牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
大学生のころ、俺がバイトしてる職場に新人の女の子が入ってきた。名前は優樹菜。目がクリッとしていて可愛らしい子だ。この頃、バイトの新人さんを指導するのはいつも俺だったので、色々と話すことができた。同じ大学で、年齢も同じ。 俺は地元の大学だったので、自宅からの通学だったが、彼女は隣県の子で大学の近くのアパートで一人暮らしだった。明るい性格で、サークルの男友達も多いらしい。そんな彼女のおかげか、職場の雰囲気が一気に明るくなった。優樹菜を口説こうとする客もでてきた。 俺も付きっきりで教えていくうちに、どんどんと優樹菜に惹かれていった。しかし、優樹菜には彼氏がいた。ヘタレな俺は待つことしかできなかった。半年程経った頃、優樹菜が彼氏と別れたという噂が立った。俺が優樹菜に真偽をたずねると、3ヶ月前に既に別れていて隠していたとのことだった。俺の告白に優樹菜は直ぐにOKをくれた。「教えてもらっている時から、町田(俺の名字)さんのことは気になってました。」と言ってくれたのが嬉しかった。そんな二人の交際は順調だった。職場には内緒にしていたが、大体の人は気付いているようだった。優樹菜はセックスに関しては淡泊な方だったが、相性は良かったと思う。クリでも中でもイッたことのなかった優樹菜が、俺とのセックスで初めてイッた時に「マサキ(俺です)、大好きだよ。愛してる。」と目に涙をためて抱きついてきたこの日のことは今でも鮮明に覚えている。(中でイケるようになるまでに半年近くかかりました。 ただ、フェラは汚いからといって絶対にしてくれませんでした・・・)俺は、優樹菜をますます好きになり、愛おしいと思うようになった。俺はテクニシャンではありません。優樹菜が二人目の彼女でしたし。優樹菜をイカすことができたのは、親友・竹田のお姉さんのおかげだと思ってます。「愛撫するときは、相手の顔を見ながらやりなさい。相手のことを思いやり、お互い協力し合ってセックスする事が大事。そうすれば、テクニックなんて自然と身についていく。」「そういうセックスをしてれば、愛のないセックスでは虚しさが残るだけ。」竹田姉のセックス観は自分の経験に依るものだと思うのですが、俺はその影響を受けてます。付き合ってから9ヶ月程経ったある日のこと。優樹菜が休みの日だった。バイトの後輩の岩沢(鈍感野郎です)が、休憩時間に話しかけてきた。「オレ、一週間前、優樹菜ちゃんと二人っきりで食事して、、、そのあと告白したんですけど、『好きな人がいるから今は駄目!』って速攻で振られちゃいましたよ~。」「ふーん」ちょっと混乱していた。二人で食事?彼氏じゃなくて好きな人?今は?「優樹菜ちゃんの好きな人って誰なんでしょうねぇ?町田さん知ってます?」「・・・実はな・・・内緒にしていたけど、優樹菜と俺は今付き合っている。」その後は仕事も上の空で、バイトを早めに切り上げて急いで優樹菜のアパートに向かった。チャイムを押すが、いっこうに出てくる気配がない。鍵も掛かっている。いないのかな?玄関ドアに付いている郵便受けの所から部屋の中は見られなかった。が、ガサガサと音が聞こえてくる・・・ん?男の声が聞こえた!「おーい、優樹菜ー、いるんだろー?」ドアをガンガン叩いていたら、チェーンロックを掛けたまま優樹菜が顔をのぞかせた。髪の毛は乱れていて、頬が赤く染まっていた。「今、掃除してるからちょっと待ってて。」そう言ってドアを閉めた。下手な嘘だと思った。外で待たされている間、岩沢の件は既に頭に無く、不安で胸がドキドキしていた。5分ぐらいしてようやくドアが開いて中に入ることができた。中に入ると、いやらしい匂いがかすかにした。俺は無言でゴミ箱をひっくり返した。すると、無造作にティッシュにくるまれたピンク色の物体が目に入ってきた。口を縛ってある使用済みコンドーム・・・俺はそれを手にとって掌に乗せた。ゴム越しに伝わる、まだ生暖かい精液の感触に吐きそうになり「なにやってんだよ!!お前は!!!」と叫びながら優樹菜にゴムを力一杯投げつけた。普段滅多なことでは怒らない俺が初めてキレた。そんな俺に優樹菜は怯えて泣き出してしまった。俺もいつの間にか涙を流していた。優樹菜の涙を見て俺の方が先に落ち着いて、優樹菜が泣き止むのを待った。「ごめんなさい・・・」優樹菜は言い訳をするかと思ったが、この一言だけだった。「別れよう。」怒鳴りたい気持ちを抑えて、普段通りの口調で俺から別れを切り出すと、優樹菜は土下座をして謝りだした。ビックリした。いつも俺は尻に敷かれていたし、優樹菜は我が儘な方だったから、優樹菜の土下座なんて考えられなかった。本当に驚きだった。内容は、別れたくないだの、なんでもしますから許してくださいだの、もう二度と浮気しません、といったよくある言葉。俺はもう別れる気だったから、イライラして聞いていたのだが、「私はマサキのお嫁さんになりたいんです。」この時だけ顔を上げ、涙を流しがらウルウルした瞳で見られてもう、、、俺は負けました。orz「ホントの事を全部喋ったら今回は許す。嘘があったら別れる。」と言ってしまいました。相手はサークルの男友達だった。飲み会の打ち合わせだったらしい。打ち合わせが終わると、お互いの彼氏彼女の話になってHな方向に話を持っていかれ、うまく丸め込まれた?らしく、「イケるようになって、他の男でもイケるのか確かめたかった。」というのが浮気をした理由だった。俺は恐る恐る聞いた。「イケたの?」「イケなかった。激しく動かすだけで最後の方は痛かった。」ちょっとホッとした。男がベランダから飛び降りて(二階です)逃げたのは予想通りだった。というか隠れる場所なんてユニットバスしかないし、そんな所に隠れても出てきたらすぐわかる。結局はベランダからしか逃げる所がなかった。男の家に電話を掛けさせた・・・が、まだ帰ってなかったので、二人でシャワーを浴びることにした。流石にHする気は起きなかった。(このスレ的には駄目駄目ですねw)俺の手で優樹菜の体を綺麗にしたかった。優樹菜の体を洗いながら、これから俺がしたいことを優樹菜に話した。優樹菜は了承した。再び男の家に電話を掛けさせると今度は出た。彼女から受話器を奪い取り、「優樹菜の彼氏の町田というものですけれど、なぜ電話したか分かりますよね?」「・・・すみませんでした。」「優樹菜の話と食い違いがあったら、あんたの彼女に浮気を報告します。」と脅して、浮気の経緯をこの男にも話させた。結局の所、矛盾するところはなかったのだが、複雑な心境だった。「騙された優樹菜も悪かったし、今回は無かったことにします。それから、優樹菜はサークルを辞めますから、他の皆さんにそう伝えて下さい。あと、今後優樹菜に近づく様なことがあれば、何をするか分かりませんので。」俺はそう言って受話器を置いた。その後、俺の知らない男友達の電話番号が書かれている物全てを処分することにした。一人一人俺が確認を取りながら該当ページを破らせ、ベランダで燃やさせた。優樹菜は、罰を受けるのは仕方が無いと思っていたのだろう、表情を変えずに淡々と作業を進めていた。一方、俺のほうは、心の狭い情けない自分に気付いて泣きそうだった。「二度目は無いからな!」と強がるのに精一杯だった。数週間後、岩沢の件について聞いてみた。「岩沢君って無害な人でしょ?食事奢ってくれるっていうから御馳走になっちゃった。私達が付き合ってるの知らない人もいたんだぁと思ってちょっとふざけてみました~。」・・・あほくさ。優樹菜は既に元の明るさ、無邪気さを取り戻していた。この日、やっと彼女を抱くことができた。お互いが以前と変わっていた。人前でベタベタするのが苦手だった彼女が、自分の方から積極的に腕を組んできたり、「今日は帰らないで。」と甘えたりするようになっていた。俺の気持ちを繋ぎ止めておきたかったのだと思う。優樹菜の我が儘も復活してきたが、トゲトゲしさが和らいでいるように感じた。それに、俺に尽くしてくれているんだなぁと感じる事が多くなった。俺は、元通り振り回されるようになったが、また浮気されるかも?という不安感から束縛するようになっていた。付き合ってから1年と数ヶ月が経った。優樹菜は大学の方が忙しくなり、既にバイトは辞めていた。俺も大学の方は忙しかったが、事情があってバイトは続けていた。都合の良い日が合わずに、2ヶ月近く会ってなかったから、電話で話をしても優樹菜はイライラしていることが多く、俺は「ごめん」と謝るか、「優樹菜との結婚を夢みて頑張っているから我慢してくれ。」(本心でした。)と言ってなだめるぐらいしかできなかった。余裕がなかった。そんなある日の夕暮れ時、優樹菜が大学の裏門から出ていくのが見えた。駐輪場にいた俺には気が付かなかったようだ。優樹菜のアパートは全く正反対の方向。何処に行くのか興味が出てきてこっそり後をつけようとしたら、向かいの学生専用マンションに入り、3階の一番奥の部屋に入っていくのが見えた。確認してみると男の部屋(名前は加藤)だった!胸が苦しかった。実はこの日、会えなかったお詫びとして優樹菜にプレゼント(イヤリング)を渡すつもりだった。メッセージも箱の中に入れていた。使えるお金が限られていたので、高い物は買えなかったが、自分なりに頑張った方だと思う。それに、バイトも休みを貰っていた。無理を言って大学の忙しくない日だけにしかバイトに来てなかったから、これ以上の休みはあてにならないという事で、本店から支店へ移ることになった。通勤時間が20分延びることにはなるが、休みが比較的自由にとれるので、優樹菜と会う時間を作ろうと考えていた俺にとっては、働かせてもらえるだけ有り難かった。優樹菜を驚かすために、優樹菜のアパートに行こうとしている時に起きた、思いもよらない出来事だった駐輪場に戻って30分位待っていたが、出てこなかったので俺は覚悟を決めた。何も無いことを期待しながらチャイムを押して、ドアが開くと強引に入った。ベッドの上で布団にくるまっている優樹菜を見つけ布団を無理矢理引き剥がした。優樹菜は裸だった。下着をつけてなかった!その後、俺は静かに玄関に向かって行き、「お邪魔しました。」と言って帰って行ったらしい。orzそれから何日間か家に閉じこもって、大学を辞めて彼女と別れることを決めた。ナンにもやる気が起きなかった。バイト先には、体調を崩したから暫く休むと連絡をしておいた。引きこもっている間、優樹菜から何回か電話があったが、電話に出た親や妹には出かけて居ないことにして貰っていた。ある日、男から電話があった。「会って、きちんと説明したい。」加藤だった。俺は、優樹菜を連れてこないことを条件に了承した。外に出るきっかけが欲しかっただけだった。翌日、大学に行って退学届けを提出し、『もう信じることができないから別れる』旨の手紙を優樹菜のアパートの郵便受けに放り込んだ後、加藤との待ち合わせ場所に向かった。加藤の状況説明があって、その後、俺の質問に加藤が答えた。順序良く簡単にまとめると・・・加藤は優樹菜の元彼で、優樹菜と学部も学科も学年も同じ。どちらも我が儘を言って引かない性格だったので、喧嘩が多く、いつ別れてもおかしくない状態だった。そんな時、加藤がホストのバイトを始め、浮気(バイト先の客。後に彼女となる。)したのがきっかけで別れることになった。気まずい状態が続いたが、俺と優樹菜が付きう頃には普通に話せる様になった。優樹菜とはプライベートな会話はなく、大学関係の話しかしなかったが、俺と優樹菜が会わなくなった頃から優樹菜が愚痴りだした。そして、あの日「オレが慰めてやるよ。」(酒を飲みながら愚痴を聞く意味だったらしい)と言ったら、優樹菜が部屋を訪ねてきた。飲みながら愚痴を聞いていたら、優樹菜が急に服を脱いでベッドに入って、どうしようか迷っているところで、俺が加藤の部屋に突入した。・・・ということだった。加藤の話が本当か嘘か、ヤッたかヤッてないか、そんな事はもうどうでもよかった。帰り際に加藤が「優樹菜は、あなたを待ってます。優樹菜の所に行ってやって下さい。」と言ったが、俺はそれには何も答えないで家に帰った。優樹菜がこの後どうなったのか、今どこで何をしているのか、俺は全く知りません。後日談。(というか、加藤の話を聞いた後です)プレゼントの処理に困った。捨てるのも勿体ない(貧乏性です)ので、妹にあげることにした。「これ、彼女にあげるつもりだったんだけど、別れちゃったから・・・それでもよければ・・・いる?」「うん!いるいる!」即答かよっ!しばらくして、妹がイヤリングをして俺の部屋に来た。そして、ニヤニヤしながら「兄ちゃん?私は妹だから付き合えないよ?」と言って、一枚の紙切れを差し出して俺の部屋を出ていった。俺の頭の中は???状態。その紙切れには"俺の字"でこう書かれていた。『寂しい思いをさせてごめんね。大好きだよ。』すっかり忘れてました・・・orz妹よ・・・失恋のショックから立ち直ろうとしていた時のこの冗談は、正直言ってかなり凹んだぞ!(しばらくは「兄ちゃーん、寂しいよー。」と馬鹿にされました。)翌日、親友の竹田から飲みに誘われて、竹田の部屋で飲むことになった。「大学の方が忙しいのに大丈夫なのか?」と俺が問うと、「まあそれは大丈夫、それより、全て吐き出して楽になれよ。」と返ってきた。案の定、妹が竹田に電話で連絡したようだった。引きこもっている間、そんなに涙は流さなかったのだが、この時は、ボロボロ涙が溢れて止まらなかった。そんなおかげで、俺は一週間ぶりにバイトに戻ることができた。そして、支店の方で社員として働くことになった。その後は、、、体を壊して入院→職を失う→フリーター、となりました。女性不信、健康でない体、定職に就けないこと、等で彼女を作る気もなく、結婚を考えることも諦めて、自暴自棄になった時期がありました。その時にソープランドに行きました。もの凄く気持ちよかったんだけど、射精した後は虚しかったですね。通えば通うほど虚しさが大きくなってきたんで、もう、行ってません。優樹菜と別れてもう10年以上経ちますが、未だに彼女はできていません。以上です。 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