「んっ…んっ…」
上野の舌と鴨の舌がゆっくりと絡まる。上野は鴨を受け入れていた。他の人が全身を舐める感覚に身をよじらせる。
少したって鴨が上野の唇から口を離した。二人の柔らかい唇の間にキラキラと光る糸が引かれていた。
「どうよ?美味しかった?」と真木が尋ねる。
鴨は興奮冷めやらぬまま、ああ、と一言言った。上野は焦点の定まらない目を泳がせていた。一瞬でも鴨の支配を許した自分が哀れに思えた。
「しかし、汚いなぁ。お前らのヨダレだらけじゃんか」と真木。
「洗おうぜ。水汲んでくる」そう言うと男子の一人がバケツに水を汲んできた。
「雑巾か?」
「いや、こうだろ」
男子は上野の真上から思いきりバケツの水をかけた。とてつもない勢いで5L弱の冷水が上野を襲う。
「きゃあああ!!!」と思わず声が裏返るほど高い声で叫ぶ。最早、金切り声であった。
「おい、これは死ぬって」と真木は笑いながら言う。
「拭いてやろうぜ」と鴨が古びた臭い雑巾を二枚持ってきた。ゴシゴシと強く上野の全身を擦る。
「い…いたい…!」上野の体は急激に冷えたところを布で擦られ凍傷のように痛かった。男子はそんなことお構いなしに擦る。
「もういいだろ。次はこれだ」
真木はそういうと黒の油性ペンを持った。上野の細いお腹にペン先を当てる。
「えーと、たしか…」
真木は上野の腹部に四角い何かを書く。
「完成!」と、腹部にちょうど1オクターブ分のピアノの鍵盤が描かれた。
「じゃあ、ドレミちゃん。私が押すところが何の音か当ててね。出来なかったらお仕置きだよ」
真木はレの鍵盤に指を置いた。
コメント