幼孕の心_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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幼孕の心

15-06-14 11:06

駄目人間とは何処にでも居るようで、デブでキモくてオタクでオマケに根性無し。でも、自尊心だけは人一倍に強くて、周囲の同世代に社会的に置いて行かれたって、それは今の時代が悪いなどと何かのせいにする。そして、自分は努力をしない。それが、山田 太次郎、その人であった。

でも、彼にも同情すべき点はあるのだ。
幼い頃より、何をやっても駄目。何をやらせても人並み以下で期待性0。
但し、それは幼い故の優劣であって、彼もその後の頑張り次第では天才にもなれたのだ。
にも関わらず、早々に両親共々に彼に期待するのを諦めたので、今日、この様な駄目人間となってしまったのである。
そして、さらには、彼より一回り歳の離れた妹。
才色兼備、優等にして可憐な彼女は何かと忙しく、事の回数に限られた両親にとって、ようやく待ち焦がれた存在であった為に。蝶よ、花よと可愛がられ、駄作と評された太次郎は蚊帳の外へ。これが彼をより駄目人間へと拍車をかけたのだ。
そんな訳でパソコン画面の萌えた画像に勤しんで、廃退的自己処理を繰り返す太次郎。哀れ、彼は産まれた場所を間違えた不運児であった。
リビングに出てみれば、あら?と母親。用を済ませトイレから出てみれば、なんだ?と父親。
期待するのを止めた両親にとって彼は、もはや、透明人間。金は与えるが、干渉は無い。住まいは与えるが、会話は無い。
無い無い尽くしの彼は、また、パソコン画面の萌える画像で勤しむのだ。

それから一夜過ぎて、翌朝の8時を過ぎた辺りだろうか。目覚まし時計など在って無い様な彼の部屋でけたたましくそれが鳴る。鳴ると同時に止まる。と、今度は朝日が窓から射して入ってくる。
カーテンは一年中閉まっている筈だが?太次郎が閉じたまぶたを擦り開けながら体を起こす。途端にどっしりと体の下半部に重みが加わった。
何事か?いままでそんな朝を迎えた事のない太次郎はびっくり驚いて、眼を見開く。そこに居たのは、一回り歳の離れた優等にして可憐な妹、凛々(りり)。
彼女はいつの間にかベッドに乗り上がっており、そのベッドに横たわる太次郎の下半部の上にぺたんと座って居る。
再度、何事か?と太次郎が目を白黒させる。
「おにぃちゃん…りりと…せっくすしよ?」
それでもって、再度、太次郎はびっくり驚いて目を見開いた。

つづく「幼孕の心(2)」へ


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