和子と義弟_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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和子と義弟

16-01-09 11:13

 宴会が始まってそろそろ2時間を過ぎ酔いが三島をはじめ若い社員にまわってきたのか宴会場は騒々しくなっていた。
カラオケを唄う若いカップルの声も遮られるほどであった。
「田中さん二次会つきあうでしょう」
淑子が和子に声をかけて来た。
「どうしようかな・・」和子の言葉をさえぎるように係長の三島が割って入って来た。
「もちろん付き合ってくれるだろ、たまには私たちととことん呑まなきゃ」
どうも三島は和子をどうしても誘いたいという態度であった。
宴会は9時で締められその後はめいめいが外に呑みに行くもの、部屋でマージャンする者でなどに分かれていた。
和子は淑子や小夜と幹部社員のグループで外のスナックへタクシーで向った。
10分も経つと暗い坂道を上り詰めた所に「夕姫」というスナックに着いた。
ドアを開けると温泉客と思われる数人が飲んでいた。
和子たちのグループで席はほぼ満席となり騒々しくなった。
「さあ、今日は私の驕りだ遠慮なく呑んでくれ」
課長の黒田は赤ら顔で威勢のいい声で声をあげた。
若い女が注文を取りに来た。
「田中さんビールでいいかね」三島は問いかけた
「それでいいです」と遠慮気味に応えた。
案の定、三島は和子の隣の席に座るとビールをグラスに注いできた。
「君はシングルマザーなんだったけ、職場でよく働いてくれるから課長にも正社員に取り立ててくれるよう頼んである」
その言葉の裏に隠された意味を和子は悟った。
三島はまた新しい女に手を付けようとしていたのだ。
「失礼なんだが再婚はするつもりはないのかな」
「もう私50になるんです、そんな話ありませんよ」
「失礼、君は若く見えるし男の目からしてなかなかだと思うよ」
三島は和子をなんとか口説こうとしているのかなかなか席を動かなかった。
注がれるままに和子はグラスを空け1時間もすると酩酊状態となって身体を触れられても反応をしなかった。
三島はイスの裏側から和子の尻に手を廻し撫でながら満足している様子であった。
「三島君」
課長の黒田が肩を叩いた。
「その女性か、なかなかいい身体してるな 私に任せてくれないか」
三島はキョトンとした顔で課長の言葉が理解できないでいた。
「タクシー呼んでくれないか、そうとう酔っているから私が介抱するよ」
その言葉で三島は理解できた。

「タクシーが着ました」
店の女が黒田に知らせてきた。
淑子も小夜もそうとう酔っていて若い社員の相手で和子のことに気付かないでいた。
「さあ田中さんだったな、帰るよ」
抱きかかえられるようにして外に出た。
「三島君、これで勘定たのむよ」
出された10万ほどの札を三島は受け取った。
タクシーは和子と黒田を乗せて市街地から離れたラブホテルに向うのだった。
ブルブルブル  ブルブルブル
和子の携帯が微かに響いた、松本の求からの電話である。
しかし今、和子はそれにも気付かないでタクシーの後部座席の黒田に寄りかかっていたのである。


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