この話はつづきです。はじめから読まれる方は「不良がーるず」へ
あまりの出来事に見つめる4つの瞳から逃れる様に後ろを見る僕。こんな状況を軽やかに流せる特技があったらどんなに良かったかと、近付いてくる自称いい男にビビりまくりながら考える。
何故、彼は近付いて来る?それは、僕を殴る為さ!あはっ?
「なぁ、お゛ぉっ?今の話、マジなんか?」
なんでいま唸った?なんでいま一回、威嚇音入れた?
恫喝するいい男(自称)さんの厳つい顔を直視せず、僕は明後日の方向を見続ける。そして、そこから目が合うのは志藤京子さ…ん、あれっ?こちらも何やら厳つい顔でこっちを見ていらっしゃる?
「ぉ゛っ!?聞いてんのか、てめぇ?あ゛っ!?」
怖い。
めっちゃ、怖い。
どーなんの、これ?どーすんの、これ?やめて、僕のラ○フカードは無しよ?
「マジなんかっ?って、聞いてんだろぉが?なあ゛ぁ゛っ!?」
「っ、はいぃ~っ」
まさしく、条件反射。志藤女史の方に気が向いていた為、僕の喉からはビビり特有のびっくり返事が出てしまう。
「はあ゛ぁっ?嘘付けよ、てめっ?なんでお前みたいなのび太と…」
自分の意図とはまったく関係無く、ただ、咄嗟に声が出てしまっただけの返事。しかし、そんな僕の返事に自称いい男は何やら勘違いをしてしまったご様子。そして、これ幸いと言わんばかりに。
「わかったろ?悪いけど、あんたとはこれで終わり。…さ、行こ」
と、志藤女史が畳み掛ける。それから、彼女は言うが早いか僕の腕を取ると、そのままその場を後にしてしまう。
だが、しかし、これは、冗談では無いぞ。
呆気に取られながら志藤京子とその場を後にした僕は、かなりの距離を歩いてようやく青ざめる。あの時、残された自称さんがどういう顔をしていたのか僕は知らない。知らないけれど、きっと、僕は彼の並々ならぬ憎しみの対象となったには違いないだろうからだ。
つまりは、さらば青春。こんにちは、地獄…という訳だ。
「…あんたに悪いと思ってる」
悪夢の果てに旅立った僕の思考。だから、それはきっと幻聴だったかもしれない。
「あいつに手出しはさせないからさ、あんたには」
もしかしたら、幻覚だったかもしれない。
「…なんかさ、あんたみたいなの暗くてキモいなぁ、なんて思ってたんだけどさ………その」
だけど、いまでもしかっかり僕の頭には残っている。
「ちょっと…いいかな?ってさ、ははっ…」
そう言って彼女は、とびっきりの可愛い笑顔を僕に見せてくれたんだ。
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