まちがい電話(2)_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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まちがい電話(2)

15-06-14 10:22

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「まちがい電話」へ

塚本が勤務する建築資材会社に戻ったのは夜の8時を過ぎた頃であった、デスクには数枚の建築資材の見積り依頼書と皆が悪魔の依頼書と呼ばれるクレーム処理依頼書が数枚置かれていた、塚本はクレーム処理依頼書を眺めながら昼間来た間違い電話の事を思い出していた、一体何処の金持ちと間違えて電話を掛けて来たのだろうと、そんな事を思い出して要る時に隣の席に座る3歳年下の新見祐司が肩を叩いて来た

「塚本さん、又部長怒ってましたよ」
新見祐司が声を小さくして話し掛けて来た
「もしかしてデコムの件か?」
塚本が新見と同じ様に小声で返すと、部長の山部仁志の怒鳴り声が塚本に届いた
「おーい塚本君!帰って来てるならこっちに来なさい!」
部長の怒鳴り声に顔をしかめ覚悟を決め部長の居る席へ向かった
「おい塚本、何だこのクレーム報告書と値引き報告書は!」
差し出された報告書は矢張りデコムの物であった、デコムとは略式名で正式にはデイリーオールサポートコンサルタント株式会社と云い塚本が勤務するイーイー建材株式会社の年間売上額の3割強を占める大口の顧客であった、しかし3年前に創業者の会長、伏見友蔵と息子で社長の伏見友則が海難事故で帰らぬ人に成り娘婿で常務取締役の伏見明信が社長を継ぐと理不尽な値引きと理不尽なクレーム処理を要件するように成って来た
「塚本、このままズルズル要ったら内はあの会社に潰されるぞ!クレーム処理をして遣って値引きまでして遣るなら売らない方がまだましだぞ!」
部長の怒鳴り声は暫く続き、塚本は頭を下げ部長の怒りが収まるのを待った
「まぁ、報告書に因ればメーカーさんに泣きついて内の値引き分で済んだみたいだから佳いようなもんだが、あんまり無茶苦茶話しを聞いて来るなよ!」
部長のお小言を切り抜け塚本は後輩の新見にVサインを送ると新見からガッツポーズが返って来た、塚本が仕事に戻り見積りを全て遣り終えたのは午前2時を過ぎていた、帰りにコンビニ寄り弁当を買いマンションに着いたのは午前3時近くであった、塚本は軽くシャワーを浴び弁当を喰い直ぐにベッドに潜り込み一瞬で眠りに就いた、塚本が目が醒めたのは午前7時を少し過ぎていた、支度を整え会社に向かい何時もの毎日が始まった

つづき「まちがい電話(3)」へ


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