まちがい電話(6)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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まちがい電話(6)

15-06-14 10:22

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「まちがい電話」へ

デコムの娘を誘拐犯から無事保護した事で塚本に言い掛かりのクレームや法外な値引きは減ったが塚本にはどうしてもしっくり往かない事があった、確かに晴美親子がした事は犯罪である当然社会的制裁は受けるべきで在るが、デコムの社長、伏見明信、旧姓田所明信の存在がイマイチ納得出来なかった、塚本はそんな事を思いながら日々を過ごしていた、晴美の娘、亜紀子は親戚預けられ晴美親子を待つ日々を過ごして居る。

「お前凄いなぁ、誘拐犯から子供救ったんだって」
個人的にも付き合いが有る板金屋の社長に街で声を掛けられた、塚本は頭を掻いた
「オイ、今度鱈釣りに行くけど予定どうだ」
この社長の場合どうだと云う意味は行くぞと云う意味だから断れる筈もなかった、そして日々の仕事をこなし週末が訪れた、深夜の内に街を出発し明け方近くに最北端の港町に着き直ぐに荷物を吊り船に運び込んだ、釣り場まで行くには2時間程掛かるその間に竿出したり仕掛けを付けたり意外と釣り場に行くまでは忙しい時間が過ぎる、塚本は附と思った
「ねぇ社長、デコムの会長と社長ってこの辺で沈んだですよね」
塚本は隣に座る板金屋の社長に尋ねた
「多分この辺だろ~」
「なんで事故が起きたんですかね」
「知らんな~漁師さんなら知ってるから聴いてみな」
そう云うと板金屋の社長が漁師に訊いてくれた、そして面白い事を謂われた
「あれは~事故じゃ無いよ」
「事故じゃ無いって?」
塚本と板金屋の社長は手が止まった
「海上保安庁や警察が調べたんなら判る筈だが、影井さんの船に衝突の跡が有った、あの日俺も漁に出てた、此処ではないけどな、影井さんの航路は正確に進んで居た筈だ障害物が無いのに何処にぶつかるよー考えられるのは、誰かが意図的に衝突させるしがないべぇ」
「事故じゃなくて、事件て云う意味ですか、社長?」
板金屋の社長は聴かない振りをした、塚本は漁師の言葉が離れなかった


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