お局苛め(1)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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お局苛め(1)

15-06-14 09:40

山岡玉枝43歳 独身 大学を卒業し直ぐに外資系の貿易会社に就職、経理部に配属され勤務態度は真面目で仕事のミスも極めて少なく上司や同僚からの信頼も厚くキャリアウーマン然とした所も無く性格も大人しく根暗なタイプでは有るが根に持つタイプでも無かった、私生活でも特定の彼氏も居らず遊びも殆どせず休暇の日などは殆ど外出せず部屋で過ごす事が多かった、そんな彼女の身に突然不幸が訪れたのであった。

彼女が勤務する会社の忘年会は毎年仕事納めの日に地方の温泉ホテルで一泊二日で執り行われ、全社員絶対出席が義務付けられ当然玉枝も出席をしていた、長々と続く社長の挨拶が終わり忘年会が始まり全ての部署が集まり男女入り乱れの忘年会は盛大かつ華やかであった、そして終焉を迎え専務の締めの挨拶で終わり皆意気投合した者達はホテル内のスナックに消えていった、玉枝は多少の酒でも直ぐに酔う為、部屋へと独り向かって廊下を歩いていた、その時後ろから声を掛ける男性が現れ玉枝は立ち止まり後ろを振り向くと仕入れ部の田宮智史が居た、田宮智史は10年前に途中入社して来た40歳の男性であった、智史は酒で顔を赤くさせていた

「山岡さん、皆と飲まないんですか?」

「わたし、お酒に弱いから」

玉枝は普通に答えた、玉枝が答えた通り玉枝の顔や浴衣の襟から覗く首筋やうなじが赤く染まっていた

「そうですか残念ですね、でも少し位皆と飲みませんか?」

「うんん、でも…お酒弱いし、それに根暗だから」

少し苦笑いしながら玉枝は答えた

「じゃあ、少しだけ俺と飲みませんか?」

田宮智史の言葉に玉枝は驚き言葉が詰まった、田宮智史は酒に酔っては要るが玉枝を見る眼差しは真剣であった

「駄目ですか?」

「えっ、駄目って、わたしと、何故、田宮さんなら他に若い人達と飲んだ方が楽しいでしょう」

確かに田宮はイケメンとまでは言わないが明るく活発で責任感の強い男で他の部署の女子社員の中には好意を持っている者も少なくなかった

「俺、駄目ですかね」

「いえっ、駄目って云うか、田宮さんなら私より若い子達の方が良いかなって、こんな根暗なおばさんと飲んだって楽しくないでしょ」

「俺、本気です!本気で」

「お願いっ、お願いその先は言わないでっ!」

「何故ですか!」

「怖いのっ…怖いのよっ!私…何度も…男の人に棄てられたから、だから…」

「俺、玉枝さんの事棄てません!」

「あなた、私の事、本当の私の姿を見て失望するわよ!」

「本当の姿って?」

少し困惑する田宮智史に玉枝は自ら軽い口付けをした

「ごめんなさい…田宮さんの気持ちだけ有り難く頂くは、お願い私の事は忘れて下さいッ!」

玉枝はそう言い終わると静かに立ち去り自室へと姿を消した、廊下に独り立ち竦む田宮智史は力無く姿を消した、そして翌日田宮智史と偶然朝食を共にしたが田宮も玉枝も何処と無くぎこちなく朝食を終え、社員一同と共に送迎バスに揺られホテルを後にした、そして翌日、山岡玉枝の住むマンションに1人の訪問者が現れた。

つづき「お局苛め(2)」へ


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