序章
『アイデンティティ・クライシス』--スパイ小説で良く目にする言葉である。
ダブルと呼ばれる二重スパイが、ミッションをこなすうちに自分がどちらの国のスパイなのかを見失ってしまう瞬間を言うらしい。
これから語るストーリーには、もちろんスパイなどは登場しない。登場人物のメインキャストであるひとりの女が陥った「自分を見失う感覚」、「自分が誰なのかすら考えられない瞬間」を二重スパイが陥るアイデンティティ・クライシスになぞらえたものだ。
アイデンティティ・クライシスに至る過程とその瞬間を登場人物の「オレ」が語るM女への愛と恥辱に溢れたストーリー。。。。
<登場人物>
オレ: グレッグというハンドルネームでブログにSM体験を綴っている普段は変態S男の素振りを見せない会社員。特定のM女を保有しておらず、ブログゲストに調教体験をさせたり、夫の依頼に基づく妻への代理調教を請け負っている。
みほ: クリムゾン・サンライズというハンドルネームを持つ地方自治体職員。オレことグレッグのブログのビジターであるが、いわゆるロム専と呼ばれるコメントなどは書き込まず、読むだけのビジターである。離婚によりシングルマザーになったが近々子連れのシングルファーザーとの再婚が控えている。
かおり: レディ・オブ・デスティニーというハンドルネームを持つシングルマザーの幼稚園の教諭。ブログのビジターであり、知的なコメント投稿により他のビジターからも注目される存在である。グレッグのブログに感化されM女体験に興味を抱き、勇気を出して『1日だけM女になってみたい』希望を叶えられた。
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