牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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16-01-09 11:12
文代が部屋に入ると、麻美と真弓が壁にもたれてぼんやりテレビを見ており、彼女らは主人に気付いて壁から体を離した。「おとなしくしてた?麻美にお客さんだよ」文代は言い、玄関に居る理沙に、「早くおいで」とぞんざいに勧めた。理沙は黙って玄関に上がったが、貧乏くさい室内に麻美ともう一人が手錠を掛けられて座っているのを見て呆然となった。理沙の姿に愕然とした麻美は顔を背けている。「驚いた?」文代は笑っており、「さあ、あんたたちもおなかが減ったでしょう?」と麻美と真弓に言った。その時文代は、スーパーで買った食料品を車のトランクに置き忘れてきた事を思い出し、急いで取りに行った。やがてスーパーの買い物袋を提げて玄関戸に錠を掛け、部屋に戻った。「大事な物を忘れてたよ」文代は!
も笑いながら台所へ行き、今から米を炊くのは時間が掛かるので、取り敢えず冷凍から揚げを袋だけ破ってそのままレンジで温める事にした。しかし、理沙という新たな女がいて落ち着かず、すぐに三人の所へ行った。すかさず理沙が、「これは何の真似?」と文代を睨んで訊いた。「見てのとおりだよ」「早く外しなさいよ!」「嫌だね」「・・・・・」理沙の目付きは更に厳しくなった。蛍光灯下のその彼女は麻美や真弓以上に大人びた感じで容貌が優れているだけでなく、スリムなのに胸が盛り上がっている。「怖い女だなあ」文代は相手の勢いに負けまいと、両手を腰に当てて苦笑いを浮かべている。
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