名古屋の嵐(九)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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名古屋の嵐(九)

15-06-14 09:30

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「名古屋の嵐(一)」へ

ことさら自分達の方を見ずに黙ったまま食べている家政婦達に向かい、「皆、胸が大きいんだな」と治が言うと、三人はあからさま不愉快な顔になった。
「山口さんはいくつあるんだ?」
聞かれた邦江はちらっと非難の目を治に向けたが、治はいやらしい笑みを浮かべてじっと見ている。

「90か?」
「・・・」
「Dカップぐらいかな?」
「坊ちゃんっ!」
邦江が耐え切れずにたしなめた。
「いいじゃないか。減るもんじゃなし」
「ご主人に言い付けますよ」
「ふん、何を言ってやがる。大体、そんな大きな乳をしとる方が悪いんだ」
その言葉に、邦江ばかりでなく美智子も治に厳しい視線を注いだ。
「浜田さんもそうだ。古沢さんもな」いきなり美智子が箸を食卓に叩き付け、「私、もうやめますっ!」と声高に言って立ち上がった。
他の四人が彼女の方を見た。
美智子は険しい表情で立っている。
「怒りっぽいなあ。旦那に構ってもらってないのか?」
美智子はそそくさとその場を立ち去った。
気まずい雰囲気の中、治は「その点、お前は優しいよなあ」と義姉を片腕に抱いて言った。
そうされても抵抗しない令嬢に、邦江と由紀は目を疑った。
治は義姉の服の中に手を入れて胸を揉み始め、それを見て二人の家政婦は思わず顔を背けた。
「綾はいい子だ」子息のあまりの行為に、由紀も邦江ももはや食事が出来ず、俯いているばかりだった。
「お前達も揉んでやろうか?」
治は立ち上がり、由紀の方へ行った。
由紀は「嫌だ」と言ってあわてて逃げようとしたが腕をつかまれ、「やめて!やめて下さい坊ちゃん!」と叫んだ。
「ふふふ」

治は悪魔のような笑いを浮かべて由紀を引き摺って行き、「綾、手伝えっ!」と命令し、由紀の両手を後ろに回した。
綾は強い力で由紀の両手を押さえた。
「離してっ!離してっ、お嬢さんっ!」
しかし綾は顔を顰めながらも力を緩めない。
それから治は、立って震えている邦江に近付き抱き締めた。
「やだあ・・・」
邦江は必死に抵抗したが治の力には適わず、虚しくもがくばかりだった。
その邦江を治は食卓から強引に離して行き、近くで青ざめて見ている美智子に気付くや「てめえも来いっ!」と命令した。
美智子は立ちすくんでいた。
「美智子っ!」
はるか年下の男に呼び捨てにされたショックで美智子は操られたようにゆっくり歩き始めた。
「皆騒ぐんじゃねえぞっ!おとなしくしろっ!いいなっ!」
ようやく、邦江を抱いていた力を緩めたがすぐに又抵抗を始められた為治は
「死にたいのかっ?殺すぞ」と凄みのある口調で脅した。
邦江は顔を引きつらせておとなしくなった。

つづき「名古屋の嵐(十)」へ


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