蜜よりも甘し(02)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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蜜よりも甘し(02)

15-06-14 09:30

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「蜜よりも甘し」へ

外はそれなりに暗くなりつつある。
しかし、果たして、それは犯罪に近いのではないか。

とりあえず、克也は汚くは無いが綺麗とも言えない己が城に未成年の少女を迎え入れる。
だが、それは、いつもの日常において異質であった。
己がいい様に散らかした、いや、片付けた部屋に小さな清純。汚ならしい男である自分とは違った綺麗な物がそこにある。
なるほど、これは犯罪だ。
然りとて、いまさら出ていけとも言えはしない。こんな下賎な部屋で、ちんまりと正座して畏まるアレを無下に出来るものかよ。お茶、いや、ジュースの一杯や二杯は出しておけよと何かが囁いている。
「す、すみません。あの、お構い無く…」
構わずに居られるか。早苗が両手を胸の所で広げてパタパタとさせるのを見て彼は思った。
「ま、まぁ、気楽にしててよ。足とか崩していいし…」
『あせあせ』と擬音が背中に見えそうなくらいに早苗がテンパっている。彼女にしても、予想外な展開なのだろう。ダメ元で頼んでみたら、案外すんなりオッケーが出た。たぶん、今の彼女の心情はそんな感じだ。
しかし、どうしたものか。克也は自分の心情も考えなければならない。いきなりの事で、自分がかなりのコミュニティ障害であるというのを忘れて、勢いで早苗を迎え入れてしまった。
会話が成立しているのは、いまちょっとテンションが高めの為だ。ひとまずは安心。しかし、舞い上がり過ぎだろう、やはり…。
近所の可愛い女の子。結構、目で追ってた自分が居たのを知っている。だって、可愛いのだもの。
で、今はその子が自分の部屋に居る。
なるほど、つまり、犯罪だ。
愚鈍な頭を左右に振って克也は台所へと向かう。料理だ。ご飯だ。食べれば、それなりに脳みそも働くというもの。不埒な悪行を三昧する訳にはいかない、はずだ。
「ごちそうさまでした。美味しかったです。佐野上さん、お料理上手なんですね!」
あぁ、なんだ、犯罪か。
カレーを作っただけで、キラキラした目を向けてくる可愛い生物。その早苗の愛くるしい姿に克也は料理前に何かを提言していたはずなのだが、なんであったかを遂には忘れてしまう。無意識に彼女の頭に手を乗せて、よしよしと撫で回す。
「ふわっ?わわわ?」
それに驚いて、早苗が反射的に両手で頭を抑えるが、その先には既に克也の手があって早苗の両手は自然と彼の手の上へ合わさる。
「っ!っ!?」
慌て体を仰け反らせて逃げる早苗の顔が赤いのを克也は気付いて笑ってしまう。

つづき「蜜よりも甘し(03)」へ


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