牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城
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26-11-07 09:17
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妻の涼子と結婚して半年が過ぎ、やっと生活も落ち着いてきた。新居への引っ越し、結婚式、新婚旅行、色々なことがあっという間に過ぎた。僕が30歳で、涼子が28歳、結婚をするタイミングとしては、少し遅いかもしれない。ただ、身の回りではまだ結婚していない友人も多く、良いタイミングだったかな? と、思っている。 涼子とは、図書館で知り合った。僕は読書が趣味で、基本的には購入して読むことが多い。ただ、電子書籍には抵抗があるタイプなので、古い本を読もうと思うと、古本屋さんか図書館と言うことになる。 涼子は、図書館で司書をしている。眼鏡がよく似合う、いかにも文学好きな少女という見た目の彼女に、僕が一目惚れした。と言っても、女性経験が少ない僕が声をかけることも出来ず、ただ良いなと思って眺めているだけの時間が過ぎていった。そんな中、書棚で本を探している僕に、 「何かお探しですか?」 と、涼子が声をかけてくれた。それがきっかけで、ちょくちょくしゃべるようになり、一緒に古書店を巡るようになるのに時間はかからなかった。そこからは、あっという間だった。別に結婚を焦っていたわけではないが、思い切ってプロポーズをして、いまに至る。 「フフ、ずっとチャンスをうかがってたんだよ。なかなか話しかけてくれないから……」 結婚してしばらくしてから、最初の時のことを聞かされた。あの時声をかけてきたのは、偶然ではなかった。涼子も、僕のことを最初から良いなと思ってくれていたみたいだ。すごく嬉しくなったが、同時に少し不安になった。思ったよりも、積極的に行くタイプ……奥手で恥ずかしがりだと思っていたので、意外なアクティブさに少し不安になってしまった。 そうやって、声をかけたことがあるの? と、聞くと、 「え? ないよ。フフ、そっか、心配してるの?」 と、ニヤニヤした顔で言う彼女。正直、色々想像してヤキモチを焼いてしまっていたので、本当に一度もないの? と、念を押してしまった。 「そんなに気になる? ヤキモチ焼いてる?」 ニコニコ嬉しそうに言う彼女。僕は、素直にヤキモチを焼いていることを伝えた。涼子が、他の男性にも声をかける姿……想像しただけで、胸がキュッとなる。 「ないよ。本当にないよ。ひで君だけ」 涼子が、幸せそうな顔で言う。僕は、彼女を抱きしめてキスをした。そんなことがあって、涼子の過去が気になり始めた。元彼のことや、男性経験のこと……僕と彼女が結ばれた時には、処女ではなかった。僕も童貞ではなかったのでなにも言えないが、やっぱり少し気になってしまう。 涼子は、元彼のことや経験人数のことを話してくれない。僕も、聞きづらい内容なのでそれほどしつこく聞いたわけではないが、はぐらかされた。昔の写真なんかも、見せてもらったことがない。 ただ、過去のことよりもこれからのことの方が重要だ……そう思って、気にしないようにしようとした。でも、一度気になり始めたことは、そのままずっと頭に残り続けてしまい、イヤなイメージが膨らんでいった。 「これって、建物そのものじゃなくて、あの看板のことなんじゃないかな? ほら、ここの所簡略化されてるもん。一緒でしょ?」 今日は、二人で謎解きをしている。町歩きタイプの謎解きで、普段通り過ぎるだけの街や駅に行って色々なところを歩きながら謎を解くタイプだ。読書が好きで、ミステリー小説も好きな僕らは、謎解きゲームにはまっている。僕が論理的思考が得意なのに対して、涼子は直感型だ。 こうやって、一日二人で謎解きしながら町歩きをするのは、本当に楽しい。楽しすぎると言っても良いくらいだ。謎は、難易度の高いものから低いものまでバランスよくちりばめられていて、やっていて飽きない。ただ、こんな風に楽しい時間を過ごしていても、どうしても元彼のことや昔のことが気になってしまっている。 ゲームを進めている間、スマホを見せ合ったりする場面がある。建物の写真を撮って、それを見ながら問題の文章を読む……そんなシチュエーションが結構ある。そんな中、涼子の暗証番号が僕の誕生日だと気がついた。愛されているのを感じて嬉しくなったが、ふとよからぬことを考えてしまった。いくら夫婦でも、スマホを勝手に見るのはダメだ……そう思っているのに、頭の中がそれ一色になっていく。 「これ、こっちに折るのかな?」 涼子が、折り紙に苦戦している。ヒントを元に、問題の用紙を折っていく。まさか、この用紙を折るとは思っていなかったが、ヒントを元に問題を解き、その通りに折っていくと文章が現れた。 「すご~い、もう、ゴール近いね!」 無邪気に喜ぶ涼子。でも、僕の頭の中には悪い考えが浮かび続けていた……。 謎解きをクリアして、食事をして帰宅すると、もうけっこう良い時間だ。歩き疲れたのか、涼子は早々に寝てしまった。僕は、しばらくベッドで横になっていたが、涼子が熟睡したであろうタイミングで抜け出し、リビングに移動した。 リビングには、涼子のスマホがある。僕のスマホも充電していて、並べて置いてある状態だ。寝室で充電する事もあるが、基本的にこんな風にリビングで充電することが多い。涼子のスマホを手に取る。そして、暗証番号を入力すると、ロックが解除された。 ホーム画面……見つめながら葛藤している。本当に、こんなことをしていいのだろうか? でも、結局写真アプリを開いてしまった。今日の謎解きの写真、楽しい思い出がよみがえる。画面をスクロールしていくと、過去の写真が見える。結婚後のデートの写真、結婚式、交際中のデートの写真等々だ。 さらに遡っていくと、唐突に写真がなくなった。それは、僕と交際を始めたタイミングぐらいで終わっていた。普通は、もっと写真があると思う。どう考えても不自然というか、綺麗になくなっている。この状況に、ますます不安が膨らむ。 そして、写真アプリをよく見てみた。フォルダ分けされていたり、別のアルバムになっていたりしないか確認したが、特にそれもない。メールやラインも確認しようとしたが、それはさすがにやり過ぎだと思ってやめておいた。 ホーム画面を見ていると、色々なアプリがある。書店なんかの会員証なんかが多い。そんな中、クラウドストレージのアプリがあることに気がついた。開こうとすると、アプリロックがしてある。僕の誕生日を入力すると、あっさりと開いた。 ストレージの中には、色々な書類が入っていた。家の物が多い。保証書や、契約書、重要事項の説明書、説明書なんかも保存されている。几帳面な彼女らしいと思った。少しホッとしながらも、少しがっかりしている僕がいる。結局、なにもないのではないか? そう思ってストレージの中を見ていると、整頓と書かれたフォルダを見つけた。 過去の説明書かなにかかな? と思って中を見ると、写真が保存されていた。急に緊張し始めた。中を確認すると、学生時代の彼女が現れた。たぶん、大学での一コマだと思うが、涼子はかなり明るめの髪色をしていて、光の加減で金髪に見えるくらいだ。格好も、どう表現して良いのかわからないが、ギャルっぽい。ミニスカートがかなり短く、これまで一度も見たことがない姿だ。 ドキドキしながら写真を見ていく。楽しそうに笑う彼女……でも、女性の友人との写真ばかりだ。ただ、今の清楚で文学少女みたいなルックスとの差に、かなり動揺している。学生の頃は、こんなに派手でギャルっぽかったことを知らなかった。驚きの姿だ。 色々見ているが、写真はたくさんあるが、男性と映っているものは少ない。映っていても、恐らくサークル? 多人数のものばかりだ。とくに問題ないのかな? と、思い始めていた。たぶん、ギャルだったことは知られたくないのだろうなと思う。あまりにも今とキャラクターが違いすぎる。見たかったものとは違ったが、それでも涼子の昔の姿を見ることが出来て、一定の満足はある。ただ、同時に罪悪感もある……。 写真がたくさん保存されたフォルダ……その中にもフォルダがある。中を開くと、同じような写真が並んでいるが、さっきのフォルダよりも昔の画像のようだ。恐らく、さっきのが4年生で、これが3年生? 探っていくと、やっぱりフォルダがある。そんな感じで、4層の構造になっていることがわかった。 ただ、謎は解けたが、疑念を持った。几帳面な彼女が、こんなフォルダ管理をするだろうか? すると、1年生の時のフォルダに、さらにフォルダがあるのがわかった。開こうとすると、パスワードがかかっている。僕の誕生日を入れたが、開かない……。色々試そうとしたが、ロックされてしまうと見たことがバレてしまうと思い、冷静になった。 暗証番号は僕の誕生日ばかりだった。どうしてこのフォルダは違うのだろう? もしかして、単純に彼女の誕生日? でも、それも違う気がする。 色々考えて、スマホのパスワード管理アプリを開いた。そのパスワードはスマホのロック解除の暗証番号で行けたので、ウェブサイトなんかの暗証番号が一覧で見える。一つ一つを確認していくと、3846という数字が使われているサイトがいくつかあった。まったく心当たりのない数字だ。でも、直感的にこれだと感じた。 フォルダのロックは、3846で開いた。なんとなく、謎解きゲームを解いたような感覚になった。でも、フォルダの中には、絶望的な涼子の秘密が隠されていた……。サムネイルで一覧が表示されているが、どう見ても卑猥な画像……ハメ撮りみたいなものが並んでいる。 僕は、脚がガクガク震え始めている。まさかの状況だ。画像を確認すると、金髪みたいな髪の涼子が、フェラチオしたりハメられたりしていた……。コスプレみたいな衣装を着たものや、セクシーなランジェリー姿もある。笑顔でカメラに向かってポーズを取ったりもしているので、****ではなく、同意の元での撮影だとわかる……。
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