し指を当てて、出てこようとしたボクの言葉を遮ると、
「センセ、キスして」
と美雪は目を閉じながら言った。
ボクは美雪の華奢な身体を抱きしめるようにして、口づけをした。
唇を離して美雪の顔を覗き込むと、美雪は上目づかいでボクを見ながら、ひと言、
「ありがと」
と言った。
ボクがもう一度美雪を抱きしめると、美雪はボクの耳元で、
「センセ、三つ目の質問」
と言った。
ボクが身体を少し離して不思議そうな顔をすると、
「質問の権利に有効期限ってなかったよね?」
と美雪は言って見せた。
"あ、もう何ヶ月も前なのに、まだ覚えていたんだ" そう思いながらも寝転んだまま先を促した。
「センセ、彼女、いますか?」
"うわっ、直球かよ" そう思ったが、約束なので仕方なくゆっくり首を横に振ると、美雪は少し嬉しそうな顔をして、
「好きな人はいますか?」
と重ねて聞いてきた。ボクが再び首を横に振ると、
「セックスしたことありますか?」
と聞いてきた。
「五つ目の質問になるけど、いいの?」
ボクが聞き返すと美雪はコクリと頷いてボクに目で答えを促した。
"約束は、約束だもんな・・・" 言い辛かったけど、ボクは素直に再び首を横に振ると、美雪は何も言わずにボクの首に抱きついてきた。
「私のこと、どう思っていますか?」
美雪はボクの耳元で囁くように聞いてきた。
「・・・」
「センセ?」
ボクが答えられずにいると、美雪は腕の力を抜いてボクとの間に少し距離を取ると、ボクの顔を見ながら、
「好きなんでしょ」
とやや断定的に言った。照れ臭くなったボクは、
「あ、六つ目の質問だから答えられないなぁ」
と冗談ぽく言うと、美雪はこちらが驚くくらいの満面の笑顔で、
「センセ、セックスしよう」
と言ってきた。
「表情と言ってることにギャップがありすぎるよ」
そんな切り返ししかできなくて、ボクが少し戸惑った表情をして見せると、美雪はいつもの悪戯っぽい表情を見せて、
「これは質問じゃないよ」
と言ってボクが立ち上がるのを促した。
マンガ喫茶を出ると美雪はボクに再び腕組みをしてきて、ボクたちはそのままホテル街へと向かった。
何軒かホテルの前を通り過ぎて、どこに入るかボクが決められずにいると、美雪にグイと腕を引っ張られて壁の目隠しがついた入口を入っていった。
「センセ、どれにする?」
空き部屋の写真には電気が灯っていて、休憩と泊まりの値段が書いてあった。
ちょっと見栄を張って高い方から二番目の部屋のボタンを押すと、小窓の空い受付で鍵を受け取る仕組みになっていた。
受付のおばちゃんらしき人の手が伸びてきて鍵を渡されると、ボクたちは腕組みをしたまま黙ってエレベーターが降りてくるのを待った。
エレベーターを待つ時間が異常に長く感じられたけど、実際は1分も待っていなかったのだと思う。
扉が開いた途端、頭の禿げあがった親父と女子高生風の女の子が出てきたので、美雪は壁の方に顔を向けるとボクの背中に隠れた。
「あたし、パスタ食べたーい」
女子高生風の女の子が親父に言っているのが聞こえてきて、ボクはどこかで聞いたセリフだと思いながら美雪の手を取るとエレベーターに乗り込んだ。
部屋に入ってからも美雪は落ち着かなかった。
「へぇ、こんな風になってるんだぁ」
枕元にあるライトをつけたり消したりして部屋の電灯が点いたり消えたりしているのを確かめるようにして遊んでいた。
ベッドの端に腰を下ろして美雪を見つめていると、不意に僕の方を振り返って美雪が訊いてきた。
「センセ、こういう所、よく来るの?」 「来るわけないよ」
「でも、来たことはあるんでしょう?」 「ないよ」
「えっ?センセも初めて?」 「彼女なんていないって、言っただろ?」
「それって、今いないってことじゃないの?ずっといないの?」 「悪かったな・・・」
高校生に痛い所を突かれて、ボクは美雪を直視できずに言った。
でも、さっきの質問のボクの答えを信じていなくてカマをかけたのかな、などとも思った。
すると美雪はいったんベッドを降りて、ボクの前に膝を着いて上目遣いでボクの顔を覗き込んだ。
「じゃ、私がなってあげる」
「えっ?」
「彼女」
ボクが呆気に取られて返事ができずにいると、美雪は立ち上がって、
「じゃ、決まりね」
そう言うとバスルームに消えていった。
シャワーの栓を捻って水が流れる音が聞こえてきた。
ボクはどうしたらいいのかよくわからなくて、とりあえず洗面所にあった歯ブラシの封を切ると歯を磨き始めた。
バスルームの扉は摺りガラスになっていて、美雪がシャワーを浴びているシルエットが見えた時、ボクのジュニアはジーンズの中で硬くなって痛みを訴えた。
バスタオルを身体に巻いて美雪がバスルームからでてくるのと入れ違いに洗面所で服を脱ごうとしたら、美雪が興味深そうにボクの方を見ていた。
「おい、見るなよ」
マジで女の子に服を脱ぐところを見られるのが恥ずかしくて、ボクは少しぶっきらぼうに言った。
すると美雪はちょっと肩を竦(すく)めてベッドルームへと移っていった。
<続く>
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