この話はつづきです。はじめから読まれる方は「狂女」へ
それから叔父さんと加奈さんは帰って行った。
二人がいなくなっても僕は加奈さんの事が忘れられず、オナニーに耽った。
母さんが買い物から帰って来ると僕は母屋へ行き、「これ、名古屋の叔父んからもらった」と言って、受け取っていたお中元を見せた。
母さんはその箱を見て、「勝から?珍しい」と言ったきり、買い物袋から豆腐を冷蔵庫に入れた。
「叔父さん、女の人と一緒だったよ」
その言葉に母さんの手が止まり、僕をじっと見た。
僕も負けずに見返した。
「何か言ってた?」
「別に」
「そう」
母さんは安心したように買い物袋から食材を入れ続けた。
僕は洗いざらいぶちまけてやろうかと思ったが勇気が無く、もやもやした気分で居間へ行き、テレビをつけてソファに掛けた。
勝叔父さんが女の人と一緒と聞いただけでその相手は妹の加奈だと思ったに違いない。
二人の特別な仲の良さを母さんは知っていて、その関係を今でも良く思っていない・・・。
もしかして、二人が男女の仲だと知っているのかもしれない。
テレビに目をやったまま三人の事を色々考えていると母さんが居間に現れ、「おまえ、勝とはもう会わない方がいいよ」と言った。
「何で?」
「あの子は変わっとるから」
「・・・」
「わかった?」
「ああ」
そう答えながらも、母さんの一方的な決め付けに反発した。
妹の存在をあくまでも隠そうとする母さん・・・勝叔父さんがどこに住んでいるか知りたかったが、僕自身、加奈さんへの特別な気持ちを秘密にしておきたいので深く詮索する事はなかった。
満たされないまま日は過ぎて行き、涼風が気持ち良くなった頃、その叔父さんから家に電話が掛かってきた。
たまたま僕が出た。
<ああ、雄一君か?>
「はい」
<良かった。俺、勝だけどな。そっちはもうすぐお祭りだろ?>
「はい」
<いつだ?>
「来週の土、日です」
<そうか。実は、加奈を連れてお祭りを見に行きたいんだ。雄一君も一緒にどうだ?>
「はい喜んで!」
<じゃあ、土曜日の夕方に神社で会おう。鳥居でいいだろ?>
「わかりました」
僕は嬉しくてたまらなかった。
又あの人に会える!
早くお祭りが来ないかと待ち遠しかった。
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