やがて起き上がり、パンツを履き始めた。マミは座ったままこっちを見ている。「まだ時間が残ってますよ」「もういいよ」「・・・」照明といい、小道具といい、人を淫靡な気持ちにさせるのはさすがによく考えられているけれど、やはり所詮商売で、現実のようなスリルなんて無い。それに、マミを諦めるのは心残りでも、商売女は場慣れしていてどこまで本気なのかわからないから夢中になっても駄目だろう。マミも立ち上がり、パンティを履き始めた。何となく気詰まりな沈黙が続く中で僕たちは元の格好になっていく。「さっきの話、本当?」半信半疑で聞く彼女に、「本当さ。嘘なんか言ってもしょうがない」と答えた。「・・・」マミは又僕の顔を見据えた。「もう一人は高校生なんで家には飼えないけど」「犯罪じ!
ないわよね?」「ああ、監禁じゃないよ」人妻二人は強姦して奴隷にした、とはさすがに言えなかった。マミはどうやら僕の話を真に受けたらしい。しかし警察なんて怖くないし、もう彼女とも会わないだろうから不安ではなかった。世間知らずの怖いもの知らずだった。 一時間はあっけなく終わり、僕はその部屋を出た。受付には次の客、年配の男がいてクラブの人と何やら話をしている。勝叔父さんはそのクラブが運営するらしい、隣のナイト・クラブ?で飲んでいると聞いていたので、ドアを開けて待つと、程無く隣のドアから出てきた。「おお済んだか」叔父さんはにこにこして近付き、「どうだった?」と聞いてエレベーターの下りのボタンを押した。「まあまあでした」!
「そうか」彼に依れば、最上の六階では素人!
女と遊べ、これが実にいいという。中には、睡眠薬か麻酔かで意識を奪った女を連れ込んで特別会員にあてがうという噂もあるという。もしそれが本当なら、警察に踏み込まれた時にその場に居合わせたら逮捕されてしまう。『叔父さんは大丈夫かな・・・?』こんな物騒なクラブには二度と近付きたくなかった。 しかし、昔加奈さんを襲った男の事が妙に頭から去らなかった。若い娘の人生を狂わせながらも平然と暮らし、真面目な面をして会社で出世コースを歩んでいる男への反感が消えないのだ。それは憎しみというよりも嫉妬だった。僕には絶対に叶えられない時代の違いで美味しい思いをした事への妬みであり、羨ましさで、聞きたくも無いのに犯行を詳しく知!
って、せめて当時の加奈さんと一緒にいたいのだ。
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