コンフェッション − 第18章_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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コンフェッション − 第18章

15-06-14 10:44

この話はつづきです。はじめから読まれる方は「コンフェッション 第1章」へ

第18章 - ライク・ア・プレイヤー

5月の優しい陽射しとは言え、長く駐車していた車内の温度は上がっていた。エアコンの設定温度と風量を調整しながらアクセルを踏み込み、パーキングから出口へのスロープを下る。

デスティニーズ・チャイルドのサバイバーがクライマックスのリフレインが始まりと共にゲートのバーが開く。それはまるで、かおりがこれから始まる試練のサバイバーになることを祝福するメロディだった。

モール出口から交差点を3回左折と右折を繰り返すと、駅から郊外に抜ける幹線道路に辿り着く。車内のスピーカーから弾き語りのようなピアノのイントロが聞こえるとアリシア・キーズのバラードが始まった。女性ボーカルを集めたMDらしい。

モールの周辺は歩行者や自転車も数多く往来していたが、幹線道路ではその数が減り、逆に大型トラックやバスの通行量が増えている。センターライン寄りの車線を走行すれば、助手席に座るかおりの姿は歩道からは捉え難いが、走行車線を走るトラックやバスからは見下ろされることになる。

走行車線と追い越し斜線の二者択一の選択肢を、かおりに選ばせる。

「歩行者からは乳房が見えるかも知れないけど、まあ一瞬だな。トラックからは乳房だけじゃなく太ももやヘアまで見えると思う、それも一瞬じゃ無い、並んで走ってるんだからな」

「トラックからは車内が丸見えに?慣れるまでは左側の車線をでお願いします」

「わかったよ、歩道寄りを走らせる。今から、信号をひとつ通過するごとにボタンを上から順に外すことにしよう」

前開きのワンピース着用を指示し、かおりは忠実に指示を守っている。ボタンの感覚は狭く、全部で10個ほどだろうか?

この幹線道路では、渋滞を起こさせないためか信号に代わり歩道橋が設置されていた。そして、3つの信号をくぐり淡いピンクのブラと白い乳房が半分露になった先の信号が黄色から赤に変わるのが見える。

「信号が赤だ、止まるぞ」

前走する車とは車間距離をあけていたから横断歩道の手前に先頭で止まることになる。左のレーンには大型トラックが停止したが助手席には人の気配がなく、当然運転席から助手席のかおりはまったく見えない。

「横断歩道を人が渡るぞ。。。。目を閉じるな」

かおりの視界には、自転車を押しながらゆっくりしたペースで横断歩道を渡る制服を着た高校生の男子ふたりが
映っているはずだ。一瞬、緊張した表情を見せたものの、ふたりは会話に夢中で周りの様子など眼中に入っていないようだ。

「残念だったな。会話に夢中でまったく気付かなかったな」

程無く、信号が青に変わり発進すると、かおりは安堵の表情を取り戻す。ルームミラーを見ると、すぐ後を走る黒いセダンの後に路線バスの姿が表れる。この先にバス停があることになる。そしてバス停の傍には信号がある
のが通例だ。

そんなことに思いを巡らせていると、後続の黒いセダンの左のウィンカーが点滅し交差点を左折して行った。

スピードを落とし走行するとバスの姿がルームミラーの中で大きくなる。右のレーンに出て少しだけアクセルを緩めればバスと並走することになる。

10個目の信号を通過すると、前開きのワンピースのボタンがすべて外されていた。

「かおり、左車線を走り続ければ、この先にバス停があるはずだ。そして、右車線に出るとバスに並ばれるかもしれない。おまえの意思に任せよう」

レストランでピンクレモネードをマウンテンデュ-に変える魔法をかけた時に、パンティは脱いでいる。ワンピースを広げると白い肌に浮かぶ縮れの少ない短めなヘアが露になるだろう。

「グレッグ様、お好きな数字をおっしゃってください」

変なことを聞くことを不思議に感じつつもラッキーナンバーを答えた。

「好きな数字?そうだな、3だ」

「3ですか?やはりお誕生日の数字なんですね。。。。このまま左車線をお進みください」

「奇数か偶数で決めたな?良く咄嗟に考えたな」

チャカ・カーンの曲がマドンナに変わると前方に大きな交差点が表れ、手前にはバス停に並ぶ短い人の列が見える。

「かおり、信号が赤に変わるとバス停の前で車を止めることになる」

あまりの恥ずかしさから、かおりは祈りを捧げるような表情を見せた。まるでマドンナが『ライク・ア・プレイヤー』のPVで見せたような祈りの表情を。

大きな交差点の信号が赤に変わったことを確認したのはルームミラーの中だった。

つづき「コンフェッション 第19章」へ


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