阿部はあまりの気味の悪さに身を少しよじらせる。友田はそれに気づいたのか阿部の髪を吐き出した。唾液に濡れた髪が光る。
阿部としてはすぐに髪を洗いたい気分であったが、洗っても乾かないし、小村たちに包囲されていては立つこともできない。阿部は何も言わず俯いていた。
友田や小村は何が面白いのか、阿部が何もせずとも笑う。周りも同調した。
「ほら、本返してあげるから〜」と小村は本を阿部の机に置き戻っていった。
予鈴まであと10分だがまだ教室には半数も来ていない。阿部は堪り兼ね教室を出て行く。阿部が戻ってきたのは予鈴がなって、授業が始まってからとなった。
阿部が思うにこのクラスにはカーストがある。
友田や瀧山五朗太(タキヤマ ゴロウタ)を中心とする男子ほとんどの所属するイジメグループが一番上。
小村や真木心愛(マキ ココア)を中心とする女子の大半が所属するイジメグループが二番目。
南沢や田中元(タナカ ゲン)などのイジメを静観してる男子グループ、饗庭理紗(アイバ リサ)や安保桃子(アンボ モモコ)などのイジメを静観してる女子グループが三番目。
そして、阿部や森田咲(モリタ サキ)、上野虹音(ウエノ ドレミ)のイジめられグループは最下層にある。
森田と上野は二時限目の途中でやってきた。恐らく、学校が嫌で途中で来たのだろう。阿部と森田、上野は皆イジメをうけているという接点で仲が良かった。皆、親や先生は信用していない。だから、お互いで励ましあって学校へ来ていた。
三時限目のことである。瀧山が化学のプリントの裏面にマッキーで黒々と文字を書いた。それを前の席の森田の背中にバレないようにソーッとガムテープで貼り付けたのだ。 私はメスブタです。そう紙に書かれていた。
周りの男子はそれに気付き、先生や森田にバレないようにヒソヒソと笑った。阿部はその笑い声で森田の背中に気づいた。だが、何もできなかった。きっと、チクったり森田の背中から紙を剥がしたりすれば自分も更に重い目に遭うからだ。それは安保や南沢にも同じだった。
瀧山は調子にのって携帯の無音カメラで森田の背中を撮った。
森田は何も知らなかった。
【作者から】
やはり私は文章を書くの下手ですね…(−_−;)
今回もエロに入れませんでした。
温かい目で読んであげてください。頑張ります。
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