この話はつづきです。はじめから読まれる方は「まるバツ心[1]」へ
椅子の背もたれに背中を預けて馬鹿妹を俺は見る。
てか、早く出てっ欲しい。こいつが俺の部屋に居るってのが、なんか嫌。
とりあえず、復讐は後でする事にして、追い出そうと俺は思った。
「…病気…風邪は治ったの?」
は?
会話の流れ的に何の脈絡もない質問をしてきたんだけど。
「ちょっと良くなった。もう治る」
「熱は?」
「ない」
「食欲は?」
「さっきカロリークッキー食った」
「ちゃんと、食べないと」
なにこれ?
普通の会話なんだけど、なんか違う。
いつもは妹が二、三個悪態吐いて、俺は無言で、はい終わりみたいな感じなのに。
なんか、めちゃくちゃ鬱陶しい。
グダグタ無駄な会話するなら、早く部屋から出ていけって思うの俺だけ?
てか、さっきまでめちゃくちゃキレて突っ掛かって来たのは、なに?
俺はまだにムカついてるんですけど?
なに、無かった事にしてんの?
毎回毎回、生意気な態度でイラッてなるけどさ。
今回はなに?
理不尽にキレたのを謝罪も無しに無かった事にして逆に苛立たせようってこと?
マジで復讐すんぞ、おい?
馬鹿の作戦通りで癪だが、俺は本当に苛々としながら馬鹿を見る。
「ねぇ…なんか怒ってる?」
「は?」
「いつも喋んないから分かんないよ。なんで怒ってるの?」
いや、いつもお前の態度にはムカついてますよ。
「……したいの?」
「ん?」
何が?
いや、何を?
まず、ちゃんと、何をしたいのか言え。
もしくは分かり易く示せ。
じゃないと、分かんねぇよ。
ねぇ、こいつマジで馬鹿なの?
「なんでよ。なんでこのタイミングで、そんなの言うの?」
いやいや、何も言ってねぇし。
なんか面倒臭くなってきた。
とりあえず、俺は椅子から立ち上がり、パソコンのある机から移動してベッドに座る。
もう俺は寝ますから出てけの合図だ。
「……」
なのに馬鹿は俺の隣に座ってきた。
なに、こいつ。
邪魔をしようってか?
ムカつくんだけどー。
「……」
馬鹿を睨むが馬鹿は何も言わずにただ俺の顔を見てだけで、睨み返してくると思ってた俺は拍子抜けする。
「…お兄ちゃん」
ぎょっと俺の表情が変わるのが分かる。
しかし、馬鹿は目を瞑ってそれを見ていない。
なぜ、馬鹿は目を瞑っているのだろう。
久しぶりにお兄ちゃんと呼ばれて驚いた俺は目を瞑ったままの馬鹿を見詰める。
顔だけ見れば可愛い馬鹿。
小さい頃からずっとそれは知ってる。
「していいよ」
いや、だから、何をだよ?
つづき「まるバツ心[3]」へ
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