この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ
気まずい沈黙が続く中、母さんがレンジから温かいピラフを出して盆に載せ、スプーンとコップを添えた時、「ゴキブリども!死ね!」と親父が罵声を浴びせた。
僕はむっとし、母さんは硬くなっていた。
「いい気なもんだ」
侮蔑のこもった口調に僕はあえて無視し、サイダーと牛乳パックを持って玄関に向かった。
母さんも盆を持って後から続いた。
「親子で乳繰り合うとはな」
非難の言葉を背に僕たちは母屋を出て離れへ行き、部屋に入った。
サイダーと牛乳、さらにピラフが運ばれて来たので女たちは喜んだ。
飲み物を机の上に置き、更にピラフとコップをその傍に置かせ、先ず僕がピラフを半分程食べ、残りを、空腹な奴隷たちに食べさせる事にした。
牛乳とサイダーも僕が最優先だ。
腹を満たし、サイダーと牛乳を充分に飲んだ後、女たちが飲食を始めた。
奴隷たちの間にはっきりした上下関係こそ無いものの、やはり年齢の力は大きく、空腹な加奈叔母さんが初めにピラフを食べ、母さんが牛乳を飲む。
芳美たちは他人の家で飼育されている意識があるのでその分遠慮がちでいるのだろう。
自然に序列が出来るもんだなあ、と面白い。
その後、女たちにも下着の着用を許したので皆ブラジャーとパンティの格好になっていた。
性器の疼きを解消されて満たされている女たちはもう充分なのか、芳美が、「ご主人様、もうお布団を敷いてもいいですか?」と尋ねた。
「寝たいのか?」
「はい、お風呂に入って・・・」
「風呂か・・・」
寝るのはともかく、一緒に風呂に入る事に反対ではない。
ただ、珍しく僕と母さんを罵った父さんがまだ起きているかもしれないので気が進まない。
これまで、女たちの着替えや入浴中に親父が覗いたりした事はなかったものの、安心している訳ではない。
父さんが僕や母さんの横柄で非常識な振る舞いに怒りながらも離婚を迫ったり暴力を振るわずにいるのは、同居している女たちとセックスをしたい願望があるからだろうと自分なりに推測してきた。
僕から力尽くで女たちを奪わないのは女々しい性向があるのか、世間に家庭の恥をさらしたくないのか、とにかく僕には好都合なのだが。
サイダーや牛乳を飲み干し、狭い空間で女たちを構わずだらけた時間を過ごしていた時、突然戸が開いて親父が現れた。僕は驚き、警戒した。
「ふうん」
下着姿の女たちを見た親父は蔑みの笑いを浮かべ、「大した男だな、おまえも」と口走った。
「何だよ」
「こんな事が許されると思っとるのか?」
僕は厳しい目で親父を見据えていた。
親父は部屋に入り、女子大生二人を目にして、「又拾ってきたのか?」と呟いた。
佐智と京子は体を寄せ合って警戒している。
「変な話だな。息子はやりたい放題で俺は小さくなっとる」
それから自分の妻を見て、「このくそ女!」と罵った。
母さんはむっとなった。
気まずい中で親父は、「いつまで続ける気だっ?!」と僕を睨んで声を張り上げ、一瞥した僕にびんたを食らわせた。
初めての強い仕打ちに動揺した。
「駄目えっ!」と加奈さんが叫んだが、親父は険しい表情のままだ。
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