牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-07-22 08:47
初めまして、雅之と申します。 フルネームは当時の嫁だけにしときます。
平均より少しレベルの高い公立高校の普通科に入学してから、部活動での青春という道を捨てて、アイスクリーム屋のバイトに明け暮れる日々の中、塚○香苗と出会ってからの話をしたいと思います。
当時16歳だった俺は、高校2年に進級後、クラス換えで香苗と同じクラスになった。 それが彼女との一番最初の出会い。
これといった衝撃的な出会いや、運命の悪戯などからも見放されていた中、始業式の後、隣の席の彼女が最初に話しかけてきてくれた。 自己紹介の後の休み時間だったと思う。
「それ、新しい携帯だよね。どう? 使いやすい?」
いきなり声をかけられたのでかなりビックリした。 消極的な性格で、少ない友人からは顔が普通すぎると言われ、自分の世界に閉じこもっていた俺に声をかける女がいるなんて。
振り向くと、そこには美少女の笑顔があった。 当時の彼女は丸めの顔で髪型はセミロング、真ん中から前髪を左右に分けていた。 シャンプーのCMのモデルみたいに艶のある黒髪だったような気がする。
適度に整えられた眉毛、クリッとした大きな目、細長く凜とした鼻、薄い唇、頬と額に少しだけ目立っていたニキビ。
一目惚れだった。
彼女の自己紹介のときは照れ臭くて直視できなかったけど、ああいう風にまじまじと視線を繋がれると目を逸らすことができず、釘付けにされた。
今改めて彼女との思い出を振り返ると、彼女の美しさのピークは高2~高3の春くらいだったと思う。 彼女が一番美しい時期に俺は香苗という女子に恋をしたのだ。
「え? ま、まあ、できることも結構増えたし。えっと……塚○だっけ?」 「そう! もう名前覚えてくれたんだ。そっちは雅之君だよね」 「う、うん」
香苗は初対面から俺を下の名前で呼んでくれた。 俺が名字伏せてるからとか関係無く本当に。
「雅之君の自己紹介、なんかカクカクしてて面白かったよ。 趣味が洞窟探検って! あれほんと?」 「あー、あれは……まあ、たまにやるくらい」 「雅之君が洞窟探検してるとこ想像するとなんかおっかしい!」
目を瞑って、俺の洞窟探検の様子を想像して笑う彼女は冷えていた俺を温かくしてくれた。 俺の心の奥底に眠る何かに火がついたような感覚だった。
「あんま笑うなよ。塚○は何の携帯使ってるの?」 「あたしはドコモのこれだよ。カメラの画素数イイやつに代えようか悩んでる。 どうしよっかなー」 「代えたら? 周りの女子も最近の携帯持ってる人多いし」 「そうだよね、もう少しお金貯めたら買うかも」 「塚○はどっかでバイトしてるの?」 「レストランでやってるよ。高一からずっとサイゼ。雅之君は?」
店は違っても飲食系のバイトという共通点を見つけて、かなり舞い上がっていた。
「俺はアイスクリーム屋でやってる」 「アイス!? あたし大好き! 今度おごってよー」
手の平でパチンと音を立てて冗談交じりに言っていたけど、目がでっかく開いてすっげぇ可愛かった。 すぐにでも抱きつきたくなるくらい。何せ目の輝きが違ってたね。
そのとき俺は、経験の少ない男によくある 『こいつ俺に気があるんじゃないだろうか?』 という期待から生まれる優越感に浸っていた。
実際に彼女もそのときから俺に気があったらしい。
「今度俺が働いてるときに来なよ。一つくらいならタダであげるから」 「ホントッ!? 超うれしい! どこのアイス屋さん?」 「駅んとこ」
ここぞとばかりに俺は携帯をいじりながら勇気を振り絞って言った。
「あ、塚○の番号とアドレス教えてよ」
平然を装いつつも内心は心臓バクバクだった。 何せ女子のアドレスを聞くのは中学で1回、そしてこれが2回目だったから。
「いいよ! 先に送るね」
彼女が椅子をこちらに動かして座り直し、携帯をいじり始めた。 そのときに彼女はスカートの腰の位置も直した。
結果、隠されていたJK2年・塚○香苗の白くて太い2本の立派な太股が視界に飛び込んできたのだ。
男の本能で新しいクラスメイトの女子を〝交尾の対象〟と認識して、初めてスケベな目で見つめた瞬間だった。 生唾を飲んでから、何回かチラ見した後、隙を見て10秒間くらいずっと見つめ続けた。
女子の体型が丸みを帯びつつある時期なのかエロすぎるほどムチムチで、ガブッと噛んだらピンク色の苺クリームがムニュっと飛び出しそうなほど柔らかそうだった。
彼女が全裸で起立したら、下半身のYの字の中心に隙間が一切無いんじゃないかと思うくらいのムッチリと肉が詰まった健康的な太股だった。
エロい気持ちになっちゃダメなときだけど、ギンギンに勃起してたな。 それでも座ってたし体勢を前のめりにしてもいたからバレることはなかったけど。
赤外線で連絡先の交換を終えると、彼女が質問してきた。
「アドレスのasukaloveってとこなんだけど、雅之君の彼女?」
ヤバいと思った。 痛恨のミス。 まさか始業式の日に、この俺がこんな超可愛い女の子とメルアドを交換するなんて図は脳の片隅にも無かったから、今や一般人も支持している人が多い『新世紀エヴァンゲリオン』のヒロインの名をアドレスに刻んでいたことなんてすっかり忘れていた。
彼女の興味が他の男に移る前に仲良くなってしまおうという焦りもそんな重大なことを忘れさせる要素の一つになっていた。
「あー、えっと……それは元カノの名前。 別れてからまだ変えてなかったわ。近い内に変えるよ」 「マジ!? 彼女いたんだ!」
彼女のその反応がなんかあまりにも、俺=彼女いない歴年齢みたいな式が頭にあったみたいな感じで少し悔しかったから、ムキになってそこで初めて香苗に嘘をついた。
当時の俺は童貞を捨てたくて焦っていたし、もうどうにでもなれってなりふり構わず猪突猛進の勢いだったから。 嘘をつきだすと止まらなくなる性格だったのも馬鹿だったと思う。
「いたよ。こんな俺だけど中学のとき2年くらい付き合ってたね。 そのアスカっていう子と」
『脳内で、だけどね』とは死んでも付け足せなかった。 香苗はどう見てもSFアニメとは無縁に近い女子に見えたし。
話の途中で担任が教室に入ってきたからそこで中断した。 俺はそんな嘘を重ねていきながら、香苗と親密な関係になっていった。 彼女の裏に潜む、根岸というヤリチン男の影を知らずに。
この話はそれほど昔の話ではありません。 ここまでの一連の会話を覚えてるのは当時の日記を参考にしてるからです。 部屋を整理してたら日記が出てきたので、あの頃の気持ちを思い出して読んでいたら興奮してしまい投稿しようと思いました。
できたら1日ペースで投稿しますのでよろしくお願いします。
香苗と連絡先の交換をしてから頻繁にメールするようになった。 その当時は俺の方からメールして香苗が返信するパターンが多かったような気がする。
頑張ってアイス無料提供の誘いを約束できただけあって、最初のメールからすんなりと話を進めることができた。
5月上旬、放課後に香苗が女子の友達と2人で俺のバイト先を訪れた。 香苗は他の従業員になるたけバレないように手を振って笑顔で合図してくれた。 もう1人の友達は香苗よりも少し劣るくらいの可愛さで、香苗のアンバランスでエロい洋梨体型とは違って、スラッとしてて足も細かった。
安産型なのは香苗の方かな、などというスケベな比較をしつつも俺は仲の良い社員の人に許可をもらって、アイス3玉分を2つ香苗の客席に持っていった。
「3個もいいの!?」 「オッケーもらったから遠慮なくどうぞ」 「ほんっとにありがとねっ!」
香苗は上の段のバニラの玉にベチョッとしゃぶりついた後に言った。
「あ、こっちは3組の亜梨沙」
紹介されたもう1人が「面識無いのにありがとうございます」と礼儀正しく軽く首を振って俺のアイスを受け取った。 香苗の無邪気で活発的な性格とは違って、亜梨沙ちゃんはかなり大人しい性格のようだった。
「いいよいいよ。あんまり頻繁にタダではあげられないけどね。 塚○とは1年のときクラス一緒だったの?」 「そうです。中学のときからですけど」 「仲イイんじゃん」
そのとき香苗にメールが届いたようで、彼女はバニラを唾液でドロドロに溶かしながら携帯をいじり始めた。 そこで俺は奴の名前を始めて聞くことになった。
「根岸だ! カラオケ行こうよだって! 亜梨沙もこれから行かない?」 「えっ……根岸君って香苗の……」
香苗が唇を噛み、眉間に皺を寄せて首を横に振ったのを見て、亜梨沙ちゃんは葉を濁した。
「あ、ゴメン! 軽音部の人だよね? まだ話したことないし、私はちょっと……」
亜梨沙ちゃんはすげぇ焦っていて、俺の表情をチラッと窺った後、俯いた。
根岸っていう名前は、俺と同じクラスの佐々木っていう仲良くなった男から話は聞いていた。 廊下ですれ違ったりするときにあいつが根岸だと佐々木が教えてくれたのだ。
奴はイケメンだった。 容姿では俺が勝てる見込みはほぼゼロといっても過言ではないほどのイケメンだ。
髪はパーマをかけたボブで、悔しいが優しげで中性的な顔立ちのためか似合いすぎだった。
根岸は高校生にしては大人っぽい顔つきで、読者モデルも経験していて、ヘアースタイルの雑誌のモデルに載ったことがある奴だった。 現に俺は奴が載ったその雑誌を佐々木から見せてもらった。
奴は性欲がかなり強く女癖が悪いようで、付き合っていても他の女子に手を出してしまうチンポマンだということも佐々木から聞いた。 バンドでドラムをやっていたし、あれだけ顔が良ければ女子にはまず困らなかったんだろうな。
休み時間に根岸が俺の教室に入って来て「やべぇよ、誰かジャージ貸してくれー」と言って困っていたことがある。
そこに香苗が歩み寄って自分のジャージを貸したのだ。 俺が通ってた高校は男女ジャージの色は一緒だった。 今もたぶんそういう学校多いと思うけど。
香苗の表情は俺に見せるそれと違って、少し色気があって発狂しそうになった。 香苗と根岸って付き合ってるんじゃないか?と思うくらい親密な感じだったのだ。 俺はそれだけで嫉妬で胸が張り裂けそうだった。
香苗が今、根岸の名を口にしてから意味深なやりとりを目撃し、俺の心拍数が少し上昇した。
「えー? 行こうよー!」
香苗は亜梨沙ちゃんの遠慮気味の苦笑いを見てちゃっちゃと決めてしまった。 香苗はウジウジしている人間が嫌いだった。
「あー、もういいよ、どうしてもダメならあたし1人で行くから」
香苗はスクールバッグを背負い、立ち上がった。 黒と白の水玉模様のバッグには大きめのテディベアのぬいぐるみがぶら下がっていた。 ブレザーの制服とめっちゃ似合ってた。
「ゴメンね! また今度女子と行くときにでも誘って」 「りょーかい! 雅之、今日はありがと! アイス無料券みたいの100枚くらい作ってよ」 「100枚はねぇよ!」
この頃から既に俺を〝君〟付けで呼ばなくなっていた。 香苗の冗談はかなりオーバーでときどき俺を困惑させる。
バイトから帰宅後、俺はやっぱり香苗と根岸の関係が気になって香苗にメールした。
【香苗って根岸って奴と付き合ってんの?】
若干ストレートすぎる質問な気もしたけど、香苗は回りくどいのを嫌う女子だったからあまり深く考えずに送信した。 9時少し過ぎでまだカラオケの最中だったと思うけどすぐに返事が来た。
【付き合ってないよ(笑いの顔文字)どうして!?】
かなりホッとした。俺もすぐに返信した。
【いや今日なんかそれっぽい雰囲気だったから。ならいいや、カラオケ楽しんで!】
その頃には俺と香苗とのメールの回数は尋常じゃないくらい増えていて、誰かが携帯の受信ボックスを見れば、こいつらは付き合っていると錯覚するほどに進展していた。
香苗はどんなことがあってもかならず返信をし忘れることがない几帳面な女だ。 それは夫婦になった今でも変わらない。
そんな香苗が他の男と仲良くなっていたことをそのとき初めて知って複雑な思いになった。
香苗が根岸とカラオケに行った日から俺の中で何かが変わり、電話でもメールでも下校中の会話でも、香苗の深い部分に迫るようになっていった。
そんな俺の情熱を察知したのか、香苗もそれに共鳴してくれるようになり、6月の下旬に俺はついに告白を決意した。
下校中、お互いの帰路に就くために別れる間際、俺は香苗に言った。
「俺と付き合ってよ」
人生で初めての告白だった。
「……え?」
鼓動の音が痛いくらいに伝わってきて、どうにかなりそうだった。 真面目な表情で言ったつもりだったが、後に香苗からその話を聞くと、かなり心配そうな表情をしていたらしい。 香苗も突然のことに切羽詰まってしまい、俺から視線を逸らして俯いてしまった。
30秒くらいに感じられた長い沈黙の後、香苗が言った。
「ちょっと考えさせて」
俺は腰が抜けそうになるくらい緊張していて、ロクな返答ができず「わ、わかった」と震えた声を出した。 「じゃあまた明日な」 「うん。またね」 そのとき香苗は上目遣いで俺の表情をよーく確認していたのを覚えてる。
<続く>
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