人口4万人弱の都市にある小さな不動産会社社長、村川幸三50歳が死亡した
死因は溺死、旅先でのアルコールを大量飲酒し入浴しての事故死と断定され、葬儀は滞り無く無事済まされた
葬儀の後親しい親友、知人が故人を偲びささやかな酒宴を開いていた
「幸三さんは酒飲めたのか?」1人の男が言った、周りに居た客達は顔を見合わせ頭を捻った
「昔は全くの下戸だと聞いていたが、仕事柄飲めるようにでも成ったんだろ」別の客が言った
「だけど、俺は村川社長と何度か飲んでいたがもっぱらウーロン茶か緑茶だったですよ」出入り業者の男が口を開いた
「まぁ、どちらにしても、そんな事言ったて社長が生き返る訳でもないからね」
専務の肩書きを持つ高橋穣50歳がポツリと洩らした
その言葉で周りの客達は一応に納得した様に頷き溜息を吐く者、酒を口に運ぶ者、涙ぐむ者と様々な納得の仕方をした
酒宴は一時間程すると客達は皆帰って行った
そして一年後、社長の座に着いた高橋穣が死んだ
死因は自殺、人里離れた雑木林の中から首を吊って発見された
自殺する一週間前から行方が判らず家族と社員が警察に捜索願を出していた
村川幸三亡き後社長に就任したが、業績面では悪く無かったが酒の席が増え悪い噂が広がり筒あった
葬儀は前社長と同じく社葬で執り行われたが、前社長と違い人望も薄く、葬儀後に故人を偲ぶ者は無かった
その後会社は大手不動産会社に買収された
買収と言っても自力運営が出来る程の力は無く、タダ同然で吸収されたに過ぎなかった
残された社員はそのまま残れたが悲惨だったのは会社を興した前社長、村川幸三の家族と後任社長高橋穣の家族達であった
村川の妻、早苗は夫を亡くしてから鬱ぎ込み、鬱状態と成り、会社が吸収された事を聞くと半狂乱に成り行方を眩ましたが、数日後に川岸に打ち上げられて要るのを発見された
既に死んでいた
後任社長高橋穣の方は、悪い噂と言うのが高橋穣が会社の資金を個人流用していたのが発覚、妻の明里が其れに深く関わっていたことが判明した
当然妻の明里は否定し続けたが言い逃れ出来無い証拠が次々と現れ明里は訴えられ横領容疑で逮捕された
1人娘の麗子は結婚間近であったが、母の逮捕により結婚が破談に成り、お嬢様として育てられていた故に世間知らずと身の程知らずが祟り、覚醒剤に走り警察に保護された時には廃人状態であった
高橋穣が威勢の良い時は身内達もおべっちゃらを使い近寄ってはいたが、今では全く他人の振りをし娘麗子の保護者に成る者は誰一人現れなかった
そして3年の歳月が経った
人里離れ人目から隠れる様に造られた温泉旅館が一軒佇んでいた
元々その旅館は或る会社の保養所として造られていたが、いつしか人手に渡り手に入れた者が何らかの伝を利用し
政界財界は勿論の事、極一部の富裕層のみが利用出来る会員制の高級温泉旅館へと姿を変えていた
その為この旅館では宿泊者同士が顔を逢わせ無い様に複数の客は採らず、個人叉は少数の団体客しか採らない方式を取っていた
その為この旅館には極少数のスタッフと一軒のみの客しか居無い完全プライバシー保護がされた空間に成っていた
そしてその旅館に3人の宿泊客が泊まっていた
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