樹里のおもちゃ 1_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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樹里のおもちゃ 1

15-06-14 10:43

 高校2年になった5月。
樹里の家にパパの親友の息子がやってきました。
「来年の春までうちで一緒に暮らすよ」

パパは私とママにそう説明したけど、ママはもう知ってたみたいでニッコリ笑ってました。
「樹里にお兄さんができたみたいでうれしい!」
樹里が嬉しそうに笑うと、パパもママもほっとしたみたいに一緒に笑いました。
樹里が嫌がるのが心配だったみたい。
でも樹里はパパとママを困らせることはしないから、その時もいつものように二人の思うとおりのいい子をやってあげたの。
その息子さんはトモキさんっていう名前で、おしゃれでもないし、顔も普通。
「よろしくお願いします」
ってきちんと挨拶して、パパに連れられて案内された部屋に入っちゃった。
歳は樹里の1コ上で高校3年生。
あとでママに聞いたんだけど、お父さんの会社が倒産して家が大変なことになったみたい。
それで樹里のパパが親友の息子のめんどうを見ることにしたんだって。
大学生になったら一人暮らしをするっていう約束で…。

1週間ぐらい、パパとママは樹里とトモキさんが仲良くなれるかとっても心配してたの。
勉強とテニスで忙しかったけど、樹里にはそれがわかったから、普段以上にお嬢様っぽくしてはしゃいであげたの。
トモキさんはあまりしゃべらないし、部屋から出ようとしないから、樹里とっても疲れたわ。
テレビゲームに誘ってあげたり、ケーキを焼いてあげたり、学校の話をきかせてあげたりするために、何度もリビングに呼び出しては気をつかってあげたの。
本当に疲れちゃった。
パパやママにイイ子のふりをするだけでも最近はイライラしていたのに、こんな余計な居候にまで気を使うことになるなんて!
2週間ぐらいたったとき、トモキさんがちょっとずつ樹里と話をするようになってきたの。
そしたらびっくり!前の学校に彼女がいるって言うのよ!
樹里が毎日こんなにあれこれしてあげてるのに、自分は部屋で彼女とメールのやり取りしてたなんて。
信じられない。
樹里、心の中が真っ黒になったみたいな気がしたの。
でも普段どおり、にっこり笑ってその話を聞いてあげたの。
だって樹里は、いい学校に通うお嬢様なんだから。

つづき「樹里のおもちゃ 2」へ


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