この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ
だから、その犯人[魔神]が最近課長に昇進したそうだと聞かされて多少反発しても、憎むべき相手の顔を見てみたいという思いは薄れていた。
叔父は、僕が未だに加奈叔母さんだけと関係していると思い込んでいるだろうから気持ちの変化を知らない訳だ。
それで、僕の熱意の無さにはぐらかされて話が弾まないまま電話を切った。
『課長か・・・』
自分の醜い過去は無かった事として順調に出世コースを歩んでいる事に軽く苦笑いした。
そういう僕はもっと、叩けば埃が出る男だから、叔母さんの人生を狂わせた[魔神]を責める気持ちがほとんど無くなっているどころかむしろ共感さえ覚えるのだった。
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