牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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15-08-10 12:41
夏の日差しの中を大介は大学に向かう。 街中の学校だが、休み中だけあって人の数は少ない。 休みも行く場のない生徒や、サークル活動の生徒が幾人かたむろしているばかりだ。 正門を入っていくと、むこうから白い人影が駆けてくる。 「森君!」 結理だ。 周りの男どもがざわめき、「文学部の川北だ」などと言う声が聞こえる。 パンツ型のテニスルックでラケットケースを抱えてきた結里は、盛夏の太陽のもとでもその場の温度が涼しくなるような、風が吹きぬけるようなすっきりした笑顔でいる。 (本当にキレイな顔だなあ。もうちょっと若ければなあ) などとのん気に批評している大介の内心の声を知ったら、周りの男はただでは済ませなかったろう。 昔は少女モデルをしていたこともあるという結理は、流行っぽい髪型に化粧も上手で、大学での垢抜け具合は群を抜いていた。 スタイルも歳のわりには細身だが、十分に出るところは出ている。 まじまじと見直した大介は(こりゃ騒がれるのも当然だ)と納得する。
結理は見つめられて少し顔を紅くしたが、視線になんら異性への感情が含まれていないことを敏感に察して、大仰にがくりと肩を落としてみせた。 「なに?」大介の笑みにはまるで底意がなく、それだけに魅力的なところが憎らしかった。 告白には慣れていたが、これだけ親しいのに関心を示さない男も結理には初めてだった。 「あ…」外から近づく3人組を見て、結理の美しい眉がわずかにしかめられる。 「川北さん、もう決めていただきました?」 この暑いのに長めの茶髪をきちんと後ろに流し、袖捲くりしたジャケットを羽織っている左側の日焼けした男が明るく声をかける。 (バカ…)と小さくつぶやく結理の声が聞こえた。 「あの…」 「ほんの30分、出てもらえればいいんですよお。 川北さんがいるだけでみんな喜ぶんですからあ」 「あたし、お断りしたはずです」 「顔だけでいいんですよ、顔だけ。 そんなお手間は取らせませんから」 大介は横でやりとりを見ていたが、間に入るべきか迷っていた。 (嫌そうだけど、お互い大人だしなあ。 それに恋人でもなし、お節介を焼くのも…)。 「行かないったら、行かないんです!もうストーカーみたいにつきまとわないで!」 少しキレ気味に結理が声を荒げ、周りの視線が集中する。 注目されて引っ込みがつかなくなったのか、3人組の表情も変わる。 「おい、ちょっと美人だからっていい気になるんじゃねえよ」 (おいおい)と大介はため息をつく。 「それくらいで。今日はこれくらいにして下さい」 大介は心を決めて前に出て、結理を陰にする。 「なんだてめえは?」右側の男が言う。 (学生が、チンピラのまねかよ)大介は内心苦笑しながら「お願いしますよ」と頭を下げる。 と、真ん中の男がすっと足を歩幅に開いたのが見えた。 (本気か?)大介はあきれながら、わずかにキックボクシングの受けの姿勢に入る。 性トレーニングのために通っている道場だが、何時の間にか相当の腕になってしまっていた。 相手の腕のほどはわからないが、体力と筋力では相当優位があるようなので、結局はつぶせると踏んだ。 …こちらを見ていた男はそれを感じたのか、顔をゆがめると後ろを向いて去っていく。 両脇の連中もあわててついていく。 (とりあえずこともなし)安心して横を見ると、結理が侮蔑の極みのような眼で眺め、中指を上げようとしている。 大介はあわてて眼をふさぎ、手を抑える。 「きゃ」「ばか、けんかでも売ってるのか?」 結理はちょっとふくれて「あんなイベント気狂いのバカ男」という。 「いいか、ああいうのは頭下げて逃げてりゃいいんだ。 関わるだけバカをみる」 「だってぇ…」と言うが、大介の方を見て笑みが戻った。 (真ん中のやつ、気に入らないな。 嫌な目つきをしていた…)。 大介が苦手なのが、顔だのプライドにこだわる手合いだった。 歌舞伎町の店長に私淑したのも、認めなかったが相当な組幹部であろうのに、ふだんはまったく諍いを起こさない紳士だったからだった。 (「電車の中のマナー違反に腹が立つなら、電車に乗る必要のない人間になれ」と言う。 「もう世間は理屈じゃない、獣みたいな連中が跋扈している世界だ。 そんなものにぶつかって怪我をするのを馬鹿という。 そんなことより、底辺のやつらに関わらないで済む方策を考えろ」)まったくそうだ、と思っていただけにさっきの獣じみた連中が気になる。 結理はグラウンドに戻ったあと、着替えにサークル棟へ向かった。 (森君に電話しちゃおうかな…さっきは助けてくれたし、食事に誘うのもいいかも)ちょっとうきうきして携帯をかけようとした時、藪の横道から突然出てきた男に後ろから羽交い絞めにされ、口をふさがれた。 「ム!」もうひとつの腕が伸びてきて、結理の腕を後ろ手にまわしてベルトで縛り上げる。 (イヤァッ…!)暴れるが男の力に押さえ込まれ、ずるずると藪の奥に引きずり込まれていく。 大介の携帯が鳴った。 表示は結理からだ。 「もしもし?」 「……よう、色男」 (真ん中野郎か!)。 大介はぎりりと奥歯を噛む。 予感に従って結理を追わなかったことを後悔した。 電話の向こうで遠くに結理の叫び声と、男の低い声がくぐもって聞こえる。 「今からおまえの恋人をめちゃくちゃに犯してやる」と笑いながら言う。 (…冷静に、冷静に、だ) 「好きにしろ」 「…な…に?」 「だが今からすぐ警察に通報する」「…!」 「俺は別に彼氏じゃない。 だから彼女の世間体より、正義を優先する。 それでいいならやれ」 「…嘘をつけ。 こいつが強姦されたら、しゃべれるはずがない」 「まだ、そこは学内だろう。 おまえらの顔もわかっている。 女一人のことで人生台無しにするのか?」 「…この野郎」 「いまなら、見逃してやる。 どっちが得かよく考えろ」 電話が切られた。 (畜生!)大介は電話を握った拳で掌を叩いた。 (冷静に…冷静に考えろ…拳で…拳では考えないぞ…拳で考えるのは具志堅だけだ…何言ってるんだ俺は…グラウンド…サークル棟の近くで人気の少ないところ…そうだ…裏の横道があった…小山になって…茂っている!) 確証はなかったが走り出した。 調教までしておいて勝手な理屈だが、大介は強姦は嫌いだった。 女はイカせてなんぼ、と思っているだけに突っ込めばいいという連中は信じられなかった。 イケば和姦なのか、という問題はあるがそれがポリシーだった。 藪へ全速で突入する。 できるだけ、道から離れる…奥の方へ…丘の頂上じゃない…裏か…どこだ…結理…まだ無事か?…どこだ…声をかけるか…いや…もうちょっと…いた! 藪が少し広がった所に結理が転がっていた。 ベルトで後ろ手に縛られたまま、テニスウエアはビリビリに引き裂かれ、わずかにパンティーだけを身につけて身を丸く縮めて震えている。 「結理、オレだ。何も喋るな」 大介は着ていた大ぶりのTシャツを脱ぎ、結理を抱き起こす。 体育座りのようになった彼女の身体全体を、自分のTシャツの中に押し込んだ。 子供が時々する首だけ出すだるまのような格好になったが、とりあえず全身は隠れた。 泥のついた顔の、怯えた眼から涙がこぼれ落ちる。 「悔しい…あんな奴らに…」 (怒りがあるうちは大丈夫だろう)と大介は少し安心した。 「怖いだろうが、ちょっと待て。 誰かから車を取り上げてくる」 その辺にいた学生から借りた古いカローラを無理やり構内まで突っ込み、結理を抱いて急いで車に乗り込んで、とりあえず近くのファッションホテルに入った。 結理はホテルの巨大な天蓋付きベッドの上で、備え付けの浴衣を着てシーツにくるまっていた。 いまだに震えが収まらない。 本来なら初めてのラブホテルで、ルネサンス部屋とかいう、紛い物臭い円柱が部屋に立っているような作りに興味津々といいたいところだが、凌辱寸前のショックでそれどころではない。 加えて、大介の強烈な行動力と男らしさに完全に心を撃ち抜かれていた。 上半身裸の大介に抱っこされたまま直接風呂場に運ばれた。 後ろを向いた大介は 「悪いがTシャツを返してくれ。服を買ってくる」 と言って飛び出していった。 熱いシャワーを浴びるうちに、人心地がついてきた。 …あの男たちに藪に連れ込まれ、ウエアを引き裂かれてブラも取られて胸乳をわしづかみにされた。 一人には肩を押さえ込まれ、一人には腰の上に乗られた時は(もうだめ。犯される)と覚悟した。 首領格の男が携帯で話していたかと思うと、 「今日はだめだ。逃げろ」といって2人を引きずり倒し、3人でばらばらに逃げていった…。 部屋のドアが開いて帰ってきた。 「スーパーのありものだけど」 大介はTシャツ、ジーンズと下着の入った袋をおいてベッドの横に腰掛けた。 「ありがと」結理が大きな眼を潤ませて小さく言う。 「しばらく休んでから…送っていくよ」「…」 (人としてこんな状態の彼女を放っておけない)と大介は、今晩のまことの調教は諦めて先刻中止の連絡を入れていた。 <続く> 続きを読む時に便利です→ お気に入りに追加 [体験告白][エッチ][美人女子大生][スレンダー美乳][処女]
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